By Jeremy Dezani
Translated by Daijiro Ueno
(掲載日 2018/04/21)
「プレイヤーフォーカス」へようこそ!
「プレイヤーフォーカス」は、世界に名立たるマジックプレイヤーにインタビューする企画です。日本のみなさん、そして世界中に彼らのことを広めていきたいと思っています。毎回違うプレイヤーを紹介しますので、楽しみにしてくださいね!
この度のゲストはマーティン・ジュザ/ Martin Juza(@Juzam_)です。
マーティンはチェコ人として初めてプロツアー殿堂に名を連ねたプレイヤーです。プロプレイヤーとして最も成功を収めた人物のひとりで、世界中の人からリミテッド世界最強と称されています。
インタビュー
プロフィール
- 氏名: マーティン・ジュザ
- 年齢: 30
- 国籍: チェコ共和国
- スポンサー: Channel Fireball
- 生涯プロポイント: 583
- プロレベル 2017-2018: プラチナ
職業 / マジック以外の趣味
ハースストーン、ポーカー、サッカー、NHL(アイスホッケー)観戦、あとはテレビ鑑賞なんかが趣味かな。
マジックを始めたのはいつ、どのセットでしょうか? また、マジックを知ったきっかけは何でしょうか?
始めたのはウルザ・ブロックのころだったと思うよ。その時僕のクラスメイトたちがマジックをやっていて、面白そうに見えたんだ。そして、ルールを覚えて彼らと一緒に遊びはじめた。最初はみんなルールを全然理解してなかったんだけど、地元の大会に出られるまで成長して、そこで年上の経験者たちからプレイングやルールを学んだね。
プロプレイヤーになるまでに、あなたに一番影響与えた有名プレイヤーは誰ですか?
間違いなくカイ・ブッディ/Kai Buddeだ。地元のショップにSideboard Magazine(マジック専門誌)があったから、その中で彼が毎回大会で勝ち上がっているのを知ったんだ。みんな彼みたいなプレイヤーになりたいと思っていたよ。今でも時々古いカバレージを読むけど、彼はいとも簡単に勝利をかっさらっていたね。すごく刺激になるよ。
これまでの実績:
プロツアー・トップ8: 3回
グランプリ・トップ8: 28回
その他: マジック:ザ・ギャザリング プロツアー殿堂入り(2017)、チェコ選手権大会優勝3回
好きな日本人選手とその理由
うーん、難しいね。みんな素晴らしいプレイヤーだよ。1人だけ挙げるのは厳しいけど、うーん、中村 修平、渡辺 雄也、津村 健志、八十岡 翔太、行弘 賢、大礒 正嗣、それに齋藤 友晴もいる。マジックを始めてすぐのころは正嗣と健志の2人がお気に入りのプレイヤーだったね。彼らのプレイを見るのはすごく楽しかった。
でも、修平は明らかに特別だ。大会のために旅をするとき、いつも僕の手助けをしてくれる。本当に良い友達だよ。
お気に入りのフォーマットとその理由
もちろんドラフトだ!毎回デッキや試合展開が異なるから、構築よりもずっと楽しいよ。
一番好きなデッキ
スタンダード:「スゥルタイ《巻きつき蛇》」
モダン: モダンではこれといって好きなデッキはないけど、あえて1つ挙げるなら「ジャンド」かな。
レガシー:「4Cアグロローム」
アグロ、コントロール、ミッドレンジ、コンボの内どれが好きですか?
アグロかな。相手がもたついたり事故ったりするのを咎めるのが好きだ。みんなマリガンをしたがらないものだから、この戦法は試合を有利に運ぶのに適していると思うよ。もし環境のベストデッキがミッドレンジやコンボなら、そっちをプレイするのも全然気にならないけどね。
今プレイしていて最も楽しいデッキは何ですか?
1 《沼》
1 《ドライアドの東屋》
2 《Bayou》
1 《Badlands》
1 《Scrubland》
1 《Taiga》
4 《新緑の地下墓地》
2 《吹きさらしの荒野》
3 《燃え柳の木立ち》
1 《やせた原野》
1 《カラカス》
1 《平穏な茂み》
4 《不毛の大地》
1 《暗黒の深部》
1 《演劇の舞台》
-土地 (26)- 2 《死儀礼のシャーマン》
4 《闇の腹心》
1 《ガドック・ティーグ》
4 《聖遺の騎士》
-クリーチャー (11)-
3 《突然の衰微》
3 《罰する火》
2 《壌土からの生命》
2 《森の知恵》
4 《虚空の杯》
4 《モックス・ダイアモンド》
3 《ヴェールのリリアナ》
-呪文 (23)-
2 《エーテル宣誓会の法学者》
2 《ゴルガリの魔除け》
1 《死儀礼のシャーマン》
1 《再利用の賢者》
1 《不屈の追跡者》
1 《壌土からの生命》
1 《突然の衰微》
1 《窒息》
1 《最後の望み、リリアナ》
1 《情け知らずのガラク》
-サイドボード (15)-
ここ最近はグランプリ・シアトル2018やチーム構築のグランプリがいくつかあったから、レガシーをより重点的にプレイしているんだ。レガシーはプレイしていてすごく楽しいよ。いろんな駆け引きとギリギリの勝負がある、良いフォーマットだね。それにいろんな種類のデッキをプレイすることができるんだ。モダンと違って《意志の力》がクレイジーなコンボデッキに睨みを利かせているからね。
友達は僕の4色デッキをちょっとバカにしているんだ。レガシーのベストカラーである青を使っていない、とね。でも僕はこのデッキが好きなんだ。「土地単」に近いけど、《壌土からの生命》への依存度が低い点で異なるね。初手に《モックス・ダイアモンド》があるだけで十分強力だし、1ターン目の《虚空の杯》 は、レガシーにあるデッキの多くを詰み状態にさせるよ。
それに、多くのデッキはフェッチランドを積んでいるせいで5、6枚しかマナを生み出す土地を持っていないから、《壌土からの生命》と《不毛の大地》の組み合わせだけでゲームを終わらせることもある。このデッキは「スニーク・ショー」みたいなコンボデッキたちと相性が良くないけど、「デルバー」や「奇跡」にはかなり有利だね。
ついにチェコ人として初めて殿堂入りを果たしましたね。感想を聞かせて貰えますか?
もちろんとても素晴らしいことだと思ってる。本当さ。毎回プロツアーに出られるようになったから、これまでやってきたように参加権利を得るためにたくさんプレイする必要はなくなったわけだ。でも、まだまだ大会で試合をするのは楽しいから、当分引退するつもりはないけどね。
昨シーズン、3つのリミテッド・グランプリで決勝に進出しただけでなく、『アモンケット』/『破滅の時』を用いたプロツアーではドラフトマスターのタイトルを獲得しました。なにか特別な戦法があったのでしょうか?
いつもアグロ寄りにドラフトしているだけだね。そして相手の遅いスタートを咎める、という感じかな。『アモンケット』/『破滅の時』ブロックの2マナ域は本当に強いし、アグロにとって「督励」はとても良いメカニズムだ。相手がより大きいクリーチャーを出してきたとしても攻め続けることができるからね。
《空からの導き手》は大好きなカードだ!
世界中を飛び回ってグランプリに参加しているのは有名ですが、一番お気に入りの場所はどこですか?
プロツアー『アモンケット』とグランプリ・サンティアゴ2017の間にイースター島に旅行に行ったんだけど、今まで行った中で一番驚くべき場所だったよ。すごく独特で神秘的、かつ静かで本当に素晴らしいんだ。
長年に渡り、チェコはヨーロッパ最強の国の一つです。プロツアーチャンピオンを2人輩出し、たくさんのプラチナ・プロがいますね。あなたはチェコで最初にプロになった一人です。普段他のプレイヤーたちに何か教えたりしていますか?
教えるということはそんなにない。他のプロと仲良くなれるように手助けするぐらいかな? 他のプロプレイヤーと一緒にいるときはいつだって嬉しいよ。僕たちはいつも一緒に楽しんで、そしてたくさん試合に勝つ。仲の良いグループなんだ。
ルーカス・ブローン/Lukas Blohon、イヴァン・フロック/Ivan Floch、スタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifkaといったチェコやスロバキアのプレイヤーたちがここ数年でプロツアーを征したのは、すごく驚くべきことだね。
プロになりたいと思っている人のために、ミスを避けるための方法や注意の仕方について、何かアドバイスはありますか?
自分が最高のプレイヤーだと思わないこと。そして、負けたときにすべてを「運が悪かった」で片付けないことだ。もちろん時には引きが悪かったり、相手が《原初の死、テジマク》を持っていたりして負けることもあるだろう。でも大抵の場合、そこには試すべき別の方法があって、形勢を有利に傾かせてくれる手段があるはずなんだ。
意地を張ったり、不運のせいにしたりするのではなく、ミスを見つけて、そこから学ぶべきさ。