本大会ではスイスラウンドの順位に関わらず、先手後手を決め直しての決勝ラウンドとなる。
八十岡-ボロスバーン、吉澤-青単信心という、どちらがイニシアティブを取るか、この重要な選択は運命のダイスロールに委ねられることに。
だが運命の女神は八十岡に微笑んだ。
結果的にはスイスラウンドの順位通り八十岡が先手を取り、”スタンダード神決定戦”長いスイス9回戦を終え、いよいよシングルエリミネーションが始まる。
Game 1
このゲーム、最初のアクションは八十岡の《若き紅蓮術士》から。
吉澤が赤系デッキに効果覿面な《凍結燃焼の奇魔》を呼び出すと、ノータイムで《岩への繋ぎ止め》。
先手を取れた以上、テンポ良く攻めていきたいという方針に迷いは無い。
手札に《凍結燃焼の奇魔》を持つ吉澤だが、マナカーブ通り《夜帷の死霊》を呼び出すと・・・・これに八十岡は対応できない。
エンドに《ショック》を吉澤に投げつけエレメンタルトークンを呼ぶものの、ターンを返すことしか出来なかった。
この八十岡のノーアクションに対し、吉澤は意気揚々と《波使い》を。
八十岡は引いてきた《ミジウムの迫撃砲》で《夜帷の死霊》を処理するものの、吉澤が続けたのはまたしても《波使い》！
戦場には一挙6枚もの3/2エレメンタルトークンが。
苦し紛れに《若き紅蓮術士》で攻撃してみる八十岡だが、《頭蓋割り》の可能性もある吉澤はもちろんブロックすることは無い。
そして波に乗る吉澤が3枚目となる《波使い》を叩き付けると、八十岡に出来ることは何も残されていなかった。
吉澤 薫
八十岡 0-1 吉澤
Game 2
“初手には無かった”1マナアクションとして《雲ヒレの猛禽》からゲームを始める吉澤。
そして八十岡の《若き紅蓮術士》を《潮縛りの魔道士》して攻勢に出る。
だが八十岡の《予言の炎語り》に対して回答を持たず、《海の神、タッサ》を出すのみに留まり・・・・この《予言の炎語り》が大爆発！
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吉澤はチャンプブロックの選択肢もあったのだが、ここは腹を括ってテイク本体したことが八十岡のビッグターンを生んでしまう。
《変わり谷》
《マグマの噴流》
《予言の炎語り》がこの強力な二枚を導き出し、八十岡はもちろん《変わり谷》を置きながら都合二体目となる《若き紅蓮術士》を呼び出すと、《潮縛りの魔道士》に《マグマの噴流》。
《予言の炎語り》、2人の《若き紅蓮術士》、2体のエレメンタルトークンと圧倒的な盤面を作り上げる。
吉澤は《凍結燃焼の奇魔》を出し守ろうとするのだが、八十岡は構わず《変わり谷》を起動し総攻撃。
《変わり谷》で《予言の炎語り》をチャンプ、《凍結燃焼の奇魔》で《若き紅蓮術士》を討ち取るが、八十岡は都合3体目となる《若き紅蓮術士》を呼び出しターンを終了する。
しかし不利を承知で《雲ヒレの猛禽》が攻め続けたおかげか、吉澤がここで《夜帷の死霊》を呼び出すと、いよいよ《海の神、タッサ》が顕現して攻撃を開始。
押し込まれだすと《海の神、タッサ》の能力が問題になってくる八十岡、ライフはまだ十分と言えるもののここは慎重に《若き紅蓮術士》でチャンプブロック。
一見すると八十岡が圧倒的にも見えた盤面だったが、吉澤の場にそびえ立つ《凍結燃焼の奇魔》《夜帷の死霊》の防御網が存外に硬い。
一本目で問題になった《波使い》を気にしたか、八十岡は《岩への繋ぎ止め》の選択肢を慎重に吟味するものの、ここは《夜帷の死霊》をロックして攻めの構え。
吉澤は《予言の炎語り》を止めてライフ6、ただ八十岡に動きが無いところを見ると、《予言の炎語り》で稼いだアドバンテージがあっても燃料不足に陥っているようにも見受けられる。
待っていても有利にならないと感じたか、ライフ6対14の盤面でも吉澤は果敢に攻撃を。
《雲ヒレの猛禽》《海の神、タッサ》で攻撃を仕掛け、《夜帷の死霊》《凍結燃焼の奇魔》に守備を任せる。
八十岡 翔太
だが八十岡が《頭蓋割り》を放ち自身のターンに総攻撃を仕掛けると、吉澤の「次、行きましょうか」との一言で勝負は最後のゲームへともつれ込むことになった。
八十岡 1-1 吉澤
Game3
運命の第3ゲーム、吉澤の初手は《潮縛りの魔道士》そして2体の《波使い》。
最初のドローが《夜帷の死霊》で、これは明らかにぶん回りを予期させるものだ。
そのまま対象の無い《潮縛りの魔道士》を呼び出すと、ここには《夜帷の死霊》をケアして一度テイクした上でターンエンドの《稲妻の一撃》が。
吉澤は引いてきた《海の神、タッサ》を。
信心を溜め《波使い》、青単信心の基本戦術に身を委ねる。
だが基本が大事なのは八十岡も同じだ。
八十岡は《チャンドラのフェニックス》で攻めかかり、吉澤の《夜帷の死霊》には《払拭の光》。
信心を溜めさせないと同時に着実なクロックを刻み続ける。
だが《チャンドラのフェニックス》が《家畜化》されてしまうと、八十岡は《変わり谷》で殴り返すことしか出来ない。
そして満を持して戦場に投下される《波使い》。
ここでは八十岡も《岩への繋ぎ止め》を持っているのだが、構わず吉澤は2体目の《波使い》を。
丹念に殴り続けていた《変わり谷》に加えて《ボロスの魔除け》で吉澤のライフは8に追い詰めるのだが、ここで吉澤は《波使い》の3体目！
何も無ければ致死ダメージとなる《海の神、タッサ》、4体の3/2エレメンタルトークンが攻撃に向かう。
八十岡は《変わり谷》を起動し《海の神、タッサ》を止め、《頭蓋割り》《戦導者のらせん》を撃ち込んで・・・・
ライフは吉澤が1、八十岡が4となる。
八十岡の手札はここで0。
そしてトップを叩き付けると……
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吉澤 「これがプロの引きかぁ……」
八十岡 2-1 吉澤
実は八十岡、吉澤の両者も気付かなかったことだが、実は八十岡が負けていた。
《頭蓋割り》《戦導者のらせん》の順序で使ってしまったため、本来であれば八十岡のライフは回復することなく0になってしまっていたのだ。
互いに気付かず進行してしまっていたため仕方ないことだが、手順ミスにより八十岡が敗北していた未来もまた存在していた。
弘法も筆の誤り。
マジックは何が起こるかは分からない。
また結果的に敗北してしまった吉澤だが、彼がしきりにアピールしていたお手製トークンについては取り上げておきたい。
友人である画伯に書いてもらったというエレメンタルトークン＆トカゲトークンがこれだ。
このエレメンタルトークンを楽しそうに並べていたのが非常に印象的な姿だった。
マジックを楽しむ姿勢、神に挑もうとするのなら忘れるべきではないのかもしれない。
