『基本セット2019』環境初陣戦が開催されたのは、発売の翌日。環境最初期の大会には、様々なデッキが姿を見せた。
トップ8、トップ16に入賞したデッキリストの一覧を眺めれば一目瞭然だ。前環境のデッキに新戦力を加えたものもあれば、まったく新しいデッキもある。
そんな中、決勝に駒を進めたパイロット・ヤニクの持ち込んだデッキは、異彩を放っている。デッキ名は「青黒即席」。《艱苦の伝令》、《金属の叱責》、《橋上の戦い》が持つキーワード能力、「即席」が主軸である。『基本セット2019』のカードももちろん採用されているが、デッキの根幹は『カラデシュ』と『霊気紛争』のカードが占めている。
対する横川 裕太のデッキは、「エスパーコントロール」。前環境でも活躍していたデッキは、新環境初期でも顕在である。新しいカードこそ採用されていないが、メインボードに《歩行バリスタ》を、サイドボードに《最古再誕》を搭載し、この初陣戦に合わせた仕様になっている。
それでは早速、この環境で最初の”決勝戦”をお届けしよう。
Game 1
先攻の横川は、2ターン目に《アズカンタの探索》を唱え、アップキープにライブラリートップを確認しながらドローを進めていく。対するヤニクは《改革派の地図》を唱えると、続けて《霊気装置の設計図》を唱えて《霊気装置トークン》を生成した。続くターンに2枚目の《霊気装置の設計図》を唱え、2体の霊気装置が動き出す。
ヤニクは《改革派の地図》を起動して《島》を手札に加えると、《魔術遠眼鏡》で横川の手札を覗く。公開されたのは《灌漑農地》、《歩行バリスタ》、《スカラベの神》、《ヴラスカの侮辱》、《封じ込め》。ここでは《歩行バリスタ》を指定した。横川は《灌漑農地》を「サイクリング」してからターンを受け、《歩行バリスタ》をX=1で唱える。続くターン、ヤニクが《霊気装置トークン》で攻撃を仕掛けると、これを即座にブロックしだ。
《魔術遠眼鏡》で暴いた手札の中に、打ち消し呪文はなかった。ヤニクはマナを注ぎ込んで、《策謀家テゼレット》を唱える。しかし、横川は焦ることなく《不許可》を唱えて打ち消した。
打ち消し呪文はヤニクの手札にもある。横川が唱えた《スカラベの神》が《金属の叱責》で打ち消された。
横川は墓地に手を伸ばして枚数を確認する。《スカラベの神》が落ちたことで、7枚。ターンを受けたヤニクも《予言のプリズム》を唱えてから、《アズカンタの探索》のテキストと、墓地を確認する。そして、《屍肉あさりの地》を起動し、一度墓地を空にした。横川は《アルゲールの断血》を唱えてターンを終える。
《産業の塔》を置き、ヤニクは《ウルザの後継、カーン》を唱える。戦場に並んだアーティファクトの数は5。即座に「-2」能力を起動して、6/6の《構築物》トークンを生成した。
突如現れた“大型クリーチャー”。しかし、《魔術遠眼鏡》で覗いたとおり、横川の手札には《ヴラスカの侮辱》と《封じ込め》が残っている。まずは《ヴラスカの侮辱》で《ウルザの後継、カーン》を除去し、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を送り出した。ヤニクが《霊気装置トークン》と《構築物》トークンで攻撃を繰り出すと、後者を《封じ込め》、そのままターンを受ける。
ここからも横川がヤニクの動きを制し続けた。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の「+1」能力を起動しながら《スカラベの神》を送り出し、ヤニクが唱えた《アンティキティー戦争》を《不許可》で打ち払う。《橋上の戦い》で《スカラベの神》は除去されるが、墓地、手札を経由し、すぐさま戦場へ。
《艱苦の伝令》が戦場に現れるが、ここで《アズカンタの探索》が裏返る。《ヴラスカの侮辱》を手札に加えて、そのまま処理した。《アルゲールの断血》も唱えて、手札も十分だ。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の忠誠度は7、手札も7枚を維持している。
ヤニクが再び唱えた《アンティキティー戦争》を打ち消さずに通し、手札に加えた《魔術遠眼鏡》を《不許可》で打ち消した。そして、《俗物の放棄》を《アンティキティー戦争》に見舞ったところで、ヤニクは投了を選択する。
横川 1-0 ヤニク
Game 2
先攻のヤニクは《産業の塔》を置き、《改革派の地図》を唱える。続けて《ザルファーの虚空》で占術したカードをトップに置き、そのまま《予言のプリズム》でドローする。
対する横川は、3ターン目に《強迫》を唱えて動き出す。ヤニクは《金属の叱責》でこれを防ごうとするが、さらに《否認》が重ねられ、《ウルザの後継、カーン》が墓地へ送られた。
ヤニクは2枚目の《予言のプリズム》を唱える。続けて《艱苦の伝令》を送り出すが、これは《至高の意志》に阻まれた。《歯車工の組細工》で生成したトークンも、《歩行バリスタ》X=2で現れて、即座に除去されてしまう。ヤニクが《商人の荷運び》、《艱苦の伝令》とクリーチャーを送り出せば、横川は《歩行バリスタ》にカウンターを1つ乗せ、そのまま《商人の荷運び》を除去する。
《艱苦の伝令》が攻撃を加えて、残りライフは15。横川が何もせずにターンを返すと、ヤニクはエンドフェイズに《歯車工の組細工》を起動してトークンを増やす。
ヤニクのアップキープ、横川は《艱苦の伝令》に対して《ヴラスカの侮辱》を唱える。ヤニクは《金属の叱責》で守ろうとするが、これも《否認》が許さない。
相手の戦力を削いだところで、ここからは横川も攻撃を始める。まずはエンドフェイズに《奔流の機械巨人》を戦場へ送り出し、《至高の意志》で手札を補充。そして《大災厄》で手札の《改革派の地図》を追放する。ヤニクは《発明博覧会》を起動し、《歩哨のトーテム像》を手札に加えて、そのまま唱えた。
ヤニクは《奔流の機械巨人》の攻撃を通し、《霊気装置トークン》で攻撃を加える。《歯車工の組細工》でさらにトークンを追加してから《強迫》を唱えるが、これは《不許可》で打ち消された。
《霊気装置トークン》と《奔流の機械巨人》が互いに攻撃を繰り返し、横川のライフは9、ヤニクは7まで削られている。
横川は《アズカンタの探索》を唱え、ヤニクは《発明博覧会》を起動して《金属紡績工の組細工》を手札に加える。それをそのまま唱えて手札を補充し、戦場に並んだアーティファクトは9枚。《艱苦の伝令》を唱えるが、即座に《ヴラスカの侮辱》で追放された。
《アズカンタの探索》の誘発にスタックして、《歩哨のトーテム像》が起動された。《大災厄》を唱えるが、ヤニクの手札にあるのは《島》と《沼》。《奔流の機械巨人》の攻撃は、《霊気装置トークン》が阻んだ。《アルゲールの断血》を唱えて、さらに手札を補充する。
ヤニクは『基本セット2019』で登場した新戦力、《工匠の達人、テゼレット》を唱える。
横川は一度頷き、ターンを受ける。《奔流の機械巨人》の攻撃が《霊気装置トークン》に阻まれるのを確認し、《スカラベの神》を送り出した。
《工匠の達人、テゼレット》は「0」能力を起動し、《アンティキティー戦争》を唱えた。
この英雄譚が最終章まで進めば、戦場に居並んだアーティーファクトたちが動き出し、一気に勝負を決めてくれる。しかし、今回は序章を迎えるのが遅すぎた。
《奔流の機械巨人》と《スカラベの神》は《工匠の達人、テゼレット》に目もくれず、ヤニクに襲いかかる。残りライフは、1。
《改革派の地図》を起動してから《アンティキティー戦争》の章を進めるが、何も手札に加えることができない。《ウルザの後継、カーン》を唱えると、《奔流の機械巨人》が《不許可》を引き連れて現れる。これを《否認》で弾き返すが、これが最後の抵抗となる。
《ウルザの後継、カーン》が生み出したトークンは5/5。《スカラベの神》と2体の《奔流の機械巨人》を止めることは叶わなかった。
横川 2-0 ヤニク
『基本セット2019』環境初陣戦、優勝は横川 裕太!
おめでとう!