By Atsushi Ito
2年連続ポイントランキング2位。
それが簗瀬のPWCにおける肩書きだ。
昨年はあと一歩のところで【9代目ミスターPWCを中道(大輔)】に阻まれ、今年は【10代目ミスターPWCの三宅】にわずかに届かなかった。
もしPWCのポイントランキングに「準ミスター」なる称号があったとしたら、簗瀬は「2年連続準ミスター」という称号を得ていたところだが、そんな称号は存在しないので、簗瀬は何のタイトルも手にしてはいない、無冠のいちプレイヤーに過ぎない。
だが、今年最後までミスターPWCを競り合った強敵(とも)でありライバルでもある三宅は、ミスター襲名時のインタビューで「来年はカナメがミスターをとるでしょう」と言った。
だからきっと、すぐに簗瀬の時代が来る。
そしてそれはもしかしたら、早くもこのPWCCで見られるかもしれないのだ。
ここまで4-0の簗瀬。PWCチャンピオンシップ優勝を目指し、フィーチャーマッチで平田(なお平田は都道府県のところに「晴れる屋」と書くよう希望していたことを付記しておく)と激突する。
アブザンアグロ(平田)対青黒コントロール(簗瀬)。
簗瀬、2年連続でミスターを逃した鬱憤をここで晴らすことができるか。
Game 1
土地がある限りかなりマリガン基準が緩い青黒コントロールだが、土地が4枚とはいえスペルが《時を越えた探索》《時を越えた探索》《真珠湖の古きもの》という超ヘビー級のラインナップではマリガンせざるをえない簗瀬。
それでも《思考囲い》で
《羊毛鬣のライオン》
《先頭に立つもの、アナフェンザ》
《先頭に立つもの、アナフェンザ》
に土地が4枚という平田の手札から、《先頭に立つもの、アナフェンザ》1枚を奪い去る。
《羊毛鬣のライオン》に殴られつつも《先頭に立つもの、アナフェンザ》は《解消》し、その後メインで《羊毛鬣のライオン》を《胆汁病》した簗瀬。ここまでは順調なコントロール具合だ。
だが2体目の《羊毛鬣のライオン》が出てきたところで、簗瀬は選択を迫られる。
《英雄の破滅》と《信者の沈黙》、どちらを使うか。
ドロー呪文を引いていない現在、スペル2枚分として働く可能性がある《信者の沈黙》は貴重だ。また、今後《ラクシャーサの死与え》が出てきたときに《英雄の破滅》では対処できない。
だが《英雄の破滅》を使ってしまうと、それはそれでプレインズウォーカーに対処できなくなってしまう可能性がある。
簗瀬の選択は、《英雄の破滅》だった。
平田 稔 |
しかし返しで平田がキャストしたのは《真面目な訪問者、ソリン》!!
簗瀬の選択が完全に裏目った格好。どうにか《時を越えた探索》を引き込むが、7枚の中に《英雄の破滅》はなく、じわじわと追い詰められていく。
そして3点ずつライフを削られていたところでプレイされた《先頭に立つもの、アナフェンザ》を《解消》し、トップに《命運の核心》を残したところで。
再生マナ残しの《ラクシャーサの死与え》を通され、まずは平田が1ゲームを先取した。
平田 1-0 簗瀬
Game 2
《羊毛鬣のライオン》には《英雄の破滅》。
《責め苦の伝令》と《包囲サイ》は《危険な櫃》でご退場を願い。
《ラクシャーサの死与え》を《信者の沈黙》、《真面目な訪問者、ソリン》に対しては《軽蔑的な一撃》。
《先頭に立つもの、アナフェンザ》には《解消》を合わせ。
《羊毛鬣のライオン》《ラクシャーサの死与え》と並んだところで、《信者の沈黙》を「奮励」でお見舞いし。
さらなる《包囲サイ》も《軽蔑的な一撃》。
この間、空いたマナを使って《ジェイスの創意》《時を越えた探索》《時を越えた探索》を通している。
すなわち。
簗瀬 要 |
完璧な、コントロール。
そしてフィニッシャー、《真珠湖の古きもの》が降臨。
返す《太陽の勇者、エルズペス》は《軽蔑的な一撃》。
ここで平田は投了したが。
簗瀬の手札には、なおも《解消》があった。
平田 1-1 簗瀬
Game 3
簗瀬 「後手は《思考囲い》がなくてもきついんだよね……」
と語った簗瀬が再びマリガン。しかも平田に2ターン目に《思考囲い》を撃ちこまれると、
簗瀬 「そういうのやめましょうよ(笑)」
とこぼす。
《信者の沈黙》
《命運の核心》
《時を越えた探索》
に土地3枚というラインナップから《信者の沈黙》を落とされると、《先頭に立つもの、アナフェンザ》《ラクシャーサの死与え》という太い攻撃陣を前に土地を置き続けることしかできない。
他にできることもないため、《ラクシャーサの死与え》の再生マナがあるのに《命運の核心》を撃たざるをえないが、返しでフルタップでキャストされたのはダメ押しの《包囲サイ》!!
簗瀬 「2枚しか入ってないんだよね、《命運の核心》……」
平田にも見えるよう、諦め気味に叩きつけたトップのカードは……
土地だった。
平田 2-1 簗瀬