はじめに
お久しぶりです。Hareruya Hopesの浦瀬です。マジック25周年記念プロツアー (PT25A) にモダン担当で参加してきました。
1 《平地》
2 《寺院の庭》
1 《繁殖池》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《霧深い雨林》
1 《地平線の梢》
2 《幽霊街》
2 《廃墟の地》
1 《地盤の際》
-土地 (22)- 1 《歩行バリスタ》
4 《貴族の教主》
3 《極楽鳥》
4 《献身のドルイド》
4 《療治の侍臣》
3 《薄暮見の徴募兵》
1 《漁る軟泥》
4 《聖遺の騎士》
3 《民兵のラッパ手》
2 《永遠の証人》
1 《クルフィックスの狩猟者》
-クリーチャー (30)-
3 《統一された意思》
2 《復活の声》
2 《崇拝》
1 《ボジューカの沼》
1 《ブレンタンの炉の世話人》
1 《戦争の報い、禍汰奇》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
1 《弁論の幻霊》
-サイドボード (15)-
《療治の侍臣》リリース当初から愛用しているカンパニーデッキを持ち込み、チームは振るわなかったものの個人成績でいえば8勝2敗4ノーカウントとそこそこの成績を収めることができました (チーム戦なので、先にチームメイトの決着がつくと最後に残ったプレイヤーは勝敗がつかないことがあります)。
青白コン後×〇〇
— Ryosuke Urase (@lighdar_urse) 2018年8月5日
ジャンド後〇〇
バントカンパニー後×-
ストーム先〇××
マルパイ後〇〇
ジェスカイコン後×〇-
人間先××
人間後〇×〇
ホローワン先〇×-
ヴァラクート後〇〇
人間後〇〇
人間後〇×〇
RBヴァイン後×〇-
KCI先〇〇 pic.twitter.com/TB9925zwZf
ところで、心に残っていたのはPT前日にTeam Cygamesの市川 ユウキさんから言われたこの台詞。
「浦瀬くんのデッキコピーして回してみたけど普通に0-3したよ」
このままではこのデッキが弱いデッキだと思われてしまう!
そんな危機感があったかどうかはさておき、デッキの強さに比して使用者が少ないような気がしているので、こうしてデッキの強さを伝えるべく筆を執ることにしました。
デッキについて
「緑白カンパニー」は、《献身のドルイド》と《療治の侍臣》の2枚で無限マナが出ることを利用し、《薄暮見の徴募兵》・《歩行バリスタ》を勝ち手段に据えた3枚コンボのデッキです。《歩行バリスタ》以外のコンボパーツは《集合した中隊》・《召喚の調べ》でサーチ可能なので、高い安定性を誇ります。
最大の特徴は、「青赤ストーム」や「《クラーク族の鉄工所》」 (以下KCI)と並び3~4ターンというモダンでも有数のキルターンを誇るコンボデッキでありながら、ミッドレンジの王といわれるマルドゥパイロマンサーにすらロングゲームを挑める粘り強さを持ったミッドレンジデッキでもあるということです。
その性質上、マッチアップごとにどのように勝つのかのプランニングが肝となります。インタラクション (干渉手段) の少ない相手にはコンボで、それらが多い相手にはミッドレンジで勝つのが原則です。
メインデッキ解説
採用カードごとに解説していきます。
デッキの要
デッキの根幹。《集合した中隊》はミッドレンジ寄り、《召喚の調べ》はコンボ寄りのカードですが、いずれにしても減らすことはないです。
マナクリーチャー
モダンのゲームスピードについていくために必須。《献身のドルイド》と合わせて11枚がこのデッキの基本的なキープ基準になります。
枚数については6~8枚まであり得ますが、キープ基準となるので最大限に取りたい一方、1ターン目に緑マナを出せる土地が最低16枚は欲しく、デッキ全体のマナソース枚数の兼ね合いで7枚に抑えてあります。
速度の必要ないマッチでサイドアウトすることも多いですが、マナスクリューを防ぐために最低でも4枚は残しましょう。
コンボパーツ
デッキの肝となるコンボパーツ。《献身のドルイド》が4枚なのは当然として、コンボスピードを確保するために残りのパーツも4枚ずつ採用するのが無難です。
軸の違う攻め手
ミッドレンジプランの根幹。土地サーチ能力による柔軟性はもちろん、カンパニーというデッキにあるまじき巨大なサイズにより別軸の攻めを実現します。
サイズを重要視しているというと馬鹿にされるかもしれませんが、「5色人間」や「赤黒《虚ろな者》」の地上クリーチャーを止めたり、《渋面の溶岩使い》・《神々の憤怒》を無視できたりと、従来のカンパニーデッキの負け筋を潰してくれます。
注意点として、《聖遺の騎士》が殴るのは詰めの場面だけです。基本的に2回のコンバットでゲームを終わらせられるサイズに育つまでは、マナ加速に使うか相手の土地妨害を優先した方が良いでしょう。
潤滑油
コンボプランとミッドレンジプランの接着剤となる枠。
どちらもアドバンテージを取るカードでありながら、コンボの安定性を高めてくれます。《永遠の証人》に関しては、使い捨ててしまった《歩行バリスタ》を無限マナ成立時に回収するという役割があるので、サイド後も必ず1枚は残します。
ライフ回復能力を併せ持つユーティリティー
ライフゲイン枠。
《クルフィックスの狩猟者》はアドバンテージ源として優秀なだけでなく、相手の飛行クロックとレースになる展開で重宝します。《聖遺の騎士》をはじめ豊富なシャッフル手段を生かした疑似占術により、コンボパーツを揃えるのにも役立ちます。
《漁る軟泥》は各種墓地利用デッキやバーンに対し、終盤の《召喚の調べ》でサーチしてきてゲームを終わらせてくれます。
各種土地対策
《聖遺の騎士》のサーチ先。「ウルザトロン」への有利を確立するのに必要。 ミッドレンジプランを取るとき、相手の1色を削りにいくことはよくあります。典型的なのは対「《死の影》」です。モダン主要デッキの標準的な基本土地構成を覚えておくと強く使えます。
《地盤の際》は雑多なマッチアップで最もサーチ頻度が高く、特に「ウルザトロン」・「《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」相手には1枚採用しているかいないかで勝率が大きく変わります。
《幽霊街》で自分の土地を割るプレイは意外と頻繁に起きるので、選択肢として覚えておきましょう。 (《聖遺の騎士》のサイズアップ・色マナ確保・《クルフィックスの狩猟者》で疑似占術など)
サイドボーディングガイド
インアウトは参考程度に。たとえば、《献身のドルイド》を放置してくる相手にはコンボを多めに残したりします。
5色人間:有利
対 5色人間
コンボ、または《崇拝》で勝ちます。《反射魔道士》は一時しのぎに過ぎず、対コンボ枠の《翻弄する魔道士》・《帆凧の掠め盗り》は裏目を引かせやすいのでコンボが決まりやすいです。《聖遺の騎士》で地上が止まるため、基本的には相手の飛行クロックとのレースになります。《極楽鳥》でのチャンプブロックも生かしつつ、悠々とコンボを揃えましょう。
《流刑への道》はコンボ直前に《ガドック・ティーグ》《翻弄する魔道士》《帆凧の掠め盗り》をどかす用なので2枚に抑えています。
ウルザトロン:有利
対 ウルザトロン
コンボ、または《聖遺の騎士》による土地破壊で勝ちます。《幽霊街》や《廃墟の地》で土地を破壊していくと相手の場に《森》が延々並び《忘却石》を起動されてしまうので、《地盤の際》を生かしましょう。
《クラーク族の鉄工所》 (KCI):五分
対 KCI
コンボ、または《弁論の幻霊》で勝ちます。メインボードはだいたい先手ゲーです。
サイド後は《弁論の幻霊》を守り切れば勝ちなので、《仕組まれた爆薬》X=3を防ぐために赤マナを攻めるのも効果的です。
《ブレンタンの炉の世話人》は《感電破》対策に入れています。《稲妻》を多く見たなら3本目は入れなくて良いです。
墓地を使う「KCI」に対して《漁る軟泥》を抜くのは意外に思われるかもしれませんが、序盤はマナを構える余裕がないうえ、仮に構えたとしても1マナ程度だと簡単に乗り越えられてしまうのでサイドアウトしています。ゲームが中盤戦以降にもつれ込むときはほぼ《弁論の幻霊》の擁立に成功している状況なので、《漁る軟泥》よりは《聖遺の騎士》などで早めに決着を付けた方が良い気がしています。
青白コントロール:五分
対 青白コントロール
ミッドレンジプランで勝ちます。《統一された意思》は主にこのマッチアップのために採用しています。基本的に2~4点程度のクロックで殴り続けながらインスタントタイミングで展開し、最後にビッグアクションをカウンターで弾いて勝つイメージです。
ただし《繁殖池》を持ってくるタイミングには気を付けましょう。《廃墟の地》で割られると青マナが出なくなりますからね。
赤黒《虚ろな者》:五分
対 赤黒《虚ろな者》
メインはコンボで勝つ一方、サイド後はミッドレンジプランで勝ちます。《渋面の溶岩使い》・《集団的蛮行》など、大量の妨害手段が追加されるためです。
鍵となるのは《聖遺の騎士》と《漁る軟泥》です。墓地を掃除しつつサイズで圧倒して勝ちましょう。
マルドゥ・パイロマンサー:有利
対 マルドゥ・パイロマンサー
《騒乱の歓楽者》のために手札を使い切ってくるので意外とコンボが決まりますが、基本的にはミッドレンジ戦略で勝ちます。
クロックが遅くたっぷり時間がもらえるので、アドバンテージで圧殺できる印象です。《ブレンタンの炉の世話人》を早めに《召喚の調べ》でサーチしておくと、相手のダメージが通らなくなり負け筋を減らせます。
スピリット:不利
対 スピリット
モダンの主要デッキの中で一番相性の悪いマッチアップ。コンボ、または《崇拝》で勝つことを目指します。
《流刑への道》をはじめ大量の妨害手段が入っており、特にキーとなる《集合した中隊》・《召喚の調べ》が《霊廟の放浪者》1枚で実質的に無力化されるのが本当につらいです。
サイド後は、《崇拝》か《献身のドルイド》のないハンドはキープできません。ダブルマリガンまでは積極的に探しにいきましょう。サイドにきっちり《ドロモカの命令》・《日光女》が取られていることが多く、頼みの綱の《崇拝》も全面的に信頼できる訳ではありませんが、現状はこれが一番勝率高いと思っています。
ちなみにこのマッチアップに関しては、先日のモダンチャレンジTop8ラインでの対戦動画がアップされていますので、お時間のある方は見てみてください。
おわりに
「緑白カンパニー」は現在のモダン環境でかなり立ち位置が良いです。しかも構築の自由度が高いので、環境が変わっても長く使い続けられると思います。ぜひ手に取ってみてください。
それではまた次回の記事で。
浦瀬