By Shin Tomizawa
赤単アグロで世界選手権2017を準優勝し、前シーズンの好スタートを切ったハビエル・ドミンゲスは、結局計64点ものプロポイントを稼ぎ出し、プロポイント獲得上位者として2年連続となる世界選手権への招待を得た。
それだけには留まらず、世界最高の選手達の中にあって誰よりも早くトップ4入賞を確定させる活躍を見せ、最終的にはスタンダードで6勝2敗、ドラフトで5勝1敗の好成績と共に首位通過に至った。
彼の駆るスタンダードデッキは多くの選手と同様、フィールドの半分以上を占める赤黒アグロだった。直近の大会ではモダンにおけるジェスカイ・コントロールで結果を残し続けていたことが印象深かった彼が再びアグロを握るに至ったわけを聞いてみることにした。
アグロ or コントロール?
――「2回目の世界選手権出場おめでとうございます。今年のあなたは、前回の世界選手権での赤単アグロでの成功イメージから始まり、後半は《ドミナリアの英雄、テフェリー》を使ったコントロールで活躍と私たちに印象的なイメージを与えてくれました。プレイスタイルの使い分けというのは競技プレイヤーにとって大きな関心ごとだと思います」
ハビエル「確かにその通りだな。世界選手権を赤単で勝ったことは多くの人に印象付けられたと思う」
――「コントロールでも成果を出している今、あなたはアグロとコントロール、どっち派というのはありますか?」
ハビエル「そうだな……、簡単には説明しづらい話だ。トーナメントでプレイするとき、たしかにプレイスタイルやデッキへの慣れというものは勝つために非常に重要な要素だ。早いデッキや遅いデッキというカテゴリーで区切り、どちらかに寄せて練度を高めることで得られるバリューというものは確かにある。しかしだ、君がアグロしかプレイできないのに、環境に存在するビートダウンデッキを研究した結果、多くのデッキと相性が悪いことが判明してしまったとしたらどうする?プレイスタイルに固執して弱いデッキを選ぶようでは、高いレベルで最高のパフォーマンスを発揮し続けるのは難しいだろうと俺は考える。もしあらゆるアーキタイプを使いこなすことができれば、メタ上で有利なデッキを選び続けることができる。これがプロプレイヤーとしての理想像じゃないかな」
ハビエル「これはシーズン中に俺が取り組んできたテーマの一つで、デッキの選択肢を狭めることは最高峰のトーナメントにおいて不利になると考えていたんだ。最初はビートダウンで戦うことを得意とするプレイヤーだったが、いくつかのPTを経てその考えは確信に変わり、いろいろなアーキタイプを学ぶ必要が出てきた。だからコントロールを学ぶことにしたっていうわけだ。おっと、これじゃ質問の答えにはなってないね。ビートダウンとコントロールという区切りでいうと曖昧になるが、ミッドレンジが好きだ。コントロールとビートダウン、どちらのようにも振る舞うことができるからね。ややアグロに寄ったミッドレンジってことになるのかな」
――「これまで《ドミナリアの英雄、テフェリー》に熱を上げていたようですが、今回は赤黒アグロを手に取っていますね。理由を教えていただけますか?」
ハビエル「全てを試した結果だ。対戦するプレイヤーが普通の大会じゃないっていう要素は抜きにして、そもそもこのフォーマットではコントロールデッキをプレイするべきじゃないと結論付けた。理由はもちろん赤黒の存在だ。ルイス・サルヴァットやアンドレア・メングッチたちとプレイテストにかなり時間を使ったが、赤黒のゲームプランは非常に強固で、50%以上の勝率を出せるマッチアップはなかった。青黒ミッドレンジは俺の好きなタイプのデッキだし最も有望だと思っていたが、《スカラベの神》を対処されないような都合の良い展開以外ではあまり勝てず、良いマッチアップとは言いがたいというのが俺の意見だ。世界選手権でコントロールを使うプレイヤーはほぼいないというのは読み通りだったが、フィールドの80%は赤黒だと思っていたので、予想よりは少なかったみたいだな」
――「話をモダンに移しますね。モダンでもテフェリーを使っているあなたにあえて聞いてみたいんですが、今のモダンでベストなアグロデッキは何だと思いますか?その理由は?」
ハビエル「大方のプレイヤーと同じ意見だと思うが、5色人間は頭一つ抜けて強い。アグロという括りじゃなくてもね。それは俺がGPでジェスカイコントロールを使った理由の1つでもある。最近は青白のコントロールが目立っているが、ジェスカイの方が5色人間だけではなく、全てのマッチアップに対応する力があるという考えだ。特に小さいクリーチャーを沢山使うデッキに対する相性だね」
目指すべき道、勝利の理由
――「プロツアーでもコントロールを使うようになったあなたが今後目指すプレイスタイルというものはありますか?」
ハビエル「コントロールデッキをプロツアーで使う準備はできた。自信もあるよ。かといって、プレイテストの結果コントロールデッキの立ち位置が悪いときに選択したりはしないだろう。常にベストデッキを選ぶことを信条とするよ」
――「最後に、2年連続でのトップ4進出本当におめでとうございます」
ハビエル「こちらこそ祝福ありがとう。まったく最高の気分だ。俺たちのプレイテストは正しいことが証明されたと思う。それに、最高の環境で最高のプレイヤーたちと試合ができて素晴らしい体験だった」
――「ちなみに、この大会で勝てた理由というのはありますか?」
ハビエル「いつものプロツアーではリミテッドは不安要素の一つだが、 今回のドミナリアドラフトはかなり練習を積んでいて得意な環境なんだ。愛していると言って過言ではない。基本的にゲームが遅く、それも手伝って沢山の重いカードがプレイアブルなので、ユニークなデッキを作ることが許される。俺はファーストドラフトではとても遅いグリクシスコントロールをドラフトし、セカンドでは逆に《ケルドの炎》を活用したほぼ赤単の高速デッキを作って3-0した。引き出しの多さが問われる環境で、対応しきるには難解すぎるということさ」
――「ありがとうございました!Hareruya Prosのワンツーフィニッシュに期待しています!」
▼世界選手権2018 現地レポートトップへ戻る