Round 3:藤田 剛史(大阪) vs. 田澤 雅之(東京)

晴れる屋

晴れる屋

By Daisuke Kawasaki

 本日唯一の「殿堂」インヴァイトで大会に参加している藤田 剛史(大阪)。

 日本人最初のプロツアートップ8入賞プレイヤーであり、そのプレイスキルはもちろんのこと、特にデック構築能力の高さで世界から評価されている。

 そんな藤田が、今回のThe Last Sunに持ち込んだデッキ、それが……なんとグランプリ・静岡で高尾 翔太が準優勝したエスパーミッドレンジなのだ。

藤田 「いや、このデッキは強い。とにかく、強い。つかわんやつはアホ」

 と、このデッキを選択した理由を語る藤田。赤と緑には厳しいものの、青・白・黒という環境のトップを占めている3色に強いというのが使ったメインの理由だという。

藤田 「最初、リストを見た時は『ホンマ!?』って思ったんだけど、実際に使ってみたら強かった。クリーチャー戦を楽しめる環境でも数少ないデッキだよ」

 大絶賛の藤田。ちなみに、プレイに関しては

藤田 「うーん……オレはこういうクリーチャー戦をするデッキを使い慣れてるからそこまで最初は苦労しなかったけど、難しい部分が結構あると思うから、慣れないと難しいし、だから弱いって思う人がいてもおかしくないんじゃないかな」

 と、面白いゆえの難しさについて触れている。なんにしろ、マッチ開始前からデッキについてはお気に入りの様子が伺われた。

藤田 「こういうデッキ、グランプリ前に教えて欲しかったわ。今後、こういうの作った人は大会前に僕にメールしてください」

 冗談のようで意外とこういうメッセージは本気な藤田。シークレットテックを思いついた方は、藤田までご一報を。

 さて、そんな藤田とマッチアップし、フィーチャリングされたのは田澤 雅之(東京)。このThe Last Sunのインヴァイトも、晴れる屋スタンダードとPWCの2大会で獲得しており、スタンダードにはかなりの自信がありそうだ。

田澤 「実はフィーチャリングはじめてなんですよね。すごい緊張しますね」

 使用するデッキは、藤田がエスパーミッドレンジが苦手にすると語った緑と赤の入ったデッキ、コロッサルグルール。

 果たして、色の相性で田澤が勝利するか、それとも、殿堂の技を藤田が魅せつけるか。注目したい。



Game 1


 先手の藤田が《静寂の神殿》で占術をすると、返しで田澤も《奔放の神殿》をプレイ。

 藤田は2ターン目に《果敢なスカイジェク》をプレイするが、田澤は《炎樹族の使者》でクロックを盤面に追加しながらの《ミジウムの迫撃砲》《果敢なスカイジェク》を除去する。

 3ターン目・4ターン目と連続して《ザスリッドの屍術師》をプレイする藤田に対し、田澤は《森の女人像》でマナを加速しながらの《高木の巨人》プレイ。藤田はこの《高木の巨人》《リーヴの空騎士》で留置する。

 田澤は留置によって《高木の巨人》の起動型能力が封じられていることを確認した後に、まずは《ニクスの祭殿、ニクソス》をプレイ。そして、《ニクスの祭殿、ニクソス》を利用して生み出した合計8マナを使って《森の女人像》を追加した上で《ドムリ・ラーデ》をプレイ。さらに信心を稼いだ所で《恭しき狩人》をプレイする。ここで稼がれている信心は9なので、10/10となる《恭しき狩人》

 この《恭しき狩人》《ドムリ・ラーデ》の能力で格闘し、《リーヴの空騎士》が破壊され、2体のゾンビトークンが藤田のコントロールの元、戦場に追加される。

 返すターン。まず、《ニクスの祭殿、ニクソス》からマナを出すと、そのマナで《高木の巨人》の2体目を追加しつつ、1体目の《高木の巨人》を怪物化する。ここで、藤田は、《恭しき狩人》のサイズを確認する。

田澤 「10/10です」

藤田 「10/10!?なにそれ?」

 トークン2体でチャンプブロックを選択する藤田。返すターンに《威圧する君主》君主をプレイした藤田は、続く田澤のアタックをブロックしてトークンを6体生み出す。そして、この6体をすべて《ドムリ・ラーデ》にアタックさせ、《ドムリ・ラーデ》を盤面から排除すると……《至高の評決》

田澤 「あったのかー!」

 こうして、伸ばしきった戦線を崩壊させられた田澤。藤田は《リーヴの空騎士》《万神殿の兵士》とクロックを追加するが、これは《ミジウムの迫撃砲》の超過で一掃される。

 1ターンほど互いにプレイの無いターンが続いた上で、藤田がトップデックしたのは《エレボスの鞭》。これによって、絆魂でライフを安全域に持ち込みつつ2点ずつのクロックが刻まれる。

 この状況を打破するべく田澤がトップデックしたのが《歓楽者ゼナゴス》を呼び出し、トークンを生み出すが、返すターンに《エレボスの鞭》から呼び出された《果敢なスカイジェク》《歓楽者ゼナゴス》の忠誠カウンターをすべて奪い去り、その上で《遠隔+不在/Far+Away》でトークンと追加されていた《エルフの神秘家》を除去する。

 田澤は《世界を喰らう者、ポルクラノス》をトップデックして盤面に送り出す。これには顔をしかめた藤田だったが、まずは墓地から2ターンにわたって《リーヴの空騎士》を呼び戻し、留置によって能力起動を防ぐ。そして、絆魂で自身のライフを回復しつつ、田澤のライフを削っていく。

 やっと、《世界を喰らう者、ポルクラノス》が留置から開放された田澤は、X=3で怪物化能力を起動し、藤田が追加していた《威圧する君主》を破壊する。だが、藤田は《幽霊議員オブゼダート》を盤面に追加。

 《恭しき狩人》を信心3で追加する田澤だったが、《幽霊議員オブゼダート》に残るライフを削り切られる前にライフを削り切るには、絆魂で稼がれた藤田のライフは少し多すぎるのだった。



藤田 1-0 田澤

田澤 「途中で、ラス(《至高の評決》)をケアしないといけないのに気がついちゃったんですよね……そういえば、そのデッキ、ラス入ってるじゃんって」

藤田 「まぁ、トップでしたけどね。とりあえずラス引かないと返せないから、引いた時に勝てる様に盤面を作ってたら、ギリギリのターンで引けてよかった」

 そんな会話をしつつの、サイドボーディング中に藤田が筆者に語りかける。

藤田 「プロのサイドボーディング見せるよ」

 藤田のプロの秘儀とは……なんと、サイドボードから3枚追加して、メインデッキを63枚、サイドボードを12枚にする戦略だ!

藤田 「新しいサイドボードのルールを余すこと無く使う、これがプロ」

 藤田が63枚のデッキを使うというだけでも、古いマジックファンはテンションが上ってしまうものだが、シャッフル中に……

藤田 「あ、やっぱ多い」

 ということで、最終的に61枚にして、Game 2に臨む。

Game 2


 先手の田澤が《エルフの神秘家》を1ターン目にプレイすれば、返して藤田も1ターン目に《万神殿の兵士》をプレイするという高速なゲームが予測されるスタート。

 田澤は、2ターン目に《ミジウムの迫撃砲》《万神殿の兵士》を除去して、《エルフの神秘家》でアタック。藤田は《静寂の神殿》での占術で長考し、何度も確認した上で、トップを残して《万神殿の兵士》をプレイする。

 返すターン、まず田澤は《炎樹族の使者》をプレイして、産み出されたマナを使って《血流/Blood》をプレイしようとするのだが……なんと《万神殿の兵士》にはプロテクション(多色)がついていた!

 ゲームプランが狂わされた田澤。対して、藤田は《カルテルの貴種》をプレイし、続く4ターン目には《果敢なスカイジェク》を2体プレイする。田澤は《恭しき狩人》を信心4でプレイして、サイズで圧倒しようとする……が、ここに《拘留の宝球》

 マナをフルオープンでターンを返してきた田澤のアクションを訝しみながらも、さらに追加した《万神殿の兵士》を含めて、全軍でアタックする。実はここまでマナが2枚でストップしている田澤。このままでは厳しいところだが、なんとか3枚目の土地をドローして《エルフの神秘家》を使って《紅蓮の達人チャンドラ》をプレイし、《万神殿の兵士》を除去する。

 ここで、藤田は《エレボスの鞭》をプレイ。実は、手札の《冒涜の悪魔》と間違えてプレイしたというおちゃめな展開はあったものの、続くターンになんとか《冒涜の悪魔》を着地させる。だが、田澤はこの隙に土地をさらに引き込み《高木の巨人》をプレイする。

 この巨人が《冒涜の悪魔》と相打ちをした上で藤田は《果敢なスカイジェク》をプレイ。この《果敢なスカイジェク》《紅蓮の達人チャンドラ》で除去され、田澤は《世界を喰らう者、ポルクラノス》をプレイする。

 盤面的には厳しい状況の藤田だが、田澤のライフも残り6と一気に詰め切られてしまう数字。だが、藤田はこの6点を削り切ることが出来ず……土地を片付けたのだった。

藤田 「いや、びっくりしたわ。勝ったと思ってターンエンドしてから見たら、全然違うカード場に出てたわ。集中力が……」

 せめて、《エレボスの鞭》が出ないマナコストだったら、と語る藤田だが、残念ながら《冒涜の悪魔》もまったく同じマナコスト。巨人に阻まれた6点にないたゲームであった。



藤田 1-1 田澤

Game 3


 1ターン目に《万神殿の兵士》をプレイし、さらに2ターン目に《万神殿の兵士》を追加する藤田。

田澤 「うわ、つらい……」

藤田 「でっしょ。こいつ、やばい強いよ」

 返す2ターン目の田澤のアクションは2体の《炎樹族の使者》だったため、見るも無残に厳しい田澤。藤田はさらに《ザスリッドの屍術師》を盤面に追加する。

 田澤もここで《ニクスの祭殿、ニクソス》をセットして、そのマナにより《紅蓮の達人チャンドラ》を盤面に追加し、《万神殿の兵士》を1体破壊する。

 ここでうみ出された2/2トークンを含む3体でアタックする藤田。田澤は《炎樹族の使者》の1体で《ザスリッドの屍術師》をブロックし、自分のターンに《紅蓮の達人チャンドラ》《万神殿の兵士》を除去。さらに《世界を喰らう者、ポルクラノス》を盤面に呼び出す。

 藤田は《幽霊議員オブゼダート》を召喚し、ライフを2点ドレインして、ライフは藤田が22の田澤が8となる。一応、潰しにくいクロックは用意したものの「うーん、苦しい」とつぶやきターンを返す。

 一方の田澤。まずは《紅蓮の達人チャンドラ》の0能力で土地をめくってセット。さらに《森の女人像》をプレイするが、手札に有効牌がないのかターンを返す。

 藤田はターンを得ると、アップキープに《幽霊議員オブゼダート》2点ドレインした後、《静寂の神殿》で占術をすると《幽霊議員オブゼダート》をそのまま追放してターン終了。

 残りターンが3ターンの田澤は「つらいなー」と声を出しつつ、《世界を喰らう者、ポルクラノス》でアタックし、藤田のライフを削っていき、《高木の巨人》をプレイする。

 だが、この《高木の巨人》が占術でトップに置いとかれた《破滅の刃》で除去されると、《変わり谷》も含めたアタックで残るライフ4点を削られてしまったのだった。



藤田 2-1 田澤

田澤 「うーん、3ターン目ミスでしたよね……《紅蓮の達人チャンドラ》じゃなくて、《世界を喰らう者、ポルクラノス》出してれば勝ててましたよね……」

藤田 「多分ね。《世界を喰らう者、ポルクラノス》だして、攻め返されてたら、怪物化も含めたら3ターンくらいでライフ持って行かれてたと思うしね」

田澤 「そうですよね……《紅蓮の達人チャンドラ》が強いっていう意識があったんで出したんですけど、《ザスリッドの屍術師》がいたから結局クロック減らないですもんね……攻められてて焦っちゃって」

藤田 「あそこは、見た目攻められてる様に思うけど、発想を変えて自分が攻める側に回りたい場面だからね。だけど、それはプロでもかなり難しいプレイだから、できなくても仕方ないと思うよ」

田澤 「そうなんですよね……《ザスリッドの屍術師》がアタックしてきた時もそうなんですけどね……」

藤田 「そうね……あそこはかなり無理なアタックをオレがしてきていたから、手札になんかある(この場合は《幽霊議員オブゼダート》のことだと思われる)と考えたほうがいい。こっちとしても《ザスリッドの屍術師》失うのは痛いけど、《ニクスの祭殿、ニクソス》がある以上、信心2と交換する価値はありそうだったからね。結局、2マナ増えるってタイムワープされてるのと対して変わらないから、こっちが負けるターンはあんま変わらないなって。こっちはこっちで負けそうって思ってたから」

田澤 「こっちも負けそうだと思ってましたけどね……そうか、《世界を喰らう者、ポルクラノス》か……」

藤田 「まぁ、でも、《世界を喰らう者、ポルクラノス》も裏目はあるからね。こっちが《破滅の刃》持ってて除去されたらそれはそれで厳しいからねぇ」

田澤 「そうですね……でも、《紅蓮の達人チャンドラ》で除去するなら《世界を喰らう者、ポルクラノス》の怪物化の方が目がありましたよね。フィーチャーで負けたのは残念でしたけど、いい経験になりました!」

藤田 「追い詰められた時に、良いプレイが思いつくってのはあるからね。多分、次はもっとうまくなるよ」

田澤 「ありがとうございます」

 過去に、藤田のフィーチャーを取ってきた経験上、藤田はプレイ後に、対戦相手にプレイのアドバイスをしていることが非常に多い。

 今回の藤田のように、強豪プレイヤーと触れ合い、プレイングについて討論するチャンスがあるのも、The Last Sunのような招待イベントの魅力なのかもしれない。