By Akihisa Tomikawa
デッキテクを取ろうと参加者のリストを眺めていると目に止まったカード名が一つ。
《小悪魔の遊び》!?
こ、こ、こ、これだあああーーー!!!
あなたは「バブルマン」というデッキを覚えているだろうか?
グランプリ・名古屋2018で開催された日本レガシー選手権・秋。こちらで披露された田村 一の「シルバードラゴン」は見ただろうか?
彼らの始祖、本拠地たるLineグループの設立者。
ミスターサルベイジャーコンボ、田中 幹人がついに登場だ!
4 《教議会の座席》
3 《古えの居住地》
3 《産業の塔》
1 《空僻地》
4 《古えの墳墓》
2 《裏切り者の都》
1 《発明博覧会》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地 (20)- 3 《歩行バリスタ》
1 《練達飛行機械職人、サイ》
3 《オーリオックの廃品回収者》
2 《難題の予見者》
-クリーチャー (9)-
4 《直観》
1 《堀葬の儀式》
4 《アンティキティー戦争》
1 《アズカンタの探索》
1 《ギラプールの霊気格子》
4 《虚空の杯》
4 《オパールのモックス》
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》
3 《ディミーアの印鑑》
1 《連合の秘宝》
2 《ウルザの後継、カーン》
-呪文 (31)-
2 《エーテル宣誓会の法学者》
2 《魔術遠眼鏡》
2 《Helm of Obedience》
1 《古えの遺恨》
1 《コジレックの帰還》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《漸増爆弾》
1 《防御の光網》
-サイドボード (15)-
サルベイジャーコンボに訪れた変化
――「さっそくですが、《小悪魔の遊び》はどこから出てきたカードですか?イニストラードブロックリミテッドで猛威をふるったX火力という認識しかなかったのですが……」
田中「このカードは追加のフィニッシャーとして採用されています。《歩行バリスタ》ではタフネス2のクリーチャーを除去するのに4マナかかりますが、こちらは3マナですからね。なにより無限コンボを挟まなくとも10点くらいは削ることができます。例えば4マナから3点与えて、次のターンに《ライオンの瞳のダイアモンド》で火種を用意すれば4点で計7点です。このデッキは《古えの墳墓》、《裏切り者の都》といった2マナランドや《オパールのモックス》、《ディミーアの印鑑》などのマナアーティファクトを採用しているので、白青主体のデッキなのに大きい《火の玉》ができあがります」
――「1年半前のリストと比べると、デッキの内容が大きく変わりましたね」
田中「そうですね。基本的にサルベイジャーコンボは《オーリオックの廃品回収者》で《ライオンの瞳のダイアモンド》を好きなだけ回収して無限マナから勝つデッキですが、『ドミナリア』に収録された《アンティキティー戦争》、《ウルザの後継、カーン》といったアーティファクトシナジーのあるカードにより、別軸からプレッシャーをかけられる構成に変化しています」
――「どちらもカードを探しながらフィニッシャーも兼ねているカードということですね!」
田中「このデッキの最強カードは《アンティキティー戦争》です。以前私のブログでデッキの動かし方を書いているのですが、初見殺しの《虚空の杯》をはじめとして、アーティファクトが並びやすい構築なので対処されなければ簡単に勝てます。むしろこのカードのためにアーティファクト土地を増量しました」
――「前回Top8に残られた際、プロフィールでベストカードに《直観》を挙げられていますが」
田中「そうですね。これは《死儀礼のシャーマン》が禁止されたことにより採用したカードです。具体的には《オーリオックの廃品回収者》・《ライオンの瞳のダイアモンド》・《堀葬の儀式》・無限マナ時のフィニッシャーを選択します。これら4つのうち1枚でも手札か墓地にあればコンボが成立します」
――「『けち堀葬』コンボ!(※)《けちな贈り物》は《直観》の子孫ともいえるカードですが、お互いのメインフィールドがモダンとレガシーなので、こういう使い方は見たことがなかったです」
田中「そうですね。レガシーの《直観》は主にスニークショーで使われ、3枚同じカードを持ってきて『どの《引き裂かれし永劫、エムラクール》にする?(*^^*)』というカードなので、3枚とも違うカードを選択するデッキはサルベイジャーしかないかもしれません」
※《けちな贈り物》で《堀葬の儀式》と大型クリーチャーを墓地に落としリアニメイトするコンボ。主にモダンで使われる。参考記事はこちら
――「サルベイジャーコンボといったら《Lodestone Bauble》!という印象を持っていましたが、もう採用されないカードなのでしょうか」
田中「そんなことはないですよ! 今回は試したいカードが多く、フィニッシャーは《小悪魔の遊び》に枠を使ったため抜けてしまいましたが、1-2枚は入れておきたいカードです。特にメタゲームの変遷で《神聖の力線》が流行るようですと、プレイヤーを対象に取ることなく勝てるこのカードが戻ってくるでしょうね」
カードチョイスについて
――「採用理由や用途がわからないカードがあるので解説をお願いします」
田中「前述の田村さんイチオシのカードです。ほとんどのカードが手札にあっても墓地にあっても機能するので、相手が極端に早いデッキのとき以外は抜かないですね」
田中「今回は使っていませんが《基本に帰れ》対策としてサイドボードに《突然の衰微》を入れようとしていたので、無理やり(黒)(緑)を出すために採用しました。少し懐かしいカードですね」
田中「《古えの墳墓》経由で出てきてそのまま勝ったりすると、相手がサイドボードを間違えることもあります。関西ではデッキが顔バレしているので、そこに対するカウンターパンチです」
田中「デス&タックス対策です。色を持たない《紅蓮地獄》なので《ルーンの母》を除去するために使います。インスタントであることを利用して《リシャーダの港》起動スタックでも使いますね。便利なカードです」
――「5点ダメージって飛ばせます?」
田中「それどうやってやるんでしたっけ!??w 《歩行バリスタ》ならワンチャン……。いや、エルドラージじゃないから無理ですねw」
最後に サルベイジャーコンボに興味がある方へ
――「最後になりますが、このデッキを使う上で意識していることを教えてください」
田中「このデッキで強いカードに順位をつけるなら
1位《アンティキティー戦争》
2位《直観》
3位《ライオンの瞳のダイアモンド》
です。しかし、あくまでもサルベイジャーコンボを軸にしているので、《ライオンの瞳のダイアモンド》を強く使うことを意識するべきです」
田中「また、アーティファクトと墓地をテーマにしているデッキなので新しいエキスパンションが出るたびに強化されていくのも魅力の一つです。《アンティキティー戦争》、《ウルザの後継、カーン》、《練達飛行機械職人、サイ》。これらはスタンダードのカードですが、このデッキに大きなブレイクスルーを与えてくれました。『ラヴニカのギルド』では《実験の狂乱》を試してみたいと思っています。このように、立ち止まることなく新しいシナジーを探求するのが重要です」
――「ありがとうございました」
以上、アテリエル先生による平成最後のサルベイジャーコンボ講座でした。急なお願いでしたがとても詳しいご解説ありがとうございます。
今回の記事でも伝えきれない深遠なるサルベイジャーコンボの世界。
ご興味のある方はぜひアテリエル先生(@atelier_MTG)までお願いします。