By Hiroshi Okubo
競技人口は徐々に増えてきているらしいが、未だヴィンテージ界は閉ざされた世界であると認識しているものは少なくない。事実、競技イベントに集まるプレイヤーたちはその絶対数が少ないがゆえに全員が顔見知りといったこともザラで、上位に入賞するプレイヤーも毎回同様のメンバーになりがちだという。もちろん、裏を返せば「先手超有利」「運ゲー」などと称されることも多いヴィンテージにも大いに技術介入の余地があり、常勝と呼ばれるプレイヤーにはそれを裏付ける確かな実力が伴っているという証左足り得るのだが。
さて、過去のヴィンテージ神挑戦者決定戦でも、毎回必ずトップ8に名前が挙がるプレイヤーがいた。《ドルイドの誓い》コンボを主軸に、独自の調整が施された「オース」デッキを操る高橋 研太だ。
これまで惜しいところで勝利を逃してきた高橋だったが、しかし毎回決勝ラウンドへ駒を進めてきたその実力に疑いの余地はない。今回は見事悲願を成就させ神への挑戦権を勝ち取った高橋にインタビューを行った。
胸を借りる気持ちで
――「高橋さんは今回ついにヴィンテージ神の挑戦権を獲得されました。今の率直なお気持ちをお聞かせください」
高橋「いやぁ、長かった!! やっぱり決勝ラウンドまで行って負けるというのが一番心にクるので(笑)。第9期のとき決勝で倉田さんに負けて3没してしまったときは結構精神的に荒みましたよ……」
- 2017/07/02
- 決勝: 高橋 研太(長野) vs. 倉田 由彦(神奈川)
- 渡辺 和樹
高橋「今回は正直引きに助けられた部分もありますが(笑) やっぱり優勝は嬉しいですね」
――「おめでとうございます。これまで高橋さんはずっとオースを使い続けられていますが、ズバリ、オースデッキの魅力とは何でしょうか?」
高橋「《ドルイドの誓い》と《禁忌の果樹園》さえ入っていればデッキとして成立するので、構築の幅が広いところが魅力ですね。残るパーツは自由に自分の味付けができるので楽しいです。ヴィンテージを始めようと思ったきっかけ自体、過去のヴィンテージ選手権でオースデッキを見てかっこいいと感じたからなんです。だからなのか、他のデッキを組んでも最終的にはオースに戻ってしまうんですよね」
――「なるほど。では最後に、今回挑戦する第11期ヴィンテージ神の鳥海さんへの印象などをお聞かせ願えますか?」
高橋「いつも大会でお会いするのですが、いろいろなデッキを使いこなしていらっしゃるので正直読みにくいですね。ただ、あまり勝ち負けに息巻くというよりは胸を借りる気持ちで、バチバチ戦うというよりはワイワイ楽しめたらいいなと思います」
愛する「オース」という得物を握り続け、ついにヴィンテージ神への挑戦権を獲得した高橋。その存在は鳥海にも知られており、オースの第一人者という認識を持たれているようだった。
今回悲願を達成し見事に勝利を収めた高橋は、この勢いのままにヴィンテージ神・鳥海を打倒することができるのか? 来る神決定戦にも期待が高まる。