Translated by Kazuki Watanabe
(掲載日 2018/09/01)
皆さん、ごきげんよう。今日はレガシーの「4Cローム」について話そうと思っている。マジック25周年記念プロツアーで、私はレガシーを担当した。私と、友人であるマルセリーノ・フリーマン/Marcelino Freemanとアンドレアス・ガンツ/Andreas Ganzでチームを組んだのだが、成績はあまり良くなかった。しかし、レガシーのメタゲームを考慮すれば、「4Cローム」を選択したことについては満足しているよ。
デッキリスト
では、リストを見てみよう。
2 《Bayou》
1 《Badlands》
1 《Savannah》
1 《Scrubland》
1 《Taiga》
1 《ドライアドの東屋》
4 《新緑の地下墓地》
2 《吹きさらしの荒野》
3 《燃え柳の木立ち》
1 《やせた原野》
1 《陰謀団のピット》
1 《カラカス》
1 《平穏な茂み》
4 《不毛の大地》
1 《幽霊街》
1 《イス卿の迷路》
-土地 (27)- 4 《闇の腹心》
1 《漁る軟泥》
4 《聖遺の騎士》
1 《ラムナプの採掘者》
-クリーチャー (10)-
3 《罰する火》
3 《突然の衰微》
2 《壌土からの生命》
1 《毒の濁流》
1 《森の知恵》
4 《虚空の杯》
4 《モックス・ダイアモンド》
3 《ヴェールのリリアナ》
-呪文 (23)-
2 《封じ込める僧侶》
2 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《苦花》
2 《剣を鍬に》
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》
1 《再利用の賢者》
1 《毒の濁流》
-サイドボード (15)-
このリストは、長い間、大きな変更が加えられることなく生き残っている。このデッキを使用して何度かLegacy Challengeで勝利を掴んでいるが、最初に成し遂げたのは1年ほど前のことだ。調整に勤しんでいた頃は、違うプレインズウォーカーを試したり、除去を変えてみたりしていたのだが、”老い木は曲がらぬ”という格言のとおり、大きく変化はしなかった。
もしこのデッキを使用したことがあるならば、最初の質問はおそらくこうだろう……“《ガドック・ティーグ》はどこだ?”、と。たしかにこのカードは素晴らしいが、今は好きではない。ストームデッキに対してのみ、有効だからだ。
ああ、たしかに《精神を刻む者、ジェイス》と《終末》を封じることはできるが、「青白奇跡」には《剣を鍬に》と《瞬唱の魔道士》という組み合わせもある(不用意に攻撃を仕掛ければ、たやすくブロックされて死んでしまうだろう)。したがって、相手は《ガドック・ティーグ》を容易に処理してくるか、他の脅威を警戒して《ガドック・ティーグ》が無視されるかといった状況に陥りやすい。
「グリクシス・コントロール」との対戦では《精神を刻む者、ジェイス》と《意志の力》を封じることができるが、グリクシスも豊富な除去を要しているため容易に対処してくるだろう。
それに《意志の力》を封じずとも、ゲーム序盤にいずれかの脅威で《意志の力》を使わせて2対1交換ができるのであればそれで十分だ。
さて、このデッキの基本的な戦略は、墓地を活用するものだ。つまり、サイドボード後の2ゲーム目、3ゲーム目で相手が使用してくるであろう墓地対策に対して、優れたゲームプランを用意することこそ重要になる。《外科的摘出》や、《大祖始の遺産》のような一度墓地のカードを追放するようなカードを恐れる必要はない。その”一度”を乗り切ってしまえば、再び墓地を満たすまでに時間はかからないはずだ。しかし、《安らかなる眠り》や《虚空の力線》となれば別問題になる。こちらに《虚空の力線》を対処する手段は用意されていない(私は《名誉回復》が嫌いなのだ)。また、手慣れたプレイヤーならば、戦場に出た瞬間に多大な被害を与えられる状況になるまで、《安らかなる眠り》を手札に取っておくことだろう。つまるところ、我々には莫大なアドバンテージ源が必要であり、一度設置したら、それを全力でサポートしてあげればよいわけだ。
プロツアーでは、《苦花》を2枚採用してみたのだが、このカードは様々なマッチアップで輝いてくれた。1ターン目に設置することもできるし、ゲームを制するまでに必要なサポートは最小限で良い。多くの人は、同様の理由でプレインズウォーカーをサイドボードに採用している。通例では、《復讐のアジャニ》か《情け知らずのガラク》だろうか。しかし、私はこのどちらの選択にも賛同できない。これらのカードを試した経験が十分ではない、というのもあるかもしれないが、遅すぎると思う。次の機会には、《反逆の先導者、チャンドラ》を1枚サイドボードに入れてみようと思っている。彼女が刻んでくれるクロックは極めて速いはずだ。
マッチアップについて
最近、とあるプレイヤーが話していたことなのだが、メタゲームにおけるデッキの立ち位置を論じる際は、相性が悪いマッチアップについてしっかり分析をしなければならない、と彼は言っていた。プロポイントを欲している立場なら、まさにそのとおりだ。環境のトップ3のデッキとのマッチアップに一切の希望がない、というのなら、そのデッキは何の成果ももたらしてくれないだろう。では、レガシーでもっとも人気のあるデッキを調べた上で、グループ分けしてみることにしよう。
《実物提示教育》デッキ
対オムニテル&スニークショー
希望のないマッチアップから話していこうか。では、《実物提示教育》を使用するデッキから初めよう。この中には2種類のデッキが含まれる。「オムニテル」と「スニークショー」だ。しかし、その違いは大した問題ではない。相手が《実物提示教育》をプレイしたならば、君は敗北に向かっているのだ。
慣れているプレイヤーは、こちらが序盤から掛けられるプレッシャーがほとんどない、ということを知っている。そこで、相手は1ターンで勝負を決めようとしてくるだろう。《意志の力》もあるし、時間はいくらでもある。では、どうやってそれに勝つか? 不可能だ。こちらの《カラカス》、もしくは《カラカス》を持ってくる《聖遺の騎士》を前にクリーチャーを出してくる、という可能性もわずかにあるが、仮にそうなったとしても向こうは次のターンに準備を整える時間がある。君の勝率は10%、といったところだ。いずれにせよ、サイドボードを活用する以外に、まともなゲームをする方法は存在しない。
プロツアーでは、《実物提示教育》にとって天敵であるRUG系のデッキや、デス&タックス、そしてリアニメイトのようなより速いコンボデッキが多い、と予期していた。