インタビュー: 14歳のプレインズウォーカーたち ~学習塾『ドリームメイト』の精鋭~

晴れる屋

By Hiroshi Okubo

 カバレージとは本質的に、イベントの模様を文章や動画でお届けするものだ。私個人の見解で言えば、カバレージとはカバレージを通じてマジックの魅力やそこに参加するプレイヤーの思考を言語化する――あるいは大会そのものの魅力や意義を伝えることで、現地にいないプレイヤーにもそこに渦巻く熱狂を追体験してもらうためのものだと考えている。

 参加者へのインタビューがその意義を全うする一つの手段であることは言うに及ばない。しかし、ここは『マジック・インターハイ』。神挑戦者決定戦やグランプリといった大会とは少々趣を異にする、「学生限定のチームスタンダード構築戦」のイベントだ。そして大会概要にある通り、その根本的な趣旨が「未来のマジックシーンを担う学生プレイヤーを応援」することだとしたら、このイベントにおけるカバレージが果たすべき機能とは単に参加者への戦略的インタビューを行うことではないはずだ。

 そこで、ここでは悔しくもチームメイトの病欠により参加を断念することになった中学生プレイヤーと、その中学生たちの通う学習塾「ドリームメイト」の講師である菅原 星太氏にインタビューを行った。「ドリームメイト」については以前別途インタビューを行ったこともあるが、なんと「マジックを教材にして英語を教える」という独特の教育を行っている学習塾である。

 本インタビューを通して、若き彼女らのマジックにかける気持ちと「学生とマジック」の未来を感じていただければ幸いだ。

「ドリームメイト」

Mさん(左)/菅原 星太氏/Wさん(右)
ライターの意向により、生徒さんのお名前と顔写真は伏せております。

マジックで”英才教育”?

--「今回は悔しくもチームメイトの1人が病欠されて参加を断念せざるを得なかったとのことですが、元々はどういった経緯で参加しようと考えたのでしょう?」

Mさん「私とWさんが『ドリームメイト』に通っていて、Wさんが私を誘ってくれたんです。Wさんは昔からマジックをプレイしていて、私の大先輩なんですよ」

Wさん「小学3年生の頃から『ドリームメイト』に通い始めて、そこでマジックを覚えたので、マジックを始めたのは……たしか『ラヴニカへの回帰』の頃だったと思います」

--「『ラヴニカへの回帰』というと今から6年前のセットですね。それからずっとマジックをプレイされているんですか?」

Wさん「そうですね。ユースアンバサダープログラムにも参加させていただいてます」

--「すごい、うらやましい(笑) とはいえ元々はマジックは『ドリームメイト』さんでの英語の教材としてプレイしているんですよね。現在中学校に通っていて、マジックで覚えた英語が役に立ったことはありましたか?」

Wさん「えーと……」

Mさん「うーん……マジック英語は分かるようになってきました(笑) でも沼/Swampとか、教科書にはあまり出てこない単語も多いので」

--「日本語でもそんなに使う機会ないですからね、《沼》って」

Wさんwhen ~のような言い回しや三単現は役に立ってる……かな?」

菅原「(苦笑) 彼女たちは今中学2年生なのですが、これから習う内容に『現在進行形』や『受動態』の表現が出てきます。これらを学んでいく中で、たとえばマジックにも頻出する『attacking creature(攻撃しているクリーチャー)』や『can’t be blocked(ブロックされない)』といった表現が役に立ってくる瞬間はあるかもしれません」

--「なるほど。たしかに英語の文法を学ぶ際に、マジックを通じて接した英文が理解の助けになることは多そうですね!」

学習教材としてのMtGの可能性

--「少し話題が散漫にはなってしまいますが、せっかく菅原先生もいらっしゃるので、学習教材としてマジックを扱う手ごたえなどをお聞かせ願えればと思います」

菅原「そうですね。前回晴れる屋さんにインタビューしていただいてから思ったんですが、追従する同業他社がいてもおかしくないと思うくらい、素晴らしい教材だと考えています。やっている本人たちが嫌じゃない、むしろ楽しんで英語に触れる機会を作ることができていますし、思考力と英語力の両方を養うことができますから」

Mさん「授業の前半で普通に勉強をして、後半は英語のカードを使ってマジックをプレイしているんです」

--「えーっ、そんなのマジックが楽しみで授業に集中できなくなくなりそう(笑) 座学受けてる間に机の下でデッキシャッフルしたりとか……Mさんはそんなことないですか?」

Mさん「私は授業もちゃんと受けているんですけど、Wさんは……」

菅原「ちょっとだけその傾向があるかもしれないですね(笑)」

Wさん「授業もちゃんと聞いてますよ!w」

--「やっぱりそうなりますよね(笑) 」

菅原「冗談はさておき、もちろんただ遊んでいるわけではなく、ゲームを通じて英語への無意識的な苦手意識は払拭できていると思いますし、何よりも本人たちが楽しみながら学んでくれるというのは講師として非常に嬉しいことです」

マジックを始めたいと思っている学生に向けて

--「今回はマジック・インターハイに参加できず残念でしたが、今後もマジックは続けていきたいですか?」

Wさん「すっかりマジックにハマってしまったので、今後もマジックを楽しんでプレイしていきたいです!」

Mさん「マジックのおかげか英語の成績も伸びてきたので、今後も頑張りたいと思います!」

--「ありがとうございます。最後に、これから『マジックを始めてみたい』と思っている同級生や、高校生のお兄さん・お姉さんがいたとしたら、どのようなことを伝えたいですか?」

Wさん「マジックは大会などでいろんな人とコミュニケーションが取れますし、人と人を繋ぐ手段として素晴らしいものだと思っています。楽しみながら友達の輪を広げられるゲームなので、ぜひ一度遊んでみてください」

Mさん「マジックはTCGとしてももちろん楽しいですし、Wさんの言っていた通り様々な人と関われるゲームですが、他にもストーリーやイラストなど様々な楽しみ方があるので、ぜひ気軽に始めてみてください」

--「すごくしっかりした答え……! 今日はありがとうございました! 次回のマジック・インターハイがあれば、参加をお待ちしています!!」

 終始明るくインタビューに答えてくれた2人の中学生。マジック・インターハイ2018の本選でその雄姿を見ることは適わなかったが、インターハイ参加中でByeをもらった大学生チームなどと楽しげにマジックをプレイしていた。中学生からしてみれば大学生はものすごく大人だろう――が、そこに年齢の差は感じられなかった。まさに彼女たちの言う通り、マジックは年齢や性別、そして言語といった垣根を越えて楽しめるコミュニケーションツールなのだろう。

フィーチャーマッチテーブルでマジックを楽しんでいる様子

 またインタビュー後には「初めてフィーチャーマッチテーブルに座った」と喜んでいたので、せっかくなのでぜひフリープレイをして行っては?と声をかけたところ、目を輝かせてデッキを取り出して夢中で遊んでいた。よく遊び、よく学ぶ彼女たちのような世代が担っていく「マジックの未来」が今から楽しみだ。

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