クイックインタビュー: デッキリスト提出期限の変更と、その影響

晴れる屋

By Kazuki Watanabe

 今回のプロツアー『ドミナリア』では、ちょっとした変更があったことをご存知だろうか?。

 デッキリストの提出期限が、水曜日の夜23:59になったのである

 これまでは木曜日の23:59が締め切りだったので、24時間早まったことになる

 たった24時間。されど24時間。

 この変更に対して、プロプレイヤーはどのように考えているのだろうか?

 正直に告白すると、私は「早まったことに対する批判が多い」と思っていた。「単純に準備が1日減る」、「ギリギリまで準備をしたい」といった声が多いだろう、と。

 しかし、これは実に甘かった。私は自分の浅はかな考えを恥じるとともに、痛感した。

 プロツアーに出場する彼らは、紛うことなきプロフェッショナルなのだ。

カルロス・ロマオ

 2002年の世界選手権での優勝を始めとして、輝かしい成績を持つ古豪、カルロス・ロマオは、こう答えた。

カルロス・ロマオ

カルロス「最初は驚いたよ。『また早まるのか!?』ってね。知らない人も居るかもしれないけど、昔は当日の朝に提出していたんだ。もちろん、紙でね。それが木曜の夜になって、そしてまた24時間だ。だから、少し慌ただしくなったのは事実だよ」

カルロス「しかし、これはプレイヤーの意見だ。プロツアーに参加するプレイヤーのことだけではなく、運営するスタッフ、ジャッジ、そして生放送を見ている観客のことも考えなければならない。早めにデッキリストを確認できることで、ジャッジやカバレージスタッフも助かるだろう。事前に魅力的なリストを抜き出せるし、メタゲームの様相を把握できるからね。プロツアー全体が良くなるならば、それはマジックにとってプラスの変化だ。24時間早まったところで、特に問題はないよ」

マルシオ・カルヴァリョ

 続けて、リミテッドの名手、マルシオ・カルヴァリョにも聞いてみた。

マルシオ・カルヴァリョ

マルシオ良い変化だね! 個人的には大歓迎だよ。木曜日は会場でレジストもあるし、何かと慌ただしい。緊張もするから、自分のデッキを信じられなくなることも多いんだ。『サイドボードを変えた方が良いかもしれない』『会場で話したプレイヤーがこう言っていた』とね」

マルシオ「そんな状態で慌てて手を加えて後悔したことが、誰にでもあるはずだ。今回は水曜日の夜に提出して、木曜日は思いっきり休むことができたよ。あれこれ悩むのは嫌いなんだ。水曜の夜に飛行機の中に居て提出できない、っていう状態は避けなければならないけどね!」

ピエール・ダジョン

 最後は、数々の名記事を届けてくれる、ピエール・ダジョンだ。

ピエール・ダジョン

ピエール「提出期限が早まったこと? 何も変化していないよ。これまでも、俺は水曜日には準備が終わっているようにしていたんだ。木曜日は会場でレジストして、久しぶりに会う友人に挨拶し、早めに休むようにしていたからね。だから、俺にとっては何の影響もない」

ピエール「直前の24時間で天啓のようなものを得て、デッキに手を加えたくなることもあるだろう。だが、そんなものよりも、これまで自分が積み重ねてきたものを信じるべきだ。その天啓が正しいという保証はどこにもない。水曜日に提出を終えて、木曜日はリラックスする。そして、金曜の朝から全力で戦う。それだけさ」


 以上、3名のプロプレイヤーの意見を紹介した。

 この他のプレイヤー数名にも簡単に意見を伺ってみたが、全員から「まったく問題ない」「良い変化だ」という返答を貰うことができた。

 特に、カルロス・ロマオの「運営するスタッフ、ジャッジ、そして生放送を見ている観客のことも考えなければならないんだ」という言葉は、私の胸に響いた。最前線で戦いながらも、スタッフや観客のことを考える姿勢に、改めて敬意を表したい。

 プロツアー、そしてマジックは、常に変化している。

 今回の変化が、より良い形に結びつくことを願いたい。

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