4Cロームで勝利を掴む -主要マッチアップ&サイドボードガイド-

Dmitriy Butakov

Translated by Kazuki Watanabe

皆さん、ごきげんよう。今日はレガシーの「4Cローム」について話そうと思っているマジック25周年記念プロツアーで、私はレガシーを担当した。私と、友人であるマルセリーノ・フリーマン/Marcelino Freemanとアンドレアス・ガンツ/Andreas Ganzでチームを組んだのだが、成績はあまり良くなかった。しかし、レガシーのメタゲームを考慮すれば、「4Cローム」を選択したことについては満足しているよ。

デッキリスト

では、リストを見てみよう。

聖遺の騎士壌土からの生命虚空の杯

このリストは、長い間、大きな変更が加えられることなく生き残っている。このデッキを使用して何度かLegacy Challengeで勝利を掴んでいるが、最初に成し遂げたのは1年ほど前のことだ。調整に勤しんでいた頃は、違うプレインズウォーカーを試したり、除去を変えてみたりしていたのだが、”老い木は曲がらぬ”という格言のとおり、大きく変化はしなかった。

ガドック・ティーグ

もしこのデッキを使用したことがあるならば、最初の質問はおそらくこうだろう……《ガドック・ティーグ》はどこだ?”、と。たしかにこのカードは素晴らしいが、今は好きではない。ストームデッキに対してのみ、有効だからだ

ああ、たしかに《精神を刻む者、ジェイス》《終末》を封じることはできるが、「青白奇跡」には《剣を鍬に》《瞬唱の魔道士》という組み合わせもある(不用意に攻撃を仕掛ければ、たやすくブロックされて死んでしまうだろう)。したがって、相手は《ガドック・ティーグ》を容易に処理してくるか、他の脅威を警戒して《ガドック・ティーグ》が無視されるかといった状況に陥りやすい。

「グリクシス・コントロール」との対戦では《精神を刻む者、ジェイス》《意志の力》を封じることができるが、グリクシスも豊富な除去を要しているため容易に対処してくるだろう。

それに《意志の力》を封じずとも、ゲーム序盤にいずれかの脅威で《意志の力》を使わせて2対1交換ができるのであればそれで十分だ。

外科的摘出虚空の力線

さて、このデッキの基本的な戦略は、墓地を活用するものだ。つまり、サイドボード後の2ゲーム目、3ゲーム目で相手が使用してくるであろう墓地対策に対して、優れたゲームプランを用意することこそ重要になる《外科的摘出》や、《大祖始の遺産》のような一度墓地のカードを追放するようなカードを恐れる必要はない。その”一度”を乗り切ってしまえば、再び墓地を満たすまでに時間はかからないはずだ。しかし、《安らかなる眠り》《虚空の力線》となれば別問題になる。こちらに《虚空の力線》を対処する手段は用意されていない(私は《名誉回復》が嫌いなのだ)。また、手慣れたプレイヤーならば、戦場に出た瞬間に多大な被害を与えられる状況になるまで、《安らかなる眠り》を手札に取っておくことだろう。つまるところ、我々には莫大なアドバンテージ源が必要であり、一度設置したら、それを全力でサポートしてあげればよいわけだ。

苦花

プロツアーでは、《苦花》を2枚採用してみたのだが、このカードは様々なマッチアップで輝いてくれた。1ターン目に設置することもできるし、ゲームを制するまでに必要なサポートは最小限で良い。多くの人は、同様の理由でプレインズウォーカーをサイドボードに採用している。通例では、《復讐のアジャニ》《情け知らずのガラク》だろうか。しかし、私はこのどちらの選択にも賛同できない。これらのカードを試した経験が十分ではない、というのもあるかもしれないが、遅すぎると思う。次の機会には、《反逆の先導者、チャンドラ》を1枚サイドボードに入れてみようと思っている。彼女が刻んでくれるクロックは極めて速いはずだ。

マッチアップについて

最近、とあるプレイヤーが話していたことなのだが、メタゲームにおけるデッキの立ち位置を論じる際は、相性が悪いマッチアップについてしっかり分析をしなければならない、と彼は言っていた。プロポイントを欲している立場なら、まさにそのとおりだ。環境のトップ3のデッキとのマッチアップに一切の希望がない、というのなら、そのデッキは何の成果ももたらしてくれないだろう。では、レガシーでもっとも人気のあるデッキを調べた上で、グループ分けしてみることにしよう。

《実物提示教育》デッキ

対オムニテル&スニークショー

Out

突然の衰微 突然の衰微 突然の衰微
罰する火 毒の濁流

In

スレイベンの守護者、サリア スレイベンの守護者、サリア 再利用の賢者
封じ込める僧侶 封じ込める僧侶

希望のないマッチアップから話していこうか。では、《実物提示教育》を使用するデッキから初めよう。この中には2種類のデッキが含まれる。「オムニテル」と「スニークショー」だ。しかし、その違いは大した問題ではない。相手が《実物提示教育》をプレイしたならば、君は敗北に向かっているのだ

実物提示教育

慣れているプレイヤーは、こちらが序盤から掛けられるプレッシャーがほとんどない、ということを知っている。そこで、相手は1ターンで勝負を決めようとしてくるだろう。《意志の力》もあるし、時間はいくらでもある。では、どうやってそれに勝つか? 不可能だ。こちらの《カラカス》、もしくは《カラカス》を持ってくる《聖遺の騎士》を前にクリーチャーを出してくる、という可能性もわずかにあるが、仮にそうなったとしても向こうは次のターンに準備を整える時間がある。君の勝率は10%、といったところだ。いずれにせよ、サイドボードを活用する以外に、まともなゲームをする方法は存在しない。

プロツアーでは、《実物提示教育》にとって天敵であるRUG系のデッキや、デス&タックス、そしてリアニメイトのようなより速いコンボデッキが多い、と予期していた。

その他のコンボデッキ

対リアニメイト

Out

突然の衰微 突然の衰微 突然の衰微
罰する火 罰する火 罰する火
ヴェールのリリアナ ヴェールのリリアナ

In

虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線
スレイベンの守護者、サリア スレイベンの守護者、サリア
封じ込める僧侶 封じ込める僧侶

対ストーム

Out

突然の衰微 突然の衰微 突然の衰微
罰する火 罰する火 罰する火

In

虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線
スレイベンの守護者、サリア スレイベンの守護者、サリア
再活性炎の中の過去

こういった他のコンボデッキの方が速く見えるかもしれないが、こちらの方が干渉できる場面が多い。より多くの呪文を使うし、墓地も利用するからね。こちらの対抗手段は、《虚空の杯》だ(「リアニメイト」ならX=1、「ストーム」ならX=0で良い)。《スレイベンの守護者、サリア》《虚空の力線》は一層効果的になる。この内の1つでも戦場に置くことができれば、勝利までの時間を十分に稼いでくれることもあるくらいだ。そして、積極的にマリガンすることを恐れてはいけない。

プロツアーで、Hareruya Latinのルーカス・エスペル・ベルサウドの「赤黒リアニメイト」と戦ったのだが、その3ゲーム目のことだ。後手の私は《虚空の力線》を探してダブルマリガンを選択した。しかし、残念ながら引くことができず、《虚空の杯》を含む普通の手札でキープした。これは、明らかな失敗だ。手札が4枚以下になってでも、《虚空の力線》を探すべきだった。私が《虚空の杯》をプレイするまでの時間で、ルーカスはすでにクリーチャーをリアニメイトしていたよ。

「ストーム」との対戦では、《イス卿の迷路》をサイドアウトすることも考えられるが、《罰する火》が与える2点のダメージよりも《モックス・ダイアモンド》の餌を確保しておくことの方が重要だろう。

クリーチャー主体のデッキ

今回のプロツアーでは、「エルドラージ」、「デス&タックス」、そして「RUGデルバー」が、クリーチャーを主体とするデッキの中で人気が高かったようだ。

対エルドラージ

Out

虚空の杯 虚空の杯 虚空の杯 虚空の杯
罰する火 罰する火 突然の衰微

In

剣を鍬に 剣を鍬に 苦花 苦花
The Tabernacle at Pendrell Vale 再利用の賢者 毒の濁流

対「エルドラージ」の1ゲーム目は、《聖遺の騎士》がすべてだ。戦場に出して能力を起動できるようになれば、この1枚がゲームを決めてくれる。ただし、「エルドラージ」はメインデッキに《四肢切断》を2枚採用していることが多いから、これは覚えておこう。

サイドボード後は、相手が墓地対策を用意してくるので少しだけ複雑になる。もし相手が墓地対策を引いていなかったら、大きなアドバンテージを得たことになるわけだ。相手が《虚空の力線》を置いてゲームを始めたならば、一番良いのは相手のマナベースを攻めることだろう。《ウギンの目》は相手のデッキの要に見えるかもしれないが、マナ自体を生み出すことはないし、伝説の土地だ。破壊するのは最後で良い。その後は、こちらの手札に応じて2つの作戦が考えられる。

毒の濁流ヴェールのリリアナ

相手にクリーチャーを展開させて、《毒の濁流》で一掃する(できる限り多くのクリーチャーを巻き込むために、3点程度のダメージなら我慢して相手により多くのクリーチャーを展開させよう。ライフは《歩行バリスタ》でやられない程度に残しておけば良い。しかし、適切に防衛をしないと、容易に10点以上のライフを《現実を砕くもの》が砕いてくるので気をつけよう)。もしくは、《The Tabernacle at Pendrell Vale》だ。《毒の濁流》《The Tabernacle at Pendrell Vale》で盤面を一掃できれば、勝利する手段はどれでも構わない。

相手のクリーチャーを対処しながら戦場をコントロールして、最後のクリーチャーは《ヴェールのリリアナ》で処理する。もし既に相手のマナベースが崩壊気味で、《猿人の指導霊》を利用した《現実を砕くもの》がまだ襲いかかってきていないならば、イニシアティブを握るのに十分なプレッシャーを《ヴェールのリリアナ》がもたらしてくれるはずだ。

対デス&タックス

Out

虚空の杯 虚空の杯 虚空の杯 虚空の杯
漁る軟泥 壌土からの生命

In

剣を鍬に 剣を鍬に 苦花 苦花
再利用の賢者 毒の濁流

「デス&タックス」との対戦は非常に面白いもので、五分の戦いとなる。1ゲーム目は向こうがアグレッシブに、こちらはコントロールのように振る舞うことになるだろう。あらゆる干渉手段をそのまま活用できるので、サイドボード前のゲームはかなり恵まれたものと言える。ゲームの中身で迷うことはないだろうが、気をつけるべきこともいくつかある。以下にまとめておこう。

《ちらつき鬼火》は、こちらの《虚空の杯》《モックス・ダイアモンド》をリセットできる。

《聖域の僧院長》はこちらの除去のほとんどを封じてくるが、こちらには《毒の濁流》《ヴェールのリリアナ》、そして《陰謀団のピット》という対処手段がある。

・フェッチランドを1枚残して、いつでも起動できるようにしておくこと。《リシャーダの港》《不毛の大地》の対策だ。それと、悪夢のような《宮殿の看守》対策にもね。こちらにはクリーチャーを対処する方法が山ほどあるため、《ドライアドの東屋》の道をこじ開け「統治者」の冠を得ることができれば勝利は目前だ。

宮殿の看守Monarch Tokenドライアドの東屋

サイドボード後、相手は《安らかなる眠り》とあらゆるヘイトカードを活用してコントロールのように立ち回ってきて、アグロ要素は薄まるだろう。先述のとおり、墓地のアドバンテージを失ってしまったら、最良なのはプレインズウォーカーと《苦花》だ。こちらの主たる目標は、それらのうち1つでも可及的速やかに盤面に据えて、勝利の流れに乗ること。《虚空の杯》はすべてサイドアウトしてしまおう。相手は、回避手段をいくつも持っているからね。

対RUGデルバー

Out

緑の太陽の頂点 緑の太陽の頂点
森の知恵

In

剣を鍬に 剣を鍬に
毒の濁流

クリーチャーを主体とする3つのデッキの中で、「RUGデルバー」との対戦がもっとも簡単で相性が良い。もちろん、《秘密を掘り下げる者》《敏捷なマングース》という2種類の1マナ + カウンター呪文 + 《不毛の大地》という厳しい動き出しもあるが、この流れでも勝利することは可能だろう。《壌土からの生命》が十分なマナを確保する術となってくれる。

このマッチアップでは、《聖遺の騎士》が絶対的な存在だ。向こうの対抗手段は、《目くらまし》《意志の力》のみである(サイドボード後は《水没》もあるが、《モックス・ダイアモンド》《燃え柳の木立ち》があるので、《森》《Bayou》を利用せずにプレイできていることもある)。そして、一度《聖遺の騎士》が解決されてしまえば、負けることはほとんど不可能と言って良い。

壌土からの生命聖遺の騎士

カウンターを1つ乗せた《虚空の杯》は、相手のデッキに入っているカードの半数を封じてくれる。《聖遺の騎士》も同様だが、1ターン目、もしくは2ターン目に設置することができたら勝利したようなものだ。

コントロールデッキ

対グリクシスコントロール

Out

虚空の杯 虚空の杯 虚空の杯 虚空の杯
毒の濁流

In

スレイベンの守護者、サリア スレイベンの守護者、サリア 苦花 苦花
剣を鍬に

プロツアーでもっとも人気があったのは「グリクシスコントロール」だったが、このマッチアップも良い。1ゲーム目はやはり《壌土からの生命》だ。グリクシス側はメインデッキに墓地対策が一切存在せず、動き出しがかなり遅い。一度《壌土からの生命》が動き出してしまえば、相手をカードの波で飲み込むことができる。1ゲーム目で問題となるカードは、2枚存在する – 《精神を刻む者、ジェイス》《グルマグのアンコウ》だ。《壌土からの生命》が動き出すには、時間がかかる。そして、向こうはこれら2枚を速やかに唱えながら、カウンター呪文で守ってくる。この状況はかなり厳しいが、相手は環境のベストデッキだ。容易に勝てるとは思わないように。

精神を刻む者、ジェイスグルマグのアンコウ

サイドボード後、相手は《外科的摘出》を数枚サイドインしてくるはずだ。したがって、墓地に依存するような初手を無闇に求めるべきではない。こちらは《苦花》《スレイベンの守護者、サリア》、そしてプレインズウォーカーというオールスターが登場するわけだから、後手でも引き続き相性は良好で、先手でも同様であろう

まとめ

結論として、このデッキの長所と短所をまとめておこう。

    長所:
    短所:

レガシーは、絶え間なく変化するフォーマットだ。何らかのデッキが支配的になると、古い構築が不死鳥のように灰の中から蘇ってくる。私は「4Cローム」のようなデッキを懐に忍ばせておいて、しかるべき時期が訪れるまで隠し持っておくことが好きなのだ。良い結果を残す力が、このデッキにはあるからね。

この記事を楽しんでくれたことと、何らかの発見があったことを祈っているよ。

ここまで読んでくれありがとう。では、オンラインで会おう。

ドミトリー・ブタコフ

この記事内で掲載されたカード

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