デッキテク(モダン): 浦瀬 亮佑の「ラッパカンパニー」

晴れる屋

By Kazuki Watanabe

 『基本セット2019』が発売されて1ヶ月。新カードによってスタンダードに変化が起きたのはもちろんだが、モダンにもわずかながらに影響が出ている。

 『インタビュー: みなさん、プロツアーに向けてどのような準備をしてきましたか?』で、モダンについて答えてくれたHareruya Hopesの浦瀬 亮佑は、新戦力で強化されたデッキを使用している一人だ。

 彼はそのカードを、“いぶし銀”と評した。

 その強さの秘密とは? そして、チームメイトに教わったことで生まれた、さらなる変化とは?

《民兵のラッパ手》は、いぶし銀

――「インタビューの中で、“『基本セット2019』では《民兵のラッパ手》がいぶし銀”と仰っていましたが、具体的にこのカードの強さについて教えていただけますか?」

民兵のラッパ手

浦瀬「強さ、というと少しむずかしいですね。《民兵のラッパ手》は、ものすごく強いな、と思わせるようなカードではないんです。ですが、私が今回使用している『カウンターカンパニー』では、良い仕事をしてくれるんですよ」

献身のドルイド永遠の証人

浦瀬「このデッキのクリーチャーは、《献身のドルイド》のようなコンボに関するカードと、《永遠の証人》《聖遺の騎士》のようなアドバンテージ源のどちらかです。これまでは《不屈の追跡者》のようなアドバンテージ源の枠だったのですが、《民兵のラッパ手》だとどちらの役割も担ってくれるんですよ。『今ここでコンボパーツが欲しいのに……』と思いながらアドバンテージ源を引く、ということがとにかく減りました」

召喚の調べ

浦瀬「警戒も優秀なんですよね。タップしないことを活かして、攻撃してから《召喚の調べ》のコストにもなってくれるんです」

――「なるほど……劇的に効くのではなく、まさに”いぶし銀”の活躍をしてくれる1枚なのですね」

浦瀬「そうですね。このデッキにとって足りなかったピースが埋まった、という感覚があります。それくらい、このカードは優秀だと思います」

――「メタゲームブレイクダウンを見ると、『人間』がトップでしたよね。『人間』も《民兵のラッパ手》によって強化されたデッキだと思うのですが、相性はどうなのでしょうか?」

浦瀬

浦瀬「『人間』に対しては有利ですね。こちらのコンボに対する干渉手段が《反射魔道士》でバウンスするか、《翻弄する魔道士》で指定してひたすら粘る、のどちらかしかないんです。なので、ほとんど気になりません。《反射魔道士》《献身のドルイド》をバウンスされたら、改めて出し直せば良いだけなので」

聖遺の騎士

浦瀬《聖遺の騎士》も大きくなりますし、向こうの地上戦力はほとんど止められます。チャンプブロックもできますからね。飛行戦力だけはどうにもならないので、《カマキリの乗り手》の攻撃でライフが削り切られる前にコンボを目指す、というのが基本的な方針です。サイド後は《崇拝》も入るので、さらに有利だと思いますよ」

チームメイトによる、大きな発見

 ここで、浦瀬のチームメイトであり、プロツアー『破滅の刻』でトップ8入賞の経験を持つ藏田 真太郎がやって来た。
藏田と浦瀬

――「藏田さんはレガシー担当ですよね。浦瀬さんのデッキについて意見交換はしたのですか?」

藏田「ほとんどないですね……あ、でも《統一された意思》は入れたほうが良い、とアドバイスしました」

統一された意思

――「《統一された意思》……『カウンターカンパニー』のサイドボードとしては珍しいですよね?」

藏田「そこまで多くはないかもしれません。ですが、私も『カウンターカンパニー』を回していたことがあって、そのときに気に入っていたカードなんですよ。このデッキの場合、相手よりクリーチャーが少なくて悩む場面はほとんどないので、《対抗呪文》のように使うことができます」

浦瀬「この発見は大きかったですね。インスタントタイミングで干渉できる手段が欲しくて、色々探していたところだったんです。青マナは《繁殖池》《貴族の教主》《極楽鳥》しかありませんが、青マナは1つで良いので、なんとかなります」

――「なるほど。では、逆に浦瀬さんから藏田さんにアドバイスをすることはあったのですか?」

浦瀬「いや、まったく。レガシーはさっぱり分からないです。今日の対戦中も、横を見ながら『こうするのかな?』と考えてみたのですが、とにかく逆のプレイばかりですね

藏田「土地の置き方、《思案》をどうするか、なんてレガシーに慣れていないと分からないですからね」

浦瀬「なので、藏田さんを信頼してお任せしています。私は自分の仕事に集中して、このデッキを使いこなすだけですね。モダンには様々なデッキがありますが、このデッキは常に大本命なんです。新戦力も手に入って、さらに強くなったと思うので、これからも調整を加えていきたいと思います」

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