Deck Tech: 棚橋 雅康(新潟)の青黒<真の名の宿敵>

晴れる屋

By Atsushi Ito


 レガシーでは一定のタイミングで、メタゲームが大きく動くことがある。

 例えば新エキスパンションや統率者戦セットの発売などで、レガシー級の新しいカードが出たときなどがそれだ。

 だが、新デッキ登場のきっかけが必ずしもそれに限られるわけではない。

 全く新しい着想……普段レガシーを嗜むプレイヤーたちが考えもしなかった視点……が持ち込まれたという場合も同様に、レガシー環境が進化する契機になりうる。

 新しい発想とはすなわち、普段レガシーをプレイしない人々の視点だ。



 今回300人ものレガシープレイヤーが集まったこの「レガシー神決定戦」

 そこに至って、レガシー環境に新たな息吹を吹き込まんとする挑戦的なプレイヤーがいた。

 棚橋 雅康(新潟)

 プロツアー京都09トップ8の経験を持つ強豪だ。

 300枚のデッキリストの中でも一際異彩を放つ構築。

 その真髄を知るべく、棚橋にインタビューしてみた。





--「このデッキはどういった経緯で作られたんでしょうか?」

棚橋 「僕は普段レガシーをやらないので、このデッキも1週間前に作って実戦ゼロの脳内デッキなんですが、やっぱりレガシーは《剣を鍬に》《稲妻》《突然の衰微》みたいな単体除去で溢れてるので、《真の名の宿敵》を単体除去&ハンデスやカウンターでバックアップすれば結構勝てるんじゃないかなと思って、このデッキを作りました」

--「何か元ネタはあるんでしょうか?」

棚橋 《真の名の宿敵》が出る前に、《瞬唱の魔道士》《ヴェンディリオン三人衆》《変わり谷》みたいな青黒コントロールを組んでいたことがあったんですよね。それが意外にも通用して、割と勝てるデッキだったんですが、その経験もあって今なら《真の名の宿敵》入りで組めるんじゃないかと」

見栄え損ない悪魔の布告


--「あまり見ないカードが入ってますよね。《見栄え損ない》とか《悪魔の布告》とか」

棚橋 《見栄え損ない》《死儀礼のシャーマン》《石鍛冶の神秘家》というレガシーを象徴するクリーチャーを簡単に除去できるので。《悪魔の布告》《タルモゴイフ》《真の名の宿敵》といった対処しづらいクリーチャーと、スニークショウの《引き裂かれし永劫、エムラクール》に対応できるので採用しています」

--「かなり基本地形を並べる感じのデッキですが、《不毛の大地》《基本に帰れ》は採っていないんですね」

棚橋 「前者は、《魂の洞窟》を採りたい関係上無色土地が増えすぎちゃうので入れられなくて。サイド後は《真の名の宿敵》《紅蓮破》でカウンターされるのを防げるので、そちらを優先しました。《基本に帰れ》は入れてもいいかもしれませんが、なかなか都合良くハマらないだろうと考えて入れませんでしたね」

--「《Force of Will》が3枚というのも異色ですよね」

棚橋 「スタンやモダンの感覚からすると、アドバンテージを失うカードなのでどうしても好きになれないんですよね。ただまあコンボがいるので入れざるをえないですけど。なので3枚にとどめて、代わりに《呪文貫き》を3枚入れてしっかり交換できるようにしようと」

--「サイドは1枚差しの装備品と《漸増爆弾》が目を引きますが」

棚橋 《梅澤の十手》《真の名の宿敵》とのコンボで、バーンやエルフ対策ですね。《殴打頭蓋》《漸増爆弾》は、《仕組まれた疫病》《真の名の宿敵》が機能しなくなる事態をケアするために入ってます」





--「今回出場されたのは、棚橋さんといえば新潟勢ということで、先日『スタンダード神』になった同郷の木原さんに触発されたということなのでしょうか?」

棚橋 『モダン神決定戦』のときはそんな感じでしたね。今回は出る気なかったんですけど、モダン神でぼろ負けしてちょっと悔しかったので出ることにしました。それから、新潟だとレガシーの大きい大会があんまりないので、というのもあります。あとは晴れる屋近くにある油そば屋『力』がおいしかったので、そこに寄るついでです(笑)」

--「木原さんのインタビューでも触れましたが、8月にモダンで行われるグランプリ神戸は、また新潟勢で一緒に調整して出場される感じですか?」

棚橋 「そうですね。まだ何もやってないんですけど、これからGPT神戸がいくつかあるんで、それに出ながら調整しようかなと」

--「国内モダンGPの、新潟勢による2連覇を目指して是非頑張ってください。ありがとうございました」

 普段レガシーをプレイしないからこそ、既存の枠組みに縛られない自由な発想でデッキを組むことができるということもある。

 『BIG MAGIC OPEN』『神決定戦』のような大規模なレガシー大会が増えれば、門戸が広がり、スタンダードやモダンを嗜むプレイヤーが、棚橋のようにレガシーに参入する機会も増えるだろう。

 そうなったとき。

 もしかしたらレガシー環境は、激変するのかもしれない。







棚橋 雅康 「たなストリア」 レガシー神決定戦

5 《島》
2 《沼》
4 《Underground Sea》
4 《汚染された三角州》
4 《溢れかえる岸辺》
1 《湿地の干潟》
3 《魂の洞窟》

-土地(23)-

3 《瞬唱の魔道士》
4 《真の名の宿敵》

-クリーチャー(7)-
4 《渦まく知識》
4 《見栄え損ない》
4 《思考囲い》
3 《呪文貫き》
2 《コジレックの審問》
4 《悪魔の布告》
2 《対抗呪文》
1 《マナ漏出》
3 《Force of Will》
3 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文(30)-
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《水没》
2 《外科的摘出》
2 《暗黒破》
2 《真髄の針》
1 《狼狽の嵐》
1 《強迫》
1 《漸増爆弾》
1 《梅澤の十手》
1 《殴打頭蓋》

-サイドボード(15)-
hareruya