By Kazuya Hirabayashi
赤対赤。
前環境におけるアブザンアグロの躍進。そして直近のスタンダードグランプリだった【GPメンフィス2015】では、アブザンコントロールの成功というトピックがあったにも関わらず、本イベントでは赤いデッキの活躍が目立った結果となった。
同じ赤白でもBen Starkが使用していた《前哨地の包囲》《魂火の大導師》に重きを置いたもの、旧来の《道の探求者》《灰雲のフェニックス》タイプと幅広いタイプではあるが、少なくとも火力をキーとするアーキタイプがトップ8中5/8を占めたのも事実。
そしてこの準決勝ではその赤白と、他のデッキよりなお赤い【加茂ジェット】が対峙する。
Game 1
スイスラウンド上位の武居が先手番。
先手のトップスピードが重要な赤単系デッキにとって先手後手の差は重要なものだが、土地が無くテイクマリガン。
続く手札も《山》20枚のデッキとは思えぬ重い手札で(《ゴブリンの踵裂き》2、《かき立てる炎》等)、結果ダブルマリガンからのスタートとなってしまう。
ただ江口も同様にダブルマリガンを選択したため(土地0、土地1)、ゲーム前としては痛み分けといったところか。
お互いに苦笑をしながらの開始となる。
だがゲームそのものは急戦となった。
武居は開幕から《鋳造所通りの住人》を2枚並べ、初手の《山》1枚で止まりつつもも第3ターンには《僧院の速槍》も走らせ、2ターン目まで動けない江口のライフは早くも13。
ただ、江口のファーストアクションがこのマッチアップで最善とも言える《軍族童の突発》だったため、武居の攻め手が緩まる。
そう火力と《ゴブリンの踵裂き》によってクリーチャーを捌くことが出来るといっても、あくまで単体のクリーチャーだけだ。
早くも役目を終えた感のある《鋳造所通りの住人》が佇み、《僧院の速槍》のみがアタック宣言。
とはいえ江口も楽ではない。何しろダブルマリガンのため、リソースも選択肢も限られている。
お互いにリソースが削られてしまうと、構造上より軽い“加茂ジェット”に分があるのは仕方がない。
《僧院の速槍》を通すと、武居は《灼熱の血》。江口のライフは7まで落ちてしまう。
ここで江口は《道の探求者》を追加。
一度ライフが回復しだすと勝ち目が無くなるため武居はそのままターンを返すのだが、江口もここでは動くことが出来ない。
そのターン終了時武居が《かき立てる炎》を江口へ放ち、江口のライフは3。
江口も負けじと《かき立てる炎》を《僧院の速槍》に放つものの、《風に削られた岩山》を置いてもライフは4。
互いにダブルマリガンをしつつも、第6ターンには江口のライフは瀬戸際ギリギリなのである。恐るべきは“加茂ジェット”の速度。
そして動けない江口を前に、武居は《マグマの噴流》を江口へ。
これにより江口のライフは2に落ちる。そして武居が占術で確認したのは《マグマの噴流》と《かき立てる炎》。
武居 力 |
武居 1-0 江口
Game 2
さすがにマッチアップ的に想定された物か、お互いにサイドボーディングが速い。手早くシャッフルを終え、勝負は2本目へ。
《凱旋の神殿》の占術から江口が立ち上がり、武居は《僧院の速槍》からゲームが開始される。
その《僧院の速槍》が江口の《稲妻の一撃》で処理されると、江口の《道の探求者》は《灼熱の血》。
武居が《軍族童の突発》でゴブリントークンを並べれば、江口も《軍族童の突発》
激しいリソースの交換が行われる。
……かに見えたのだが、武居のアタックに対して江口はテイク。
これは一見不可思議である。何故なら武居のデッキが超アグロなことは自明であるからだ。
3点のダメージが江口へと与えられ、《僧院の速槍》の1点、《灼熱の血》の3点と合わせて江口のライフは13。
江口にも自身の都合があった。3枚の土地、手札には3枚の《かき立てる炎》。
ここでゴブリントークンを失った場合、以降のマナ効率に問題が起こるし、最悪《かき立てる炎》が使えなくなる
可能性もある。
だが江口のドローは土地。判断が裏目になってしまう。
江口 幸生 |
しかして江口のゴブリントークンは動けず、続くアタックに応じて3体ずつのトークンが相討つ。
そしてただターンを返すだけの武居に対し、手札にクリーチャーが居ない江口も動けない。
結果ここでの裏目が江口にとっての致命傷となった。
江口のターン終了時、武居が手札を2枚戦場へと並べる。
《稲妻の一撃》《稲妻の一撃》。江口のライフは7。
続くターンにも同様に。
《稲妻の一撃》《乱撃斬》《乱撃斬》。
武居 2-0 江口