By Yuya Hosokawa
Table 1: 樋口 証(赤黒コントロール) vs. 太田 翔(赤黒アグロ)
樋口の赤黒コントロールと太田の赤黒アグロの対決は、2ゲーム合わせてものの15分で決した。《損魂魔道士》や《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、そして《ゴブリンの鎖回し》と言った赤黒アグロのエースたちを展開していく太田だったが、樋口はそれらのクリーチャーすべてに除去を浴びせていく。
除去耐性のある《再燃するフェニックス》にも《ヴラスカの侮辱》を当てて、ガス欠に陥った太田を後目に、《宝物の地図》で占術を行い、やがて変身した《宝物の入り江/Treasure Cove》でカードを引く。
さらに、先ほどまでは樋口の身を守っていた《死の権威、リリアナ》と《包囲攻撃の司令官》はそのままフィニッシャーとして太田に襲い掛かっていく。
まず準々決勝を最初に勝ち上がったのは、その持ち味を存分に見せつけた、樋口の赤黒コントロールとなった。
樋口 2-0 太田
Table 2: 高尾 翔太(赤黒アグロ) vs. 森山 優(赤黒ミッドレンジ)
一方、赤黒アグロ対決となったのは高尾と森山。そして先行の権利を持つ森山が、積極的に攻勢を仕掛ける。
唱えていくクリーチャーは高尾の除去に遭うものの、4ターン目の《反逆の先導者、チャンドラ》は、クリーチャーをコントロールしていない高尾では対処ができない。そのため、仕方なく高尾も《反逆の先導者、チャンドラ》を唱える。
こうなると有利なのは、次に脅威をすぐに唱えられる森山で、このマッチで《反逆の先導者、チャンドラ》と並んで最重要となる《再燃するフェニックス》を着地させる。
だがしかし、百戦錬磨の高尾はこの《再燃するフェニックス》に動じることなく、まず《反逆の先導者、チャンドラ》で4点を与えた後に、トークンを《ゴブリンの鎖回し》で薙ぎ払う。
そして森山にはここで追加の戦力がなく、それでも《反逆の先導者、チャンドラ》を落とされないよう、《ゴブリンの鎖回し》だけは除去する。
ようやく一息付けた高尾は《反逆の先導者、チャンドラ》でマナを生み出し、場の6マナと合わせて一気に《再燃するフェニックス》を2体着地。これには森山、天を仰ぐ。
1枚の《再燃するフェニックス》にしか対処できなかった森山は《ピア・ナラー》を引いてダメージレースに望みを託すも、高尾の手札からは《熱烈の神ハゾレト》が。
熾烈な赤黒アグロ同型対決を、まずは高尾が先取する。
再び先手でゲームを始めた森山が《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、《ゴブリンの鎖回し》とクリーチャーを唱え、《木端+微塵》と《無許可の分解》で高尾が対処する、先のゲームと全く同じ展開。
だが、今回は森山の攻めが鋭い。《反逆の先導者、チャンドラ》に対応できない高尾は、盤面の生物を対処していくしかない。
しかし、攻め手を供給し続けながらやがて自身がフィニッシャーとなるのが《反逆の先導者、チャンドラ》の強さ。多角的な森山の攻めに屈した高尾は、最後のゲームに望みを託すことを決めた。
先手は高尾に映ったが、先に出てきたクリーチャーは森山の《損魂魔道士》。高尾は2ターン目にしっかりと《キランの真意号》を設置し、まずは森山の動向に目を光らせる。
そして森山の行動は…セットランド、エンド。
これを機と見て高尾は《ピア・ナラー》を展開して《キランの真意号》に搭乗。森山の必死の抵抗となる《ゴブリンの鎖回し》も意に介さず、《再燃するフェニックス》を搭乗させ、早くも森山のライフを12に落とす。そして盤面には8点の飛行クロック。
がしかし、森山はこの《再燃するフェニックス》に2枚の除去を使うと、3/4に膨れ上がった《損魂魔道士》と《ゴブリンの鎖回し》で攻撃する。 さらに、《キランの真意号》の搭乗要因をここで高尾は用意できない。仕方なく《損魂魔道士》と《ゴブリンの鎖回し》にそれぞれ除去を打ち込むが、手札に残るは土地のみ。
そしてこの絶望的状況で、《再燃するフェニックス》が高尾の眼前に立ちはだかる。
引いたのは土地。《キランの真意号》は動かない。動いても、《再燃するフェニックス》が立ちはだかっている。
《熱烈の神ハゾレト》まで追加されると、もはや高尾に手はなし。一度は《再燃するフェニックス》を《キランの真意号》でチャンプブロックする高尾だったが、最後のドローを確認すると、並べ続けていた土地をすべて片付けたのだった。
高尾 1-2 森山
Table 3: 宇都宮 巧(赤黒アグロ) vs. 大関 麦(青緑マーフォーク)
ここまで赤黒対決をお届けしたダイジェストだが、最後の卓はなんと赤黒アグロと青緑マーフォークによる対決。
最初のゲームでは、宇都宮の駆る赤黒アグロが、その圧倒的な強さを見せつけた。《クメーナの語り部》、《マーフォークの霧縛り》と1ターン目から積極的に動く青緑マーフォークの大関。だがこれらに宇都宮は《削剥》と《無許可の分解》を当てていき、さらにマーフォークのキーカードである《オラーズカの暴君、クメーナ》にも《反逆の先導者、チャンドラ》。
この《反逆の先導者、チャンドラ》をクリーチャー以外で対処できない大関は、《マーフォークの枝渡り》を出してターンを返す。
そして攻め手が入れ替わる。《反逆の先導者、チャンドラ》からマナを生み出した宇都宮は《熱烈の神ハゾレト》と《ピア・ナラー》を一挙に展開し、大関のライフを落とす。
大関の必殺の《睡眠》によって《反逆の先導者、チャンドラ》こそ失うものの、ロードがいなければ盤面は心もとない。1ターンの眠りから覚めた宇都宮の軍勢が、やがて大関のライフを削り切った。
次のゲームは、大関の操る魚たちが魅せる。《クメーナの語り部》から《マーフォークの枝渡り》という上々の立ち上がりで、1体が《削剥》で除去されるも、おかまいなしに《マーフォークの霧縛り》を追加する。
そして今回は、宇都宮の手札に除去がない。代わりにクリーチャーで攻め手を抑えるつもりだったようだ。だが、出てきた《再燃するフェニックス》を狙い済ました《マーフォークのペテン師》で回避すると、あっという間に宇都宮のライフは致死圏内。
そして、手にはさらなる打ち消し呪文。鮮やかなクロックパーミッションで、大関が星を取り戻した。
勝った方が名人に一歩近づく準々決勝、最後の試合。 ゲームの口火を切ったのは、後手の大関の《銀エラの達人》。これに対して除去を使いたくない宇都宮は、回答として最も良いであろう《ピア・ナラー》をブロッカーとして立てる。
大関はこれを見て緑マナを立てながら《マーフォークの霧縛り》をキャストし、攻撃はせず。
立った1マナから《顕在的防御》をすぐに連想した宇都宮は、今すぐにでも除去したいであろう《マーフォークの霧縛り》から視線を逸らし、《再燃するフェニックス》で防御することに決める。
大関は《植物の聖域》を置くのみで、ターンは再び宇都宮に。5マナ目をセットし、《栄光をもたらすもの》。しかしこれは《本質の散乱》に阻まれる。
だが、これまでのターンで実は宇都宮のライフはまったく減っていない。《再燃するフェニックス》の前に、大関は攻撃することができなかったのだ。2体目の《マーフォークの霧縛り》を追加しても、その状況に変化はなし。
宇都宮は再び少考。大関の立つ2マナと、手札の《反逆の先導者、チャンドラ》を見やる。意を決してこれをプレイすることに決め、まずは通って一安心。そして《マーフォークの霧縛り》を焼ければ勝利も近づく――のだが、ここには《顕在的防御》。
これは宇都宮の計算通りだった。盤面には《再燃するフェニックス》、《ピア・ナラー》、飛行機械トークン。一方、大関は2体の《マーフォークの霧縛り》に《銀エラの達人》。《反逆の先導者、チャンドラ》を落とすためには総攻撃しかなく、《マーフォークの霧縛り》2体を《再燃するフェニックス》と《ピア・ナラー》でブロックし、《銀エラの達人》を飛行機械トークンでブロックすると、更地に《反逆の先導者、チャンドラ》が残り、《再燃するフェニックス》は次のターンにまた戻ることになる。
《顕在的防御》を持たれていたとしても、有利にゲームが進む。そう判断しての《反逆の先導者、チャンドラ》だった。
しかし、大関が手から放ったのは、すべての計算を狂わせる《睡眠》。《反逆の先導者、チャンドラ》を失い、しかも本体にも7点のダメージが入る。
これが、ゲームの流れを一変させた。
フルタップの隙をついて《マーフォークの霧縛り》2体を《削剥》と《無許可の分解》で連続で除去するも、後続の《栄光をもたらすもの》は《魔術師の反駁》。頼みの綱の《再燃するフェニックス》も、《マーフォークのペテン師》で役に立たない。そうしている間にも、魚たちが宇都宮のライフを容赦なく減らしていく。
最後のターンの攻撃宣言。大関の手札からは、《マーフォークのペテン師》。
除去を持たない宇都宮は、レッドゾーンに魚が送り込まれてくるのを見て、右手を差し出したのだった。
宇都宮 1-2 大関