皆さんこんにちは!
来週末にはワールドマジックカップ2014がフランス・ニースにて開催されます。
各地の厳しい予選を勝ち抜いた3人の強豪プレイヤー―アリャビマ アウリア ラーマン選手(東京予選優勝)、金川 俊哉選手(名古屋予選優)、清永 翔選手(大阪予選優勝)―が、キャプテンの渡辺 雄也選手と共に日本を代表するチームとなり世界一の座を目指します。日本代表の方々には頑張って欲しいですね。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
・ワールドマジックカップ2014 イベントカバレージ
http://coverage.mtg-jp.com/wmc14/
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open(SCGO) Richmondの結果を見ていきたいと思います。
また、来年からSCGOの形式も変わることになりましたので、そちらの簡単な説明も行わせていただきます。
SCGO Richmond トップ8
次から次へと新たな戦略が 優勝はJeskai Winsとコンボのハイブリッド
2014年11月23日
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1位 Jeskai Combo/トークン
2位 Esper Walker/白青黒コントロール
3位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
4位 Jeskai Wins/白青赤ビートダウン
5位 4C Midrange/4色ジャンク
6位 GB Constellation/黒緑ビートダウン
7位 Mardu Midrange/白黒赤ビートダウン
8位 Mardu Midrange/白黒赤ビートダウン
毎週のように新しいデッキ、戦略が結果を残している現スタンダード。今回も4C Midrange、Esper Walkerといった新デッキが入賞し、優勝を果たしたJeskaiもJeskai Winsに 《ジェスカイの隆盛》コンボをハイブリッドした新しいスタイルでした。
SCGO Richmond デッキ解説
「Jeskai Combo」「Esper Walker」「Abzan Aggro」「Jeskai Wins」「4C Midrange」
2 《島》 2 《平地》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《シヴの浅瀬》 3 《戦場の鍛冶場》 2 《神秘の僧院》 2 《天啓の神殿》 2 《凱旋の神殿》 2 《マナの合流点》 -土地(21)- 4 《僧院の速槍》 3 《道の探求者》 3 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(10)- | 4 《撤回のらせん》 4 《急報》 4 《軍族童の突発》 4 《ジェスカイの魔除け》 4 《かき立てる炎》 2 《時を越えた探索》 4 《ジェスカイの隆盛》 3 《バネ葉の太鼓》 -呪文(29)- | 4 《カマキリの乗り手》 3 《神々の思し召し》 3 《マグマのしぶき》 2 《抑圧的な光線》 2 《否認》 1 《異端の輝き》 -サイドボード(15)- |
「英雄的」持ちのクリーチャーによるビートダウンと 《ジェスカイの隆盛》のコンボをハイブリットした型が結果を残したことも記憶に新しいJeskai。今大会では<ジェスカイの隆盛>コンボとJeskai Winsの戦略をハイブリッドしたデッキが優勝を収めました。
「英雄的」持ちのクリーチャーの代わりに《ゴブリンの熟練扇動者》や「果敢」持ちのクリーチャーで攻め、火力などのスペルで「果敢」を誘発させながら戦います。 《軍族童の突発》や《急報》といった1枚のカードで多数のトークンを展開するカードも採用されており、《ジェスカイの隆盛》のコンボのために《バネ葉の太鼓》と《撤回のらせん》を駆使する以外にも 《ジェスカイの魔除け》の「+1/+1」と「絆魂」の付与のモードで強化するなどトークンビートダウンとしても振る舞えます。
サイドの《カマキリの乗り手》からも分かるようにサイド後はJeskai Winsとしても振る舞える構成になっています。相手に十分なマナがあると除去として機能しませんが、1マナと軽い《抑圧的な光線》もサイド後のテンポ寄りの戦略にフィットしています。新たなJeskaiの形として今後も見かけることになるかもしれません。
2 《島》 2 《沼》 2 《平地》 4 《欺瞞の神殿》 4 《啓蒙の神殿》 4 《静寂の神殿》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《コイロスの洞窟》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- | 4 《思考囲い》 2 《蔑み》 2 《胆汁病》 4 《解消》 4 《英雄の破滅》 1 《完全なる終わり》 4 《対立の終結》 4 《時を越えた探索》 1 《宝船の巡航》 3 《悪夢の織り手、アショク》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(34)- | 4 《ニクス毛の雄羊》 4 《悲哀まみれ》 3 《予知するスフィンクス》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《胆汁病》 -サイドボード(15)- |
コントロールを得意とするStarcityGamesのライターで、SCGOやSCG Invitationalで何度も入賞経験のある強豪プレイヤーのShaheen 。惜しくも優勝は逃したものの、現環境用に調整されたEsper Controlで見事に準優勝を果たしました。
カウンターを多数搭載したパーミッションタイプのUB Controlと異なりメインのカウンターは《解消》のみで、《悪夢の織り手、アショク》、 《太陽の勇者、エルズペス》、 《真面目な訪問者、ソリン》の3種類のPWがメインから搭載されているタップアウト型のコントロールです。そのPWを相手のクリーチャーから保護するために《対立の終結》、《英雄の破滅》、《完全なる終わり》、《蔑み》、 《胆汁病》と除去が多めに積まれています。それらを補充するためのドロースペルに4枚の《時を越えた探索》に加えて《宝船の巡航》も採用されています。
サイドには追加の勝ち手段として《予知するスフィンクス》が採用されています。除去耐性が高くAbzanなど緑系のミッドレンジにとっては対処の難しいクリーチャーで、タフネスも5と硬いのが特徴です。2色のUB ControlやUW Controlと比べるとマナ基盤の安定性は落ちますがデッキパワーは高めです。メインでは赤単など速攻で攻めてくる相手にはPWでアドバンテージを稼ぐ戦略を取るのが困難なため、サイド後は4枚ずつ採用された《ニクス毛の雄羊》と《悲哀まみれ》が投入されこのデッキの得意とするロングゲームに持ち込みやすくすることができます。
2 《森》 2 《平地》 4 《砂草原の城塞》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《ラノワールの荒原》 3 《コイロスの洞窟》 3 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(23)- 4 《万神殿の兵士》 4 《血に染まりし勇者》 4 《荒野の後継者》 4 《羊毛鬣のライオン》 2 《ラクシャーサの死与え》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《加護のサテュロス》 4 《包囲サイ》 -クリーチャー(28)- | 3 《かき集める勇気》 4 《アブザンの魔除け》 1 《強大化》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(9)- | 4 《ニクス毛の雄羊》 4 《思考囲い》 2 《払拭の光》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《かき集める勇気》 1 《胆汁病》 1 《残忍な切断》 -サイドボード(15)- |
今大会のデッキテクとしても挙げられています。
《風番いのロック》などのの5マナスペルが不在なうえ《真面目な訪問者、ソリン》もメインわずか1枚まで減量され、1マナクリーチャーの《血に染まりし勇者》や《万神殿の兵士》、クリーチャーパンプスペルの《かき集める勇気》や 《強大化》など従来のAbzan Aggroよりも前のめりな構成になっています。
「瞬速」持ちでマナがあればパンプスペルのように使うことが可能な《加護のサテュロス》は最近あまり見かけなかったため、予測できたプレイヤーは少なかったのではないでしょうか。プロテクション多色の《万神殿の兵士》は相手の場に《包囲サイ》や《カマキリの乗り手》がいても気にせずにアタックすることが出来るのが強みですが、現環境の多くの除去は単色なため除去耐性は低めです。《かき集める勇気》は軽い「召集」スペルでクリーチャー1体タップするだけでキャストできるので、相手の意表も付きやすく《森の女人像》や《クルフィックスの狩猟者》といった硬い防壁も乗り越えることができます。また、多くのデッキが採用している《胆汁病》や《稲妻の一撃》、《マグマの噴流》といった火力やタフネス修正型の除去に対してもある程度の耐性が付きます。
サイド後は《思考囲い》が投入され《悲哀まみれ》や 《神々の憤怒》といった小型クリーチャーデッキ対策に備えます。追加の 《真面目な訪問者、ソリン》もサイドインして従来のAbzan Aggroのような構成に変形する選択肢もあります。《マナの合流点》などペインランドを多用している関係でライフの損失が激しいため、赤単などの高速アグロ対策にサイドに4枚の《ニクス毛の雄羊》が採用されています。
2 《島》 2 《平地》 2 《山》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《凱旋の神殿》 3 《神秘の僧院》 2 《天啓の神殿》 3 《戦場の鍛冶場》 2 《シヴの浅瀬》 -土地(24)- 4 《道の探求者》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《カマキリの乗り手》 3 《風番いのロック》 -クリーチャー(15)- | 4 《稲妻の一撃》 3 《マグマの噴流》 4 《軍族童の突発》 4 《ジェスカイの魔除け》 4 《かき立てる炎》 2 《時を越えた探索》 -呪文(21)- | 3 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 2 《神々の憤怒》 2 《対立の終結》 1 《嵐の神、ケラノス》 1 《悟った達人、ナーセット》 1 《異端の輝き》 1 《復仇》 1 《運命の泉》 1 《時を越えた探索》 -サイドボード(15)- |
『タルキール覇王譚』リリース直後に開催されたSCGO Edisonで優勝し、その後のメタに大きな影響を与えることになったJeskai Wins。その時の優勝者である強豪プレイヤーKevin Jonesは、今大会もJeskai Winsで入賞を果たしました。
このリストの特徴はメインに3枚採用されている《風番いのロック》です。多くのリストで《嵐の息吹のドラゴン》や《龍語りのサルカン》が使われていましたが、《風番いのロック》を採用しているリストは筆者の知る限りでは今回が初めてです。
今大会優勝を果たしたJeskaiでも採用されていた《軍族童の突発》はこのバージョンでも「召集」や《ゴブリンの熟練扇動者》とのシナジーがあり、先ほどの《風番いのロック》の「強襲」の条件の満たしやすさにも一役買っています。1枚でクリーチャーを3体も展開するので単体除去に頼ったデッキに対してはカードアドバンテージになり、今後もこのタイプのデッキで良く見かけることになりそうなカードです。
3 《山》 2 《森》 1 《沼》 4 《豊潤の神殿》 4 《砂草原の城塞》 2 《遊牧民の前哨地》 4 《樹木茂る山麓》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《マナの合流点》 1 《ラノワールの荒原》 -土地(25)- 4 《森の女人像》 2 《サテュロスの道探し》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《包囲サイ》 3 《軍族の解体者》 -クリーチャー(17)- | 3 《岩への繋ぎ止め》 4 《稲妻の一撃》 4 《はじける破滅》 2 《残忍な切断》 2 《龍語りのサルカン》 1 《英雄の導師、アジャニ》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(18)- | 4 《神々の憤怒》 3 《歓楽者ゼナゴス》 2 《思考囲い》 2 《完全なる終わり》 2 《対立の終結》 1 《異端の輝き》 1 《英雄の導師、アジャニ》 -サイドボード(15)- |
今大会のデッキテクとしても紹介されています。
インタビューによると《包囲サイ》や 《龍語りのサルカン》、《はじける破滅》といった強力なカードや軽い除去の《岩への繋ぎ止め》を全て採用したデッキを使ってみたかったというのがデッキ選択理由だそうです。
デッキはMarduにAbzanの要素を融合させたような構成で一見すると欲張りなマナ基盤も《森の女人像》や各種占術ランド、フェッチランド、ペインランドのおかげで意外と事故りにくいようです。
《はじける破滅》、《稲妻の一撃》など戦闘以外でも相手のライフを削る手段に長けており、除去にもなり速攻持ちのアタッカーにもなる《龍語りのサルカン》と赤の強い部分と、緑のマナクリーチャーによる強固なマナベースと《クルフィックスの狩猟者》によるアドバンテージ、Abzanを使用する理由の一つであるパワーカード《包囲サイ》と各色の良いとこ取りをしたグッドスタッフに仕上がっています。《山》が必要になりますがわずか1マナと軽くテンポ面でも優れた除去の《岩への繋ぎ止め》も赤を使うメリットの一つです。
色が多いこともあり、全体的にパワーカードの応酬になりやすい現在のミッドレンジ環境に強い構成です。しかし、ややメタ外であったAaron BarichのAbzan Aggroや今大会準優勝のEsper Walkerには分が悪かったようです。特にEsper Walkerのようにメインにクリーチャーを1枚も採用していないデッキ相手だとメインに多めに採用されている除去が無駄碑になるので、メイン戦は苦戦を強いられそうです。それらの除去はサイド後に追加のPWの《英雄の導師、アジャニ》や《歓楽者ゼナゴス》、ハンデスの《思考囲い》に代わるので第2ゲーム以降はいくらか相性も改善されそうです。
SCGOの変化 ~よりGPに近くなるSCGO~
StarCityの組織プレイに大きな変化が訪れようとしています。
今まではクリスマスなど一部のホリデーや、プレリリース、SCG主催のGP以外ではほぼ毎週のように土曜日にスタンダード、日曜日にレガシーのオープンが行われていましたが来月に開催されるSCGO Seattleから大幅な変更が加えられる予定です。
まず、従来の土曜日と日曜日のオープンが廃止されSCGOはGPと同様の二日制のイベントになります。
日曜日には併催イベントとして、賞金総額$5,000のSCG Premier Invitational Qualifier(Premier IQ)が二つ開催されます。
メインイベントの一日目はスイスラウンド9ラウンド制になり勝ち点21点以上か一日目終了時点での上位64名が二日目に進出し、二日目はスイスラウンド6回戦の末にトップ8となります。
SCGOに使用されるフォーマットはスタンダード、モダン、レガシーの三つのフォーマットの内一つが選出されます。
SCGOで採用されなかった他2つのフォーマットは日曜日の併催イベントのPremier IQで採用されます。
スケジュール及びフォーマットは以下のリンクから確認することができます。興味がある方はどうぞ。
・2015 Open Series Announcement
http://www.starcitygames.com/article/29783_2015-Open-Series-Announcement.html
スケジュールを見る限りではスタンダードで行われるメインイベントが圧倒的に多いのが印象的ですが、先ほども挙げたようにメインイベントで採用されなかったフォーマットは日曜日に開催される併催イベントのPremier IQで採用されるので、イベントの数自体に大きな変化は無いようです。
変更の理由としては近年SCGOの参加人数が増加傾向にありプレイヤーやスタッフの負担を和らげるためだそうです。
今回の変更には賛否両論で、色々な意見が見られます。土曜日のスタンダードオープンは多い時では参加者700人を超えラウンド数が10-11と長丁場で予選ラウンドが終了する頃には日付けが変わっていることも多く、日曜日もトップ8に残れば午前8時までに会場に戻らねばならずレガシーオープンも9時に開始とハードなスケジュールだったので、実際にイベントを経験している筆者としては今回の変更には賛成です。
イベントの構成の変更と共に賞金も増額されます。
賞金総額は$20,000にまで増額され優勝賞金はなんと本家GPを超える$5,000!(参加費も$40から50に増額)。
さらなる盛り上がりに期待しましょう。
総括
今までも何度も挙げてきましたが現スタンダードは次から次へと新しい戦略、デッキが生み出される面白い環境です。特にデッキビルダーにとっては研究し甲斐のある環境なのではないでしょうか。
今週末にはSCGO Atlantaの他にもスタンダードの大規模なイベントであるGP San Antonioがありスタンダード的に充実した週末になりそうです。
以上で今回の解説を終わります。
次回の記事ではSCGO AtlantaとGP San Antonio、SCGO Portlandの解説を予定しています。SCGO Portlandにて現在のスタイルのオープンが終了します。果たしてどのようなデッキが結果を残すのか。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php