これが神を決める最後の3ラウンド。
デッキリストの交換が決まるや否や、お互いにデッキ自体を交換。
そして注目するはサイドボード。
互いにメモを取り、どんなサイドボーディングが行われるか、自身はそれにどう応じるか。
そう、マッチはダイスを振る前から始まっている。
全てはここから、第三の神が誕生するまで残り3時間。
Game 1
ダイスにより斉藤の先手でゲームが始まる。
2《沸騰する小湖》
2《対抗呪文》
《造物の学者、ヴェンセール》
《渦まく知識》
《剣を鍬に》
マナを伸ばすには《渦まく知識》があり、《死儀礼のシャーマン》に対抗し得る《剣を鍬に》もある。
レガシーにおいては意外と重い《対抗呪文》2枚も、先手のアドバンテージがあるなら十分形だ。
なかなかに理想的な初手と言えるだろう。
こうして始まった一本目、互いにフェッチランドを置き合うところから始まり、斉藤が《渦まく知識》を経由して《師範の占い独楽》をプレイ。
ここで髙橋も動く。
まず《渦まく知識》。
ここでは特に続けてのアクションも無く《師範の占い独楽》が無事に着地すると、続けて自身のターンに《断片無き工作員》を。
続唱の《Hymn to Tourach》には予定通りの《対抗呪文》が。
《師範の占い独楽》を設置した以上ドローゴーな斉藤がターンを返し、髙橋の《ヴェールのリリアナ》には2枚目の《対抗呪文》。
斉藤は確立したコントロールを手放さない。
髙橋は続けて《祖先の幻視》を待機し、先のターンへと投資を行う。
だがゲームは髙橋の想定を超えて動く。
続くターン、《タルモゴイフ》を呼ぶ髙橋に対し、斉藤はターン終了時《師範の占い独楽》を回し《天使への願い》X=3。
対応して《渦まく知識》を使うも髙橋に対応は……無い。
早くも4/4飛行、脅威となる天使が3体姿を現す。
こうなると苦しい髙橋、メインに《破滅的な行為》のような一掃呪文が無い以上、逐一除去する必要があるからだ。
選択肢の無い髙橋、二体目の《断片無き工作員》から導かれた《突然の衰微》をもたらし時間を稼ごうとするも、斉藤の手札からは追加のクロックとなる《造物の学者、ヴェンセール》が。
《断片無き工作員》を排除すると、たった2回の戦闘フェイズにより髙橋のライフは0となった。
斉藤 1-0 髙橋
7ターンというミラクルにしてはかなり早い決着。
だが、それにも増して恐るべきは彼らのプレイ速度だろう。
ここまでのゲームにかかった時間、わずか10数分。
Game 2
先手となった髙橋が《祖先の幻視》を待機すると、マリガンした斉藤は《師範の占い独楽》から。
だがそれに《真髄の針》を刺されてしまうと、ドローにより退避させた上で《仕組まれた爆薬》で対応しようとするも、マリガンの影響大きく《島》1枚の状態から動けない。
一方の髙橋は順調にマナを伸ばし、《ヴェンディリオン三人衆》を。
《紅蓮破》
《精神を刻む者、ジェイス》
《遍歴の騎士、エルズペス》
《ヴェンディリオン三人衆》
《瞬唱の魔道士》
など濃い手札から、マナリカバリーに繋がり得る《師範の占い独楽》を排除しにかかる。
だが《ヴェンディリオン三人衆》の1ドロー、その恩恵でマナが伸び始める斉藤。
そして髙橋の《ヴェンディリオン三人衆》アタックに合わせ、斉藤が自身の《ヴェンディリオン三人衆》をプレイ。
これは高橋、5マナを払った素撃ちの《Force of Will》で撃退するものの、斉藤はメインフェイズで再びの《ヴェンディリオン三人衆》。
マナフラッド気味の高橋から唯一残る《Force of Will》を奪い取り、《ヴェンディリオン三人衆》同士が相討つと・・・・盤面に静寂が訪れてしまう。
土地供給に問題の残る斉藤にとっては何より有り難く、対する高橋には苦しい時間だ。
こうなると高橋にとっての切り札だった、待機の明けた《祖先の幻視》は何のバックアップも無く《紅蓮破》されてしまい、引いて即プレイした《断片無き工作員》はライブラリーの上から対象の無い《突然の衰微》を捲ってしまう。
これはもちろん続唱の意味が無い、高橋ツキにも見放されたか。
だが《不毛の大地》で斉藤唯一の特殊地形である《Volcanic Island》を割ると、手札の重い斉藤は動けずに、髙橋の《精神を刻む者、ジェイス》が着地してしまう。
ここで斉藤も何とかギリギリ、《沸騰する小湖》を引くと《Tundra》を出し負けじと《精神を刻む者、ジェイス》を。
だがこのプレインズウォーカーゲーは先手が有利だ。
対消滅のルールが無くなろうとも、《渦まく知識》能力を使いつつ動くことが出来るのは先手たる髙橋だからだ。
髙橋はフェッチランドを置きながら《死儀礼のシャーマン》を呼び出す。
ここで斉藤は《瞬唱の魔道士》をもって《断片無き工作員》と相打つと、効果覿面な《誘惑蒔き》を!
髙橋は唯一残る手札から《渦まく知識》を撃ち、自身の《死儀礼のシャーマン》に《突然の衰微》を撃つ他無い。
いつしかマリガンのアドバンテージも見受けられなくなり、苦しくなってきた髙橋。
《ヴェールのリリアナ》を呼び《誘惑蒔き》を処理するのだが、《精神を刻む者、ジェイス》の恩恵でマナトラブルから抜け出した斉藤は《議会の採決》。
髙橋は頼みの綱の《精神を刻む者、ジェイス》を失ってしまう。
斉藤 伸夫 |
斉藤は《大祖始の遺産》を続け、《ヴェンディリオン三人衆》で安全確認をすると、満を持して《遍歴の騎士、エルズペス》をプレイ。
盤面を制圧しかかっている斉藤、だが髙橋はこのタイミングで《祖先の幻視》の待機が明ける!
・・・・しかしカラーリング的にプレインズウォーカーの処理が難しい髙橋。
《精神を刻む者、ジェイス》を一撃で潰すことの出来る《赤霊破》も無ければ、《議会の採決》も無いBUGではこの場をひっくり返すのは困難だ。
《思考囲い》を使い、《ヴェールのリリアナ》の能力で手札を捨てることしか出来ない。
こうなると斉藤は《精神を刻む者、ジェイス》でライブラリーをコントロール、《遍歴の騎士、エルズペス》で《ヴェールのリリアナ》を狙うだけのゲームになる。
マナの伸び切った髙橋が《忍び寄るタール坑》で《遍歴の騎士、エルズペス》を狙うと、斉藤は待ってましたとばかりに《大祖始の遺産》をドローに変え《赤霊破》を《忍び寄るタール坑》に。
髙橋は5マナを払った《Force of Will》で希望を残す。
とはいえ依然として斉藤の《精神を刻む者、ジェイス》は健在である。
なかなか減らない《遍歴の騎士、エルズペス》の忠誠度、やっと壊せそうな状況になれば《造物の学者、ヴェンセール》が妨害に現れ、《ゴルガリの魔除け》で時間を稼いでも、
セット《Karakas》から《造物の学者、ヴェンセール》を再利用。
髙橋が《不毛の大地》を《Karakas》へ。
《忍び寄るタール坑》のアタックには斉藤が《紅蓮破》。
粘る髙橋の抵抗も・・・・続くわけが無かった。
斉藤 2-0 髙橋
髙橋 「実は今回奇跡コンと当たるのは初めてで、スイスラウンドはデルバー系を物量で押し潰してきました。唯一の1敗はエンチャントレスにぶん回られたものです」
普段はANTを使っているという髙橋、今回は友人の勧めにより黒青緑続唱へとデッキを変えたという。
髙橋 「2本目はもしかしたら《真髄の針》では無く、《Force of Will》で《師範の占い独楽》を封じるべきだったかもしれません」
プレインズウォーカーに苦しめられた2本目を振り返ってか、こう述懐しているのが印象的だった。
髙橋 勝貴 |
髙橋 「正直悔しいですが、相手が強かった。何しろ最強のミラクル使いですからね(笑)」