By Atsushi Ito
光安 「【チーム豚小屋】に、『神』を持って帰りたいんです」
スイスラウンドの8回戦目が終わったところで、光安はそう言った。
先週は【PWCC2015】に豚小屋勢の2連覇をかけて臨んだが、トップ4で中道 大輔(東京)に阻まれた。
今度こそ、持って帰る。そんな強い思いを抱えて辿りついたトップ8。
【WMCQ2013東京でのトップ4入賞】から2年。
雌伏の時を経て、ついに光安がタイトルへと手を伸ばせるか。
Game 1
先手は光安。3ターン目、辰巳が《疾病の神殿》と《コイロスの洞窟》を立てたところで悩んだ末に《ゴブリンの熟練扇動者》を送り出すが、これは辰巳に《胆汁病》される。そして返すターンの《思考囲い》で、
《否認》
《否認》
《稲妻の一撃》
《時を越えた探索》
《戦場の鍛冶場》
という手札から《時を越えた探索》を奪い去られると、動くに動けない手札となってしまう。
それでも続くターンの《黄金牙、タシグル》を《マグマの噴流》とトップしていた《稲妻の一撃》との合わせ技で葬り、「占術」で《ゴブリンの熟練扇動者》に辿りつくのだが、これすらもトークンを1体生んだ返しに辰巳に《英雄の破滅》され、なかなかクロックが作れない。何とか《魂火の大導師》を引き込み、《否認》で辰巳の《アブザンの魔除け》を打ち消しながらゴブリントークンとの3点クロックでライフを削りにかかる。
一方、まだもう1枚光安の手札に《否認》が残っていることを知っているためかなかなか動かなかった辰巳だったが、8枚目となるタップイン土地で「占術」し、そのまま上に置きながら、光安のアップキープに《魂火の大導師》に《完全なる終わり》を放つ。
辰巳の残りライフはこの時点で12。はたして本心からライフに窮しているのか、それとも誘いか。
意を決した光安は虎の子の《否認》でこれを打ち消すことを選択する。
辰巳 晃司 |
しかし、それこそが辰巳の最も待ち望んでいた展開だった。
残りライフを6まで削られた返しで辰巳がプレイしたのは。
《精霊龍、ウギン》!!
「-2」能力で盤面を更地にした後、すぐに忠誠値が奥義に向かって上昇していく。
おまけに《クルフィックスの狩猟者》まで追加された光安に、抗う術はもはやなかった。
光安 0-1 辰巳
光安 「手札見られてるんだから、もうちょっと慎重にプレイすれば良かったな……」
辰巳 「そうですね」
悪い流れを断ち切ろうとするかのようにトイレに立つ光安。
Game 2
後手2ターン目の《思考囲い》が再び光安に突き刺さる。
《勇敢な姿勢》
《勇敢な姿勢》
《稲妻の一撃》
《かき立てる炎》
《平地》
《溢れかえる岸辺》
ここから《かき立てる炎》が抜かれると、お互いクロックがなく土地を伸ばしながらドローゴーする時間帯が続く。
その間も、細かいカードの交換が繰り返される。《思考囲い》には《否認》、《包囲サイ》は《静翼のグリフ》と《胆汁病》との交換を挟んで《勇敢な姿勢》で破壊され、光安の《カマキリの乗り手》も《異端の輝き》で一瞬でゲーム外へ。
そんなやりとりをしながら7マナ目を待つ光安だったが、ドローは《嵐の息吹のドラゴン》ばかり。
そして《嵐の息吹のドラゴン》が3枚重なったところで、ついに光安は意を決して自分から動くことを選択する。
1マナ残し、すなわち事実上ほぼフルタップの《嵐の息吹のドラゴン》!!
光安 祐樹 |
さすがにこれは即《英雄の破滅》され、辰巳に自由なターンが回ってくる。もし1ゲーム目のように《精霊龍、ウギン》が通ってしまえば光安が万事休すというところ。ここで辰巳のアクションは……
《クルフィックスの狩猟者》しかない!!
確かにこのマッチアップで《精霊龍、ウギン》がサイド後も残っているはずもない。脅威が手札にあるなら先に動いているはず、と読んだ光安の胆力が勝った。返すターンにすぐさま《勇敢な姿勢》で処理すると、2体目の《嵐の息吹のドラゴン》を送り出す光安。
これは《悲哀まみれ》と《胆汁病》の合わせ技で落ちるものの、3体目の《嵐の息吹のドラゴン》が走ると、さすがに辰巳には回答がない。
無人の荒野を駆ける《嵐の息吹のドラゴン》。
やがて擦り減った辰巳のライフを、光安が《稲妻の一撃》3枚で一息に削りきった。
光安 1-1 辰巳
Game 3
どれだけ勝利を願っていても、どれだけフラグを積み重ねていても、どうしようもない不運は起こる。それがマジックだ。
ここで光安、痛恨のダブルマリガン。対し、辰巳のオープンハンドは天の恵みとも言うべきものだった。
《疾病の神殿》
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
《平地》
《羊毛鬣のライオン》
《羊毛鬣のライオン》
《真面目な訪問者、ソリン》
《包囲サイ》
100点中98点くらいではないかというオープンハンド。さらに「占術」は3枚目の《羊毛鬣のライオン》をもたらす。
《羊毛鬣のライオン》からの《羊毛鬣のライオン》。さらに《包囲サイ》から、《羊毛鬣のライオン》。
ダブルマリガンの光安にとって、この回りはとても捌ききれるものではなかった。
光安 「1本目をもっと慎重にプレイしていれば……」
光安の雌伏の時は続く。
光安 1-2 辰巳