Deck Tech: 赤岩 拓(埼玉)の「Tin Fins」

晴れる屋

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By Atsushi Ito


 カードプールが広いレガシーだからこそ、トーナメントで通用するデッキになるための要求水準がかなり高く、したがってメジャーなデッキ以外はなかなか活躍しにくい傾向があるように思う。

 だがそんな中で、3回戦終了時点で3-0と快進撃を続ける、とある「ちょっと珍しいデッキ」の姿があった。

 今回は「そのデッキ」の使い手である、赤岩 拓(埼玉)に話を聞いてみようと思う。





--「このデッキ……《グリセルブランド》《浅すぎる墓穴》で釣りあげて7枚ドロー能力を連打し、失ったライフを《コーリスの子》で回復しつつさらなるドローにつなげてフィニッシュ手段に到達する、いわゆる『Tin Fins』というのは、かなりマニアックなアーキタイプだと思いますが、赤岩さんはずっと使われているんでしょうか?」

赤岩 「そうですね、少なくとも3年以上は使ってます

--「どうしてこの『Tin Fins』を使われているんでしょうか?」

赤岩 「このデッキはとにかく早くて1キルも頻発するデッキなので、長丁場でも楽なんですよね。それにベルチャー(《ゴブリンの放火砲》デッキ)と違って妨害呪文を積む余裕もあるので、《Force of Will》などの妨害一発で沈まない粘り強さがあるのも魅力です」

--「コンセプト的には『リアニメイト』に近いと思うんですが、主にどのような点に違いがあるんでしょうか?」

赤岩 「何といっても《納墓》《浅すぎる墓穴》の一連の動きが全てインスタントタイミングでできる点が大きな違いですね。これにより『リアニメイト』よりも《死儀礼のシャーマン》への耐性が付いています」


納墓浅すぎる墓穴


赤岩 「他方でマナ加速などのコンボパーツがスロットを圧迫しているので、《Force of Will》を自分で積むことができない点はリアニメイトよりも悪い部分ですかね。ただコンボスピードがリアニメイトよりも早いので、そもそも《Force of Will》が必要ないというのはあります。あ、あとリアニメイトよりはさすがに不安定です(笑)」

--「なるほど。ちょっとデッキを拝見させていただいて……あれ、《苦悶の触手》が入ってないんですね。フィニッシュ手段が《引き裂かれし永劫、エムラクール》になっている。これは何故なんでしょうか?」

赤岩 「まずフィニッシュの部分は初手に不必要なパーツなのでなるべく枚数を減らしたい、というのが前提としてあります。その上で、基本は第1メインに自ら手札破壊で落とした《引き裂かれし永劫、エムラクール》《御霊の復讐》で釣りあげて《グリセルブランド》と一緒に殴るのですが、第2メインに入ってしまってからでもマナ加速を連打&《引き裂かれし永劫、エムラクール》の能力でライブラリーをリフレッシュしたりすると、最終的に《引き裂かれし永劫、エムラクール》を素でキャストできたりするパターンもあるので、結局フィニッシュ手段は《苦悶の触手》がなくても《引き裂かれし永劫、エムラクール》だけで十分なんですよね」


引き裂かれし永劫、エムラクール苦悶の触手


--「なるほど、全然わかりません。

赤岩 「まあこのへんの機微は使ってみないとわからない部分ですからね。そんなわけで《苦悶の触手》はメインには入っていません。サイドには入ってるんですけどね」

--「どのような相手に《苦悶の触手》をサイドインするんでしょうか?」

赤岩 「ライフを早めに削ってくる相手ですね。途中で10点ゲインとかを挟まないと、そもそも《グリセルブランド》のドロー能力を起動させてもらえなかったりするので。あとは『ストーム』で《相殺》をすり抜けられるので、ミラクルなんかにもサイドインしたりします」

--「デッキが特殊すぎてあまり想像ができないのですが、このデッキでは大抵どのようなカードがサイドアウトされるんでしょうか?」

赤岩 「うーん……場合によりけり、ですね。先手か後手かによっても変わりますし。僕のリストだと《入念な研究》《再活性》《沈黙》あたりはよくサイドアウトされますが、相手のデッキによってコロコロ変わる部分なので、一概には言えませんね」


入念な研究再活性沈黙


--「この『Tin Fins』というデッキは、メタ上での有利不利はどんな感じなのでしょうか?」

赤岩 とにかく自分より遅いコンボには全て有利がつきます。といってもこのデッキより早いコンボは『ベルチャー』くらいなので、実質コンボ全般に有利ですね」

--「他のデッキ、デルバー系やミラクルなどに対してはどうなんでしょうか?」

赤岩 「他のデッキは、対戦相手がこの『Tin Fins』というデッキのことをどれだけ知っているかによります。デルバー系だとBUGがちょっと嫌かな、というところですが、正しい対処法を知らないと1~2ターン目で勝負が決まってしまうこともあるので、不利な相手にも『わからん殺し』で勝てるのが良いですね」

--「ありがとうございました」



華麗な2ターン・キル。




アカイワ タク「Tin Fins」
第3期レガシー神挑戦者決定戦(10位)

1 《沼》
3 《Underground Sea》
1 《Tundra》
1 《Bayou》
4 《汚染された三角州》
3 《湿地の干潟》
1 《宝石鉱山》

-土地(14)-

1 《コーリスの子》
4 《グリセルブランド》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー(6)-
4 《渦まく知識》
4 《暗黒の儀式》
4 《納墓》
4 《陰謀団式療法》
3 《思考囲い》
2 《沈黙》
2 《入念な研究》
2 《思案》
2 《再活性》
4 《浅すぎる墓穴》
3 《御霊の復讐》
4 《水蓮の花びら》
2 《金属モックス》

-呪文(40)-
3 《突然の衰微》
3 《実物提示教育》
2 《狼狽の嵐》
2 《虐殺》
1 《蒸気の連鎖》
1 《残響する真実》
1 《永遠からの引き抜き》
1 《苦悶の触手》
1 《精神壊しの罠》

-サイドボード(15)-
hareruya