By Kazuki Watanabe
今回のプロツアー地域予選のフォーマットはスタンダードだ。
プロツアーを目指して鎬を削る112名のデッキリストを分類した結果、以下のようになった。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
赤黒アグロ | 29 | 25.89% |
赤単《ケルドの炎》 | 22 | 19.64% |
エスパーコントロール | 15 | 13.39% |
赤単タッチ黒 | 9 | 8.03% |
ターボフォグ | 7 | 6.25% |
黒緑アグロ | 4 | 3.57% |
青白コントロール | 4 | 3.57% |
青単ストーム | 3 | 2.67% |
黒緑《巻きつき蛇》 | 3 | 2.67% |
青白《王神の贈り物》 | 3 | 2.67% |
グリクシスミッドレンジ | 3 | 2.67% |
青単アグロ | 2 | 1.78% |
青黒ミッドレンジ | 2 | 1.78% |
青緑《原初の飢え、ガルタ》 | 2 | 1.78% |
ジェスカイコントロール | 1 | 0.89% |
赤緑アグロ | 1 | 0.89% |
アブザン《巻きつき蛇》 | 1 | 0.89% |
緑白アグロ | 1 | 0.89% |
もちろん、それぞれのリストには違いがある。その”細かな差異”にプレイヤーの思考が詰まっているわけだが、分類の都合上、そこまでを数値に反映することはできない。そこで、上位のデッキについて、以下で簡単に触れておくことにしよう。
赤黒アグロ:29名(25.89%)
大方の予想通り、と言うべきか、一番人気になったのは「赤黒アグロ」だ。実に会場の1/4がこのアーキタイプである。
『基本セット2019』による変化はほとんどない。あるとすれば、サイドボードに《苦悩火》を積むかどうか、といった程度である。
リストの違いとしては、自分の《ゴブリンの鎖回し》の餌食となってしまう《ボーマットの急使》や《歩行バリスタ》を採用していないリストが目につく。
また、中にはクリーチャーを《再燃するフェニックス》と《栄光をもたらすもの》のみに絞り、《宝物の地図》、《死の権威、リリアナ》、《最古再誕》といったカードを詰め込んだものや、《厄介なドラゴン》、《ドラゴンの女王、ラスリス》、《火の血脈、サルカン》といったドラゴン軍団を採用したものもあった。
この環境の代名詞とも言える、「赤黒アグロ」の脅威。さて、今大会も彼らの勝利で終わるのか?
赤単《ケルドの炎》:22名(19.64%)
使用率2位は、「赤単《ケルドの炎》」だ。
1ターン目から素早く展開し、一気に手札を消費する。《ケルドの炎》を設置した直後の第I章のデメリットを無視するスピードで展開できる頃には、対戦相手のライフを大きく削り取っているであろう。
《ショック》4枚、《稲妻の一撃》4枚、《魔術師の稲妻》4枚、そして《ケルドの炎》が3枚というリストが主流だが、《ケルドの炎》が2枚、もしくは4枚のリストも存在する。
クリーチャーの選択も様々だ。《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、《地揺すりのケンラ》、《再燃するフェニックス》、《ヴィーアシーノの紅蓮術師》といったカードの枚数は千差万別で、中には《熱烈の神ハゾレト》を採用していないリストもある。
特筆すべきは、サイドボードの《嘲笑+負傷》だろう。「ターボフォグ」の人気を見越し、赤系のデッキの多くが2枚ほど採用しているプレイヤーが多い。「《花粉のもや》や《根の罠》がある」と気を許していると思わぬ一撃を見舞われるかもしれないので、注意しておこう。
エスパーコントロール:15名(13.39%)
赤系アグロの隆盛に抗うコントロールプレイヤーの多くは、エスパーカラーを選択した。
コントロールのリストには、プレイヤーの思考が色濃く反映されている。《スカラベの神》、《奔流の機械巨人》、《否認》、《アズカンタの探索》、《残骸の漂着》のようなカードを何枚採用するか、といった辺りに差が出るようだ。
共通している点として、サイドボードの《変遷の龍、クロミウム》の存在が挙げられる。7マナという重さながら、瞬速、打ち消されない、飛行、除去耐性というフィニッシャーらしい能力を持っているため、エスパーコントロールのサイドボードには、ほとんど確実に採用されている。
この他にも「赤単タッチ黒」の黒いカードの枚数にも差が見られた。同じ「黒緑」でも、《巻きつき蛇》ではなく、《茨の副官》と《蔦草牝馬》を4枚ずつ採用したリストもあったし、「青単ストーム」に白をタッチして、サイドボードに《原初の潮流、ネザール》を投入したものもあった。
数字の上で見れば、赤系のアグロが半数を占めた。「地域予選は、赤いデッキで埋め尽くされた」と表現するのは簡単である。
しかし、1つ1つのデッキリストには様々な差異があり、そこにはプロツアーを目指して激戦を繰り広げているプレイヤーの思考が詰まっている。
この会場でプロツアーの権利を獲得できるのは、8名。彼らのデッキリストが、今から楽しみだ。