インタビュー: みなさん、プロツアーに向けてどのような準備をしてきましたか?

晴れる屋

By Kazuki Watanabe

 25周年記念プロツアーはチーム構築戦。スタンダード、モダン、レガシーの3フォーマットで開催される。

 大会に挑むにあたって、プロプレイヤーたちはどのように環境を分析し、思考を巡らせてきたのだろうか?

 ここでは、各フォーマットを担当するProsとHopesに、環境の概観からトップメタ、そしてどのデッキが多いと予想したのかなどを伺ってみた。

スタンダード

 まずは『基本セット2019』が発売されて大きく環境が変化したスタンダードだ。Hareruya Prosの原根 健太選手と、Hareruya Hopesの岡井 俊樹選手に話を伺ってみよう。

原根 健太

原根 健太

1. 担当フォーマットの環境雑感(『基本セット2019』の発売で変わった点や、直近の大会の結果など)

《破滅の龍、ニコル・ボーラス》《練達飛行機械職人、サイ》のようなパワフルなカードはありますが、赤黒が王者であることは揺るぎない、という印象です。とはいえ、一人勝ちという状態ではなく、均衡していると考えています」

2. 現在のトップメタは?

「赤黒、緑単、青単ストーム。環境初期はグリクシスも存在しましたが、3色ということもあって安定感が低く、徐々に数を減らして行きました。赤黒も実際には”赤タッチ黒”なのでほぼ単色で、3つの単色デッキが存在しているような状態ですね。前環境からトップメタだった赤黒に、他の2つが追いついてきた、といったところでしょうか」

3. ズバリ、このプロツアーで一番多いアーキタイプは何?(理由も含めてお答えいただければ幸いです)

「やはり赤黒。デッキパワーの最大値が高く、完璧に回ったときの圧倒的な力は目を見張るものがあります」

4. 担当するフォーマットが決まったきっかけ

「スタンダードに関しては、普段からチームMUSASHIの皆さんと意見交換をしています。なので「いつものような質の高い調整・意見交換を維持できる」と考えて、スタンダードに決めました」

5. このプロツアーでの目標

「心強いチームメイトが一緒なので、1つ1つの対戦に集中し、優勝を目指して頑張ります」

岡井 俊樹

岡井 俊樹

1. 担当フォーマットの環境雑感(『基本セット2019』の発売で変わった点や、直近の大会の結果など)

「プレビュー当初に受けた印象とは違って、『基本セット2019』によって環境はかなり大きく動きました。予想では《ゴブリンの鎖回し》《ドミナリアの英雄、テフェリー》の2トップ《スカラベの神》《破滅の龍、ニコル・ボーラス》の布陣を揃えたグリクシス系が浮上して3トップ、その下に引き続き緑単や黒緑《巻きつき蛇》《ベナリア史》を用いた白いアグロ~ミッドレンジなどが続く感じかなと思っていましたが、緑単系の得たものが予想以上に強くなったことと、《熟練飛行機械職人、サイ》により超強化された青単ストームが一気にトップクラスに躍り出たことが特に大きな変化だと思います」

2. 現在のトップメタは?

「赤黒、緑単系、グリクシス系までがトップメタと言える占有率かなとおもいます。しかし、青単ストームはそれらに匹敵するくらい強力でスタンダードらしくない動きのできるデッキですし、かなり勢力を落としたように感じるテフェリーデッキも緑単へのキラーデッキとして青白副陽などで台頭してくる可能性があるので、プロツアーの会場でどうなっているかは難しいところです」

3. ズバリ、このプロツアーで一番多いアーキタイプは何?(理由も含めてお答えいただければ幸いです)

「赤黒。(とひとまとめにするには気が引けるほど《熱烈の神ハゾレト》4枚のアグロ型と他の4マナ以降のカード(《再燃するフェニックス》《反逆の先導者、チャンドラ》《ウルザの後継、カーン》《栄光をもたらすもの》)を山盛りにして戦うミッドレンジ型ではゲーム感が違いますが、明確な線引きも難しいので。もっといえば、赤単アグロなどまで含めて《ゴブリンの鎖回し》としてしまえばさらに広く、またその構築の幅広さからくるチューンアップの柔軟性こそが強さの一つでもあります)緑単が多いと予想するプレイヤーは《再燃するフェニックス》を多めに採用し、除去の採択を有効にしたミッドレンジ型、青単ストームが多いと予想したプレイヤーならサイドに《強迫》を採用した赤黒アグロ型、引き続き赤系ミラーが多いと予想するなら赤単、ないしタッチたかり屋に抑えた赤黒アグロなどなど違うメタ予想をした皆が赤黒に到達する可能性があります。特に最近のPTでは赤系アグロの快勝続きですし、使い続けているプレイヤーも少なくないでしょう」

4. 担当するフォーマットが決まったきっかけ

「唯一経験のある吉野君がレガシーを担当することは最初から決まっていて、スタン中心の宇都宮君と僕でスタンとモダンをどっちにするかというところなんですが、まぁ神だしということでスタンを譲って貰った形です」

5. このプロツアーでの目標

「次回のPT権が貰えるライン(10-4)」

モダン

 スタンダードに引き続き、各フォーマットを担当するProsとHopesに、環境の概観からトップメタなどを伺っていこう。

 次は、様々なデッキが環境に存在するモダン。お答えいただいたのは、Hareruya Hopesの浦瀬 亮佑選手と、宇都宮 巧選手だ。

浦瀬 亮佑

浦瀬 亮佑

1. 担当フォーマットの環境雑感(『基本セット2019』の発売で変わった点や、直近の大会の結果など)

「MOリーグでは押し付けが多く、UW系やBG系のような受けデッキにはあまり当たらない。PTでも同じことを祈ります。『基本セット2019』では《民兵のラッパ手》がいぶし銀」

民兵のラッパ手

2. 現在のトップメタは?

「ベストデッキという意味ならKCI(アイアンワークス)

3. ズバリ、このプロツアーで一番多いアーキタイプは何?(理由も含めてお答えいただければ幸いです)

「人間かトロン、次点でホロウワン。押し付けデッキかつ比較的プレイしやすいため」

4. 担当するフォーマットが決まったきっかけ

「自分がレガシー門外漢で、チームメイトにスタン希望者がいたため」

5. このプロツアーでの目標

「今は遠過ぎて現実感のないゴールドを目指すきっかけを掴むこと」

宇都宮 巧

宇都宮 巧

1. 担当フォーマットの環境雑感(『基本セット2019』の発売で変わった点や、直近の大会の結果など)

「『基本セット2019』が発売されはしましたが、やはりモダンの環境は多様で大きな変化はあまり無いかなと思っています。その中でも一番の変化としてはスピリットの立ち位置が大きく向上したことだと思います。モダンの特性上ものすごいシェア率ということはないように感じますが、新たにロードを得たことで遭遇率が結構上がったなと思いました」

2. 現在のトップメタは?

「単純に最も強いデッキを挙げるならばアイアンワークスコンボだと思います。墓地対策、アーティファクト対策はともにモダン環境であればとりあえずサイドに入れておくといっても過言ではないのですが、どちらも刺さるにもかかわらずこのデッキは常にGPのトップ8にいます。これはデッキの難易度は高くともデッキパワーの高さの証明だと思います」

3. ズバリ、このプロツアーで一番多いアーキタイプは何?(理由も含めてお答えいただければ幸いです)

5C人間かジェスカイコントロールだと思っています。トッププロはやはり腕に自信があるので、ミスをしなければどのような相手にも戦えるジェスカイを選びやすいかなと思っています。人間はデッキパワーが非常に高く、ジェスカイやマルドゥといった除去コンのようなデッキ以外に有利がつくので、単純に強いデッキを選択した場合人間を選択する人が多いと思っています。アイアンワークスコンボはデッキパワーの点ではこれらに並ぶかそれ以上と思っていますが、難易度が高いので敬遠することを選ぶ人が多いと思いました」

4. 担当するフォーマットが決まったきっかけ

「消去法。レガシーの経験が多いのはチームで吉野君のみで、最初にそこが決まり、岡井君と僕だと岡井君にスタンダードを任せた方が勝率が高いと判断したのでモダンを担当することにしました」

5. このプロツアーでの目標

「知り合いが数人次のPTの権利を獲得しているので次のPTにも出場したいと考えています。なので今回の目標はチェインすることです」

レガシー

 《ギタクシア派の調査》《死儀礼のシャーマン》が禁止され、環境が激変したレガシーについても話を伺ってみよう。

 Hareruya Prosの津村 健志選手と、Hareruya Hopesの鈴池 史康選手にお答えいただいた。

津村 健志

津村 健志

1. 担当フォーマットの環境雑感(『基本セット2019』の発売で変わった点や、直近の大会の結果など)

「僕の担当はレガシーですが、やはり《死儀礼のシャーマン》《ギタクシア派の調査》の禁止は大きかったですね」

死儀礼のシャーマンギタクシア派の調査

「これにより環境最強のデッキとされていた「グリクシス・デルバー」は大幅な弱体化を余儀なくなれましたし、僕も禁止カードが出なければこのデッキを使う予定でした。ただし、この禁止カードはレガシーに良い影響を与えたのではないかというのが僕個人の感想です。と言いますのも、プロツアー1ヵ月前くらいからMagic Onlineの大きな大会(レガシーチャレンジ)は「グリクシス・デルバー」だらけになっていましたし、もし環境に変化がなければプロツアーは“最強のグリクシス・デルバー使い決定戦”のような大会になりかねないと懸念していたからです」

「今は色々なデッキにチャンスのある環境になったと思いますし、メタゲームが絞りづらいからこそデッキ選択やカード選択にも腕が出ると思います。頻繁にレガシーをプレイするようになってから、いつか海外のレガシーグランプリに遠征してみたいと思っていたので、プロツアーという最高の舞台で強豪を相手にこのフォーマットで遊べることが今から楽しみでなりません。僕の担当はレガシーですが、やはり《死儀礼のシャーマン》《ギタクシア派の調査》の禁止は大きかったですね」

2. 現在のトップメタは?

「デス&タックス、青白奇跡、ティムール・デルバー、スニーク&ショー、ANTは数が多いと思いますし、どんなデッキで出るしにしろしっかりと対策しておきたいです。あとはグリクシス・コントロールも要チェックですね。このデッキはプロツアー前の最後のレガシーチャレンジで優勝したことで、一気にトップメタに食い込んできた印象です」

3. ズバリ、このプロツアーで一番多いアーキタイプは何?(理由も含めてお答えいただければ幸いです)

「メインボードでコンボ対策を厚めに取ったグリクシス・コントロールか青白奇跡ですかね。プロプレイヤーが好みそうなので。」

4. 担当するフォーマットが決まったきっかけ

「僕たちのチームは良くも悪くも全員がどのフォーマットもプレイできるので、実はフォーマットを決めるのは大変でした。僕としてはプレイが一番上手い廣澤(遊太)君にレガシーをやってほしかったんですが、レガシーは練習環境が整っている(=Magic Onlineかリアルでカードが揃っている)人の方がいいだろうということで、廣澤君がレガシー以外のフォーマットを担当するのはすぐに決定しました。廣澤君は仕事が忙しいので、早めに練習を開始できるモダンを担当してもらうことに。残るたまちゃん(玉田 遼一)と僕は、たまちゃんがスタンダードを希望してくれたのですんなり決まりましたね」

5. このプロツアーでの目標

10勝4敗です。そうするとプロポイントが12点加算されるので、たまちゃんと僕がゴールドレベルに、廣澤君がシルバーレベルになることができます。僕個人としては今期はプロツアーの調子が良かったので、最後も良い形で締めくくれればと思います」

鈴池 史康

鈴池 史康

1. 担当フォーマットの環境雑感(『基本セット2019』の発売で変わった点や、直近の大会の結果など)

「死儀礼のシャーマン とギタクシア派の調査の禁止によりいままでのメタゲームが崩れました。 直近の大会結果を漁ってもあらゆるアーキタイプがあり混沌としています」

2. 現在のトップメタは?

「多種多様なアーキタイプの中で頭1つ抜けているのがグリクシスコントロールと奇跡コントロールです。中でもグリクシスコントロールは前環境の4cレオヴォルドから移行しているプレイヤーが多く大会での使用者をよく見ます」

3. ズバリ、このプロツアーで一番多いアーキタイプは何?(理由も含めてお答えいただければ幸いです)

「スニークショーです。ミラクルとグリクシスコントロールに強く苦手なデスタクの使用者が少ない読みだといい位置にいると思います」

4. 担当するフォーマットが決まったきっかけ

「GP京都のままです。チーム結成時からレガシー担当不在のところに入った形なので」

5. このプロツアーでの目標

「いま持っているPPが9点なので10-4でシルバー到達が今回のプロツアーでの目標です」

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