岡井 俊樹、木原 惇希、渡邉 真木、飯野 彬、そして有田 浩一朗。前期の神決定戦を見事に勝利した、5人の神たち。各フォーマットにおいて卓越した技術を持った彼らのことは、既にご存知の方も多いだろう。
だが、神討ちに臨む挑戦者についてはどうだろうか? いずれの挑戦者も各フォーマットの挑戦者決定戦を勝ち抜いた強豪プレイヤーだが、神に比して彼らの情報はほとんど知られていないと言っても過言ではないだろう。
そこで、我々は今回の第11期神決定戦を控える挑戦者たちへと書面インタビューを行った。今回神と戦う者たちは果たしてどういったプレイヤーなのか? ぜひご覧いただきたい。
スタンダード挑戦者:伊藤 大明
Q1. 伊藤さんはデッキに独特な調整を加えることで有名ですね。挑戦者決定戦で使用していた「白黒機体」も、《屑鉄場のたかり屋》の枚数が絞られ、細かなカードの選択が非常に興味深いものでした。デッキを調整する際に意識していることはなんですか?
「調整の際に特別なことを意識しているわけではなく、使いたいカードを使う感じです。枚数なんかはふんわり感覚でそのまま大会に出て、『駄目な所をその後手直しするか、根本的に駄目なら解体』の繰り返しです」
Q2. グランプリ・仙台2010のトップ4、グランプリ・静岡2017春のトップ8を始めとして輝かしい戦績をお持ちですが、歴代のスタンダードの中で一番好きなデッキはなんですか? また、一番好きなカードはなんですか?
「好きなデッキは『徴兵バント』です。初めて大きなイベントで勝てた思い出深いデッキですし、好きなカードが沢山入っています」
「好きなカードは《夜の星、黒瘴》ですね。絵柄、能力ともに最高!」
Q3. 伊藤さんと同じく、神である岡井さんもPWCで活躍をしているプレイヤーです。岡井さんに対する印象をお聞かせください。また、強さの秘訣はどのようなところにあると思いますか?
「才能溢れる強いプレイヤーで、今後も様々なトーナメントで勝ちそうですね。沢山の練習量と、明確なゲームプランを描いていてプレイできているのが彼の強さの秘訣だと考えています」
フロンティア挑戦者:石渡 康一
Q1. 我々はまだ石渡さんのマジックキャリアについて多くは知りません。そこで、まずはマジックを始めた時期と、きっかけについてお聞かせください。
「マジックに初めて触れたのは、友達にM15ドラフトを誘われた時です。そこからちょくちょくリミテッドとかカジュアルスタンダードして普通の構築へ、みたいな感じです。本格的にハマったのはグランプリ・千葉2015で、運良く12-3したから。2日目に《オパールのモックス》3枚流して組んだ白黒は未だに忘れられません。除去が全部《不眠の晒し台》だったせいで《軋み森のしもべ》1枚に負けたんですよね。ビギナーズラックとはいえ、1回勝って夢中になっちゃいまして。今まで楽しくマジックできています」
Q2. 「フロンティア」フォーマットの創始以来ずっとフロンティアをプレイされているとのことですが、石渡さんの考えるフロンティアの最大の魅力は何ですか?
「フロンティアの魅力は、最も手軽なエターナルフォーマットという点。モダンとの比較でもありますし、ローテーションの受け皿という意味でもあります。スタン落ちしてしまったデッキを受け止められる余地というのは、正直なところモダンにはもう無いと思うんですよね。けどフロンティアなら、元スタンデッキを拡張しつつ遊んでいけます。新パックの影響がスタンダード並みに大きかったり、新しいデッキを組むとすぐ第一人者になってしまったり。そういう独特なところも含めて、一回やってみると面白いです!」
Q3. 第10期フロンティア神である木原 惇希さんはプロツアーなどにも参加されている強豪です。石渡さんから見て、木原さんはどのようなプレイヤーですか?
「木原さんのことは、プレイヤーとしてもデッキビルダーとしても尊敬しています。どんな環境に対しても真摯に取り組んで、トップメタにきちんと通用する、強いデッキを組み上げる強者。そんな人と今回、1ファンとしてではなく、対戦相手として向かい合うことが出来る。あのキハラワークスと相見えられる貴重な機会に、とてもワクワクしています」
モダン挑戦者:小田 光一
Q1. 神挑戦者決定戦では、《献身のドルイド》+《療治の侍臣》コンボを搭載した「白緑カンパニー」というオリジナルのデッキを使用されていましたね。あのデッキが生まれたきっかけと、優勝し権利を掴んだ感想を教えてください。
「土地カンパニーの派生系としてデッキを作成しました。当時流行の『青赤ストーム』などの高速コンボのスピードに対抗するためにドルイドコンボ、BG系や除去コントロールに《不屈の追跡者》で消耗戦に備えるといった弱点を補う方向で構築しました。大きなイベントでの優勝経験は初めてだったので、非常に嬉しかったです」
Q2. 小田さんの考える、モダンの最大の魅力はなんですか? また、これからモダンを始めたいと思っているプレイヤーにアドバイスをお願いします。
「モダンは自分のやりたいことをどんなことでも表現できる、懐の深い魅力的なフォーマットだと思います。スタン、レガシーしかやっていない方でも、その資産をスライドしてモダンを構築すると新しい発見があります。何でも試してみることが大切です」
Q3. 神である渡邉さんに対する印象、そして当日に向けた意気込みをお聞かせください。
「前回の神決定戦の記事を拝見したときに、環境に対する研究に熱心な方だという印象を受けました。挑戦者決定戦では気負わずにプレイできたから勝てたのかもしれません。当日も落ち着いて対戦したいです」
ヴィンテージ挑戦者:鳥海 貴
Q1. これまで様々なヴィンテージトーナメントで上位に入賞されてきたかと思いますが、最も印象に残っているゲームはどんなものでしたか?
「直近の大会ということもありますが、印象に残っているのは、今回の神挑戦者決定戦の準々決勝です。相手がオースデッキということで非常に不利なマッチアップだったのですが、《ドルイドの誓い》が張られた状況を、数少ない勝ち筋である《高速警備車》で切り抜けたゲームです」
Q2. ヴィンテージと言えばとにかく派手なカードの応酬という印象が強いです。鳥海さんが考える”ヴィンテージを象徴するカード”は何ですか?よければ理由もお聞かせください。
「月並みですが、パワー9や《Mishra's Workshop》、《Bazaar of Baghdad》といった初期のパワーカードです。スタンダードではなかなか活躍の機会に恵まれなかったカードが、ヴィンテージではデッキの顔になる(《僧院の導師》や《逆説的な結果》など)といったことが起こるのも、これらの初期のパワーカードがあってこそだと思います」
Q3. もしかすると過去にも対戦したことがあるかもしれませんが、第10期ヴィンテージ神である飯野 彬さんについてどういった印象をお持ちでしょうか?
「飯野さんとは大会で顔を合わせることも多く、実際対戦する機会も多いのですが、使用するデッキが非常に多彩で引き出しの多いプレイヤーという印象です。正直、今回の神決定戦においても、どんなデッキを用意してくるのかさっぱり読めないというのが本音です」
レガシー挑戦者:嘉藤 裕樹
Q1. ご自身がレガシーを始められたきっかけや当時のエピソードがもしあれば教えてください。また今から始めたいという人に勧めることなどがありましたらそれも教えてください。
「10年ほど前にヴィンテージに参入しようとカードを集めたのですが、当時はプレイの機会がほとんどなかったことから、同じく好きなカードが使用でき、当時から比較的競技人口も多かったレガシーの大会にも顔を出すうちにその奥深さに魅了されていきました。 一度手に入れたカードは基本的に使い続けることができますし、マジックの魅力が詰まったフォーマットですので、興味のある方は是非足を踏み入れてほしいです」
Q2. レガシーで最も好きなカードとデッキ、またそれぞれの理由がありましたら教えてください。
「最も好きなカードは《渦まく知識》です。ヴィンテージでも一枚制限のこのカードが4枚使えることがレガシー最大の魅力だと思います」
「好きなデッキはBUGコントロール……でしたが2番目に好きだったカードが使用できなくなってしまったため、次点でANTです。レガシーで初めて組んだデッキということもありますが、一人回しにも最適で、《むかつき》やストームを間違えて対戦相手もいないのに負けることもしばしばあり、スリリングで面白いデッキです」
Q3. 神決定戦というイベントに対する思い入れ、そして今回の意気込みなどを教えてください。
「第2期モダン神の砂田さんや現ヴィンテージ神の飯野さんなど、なぜか学生時代のクラスメイトが神の座に就いており、以前から憧れはありましたが、レガシーには私より実力が上のプレイヤーが大勢いるため、神決定戦はこれまで縁のない話だと思っていました。対戦相手があの有田さんということもあり勝てる見込みは薄いですが、これも神の導きだと思って精いっぱい楽しみたいと思います」
彼らが今回神へと挑戦する5人のプレイヤーだ。彼らの人となりやマジックのプレイスタイルについて理解していただけたかと思う。
果たしてこの中から神討ちを達成し、次代の神となる者は現れるのか!? 彼らと神が繰り広げるであろう激戦の模様はYouTubeLiveにて実況解説つきでお届けする予定だ。ぜひこれを機会にチャンネル登録をしていただき、神決定戦を見届けてもらいたい。