皆さんこんにちは!
今週末には新セット『タルキール龍紀伝』のプレリリースがあります。新セットにいち早く触れるチャンスですが、皆さんは参加されますか?
さて、今回の記事では【GP Miami】と【第3期スタンダード神挑戦者決定戦】、【SCGO Dallas】の結果を見ていきたいと思います。
GP Miami ~GW Devotionの躍進~
2015年3月8日
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1位 GW Devotion/【緑信心】
2位 GW Devotion/【緑信心】
3位 Abzan Whip/【白黒緑ビートダウン】
4位 Abzan Aggro/【白黒緑ビートダウン】
5位 Mono Red Aggro/【赤単】
6位 Mono Red Aggro/【赤単】
7位 Abzan Aggro/【白黒緑ビートダウン】
8位 Naya Aggro/【白黒緑ビートダウン】
大会毎に変化の激しい現在のスタンダードは今大会においても例外ではなく、【GP Memphis】でトップ8の半分以上を占めたAbzan Controlや優勝を果たしたSultai Controlは見られず、GW Devotionという見慣れないデッキが今大会でワンツーフィニッシュを飾りました。
決勝まで勝ち残った2人のプレイヤー以外にもSam BlackやBrad Nelson、Adam Yurchickといった強豪プレイヤーがこぞって同様のGW Devotionを持ち込み、Brad Nelsonはトップ16、Sam BlackとAdam Yurchick(初日全勝)はトップ64と驚異的なパフォーマンスを見せました。
GP Miami デッキ解説
「GW Devotion」「Mono Red」
9 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《豊潤の神殿》 1 《花咲く砂地》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《森の女人像》 4 《旅するサテュロス》 2 《羊毛鬣のライオン》 4 《起源のハイドラ》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 1 《ティムールの剣歯虎》 4 《囁きの森の精霊》 -クリーチャー(31)- |
4 《見えざるものの熟達》 1 《払拭の光》 -呪文(5)- |
2 《羊毛鬣のライオン》 2 《スズメバチの巣》 2 《狩人狩り》 2 《再利用の賢者》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 1 《女王スズメバチ》 1 《異端の輝き》 1 《今わの際》 1 《セテッサ式戦術》 1 《勇敢な姿勢》 -サイドボード(15)- |
8 《森》 3 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《豊潤の神殿》 1 《花咲く砂地》 1 《マナの合流点》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《起源のハイドラ》 4 《森の女人像》 3 《旅するサテュロス》 4 《クルフィックスの狩猟者》 3 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《囁きの森の精霊》 -クリーチャー(30)- |
4 《見えざるものの熟達》 2 《払拭の光》 -呪文(6)- |
4 《勇敢な姿勢》 3 《加護のサテュロス》 2 《再利用の賢者》 2 《アラシンの上級歩哨》 2 《異端の輝き》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
GW Devotionは《エルフの神秘家》、《森の女人像》、《旅するサテュロス》の3種類のマナ加速クリーチャーを利用してパワーカードを高速展開していくランプデッキで、特に《旅するサテュロス》の土地をアンタップする能力と《ニクスの祭殿、ニクソス》のシナジーが強力です。
最近はコントロール対策にAbzan ControlやRW Aggroなど多くのデッキのサイドに見られるようになった《見えざるものの熟達》ですが、このデッキはメインから4枚採用しています。
このタイプのデッキの弱点に、全体除去やマナ加速や土地を多めに採っているがゆえに起こるマナフラッドがありましたが、《見えざるものの熟達》はマナの大量に出るこのデッキと相性がよく、ライフゲイン能力はこのデッキのアグロデッキとのマッチアップを有利にします。
複数の《見えざるものの熟達》を貼ってライフゲインし始めればダメージで負けることはほぼなくなるでしょう。
☆注目ポイント
メインに4枚採用されている《羊毛鬣のライオン》は一見するとこのデッキに合っていないように見えますが、2マナ3/3というサイズはコントロールに対して対処を迫るプレッシャーをかけ、アグロ相手には耐性が整うまでの時間稼ぎになります。「怪物化」を警戒した相手の除去を誘うことも可能で《世界を喰らう者、ポルクラノス》や《囁きの森の精霊》といった後続が生き残りやすくなります。
また、Daniel Cecchettiのリストのメインに1枚だけ採用されている《ティムールの剣歯虎》は同系戦において重要なカードとなります。《世界を喰らう者、ポルクラノス》や《起源のハイドラ》の能力を使いまわしてアドバンテージを得ることが可能です。
21 《山》 -土地(21)- 4 《火飲みのサテュロス》 4 《鋳造所通りの住人》 4 《僧院の速槍》 3 《マルドゥの斥候》 2 《ゴブリンの熟練扇動者》 2 《ゴブリンの踵裂き》 -クリーチャー(23)- |
4 《乱撃斬》 4 《稲妻の一撃》 4 《灼熱の血》 4 《軍族童の突発》 4 《かき立てる炎》 -呪文(20)- |
3 《大歓楽の幻霊》 3 《巻き添え被害》 3 《峰の噴火》 3 《弧状の稲妻》 2 《力による操縦》 1 《鍛冶の神、パーフォロス》 -サイドボード(15)- |
【GP Memphis】を制したSultai Controlやトップ8の半分以上を占めたAbzan Controlに対する回答として今大会で復権してきた赤単色のハイパーアグレッシブデッキ。その手数の多さは、単体除去が中心で重い構成のAbzan Controlやタップインランドや重いスペルで占められているSultai Controlにとって脅威となります。
☆注目ポイント
《マルドゥの斥候》や《ゴブリンの踵裂き》といった「疾駆」持ちのクリーチャーはサイド後に投入される《悲哀まみれ》のようなソーサリースピードのスイーパーに強く、《ゴブリンの踵裂き》のブロック不能能力も相まって以前よりもAbzan系とのマッチアップが有利になりました。
サイドのカードにも数枚おもしろいアプローチが見られます。Fate Reforgedから加入した火力スペルの 《巻き添え被害》はクリーチャーをサクリファイスするという追加コストがありますが、《軍族童の突発》や 《ゴブリンの熟練扇動者》で生み出されたゴブリントークン軍を《胆汁病》によって一掃されるのを防ぎつつクリーチャーを除去したり相手本体にダメージを与えたり、《魂火の大導師》によって絆魂が付いた火力の対象になったクリーチャーを生贄にしてライフゲインされるのを防いだりと、逆に追加コストをメリットに変換することができます。
《峰の噴火》はRWなどを相手にした際の《岩への繋ぎ止め》対策となり、クリーチャーを救出しつつ相手にダメージを与えます。
第3期スタンダード神挑戦者決定戦 ~個性的な構成のSidisi Whipが優勝~
2015年3月8日
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1位 Sidisi Whip/【シディシウィップ】
2位 Abzan Control/【白黒緑コントロール】
3位 Mardu Midrange/【白黒赤ビートダウン】
4位 Mono Red Aggro/【赤単】
5位 Jeskai Midrange/【白青赤ビートダウン】
6位 RW Midrange/【赤白ビートダウン】
7位 RW Midrange/【赤白ビートダウン】
8位 GB Devotion/【緑信心】
アメリカで【GP Miami】が開催されていた同週末に日本では第3期スタンダード神挑戦者決定戦が開催されていました。
【GP Memphis】でトップ8の半分を占めていたAbzan Controlや、現環境のトップメタの一角であるRWを初めとしてMarduやJeskai、赤単など相変わらず混沌とした環境の中、Sidisi Whipを使う松田 幸雄さんが神への挑戦権を獲得しました。
第3期スタンダード神挑戦者決定戦 デッキ解説
「Sidisi Whip」
2 《沼》 1 《島》 1 《森》 2 《汚染された三角州》 4 《華やかな宮殿》 4 《疾病の神殿》 2 《神秘の神殿》 4 《ラノワールの荒原》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《森の女人像》 4 《サテュロスの道探し》 2 《ニクスの織り手》 1 《無慈悲な処刑人》 4 《血の暴君、シディシ》 2 《賢いなりすまし》 2 《破滅喚起の巨人》 2 《奔流の精霊》 1 《漂う死、シルムガル》 1 《イニストラードの魂》 2 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(25)- |
3 《胆汁病》 2 《英雄の破滅》 4 《残忍な切断》 2 《エレボスの鞭》 -呪文(11)- |
3 《悪夢の織り手、アショク》 2 《真珠湖の古きもの》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 2 《命運の核心》 2 《ギルドパクトの体現者、ジェイス》 1 《再利用の賢者》 1 《スゥルタイの魔除け》 -サイドボード(15)- |
《血の暴君、シディシ》や《エレボスの鞭》からのアドバンテージ戦略や《女王スズメバチ》など高いカードパワーを持つフィニッシャーの存在がミッドレンジ全般に強く、前環境でもAbzan Midrangeに有利なデッキとして世界選手権2014優勝など環境終盤にその強さを見せました。
現在のスタンダードもAbzan Controlなどミッドレンジが強い環境なので、他のミッドレンジよりもカードパワーの高いこのデッキは良チョイスです。サイド後にはプレインズウォーカーやカウンター、スイーパーが投入されSultai Controlのようにトランスフォームする選択肢もあります。
☆注目ポイント
松田さんのリストの最大の特徴は、Whip系を含め緑のミッドレンジでは定番とされていた《クルフィックスの狩猟者》が不採用となっており、その枠に非常に珍しい 《ニクスの織り手》と《賢いなりすまし》が採られています。
《ニクスの織り手》は毎ターン自動的に墓地を肥やしてくれるので「探査」もしやすくなり《エレボスの鞭》の対象に困ることも少なくなりますし、《エレボスの鞭》などのキーカードが墓地に落ちてしまった際も起動能力によって回収することが可能です。
《賢いなりすまし》は土地以外のパーマネントをコピーできるようになった《クローン》で、《Elspeth, Sun’s Champion》や《精霊龍、ウギン》など強力なプレインズウォーカーもコピーできます。
サイドのプレインズウォーカーのチョイスにも技が光ります。多くのリストは 《荒ぶる波濤、キオーラ》を採用していますが、松田さんはその枠に 《ギルドパクトの体現者、ジェイス》を採っています。「+1」能力はわずかながらライブラリーを掘りつつ墓地にカードを置くことができるためこのデッキの方向性に合っています。
土地でない対象をバウンスする「-3」能力は相手の厄介なパーマネントに一時的に退場を願う以外にも《賢いなりすまし》をバウンスして能力を使い回すといった使い方も可能です。
SCGO Dallas
~現環境最後のスタンダードの大会を制したのはSultai Control~
2015年3月15日
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1位 Sultai Control/【青黒緑ビートダウン】
2位 Jeskai Aggro/【白青赤ビートダウン】
3位 Sultai Control/【青黒緑コントロール】
4位 Jeskai Aggro/【白青赤ビートダウン】
5位 Abzan Midrange/【白黒緑ビートダウン】
6位 Mono Red Aggro/【赤単】
7位 Sidisi Whip/【シディシウィップ】
8位 Jeskai Heroic/【白青英雄】
GW Devotionが猛威を振るっていた【GP Miami】の結果から一転、【SCGO Dallas】では【GP Miami】の上位では見られなかったSultai ControlやJeskai Aggroの活躍が目立ちました。
SCGO Dallas デッキ解説
「Sultai Control」「Jeskai Aggro」
3 《沼》 2 《島》 4 《華やかな宮殿》 4 《汚染された三角州》 4 《疾病の神殿》 2 《欺瞞の神殿》 1 《神秘の神殿》 2 《ラノワールの荒原》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《サテュロスの道探し》 -クリーチャー(4)- |
3 《思考囲い》 4 《胆汁病》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《英雄の破滅》 3 《スゥルタイの魔除け》 2 《命運の核心》 1 《残忍な切断》 4 《時を越えた探索》 1 《宝船の巡航》 2 《悪夢の織り手、アショク》 2 《荒ぶる波濤、キオーラ》 1 《頂点捕食者、ガラク》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(31)- |
3 《ラクシャーサの死与え》 2 《黄金牙、タシグル》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《悲哀まみれ》 2 《否認》 2 《ファリカの療法》 1 《信者の沈黙》 1 《リリアナ・ヴェス》 -サイドボード(15)- |
【GP Memphis】を制したSultaiカラーのコントロールデッキ。メインに7枚と多めに採用されたプレインズウォーカーと「探査」ドローの《時を越えた探索》と《宝船の巡航》のおかげでカードアドバンテージを稼ぐ手段が豊富で、長期戦に強く人気のあるAbzan系のデッキなど環境に存在するミッドレンジ全般に有利です。
反面、Mono Red Aggroのところでも触れましたが、タップインランドが多く全体的に重いスペルが多いため、Mono Red Aggroのような高速アグロに対しては不利がつきます。
☆注目ポイント
メインに採用されている《スゥルタイの魔除け》は地味ながら優秀なスペルです。《ゴブリンの熟練扇動者》を初めとするRWの主力クリーチャーに触ることが可能で、メインから無理なく採用できるエンチャント対策になり、どちらの能力も使う必要のない時には青のモードでドローを進めつつ「探査」のために墓地を肥やすことができます。
このデッキのメインがほぼノンクリーチャーなので、サイドの《ラクシャーサの死与え》と《黄金牙、タシグル》はサイド後除去を減らしてきている相手に高い効果が望めます。除去を残すにしても、Sultai側が必ずしもアグレッシブサイドプランを取っているとは限らないため、サイド後も無駄碑を残すリスクがあり相手にとっては非常に厄介な戦略となります。
2 《山》 2 《平地》 1 《島》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 4 《凱旋の神殿》 1 《天啓の神殿》 3 《戦場の鍛冶場》 3 《シヴの浅瀬》 -土地(24)- 4 《道の探求者》 4 《魂火の大導師》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《カマキリの乗り手》 -クリーチャー(16)- |
4 《乱撃斬》 4 《稲妻の一撃》 3 《勇敢な姿勢》 4 《かき立てる炎》 1 《宝船の巡航》 4 《前哨地の包囲》 -呪文(20)- |
3 《軽蔑的な一撃》 2 《オレスコスの王、ブリマーズ》 2 《消去》 2 《マグマのしぶき》 2 《龍語りのサルカン》 1 《灰雲のフェニックス》 1 《異端の輝き》 1 《勇敢な姿勢》 1 《宝船の巡航》 -サイドボード(15)- |
今シーズンの多くのSCGOで結果を残している強豪プレイヤーのJim Davisは今大会では得意のUW ControlではなくJeskai Aggroを選択し、惜しくも優勝は逃しましたが準優勝という好成績を残しました。
☆注目ポイント
Jim Davisが今大会で選択したJeskai Aggroは《時を越えた探索》などは不採用で、他のリストと比べるとデッキ内の青いカードは《カマキリの乗り手》、《宝船の巡航》、《軽蔑的な一撃》のみと必要最低限まで絞られています。【デッキテクのインタビュー】によると、Ben StarkのRWに青をタッチしたのが今回のリストだとのことです。
《カマキリの乗り手》は飛行クリーチャーを止める手段に乏しい緑系のデッキに強く、サイドには追加の飛行クリーチャーの《灰雲のフェニックス》や《龍語りのサルカン》が採られています。
総括
【GP Miami】では環境終盤にもかかわらずGW Devotionという新しいデッキが登場し、同大会でワンツーフィニッシュという驚異的なパフォーマンスを見せ、その翌週に開催された【SCGO Dallas】では【GP Memphis】を制したSultai Controlと同様のリストが優勝を飾りました。デッキの完成度が高くSultai Controlは間違いなく現環境のTier1デッキの一つです。
早いものでこの環境のスタンダードも終了し、来週末からは新セットの『タルキール龍紀伝』入りの新環境に突入します。
『タルキール龍紀伝』は大型のセットで加入するカードも多く、再録される《究極の価格》や《強迫》、新たな青のドロー操作呪文の《予期》、友好色の命令シリーズ、エルダードラゴン、プレインズウォーカーの《卓絶のナーセット》、《揺るぎないサルカン》などスタンダードで使えそうなカードが多く見られます。
『タルキール龍紀伝』直後に開催されるSCG Invitational Richmondが楽しみですね。
今回の解説は以上です。
次回の記事では『タルキール龍紀伝』リリース直後に開催される大規模な大会であるSCG Invitational RichmondとSCGO Richmondの結果を中心にカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php
『MAGIC: THE GATHERING』
http://magic.wizards.com/en/magic-gathering