Round 5:杉中 俊哉(神奈川) vs. 森 勝洋(東京)

晴れる屋

By Daisuke Kawasaki

「レガシーやるの久々なんだけど……5年ぶりかな」

 森が語っているトーナメントは2007年の世界選手権のことなので、実は6年前なのだが、細かい話はおいておこう。

 なんにしろ、この年、森は初めてのレガシーで齋藤 友晴作のTomb Stompyを使って見事トップ8入賞を果たしたのだが、これ以来、公式大会でレガシーをやった記憶がないとのことだ。

「だから、人生のレガシーの通算成績は、5勝1敗だよ」

 ここを見てもらえればわかるように、森の通算成績は4勝1敗なのだが、まぁ、細かい話はおいておこう。とにかく、記憶も曖昧なくらい久々のレガシーということだ。

 とはいえ、このマッチのようにレガシーを普段やっていなくとも、マジックであれば対応できる森である。今回も齋藤から提供された白青赤クロック・パーミッション、通称パトリオットを託されているとのことで、華麗なプレイに期待だ。

 対する杉中は、森と対照的に、AMCなどを中心でレガシーをメインにプレイしているプレイヤーだ。

 今回の大会のこともあり、スタンダードもやりはじめたとのことなので、レガシープレイヤーからみたスタンダードについても聞いてみた。

杉中 「レガシーに比べて、スタンダードの方が使われているカード1枚のパワーは高いですよね」

 一般的なイメージでは、レガシーの方がカードパワーが高い環境というイメージがあるが……

杉中 「いや、結局戦うマナ域が違うんですよね。レガシーは軽くて強いカードを使うし、(《不毛の大地》《もみ消し》もあるので)そもそもマナが並ばないゲームも多い。スタンダードはそんなことが無いので、コストの高いカードパワーの高いカードを使えるんで、単体のカードパワーはスタンダードの方が高いんですよ」

 とのことで、勝手の違うスタンダードには苦戦したものの、2勝2敗という成績で折り返し、得意のレガシーラウンドへと突入した。

 できれば初日は2敗前後で折り返したい所。果たして、このマッチを制するのはどちらか。



Game 1


 先手の杉中がキープし、森はマリガン。マリガン後に山札トップを見て「やるべきだった!」と目を見開いた森。続く6枚は《稲妻》2枚に《秘密を掘り下げる者》《Force of Will》《剣を鍬に》と充実しているものの、土地が《Volcanic Island》1枚というものだったが、これをキープする。

 1ターン目、杉中はフェッチから《山》を持ってくると、《霊気の薬瓶》をプレイ。対して、森も《Volcanic Island》から《秘密を掘り下げる者》をプレイする。

 返すターン。杉中は《霊気の薬瓶》にカウンターを置いてから《不毛の大地》をプレイし、森の《Volcanic Island》を破壊する。

 森は《秘密を掘り下げる者》こそ変身できなかったものの、土地を引き込み、フェッチをセットしてアタックの末、ターンエンド。このエンドに過ぎ中は《ゴブリンの従僕》《霊気の薬瓶》から呼び出すが《稲妻》されてしまう。《スカークの探鉱者》をプレイすると、さらなる《不毛の大地》で土地を破壊する。

 続くターン、森はトップの《稲妻》をめくり、《秘密を掘り下げる者》を変身させるが、これはすなわち、森が土地を引けなかったことを意味する。3点のダメージを与えて終了。

 ここで、《霊気の薬瓶》のカウンターを3つにした杉中は《ゴブリンの酋長》を能力で呼び出す。このままでは、盤面で押されて切ってしまう森。杉中は優位を確定させようと《棘鞭使い》をプレイするが、これは《渦まく知識》を追放しての《Force of Will》で耐えしのぐ。

 とは言え、状況は非常に悪いのだが…この大一番で森は《Volcanic Island》を引き込むことに成功し、これをセットし、3点のダメージを与え、杉中のライフは9。

 杉中は、さらに《ゴブリンの戦長》を追加して森のライフを削っていくのだが……ターンエンドに《稲妻》を本体に打ち込まれ、ライフが3となるとすべてを悟る。森の手札には3枚めの《稲妻》が。



森 1-0 杉中

 さて、ここでマッチとマッチの合間にサイドボーディングを行うわけなのだが、ゴブリン相手に後手では効き目の薄い《目くらまし》をサイドアウトしようとした森。なのだが……4枚入っているはずの《目くらまし》が探しても探しても3枚しかない。

 ここで森はジャッジをコールし、デッキリストとデッキの内容の照合を申し出る。結果、森のデッキの《目くらまし》のうち、1枚が《渦まく知識》と間違えて投入されていたことが判明し、森がゲームロスの裁定を受けることとなった。

「借りてきたデッキ、そのまま使ったらこれだよ!」

Game 2


 互いにキープした1ターン目。森は《Tundra》セットからの《秘密を掘り下げる者》、対して杉中も《ゴブリンの従僕》というベストスタートなのだが、この《ゴブリンの従僕》《目くらまし》。更にアップキープに《剣を鍬に》がめくれたことで、《秘密を掘り下げる者》が変身する。

 森は、《秘密を掘り下げる者》でアタックした後に、相手の脅威に確実に対処できるように《不毛の大地》を警戒して《Tundra》をセットせずにターンを終了。対して、杉中は土地を並べてターンを返す。

 森は、《不毛の大地》で対応されない《汚染された三角州》を引いたので、これをセットして、さらに3点のダメージ。対して、杉中は《魂の洞窟》をゴブリンで宣言し、カウンターされない《ゴブリンの女看守》をプレイ、《タール火》を手札に加える。

 せっかくのクロックを確保したい森は《汚染された三角州》《Volcanic Island》フェッチすると、《渋面の溶岩使い》をプレイ。さらに、《Tundra》をセットして終了。ターンエンドに杉中は《霊気の薬瓶》《ゴブリンの従僕》を戦場に着地させる。

 この《ゴブリンの従僕》《剣を鍬に》で対応した森だったが、《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》は《タール火》で焼かれ、さらに赤マナ発生源である《Volcanic Island》《不毛の大地》で破壊されてしまう。

 返しのターンに《乾燥台地》をトップデックした森は、これをセットしてターン終了。対して、杉中はまず、自身のアップキープに《霊気の薬瓶》のカウンターを3にすると、フェッチを使用して土地を4枚に伸ばし、《ゴブリンの首謀者》をプレイする。しかし、これでめくれたゴブリンが《スカークの探鉱者》1枚という不運。結局、《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》の2枚をレッドゾーンに送り出す。

 森は手札に《剣を鍬に》を持った状態で、《霊気の薬瓶》からのロードをケアした形で《渋面の溶岩使い》の能力をプレイ。失点を1に止め、残りライフは16。返して、自身のターンに《渋面の溶岩使い》でアタックして杉中のライフを9にすると、すべてのマナを使って《石鍛冶の神秘家》をプレイし、《梅澤の十手》をサーチする。

 杉中は《霊気の薬瓶》のカウンターを4にし、《スカークの探鉱者》をプレイするが、《石鍛冶の神秘家》が邪魔でアタックできない。ターンエンドに森は《石鍛冶の神秘家》の能力を起動。ここでバトルゾーンにでるのが、もともと手札に持っていた《殴打頭蓋》

 だが、杉中はカウンターが4の《霊気の薬瓶》を起動すると、《タクタクの潰し屋》を戦場にだし、《殴打頭蓋》を破壊する。

 森は《汚染された三角州》をセットしてターンを終了。杉中は《タクタクの潰し屋》でアタックすると、《モグの戦争司令官》をプレイし、戦線を面で広げる。さらに、森がターン終了時に《渋面の溶岩使い》で本体を狙い、さらに《汚染された三角州》を起動した所で《渋面の溶岩使い》へと《タール火》を打ち込む。森は、持ってきた《Volcanic Island》で本体に《稲妻》。これで杉中のライフは4、対して森は12。

 《渋面の溶岩使い》が除去されたことで、このターンでの勝利は望み薄となった森だが、《秘密を掘り下げる者》《渋面の溶岩使い》とダメージソースを用意してターンを終了する。

 このターンに勝利しなければ、次のターンに負ける気配が濃厚な杉中。まずは《ゴブリンの女看守》をプレイすると、《ゴブリンの首謀者》をサーチ。そして、《霊気の薬瓶》によって《ゴブリンの首謀者》をプレイする。……のだが、この《ゴブリンの首謀者》でめくれたゴブリンも《群衆の親分、クレンコ》のみ。

 森が火力を持っていないことに賭けて《スカークの探鉱者》を利用して、《群衆の親分、クレンコ》を召喚し、次のターンに勝利するプランを組み立てた杉中だったが、森の手札には《稲妻》が握られているのだった。



森 2-0 杉中