昨年の『The Last Sun2013』で、フィーチャーエリアを沸かせたデッキがあったのをご存知だろうか。
スタンダードの《迷路の終わり》。元世界王者の『魔王』三原 槙仁(千葉)を一方的に蹂躙したというその衝撃的なエピソードを伴ったそのデッキと生みの親たるプレイヤーは、デッキテク記事でも紹介され、一躍話題をさらった。
記事によるとそのプレイヤーは、いつもはレガシーを主戦場にしているとの話だった。
時は流れ、それから約半年後の今日。『レガシー神決定戦』。
300人のレガシープレイヤーが集まった晴れる屋トーナメントセンターの、その上位卓。5-1ラインで、半年前と全く同じように、観客の注目を一身に浴びてプレイする人物がいた。
佐々木 康裕(埼玉)。
『奇跡』や《秘密を掘り下げる者》が跋扈する上位卓にあって、彼がプレイしているのは何と驚くべきことに、『忍者』。
それも4色!!
レガシーのメタゲームに圧倒的に反逆するこのたった1人のレジスタンスに、インタビューしないわけにはいかないだろう。
--「このデッキはどうして4色なんでしょうか?」
佐々木 「もともと4年くらい前から忍者というアーキタイプを使っていて、そのときは青単あるいは青赤とか青黒とか、せいぜい2色とかだったんです。そのときは『忍術』で手札に戻すクリーチャーも弱くて、《呪文づまりのスプライト》とかで。ところが『プレインチェイス』で《悪意の大梟》という、忍者のためにあるかのようなカードが登場して、さらに《断片無き工作員》も『忍術』と相性が良く、色を増やした方が強いデッキになるだろう、ということでどんどん多色の優良カードを取り入れていきました」
--「それだけなら青黒緑の3色で実現できそうなんですが、佐々木さんはある時期を境に《帝国の徴募兵》を採用されるようになりましたよね。これはどういった理由によるものなんですか?」
佐々木 「青白『奇跡』コントロールが増えたからですね。《帝国の徴募兵》は3マナということで《相殺》に引っかかりにくく、さらにこれと《深き刻の忍者》との組み合わせはリソースゲームに極めて強いので、4色目でも採用するに足るカードです」
--「これがあるとサイドボードに1枚差しのクリーチャーが散らせるというのも大きそうですね」
佐々木 「そうですね。長く使いたいデッキだと、カードプールが広がるたびにデッキが強くなる余地があるのは大事だと思います。このデッキの場合、『戦場に出たとき』の能力を持つ軽いクリーチャーは常に採用の余地があるので。M15のカードでも、《再利用の賢者》などは即採用レベルの優秀なサイドカードですし」
--「同じ赤のカードでいうと、《稲妻》もこのデッキに入ってるとはなかなか想像できないですよね」
佐々木 「そうですね。ほとんどのパーツからはBUG続唱の亜種みたいに見えるので、ライフを詰めて《稲妻》でとどめを刺すみたいなプランもありえます」
--「2枚だけ入っている《永遠の証人》はどういった意図ですか?」
佐々木 「3マナが《相殺》に引っかかりにくいことはもちろん、コンボデッキ相手に《Force of Will》を再利用するという重要な役割があります」
--「なるほど。それにしても、そもそもどうして4年も忍者を使い続けているんですか?」
佐々木 「好きだからというのもありますけど、やっぱりレガシーで最強なのは忍者だと思っているからですね」
--「なるほど、『強いから』なんですね。《迷路の終わり》もそうですから、『他人と違うデッキが好き』とかが理由なのかなと思ってました」
佐々木 「いや、僕はどちらかといえばコピーデッキ大好きな方ですね。ただ忍者は本当に強いと思って使っているので、なかなか使用者が増えないのが残念です」
--「happymtgのデッキ検索で『忍者』は14件しかないですからね」
佐々木 「ようやく『ローグ』から抜け出せたのでそれは嬉しいんですけど、なにぶん参考にできるレシピがまだ少ないので、これから使用者が増えていってくれると嬉しいですね」
--「ただまあ、結構パーツがいいお値段しますよね」
佐々木 「4色分のデュアランと《Force of Will》ですからね。ですからこれからこのデッキを組みたい!という人には、お金を貯めることをオススメします(笑)」
レガシーにおいては使用しているデッキである程度キャラがつくことがあるが、佐々木の場合は言うなれば『孤高のニンジャマスター』といったところか。
佐々木が『レガシー神』となって、『忍者』のレガシー最強を証明することに期待しよう。
3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 2 《Bayou》 2 《Volcanic Island》 1 《Taiga》 4 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 2 《汚染された三角州》 2 《新緑の地下墓地》 1 《アカデミーの廃墟》 -土地(22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《悪意の大梟》 3 《帝国の徴募兵》 3 《断片無き工作員》 2 《永遠の証人》 4 《深き刻の忍者》 2 《静風の日暮》 -クリーチャー(22)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《突然の衰微》 4 《Force of Will》 -呪文(16)- |
4 《思考囲い》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《破滅的な行為》 2 《大祖始の遺産》 1 《漁る軟泥》 1 《骨砕き》 1 《ヴィリジアンのシャーマン》 1 《セファリッドの女帝ラワン》 1 《外科的摘出》 -サイドボード(15)- |