Round 4:吉森 奨(神奈川) vs. 石井 泰介(神奈川)

晴れる屋

晴れる屋

By Atsushi Ito

 スタンダード4回戦目。

 すなわち、ここさえ過ぎればプレイヤーたちは、いよいよレガシーという名の大海へと漕ぎ出すことになる。

 全勝街道をひた走るか、1敗で折り返すか。

 その瀬戸際に、3戦全勝で堂々の1番テーブルからフィーチャーマッチへと呼ばれたのは。

 さすがの貫禄。

 プロツアー参加経験もある強豪の吉森と、グランプリチャンピオンの石井だ。

 やはりスタンダードラウンドはスタンダード勢の庭ということなのだろうか。

吉森 「モバマス勢対決ですねw」

石井 「(都道府県のところに)921プロって書いてもいいのかなw」

 と、知り合い同士気さくによくわからない会話を交わしつつ、互いのデッキをシャッフル。

 無敗のままレガシーラウンドへと折り返すことができるのは、はたしてどちらのプレイヤーか。



Game 1

 ダイスロールで3回も引き分けた激戦のあと、石井がようやく先手をとる。この環境ではありがちな《静寂の神殿》での『占術』スタートに対して吉森が置いたのは《沼》。同型対決を彷彿とさせる土地の並びだ。

 対戦相手が同型とみるや早速仕掛けたのは吉森。後手2ターン目の《群れネズミ》《英雄の破滅》を使わせると、続けて《夜帷の死霊》を送り出す。

 するとここで石井、この《夜帷の死霊》を除去することができない。

 やむなく《地下世界の人脈》を置くが、石井のライブラリーから《夜帷の死霊》が奪い取ったのはあろうことか《群れネズミ》!!

 しかも、一発逆転に賭けてプレイした《ヴィズコーパの血男爵》も、返すターンに一瞬にして《肉貪り》されてしまう。

石井 「あぎゃー」

 一匹見れば百匹いると考えた方がいい……かどうかは定かではないが。

 ついに《群れネズミ》が増殖し始めると、基本的に単体除去しか入っていないメインボードでは手がつけられない。

 続けて2体目の《ヴィズコーパの血男爵》《肉貪り》されてしまうと、《変わり谷》も合わせた強烈なネズミビートが石井のライフを見る間に削っていき。

 そのまま石井はネズミの群れに埋もれてしまった。

吉森 1-0 石井

吉森 「黒白コン相手だとサイドが難しいんですよね……」

石井 「(《ヴィズコーパの血男爵》がいるせいで)《肉貪り》をサイドアウトできないからねー」

Game 2

 吉森の後手1ターン目《思考囲い》が、

《群れネズミ》
《ヴィズコーパの血男爵》
《ヴィズコーパの血男爵》
《闇の裏切り》
《英雄の破滅》

 という石井の手札から《群れネズミ》を落とし、先手2キルのイージーウィンをまずは防ぐと、さらに《生命散らしのゾンビ》《思考囲い》とプレイして《ヴィズコーパの血男爵》の降臨を許さない。

 一方、完全に身がなくなったように見えた石井だが、《地下世界の人脈》をトップデッキ。手札を拡充しにかかる。

 対する吉森、こちらも最序盤としてはまずまずの攻防から《地下世界の人脈》プレイにまでつなげたはいいものの、土地が4枚から一向に伸びない。



 カードを引き増しながらの石井の猛攻を《闇の裏切り》などを駆使しながら捌きつつ、懸命に5枚目の土地を求めるが、なかなかたどり着くことができない。

 ここで《思考囲い》で公開されたそんな吉森の手札は、当然ながら

《アスフォデルの灰色商人》
《アスフォデルの灰色商人》
《夜帷の死霊》
《死者の神、エレボス》
《英雄の破滅》
《肉貪り》
《群れネズミ》

 というハイカロリー。

吉森 「どれでもいいですよw」

石井 「地味に難しいな……w」

 石井は悩んだ末に《死者の神、エレボス》を落としつつ、《アスフォデルの灰色商人》で攻めたてる。

 と、ここでようやく5枚目の土地を引き込んだ吉森だが、寸秒が惜しいこの局面でタップインの《静寂の神殿》で、いまいち噛み合わない。

 《罪の収集者》《肉貪り》を追放した後、石井がようやく引き込んだ《群れネズミ》をプレイし、吉森に回答を迫ったところで、返す吉森は満を持して《群れネズミ》プレイからの《アスフォデルの灰色商人》!!

 《地下世界の人脈》2枚をコントロールしているため、何もなければ一挙7点ドレインというところ。

 だが。

 これに対し石井が4マナからプレイしたのは、《闇の裏切り》《今わの際》+《損耗/Tear》!!

吉森 「7点くらいいいじゃないですかw」

石井 「いや、死ぬがなw」

 予想外の一挙3行動で『信心』を2にまで落とし込む好プレイにより、吉森の逆転の目を潰しにいく。

 そうして1ゲーム目とは対照的に、ついには石井がネズミビートを開始してしまい。

 ブロッカーとして《夜帷の死霊》を出してはみるものの、あまりに暴力的なネズミの群れを押しとどめることができず。

 吉森は3ゲーム目に進むことを選択した。

吉森 1-1 石井

吉森 「引けば勝てるカードあったのに……クソみたいなミスしたなー」

 そう、実は吉森はこのゲームで、石井の《アスフォデルの灰色商人》《闇の裏切り》するとき、『信心』のドレイン能力にスタックするべきところ、それを失念し、余分なダメージを負った結果、死ぬターンが1ターン分縮まってしまっていた。

 もちろん、それくらいで結果は変わらなかったかもしれない。

 だが、ひょっとしたら変わっていたかもしれないのだ。

 このミスが、どう響いてくるか。

Game 3

 吉森の1ターン目《思考囲い》で石井の《思考囲い》が墓地送りとなると、さらに《群れネズミ》《肉貪り》で屠り、《生命散らしのゾンビ》で石井に3点クロックを突きつける。

 これに対し石井、落ち着いて《地下世界の人脈》でアドバンテージを取りにいくが、《変わり谷》まで含めた吉森の全力のアタックでライフが詰まっていく。

 《英雄の破滅》《生命散らしのゾンビ》を、《今わの際》2枚で《群れネズミ》を処理するが、吉森のコントロールしている《変わり谷》2体が厳しい。

 もっとも、苦しいのは吉森も同様だった。《変わり谷》2体によるライフ攻めにすべてを賭けるしかないほどに、スペルを全く引いていないのだ。

 ブロッカーとして立ちはだかろうとした石井の《変わり谷》《肉貪り》してまで戦線をこじ開けるが、石井の残りライフ5点を残して既に吉森に他のリソースはない。

 石井が盤面を止めるか。吉森が刺しきるか。



 何か引っけ!

 と念じたかどうか、はたして石井のドローは《群れネズミ》!!

 これはトークン含めて2体の《変わり谷》と刺し違えるが。

 ついに。

 ついに吉森の場に残されたパーマネントは大量の《沼》のみ。

 だが、石井のライフもわずかに1。

 すなわち、トップデッキ対決に突入する。

 吉森がいきなり《夜帷の死霊》で王手をかけるが、これは石井の《漸増爆弾》でケアできている。

 そして。その時は訪れた。

 石井が力強く引き込んだのは、《アスフォデルの灰色商人》

 これによりわずかとはいえライフを引き戻した石井、《死者の神、エレボス》でさらなるリソースを獲得していく。

 対して。

 2ゲーム目のプレイミスを黒の神、《死者の神、エレボス》が咎めた……のかは知らないが。

 吉森のドローは、最後の最後まで《沼》なのだった。

吉森 「さすがに何も引かなさすぎでしょ……w」

 苛立たしそうにめくったライブラリートップ3枚には、そんな吉森を嘲笑うかのように《アスフォデルの灰色商人》《エレボスの鞭》《群れネズミ》と並んでいたのだった。

吉森 1-2 石井