Deck Tech: 谷川 博紀の「白単エルドラージ ver.『ドミナリア』」

晴れる屋

By Kazuki Watanabe

 マジックの深淵、ヴィンテージ

 このフォーマットを『古いカードが使える』という言葉で説明するのは正しくない。

 『古いカードも新しいカードも使える』と称するべきだろう。

 そう、ヴィンテージにも新環境が訪れている。『ドミナリア』のカードが、ヴィンテージでも活躍を始めているのだ。

谷川1

 今回は、谷川 博紀に話を伺った。

 信心亭を中心に腕を磨き、第7期レガシー神挑戦者決定戦でTop 8入賞の経験を持つ。そして、ヴィンテージを愛するプレイヤーの1人だ。

谷川「ヴィンテージをプレイできる機会は貴重なので、今回も参加しました」

 そう言いながら笑顔を見せる谷川。早速、彼の使用する「白単エルドラージ ver.ドミナリア」について伺ってみよう!

『ドミナリア』で手に入れた新戦力

――「今回使用されているデッキは『白単エルドラージ』ですよね。このデッキを選択した理由から、教えていただけますか?」

スレイベンの守護者、サリア

谷川「元々”ヘイトベアー”と呼ばれるカードが好きで、特に《スレイベンの守護者、サリア》が好きなんです。レガシーでも『マーヴェリック』を使っていまして、自然とヴィンテージでも『白単エルドラージ』を使い始めました」

――「他のデッキを使用することもあるのですか?」

谷川「少し前は、『メンター』の練習をしていました。ですが『ようやく勝ち越せるようになったかな?』と思っていた頃に《噴出》《ギタクシア派の調査》が制限されてしまって、今回は『白単エルドラージ』を使用することにしました」

――「そうだったんですね。さて、今回お伺いしたいのは、谷川さんのデッキに入っている『ドミナリア』のカード、《ウルザの後継、カーン》《減衰球》についてです。元々は何が入っていた枠なのでしょうか?」

谷川《減衰球》《アメジストのとげ》の枠ですね。制限によって3枚枠が空いたので。そして、《ファイレクシアの破棄者》の4枚目を、《ウルザの後継、カーン》に変更しています」

――「《ウルザの後継、カーン》の使い心地はいかがですか?」

ウルザの後継、カーン

谷川「今回はお試しで入れてみたのですが、《古えの墳墓》《魔力の墓所》《太陽の指輪》を利用して素早く出せることもあります。早いターンに着地させて、『+1』能力を起動して必要なカードを探す動きはかなり良いですね」

ヴィンテージのメタゲームが動く可能性は?

――「なるほど。《減衰球》はいかがですか?」

減衰球

谷川「これは『白単エルドラージ』が求めていたカードと言っても良いかもしれません。このデッキの弱点は『MUD』なんです。天敵と言っても良いですね。サイドボードを見ていただけると分かりやすいのですが、《解呪》《静寂》《断片化》と大量に対策カードを用意してあります」

解呪静寂断片化

――「ものすごい数ですね。それくらい積む価値がある、と」

谷川「そうですね。とにかく苦手です。こちらが2マナ→4マナ→6マナと動くのに対して、ひたすら3マナを連打してきますからね。これを《減衰球》がうまく制してくれるんです《アメジストのとげ》の枠を、綺麗に埋めてくれました」

――「おお……ヴィンテージにやってきた新戦力ですね」

谷川「そうだと思います。例えば《静寂》で盤面を更地にした後に《減衰球》を置くと、『MUD』が体制を立て直す間に、こちらは大型クリーチャー叩きつけることもできますからね。ただ、《減衰球》の影響を受けないデッキももちろんあるんですよ」

――「そうなのですね。具体的にはどのデッキデッキですか?」

ドルイドの誓い

谷川『オース』です。ストーム型ではない『オース』の場合、1ターンに何度も何度も呪文を唱えることはないんですよね。《ドルイドの誓い》をプレイしてしまえば良いので、自分は《減衰球》の影響をほとんど受けません」

――「『オース』に対しては有効なカードではない、ということですね」

谷川「そうですね。そして、それだけではないんです。『オース』がヘイトカードとして《減衰球》を積むという可能性もあるんですよ。自分の動きを阻害せず、相手にだけ影響を与えるヘイトカードですからね」

――「では、少しメタゲームが動く可能性もありそうですか?」

谷川「あり得ると思います。今回もほとんど『MUD』と対戦していないので、もしかしたらすでに影響が出ているのかもしれません。ただ、周囲のプレイヤーと話をする限りでは『色々試している』という人が多いので、ここからどうなっていくか、本当に楽しみですね

ヴィンテージの魅力 -好きなカードで、好きな動きを実現できる-

――「では最後に、谷川さんの考える”ヴィンテージの魅力”を教えてください」

谷川他のフォーマットでは楽しめない爆発力のある動きを堪能できる。これがヴィンテージの特徴だと思います。そして、その動きを好きなカードやコンセプトで実現できるんですよね。私のように『ヘイトベアーを使いたい!』と思ったら、そういうデッキを組めます。『MUD』や『オース』の動きは一度味わうと病みつきになると思います」

――「たしかに、そういったデッキの動きは他のフォーマットでは味わえませんよね」

谷川2

谷川「そうですね。そして、相手の動きを見ているだけでも楽しいんですよ。こちらの動きも強力ですが、相手も『こんなことできるの!?』という動きを見せてくれます。もちろん負けると悔しいのですが、負けても楽しめる。なので、参加できる大会には積極的に参加したいですね」

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