Translated by Daijiro Ueno
(掲載日 2018/06/12)
みなさん、こんにちは!
8月の18、19日に横浜でエターナル・ウィークエンド・アジア 2018が開催されますね!
今日はこの素晴らしいイベントで取り上げられるフォーマトのひとつ、オールドスクールについてお話ししようと思います。そのルールや存在自体を知らない方もたくさんいると思いますが、この記事でその詳細に触れることができるでしょう。このフォーマットのスペシャリスト、ピエール・カナリ/Pierre Canaliさんの助言を得ながら、メタゲームと人気のデッキについて深く掘り下げていきましょう。
オールドスクールとは?
使用可能セット
禁止カード
制限カード(デッキに1枚のみ入れられる)
アメリカの制限カードリスト
ヨーロッパの制限カードリストとの違い
追加制限カード
非制限カード
再録カードについて
再録版を使用することも可能だが、以下の条件を満たすものに限る。
使用可能カード例
使用不可カード例
上記の規則に反していなければ、どの言語のカードも用いることができる。
マナバーン
現在のルールと異なり、マナバーンは適用される。
《Chaos Orb》
《Chaos Orb》には、以下の通りエラッタが適用される (オールドスクールのみ)。
プレイヤーは《Chaos Orb》の使用に際し、対象のトークンでないパーマネント1枚をテーブルの中央に移動させてからこのカードをはじいても良い。
詳しいルールについては、こちらをご確認ください。(リンク先は英語です)
メタゲーム
長年にわたって、ヨーロッパにおけるメタゲームは「The Deck」と呼ばれるデッキに支配されてきました。このデッキは、《ジェイムデー秘本》でアドバンテージを稼いでいく5色のコントロールデッキです。
「The Deck」
1 《島》
4 《Tundra》
2 《Volcanic Island》
4 《真鍮の都》
4 《ミシュラの工廠》
1 《Library of Alexandria》
1 《露天鉱床》
-土地 (19)- 2 《セラの天使》
-クリーチャー (2)-
2 《稲妻》
1 《Ancestral Recall》
4 《解呪》
4 《対抗呪文》
1 《Demonic Tutor》
1 《Time Walk》
1 《マナ吸収》
1 《天秤》
1 《新たな芽吹き》
1 《Timetwister》
1 《石の雨》
1 《精神錯乱》
1 《回想》
1 《火の玉》
1 《Braingeyser》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Sapphire》
1 《太陽の指輪》
1 《Chaos Orb》
3 《友なる石》
3 《ジェイムデー秘本》
-呪文 (40)-
3 《象牙の塔》
2 《青霊破》
2 《塵は塵に》
1 《セラの天使》
1 《黒の防御円》
1 《Moat》
1 《The Abyss》
1 《City in a Bottle》
-サイドボード (15)-
《地獄界の夢》
最近になって、《トーラックへの賛歌》と《地獄界の夢》を用いることで「The Deck」に対抗するデッキが現れました。
4 《Underground Sea》
1 《Urborg》
4 《Mishra's Workshop》
1 《露天鉱床》
1 《Library of Alexandria》
-土地 (20)- 3 《黒騎士》
1 《Order of the Ebon Hand》
4 《惑乱の死霊》
3 《Juzam Djinn》
1 《センギアの吸血鬼》
-クリーチャー (12)-
1 《Ancestral Recall》
4 《陥没孔》
4 《トーラックへの賛歌》
1 《Demonic Tutor》
1 《恐怖》
1 《Time Walk》
2 《生命吸収》
1 《精神錯乱》
3 《地獄界の夢》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Sapphire》
1 《太陽の指輪》
1 《Chaos Orb》
1 《ネビニラルの円盤》
-呪文 (28)-
この2つのデッキが現在最も人気のあるものとなっています。他にあげられるのは以下のようなデッキたちです。
「青赤バーン」
「青赤バーン」は私たちの誰もが子供のころに一度は作ってみたいと思い、そして誰もその夢が叶わなかった「夢のデッキ」です。その戦略は見事で、8体の飛行クリーチャー、火力と打ち消し呪文によりゲームを作ります。トップ8の常連ですね。
4 《Volcanic Island》
3 《Badlands》
4 《ミシュラの工廠》
2 《真鍮の都》
1 《Library of Alexandria》
1 《露天鉱床》
-土地 (21)- 4 《空飛ぶ男》
4 《セレンディブのイフリート》
-クリーチャー (8)-
4 《稲妻の連鎖》
1 《Ancestral Recall》
4 《対抗呪文》
1 《粉砕》
1 《Demonic Tutor》
1 《Time Walk》
1 《マナ吸収》
2 《心霊破》
1 《Timetwister》
1 《Wheel of Fortune》
1 《火の玉》
1 《精神錯乱》
1 《Braingeyser》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》
1 《太陽の指輪》
1 《黒の万力》
1 《Chaos Orb》
-呪文 (31)-
「青白スカイ」
「青赤バーン」の赤を白に変えたバージョンです。《サバンナ・ライオン》や飛行クリーチャーたちを《剣を鍬に》や打ち消し呪文でバックアップする、クロックパーミッション戦法を取ります。このデッキの最大のポイントの一つは、サーチ呪文によりサイドボードの《赤の防御円》を手軽に使え、同じくサイドにある《City in a Bottle》も自分への被害を恐れず躊躇なく唱えることができます。2枚ほど《City in a Bottle》のためにサイドアウトすれば、《密林の猿人》や《真鍮の都》、《セレンディブのイフリート》といったカードに対処することができるでしょう。
2 《平地》
4 《Tundra》
2 《Underground Sea》
4 《ミシュラの工廠》
2 《真鍮の都》
1 《Library of Alexandria》
1 《露天鉱床》
-土地 (18)- 4 《サバンナ・ライオン》
4 《セレンディブのイフリート》
2 《セラの天使》
-クリーチャー (10)-
1 《Ancestral Recall》
4 《解呪》
4 《対抗呪文》
1 《天秤》
1 《Demonic Tutor》
1 《Time Walk》
1 《マナ吸収》
2 《心霊破》
1 《Timetwister》
2 《魔力消沈》
1 《精神錯乱》
1 《Braingeyser》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Sapphire》
1 《太陽の指輪》
1 《Chaos Orb》
-呪文 (32)-
「ディスク・トロール」
このデッキはパーマネントをいくつか採用していますが、その中でも自身を再生できる《Sedge Troll》は、《ネビニラルの円盤》により実質的なアドバンテージを獲得できます。素晴らしいコントロールデッキですが、「The Deck」ほど強力ではないでしょうね。
4 《Badlands》
4 《Volcanic Island》
4 《Underground Sea》
4 《ミシュラの工廠》
2 《真鍮の都》
2 《イス卿の迷路》
1 《Library of Alexandria》
1 《露天鉱床》
-土地 (25)- 4 《Sedge Troll》
1 《マハモティ・ジン》
1 《シヴ山のドラゴン》
-クリーチャー (6)-
1 《Ancestral Recall》
1 《ぐるぐる》
3 《対抗呪文》
1 《Demonic Tutor》
1 《Time Walk》
1 《マナ吸収》
1 《精神錯乱》
1 《回想》
2 《火の玉》
1 《Braingeyser》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》
1 《太陽の指輪》
1 《Chaos Orb》
1 《魔力の櫃》
1 《Time Vault》
4 《ネビニラルの円盤》
-呪文 (29)-
3 《赤霊破》
2 《粉砕》
2 《City in a Bottle》
1 《イス卿の迷路》
1 《沼地の王ソルカナー》
1 《陥没孔》
1 《ブーメラン》
1 《象牙の塔》
-サイドボード (15)-
「赤緑アグロ」
おそらくこのフォーマットで最も速いデッキで、火力やクリーチャー強化呪文の支援を受けたウィニークリーチャーたちはまるで怒り狂う戦士のようです。こちらもまた素晴らしいデッキですが、大量の除去を積んだデッキ相手には分が悪いですね。《セレンディブのイフリート》、《Ancestral Recall》、《Timetwister》、《Braingeyser》、そして《Time Walk》のために青を散らし、強化呪文と入れ替えるのもありでしょう。この場合デッキに持続力をもたらしますが、スピードは低下していまいますね。
3 《山》
4 《Taiga》
2 《真鍮の都》
2 《ミシュラの工廠》
1 《露天鉱床》
1 《Hammerheim》
-土地 (19)- 4 《密林の猿人》
3 《ラノワールのエルフ》
4 《アルゴスのピクシー》
2 《エルフの射手》
4 《アーナム・ジン》
-クリーチャー (17)-
4 《稲妻の連鎖》
4 《巨大化》
3 《狂暴化》
1 《新たな芽吹き》
1 《Wheel of Fortune》
1 《火の玉》
2 《森の知恵》
1 《太陽の指輪》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Ruby》
1 《Chaos Orb》
-呪文 (24)-
「白単ウィニー」
このデッキはマジックにおける古典ですね!速く、持続力があり、機を計らって《ハルマゲドン》をプレイするだけでゲームに勝つことができます。《地震》にとても弱いのが弱点ですが、このカードは「青赤バーン」か「ブルームーン」しかプレイしないのでさほど問題ではないですね。
4 《ミシュラの工廠》
1 《露天鉱床》
-土地 (17)- 4 《サバンナ・ライオン》
4 《ツンドラ狼》
4 《白騎士》
4 《Thunder Spirit》
1 《セラの天使》
-クリーチャー (17)-
「赤単《エイトグ》」
こちらは《血染めの月》、《Mishra's Workshop》、《トリスケリオン》、《巨大戦車》、《Su-Chi》, そしてデッキ名にもなっている《エイトグ》を搭載した赤茶単デッキです。良いデッキですが、青の強力なカードを使えないのは残念ですね。
4 《ミシュラの工廠》
1 《露天鉱床》
1 《Mishra's Workshop》
1 《イス卿の迷路》
-土地 (18)- 1 《エイトグ》
1 《Orcish Mechanics》
4 《巨大戦車》
4 《Su-Chi》
2 《山イエティ》
1 《シヴ山のドラゴン》
1 《トリスケリオン》
2 《テトラバス》
-クリーチャー (16)-
2 《分解》
2 《火の玉》
1 《Fork》
1 《Wheel of Fortune》
3 《血染めの月》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Ruby》
1 《太陽の指輪》
1 《魔力の櫃》
1 《黒の万力》
1 《City in a Bottle》
2 《友なる石》
1 《Chaos Orb》
1 《ジェイラム秘本》
1 《破裂の王笏》
1 《ネビニラルの円盤》
-呪文 (27)-
3 《粉砕》
3 《ネビニラルの円盤》
1 《Diamond Valley》
1 《稲妻》
1 《分解》
1 《血染めの月》
1 《City in a Bottle》
1 《氷の干渉器》
-サイドボード (15)-
メタゲームにはさらに面白いコンボデッキたちも存在します。もし興味があれば、こちらから詳細をチェックしてみてください。
エターナル・ウィークエンド・ヨーロッパ 2018 (フランス、パリ開催)
先日、ヨーロッパ・オールドスクールチャンピオンの座を賭けて45人のプレイヤーが戦いました。そして陽気なチャンピオンは決して無名のプレイヤーではありません。古参のプロ・プレイヤー、ピエール・カナリです!
- 氏名: ピエール・カナリ
- 年齢: 35
- 国籍: フランス
職業とマジック以外の趣味はなんですか?
2歳になる男の子の父親です。趣味は旅行と、ゲームと名の付くものだったらなんでも好きですね。
いつマジックをはじめましたか?また、きっかけはなんでしたか?
1995年、「アイスエイジ」のころです。私が13歳の時、親友がマジックを紹介してくれました。最初の試合を《ラノワールのエルフ》と《大喰らいのワーム》で戦ったあと、このゲームをこれからもずっとプレイすることになるだろうと思いました。
これまでの戦績
- プロツアー・コロンバス2004:優勝
- 「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」:2004/2005シーズン受賞
- グランプリ・トリノ2006:トップ8
オールドスクール優勝デッキ
2 《山》
4 《Volcanic Island》
4 《ミシュラの工廠》
2 《真鍮の都》
1 《Library of Alexandria》
1 《露天鉱床》
-土地 (21)- 4 《セレンディブのイフリート》
-クリーチャー (4)-
1 《Ancestral Recall》
4 《対抗呪文》
1 《Time Walk》
1 《マナ吸収》
4 《心霊破》
1 《Timetwister》
1 《Wheel of Fortune》
3 《火の玉》
3 《地震》
2 《魔力消沈》
1 《回想》
1 《Braingeyser》
3 《血染めの月》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》
1 《太陽の指輪》
1 《Chaos Orb》
-呪文 (35)-
昨年同じ大会でほぼ同じデッキを使って3位に入賞したのですが、そのときはもう少し赤のカードが入っていました。今回は青を重視してメインに《血染めの月》を採用する構築にしたんです。
デッキの仕組みをおしえてください。
各フォーマットの「《血染めの月》デッキ」でも同じことが言えますが、オールドスクールの有力デッキのほとんどに対して次のような戦法をとります。序盤を《対抗呪文》、《魔力消沈》、《心霊破》、そして《稲妻》によって制圧し、《地震》によって戦場を流したあとに《血染めの月》でフタをするという形です。《血染めの月》が要らない場合でも、《回想》、《Wheel of Fortune》、または《Timetwister》によってライブラリーに戻すことができますね。ゲームを終わらせる手段として用いるのは《セレンディブのイフリート》と《火の玉》です。古典的な「青赤バーン」が25枚土地を入れているのに対して、このデッキはより多く土地を採用しているのも特徴です。
私がこのデッキを選択した理由
サイドボード戦略
対「The Deck」
対「The Deck」
In
対「《地獄界の夢》」
対「《地獄界の夢》」
In
他のデッキに対するサイドボーディングはとても簡単ですね。青いデッキには《赤霊破》、そして赤には《青霊破》、アグロには《支配魔法》と《地震》が、カラフルなデッキには《血染めの月》が有効ですし、アーティファクトデッキに対しては《魔力流出》を入れましょう。
何か変えたいところはありますか?
多分《火の玉》を1枚減らして《魔力消沈》を入れたほうがいいかもしれませんね。
決勝ラウンドでのマッチアップ
準々決勝:「黒単タッチ青《トーラックへの賛歌》」
準決勝:「The Deck」
決勝:「ティムール・アグロ」
まとめ
オールドスクールは大注目です!このフォーマットのゲームプレイはとても複雑で面白いですね。
それでは、また次の機会にお目にかかりましょう!
また、改めてピエール・カナリさんに感謝申し上げます。
ジェレミー・デザーニ