神インタビュー: 川北 史朗 ~レガシーにおける勝利の秘訣~

晴れる屋

By Atsushi Ito


 川北 史朗(東京)

 第1期より「神」の座を防衛し続けているただ1人の人物であり、【エターナルフェスティバル2014】優勝など、日本レガシー界において数多くの華々しい戦績を持つ強豪プレイヤーだ(川北の背景については【神インタビュー】を参照されたい)。

 だが、フォーマットの歴史も長く百戦錬磨のプレイヤーも多いレガシーで、何故ここまで勝ち続けることができるのだろうか。

 レガシーといえば先日アジア初のレガシーグランプリ、【GP京都】が行われたばかり。これからフォーマットが盛り上がっていくにつれ、新しくレガシーを始めるというプレイヤーも増えていくことだろう。

 そこでそんなプレイヤーのために、川北が考える、レガシーにおける勝利の秘訣についてインタビューしてみた。





負けたときに「何故負けたのか」を
          真剣に考えることが重要だと思います


--「早速ですが、レガシーにおける川北さんの強さというのは一体何に支えられているんでしょうか。例えば川北さんの知人がレガシーを始めて3か月ほどで全然勝てなかったとして、彼に対して何てアドバイスしますか?」

川北 「そうですね……まずは『1つ1つのプレイングの理由について、自分の頭でちゃんと考えてみろ』と言いますね。この『自分で考える』というのが大事で、わからなかったら最終的に他人に聞いてもいいですが、とにかく自分の頭で『何故そうするのか』について考える癖をつけて欲しいです」

--「なるほど。プレイの理由を自分で考えることが大切なんですね」

川北 「それから、負けたときに『何故負けたのか』を真剣に考えることが重要だと思います

--「何故負けた……それは俺が弱かったから。俺はもっと強くなる。そして次こそは勝つ!」

川北 「いえ、そういう精神論ではなくて(笑) 正確には、きちんと敗北からのフィードバックを得る、ということですね。レガシーはアクションが細かいので選択肢がとても多く、ちゃんとやっているつもりでもどこかミスっているということがよくあるので、負けは引きのせいだとくさらずに、何とかできる場所はなかったか、もう少しうまいやり方はなかったかと思い返して次の対戦への糧にするのが、強くなるための第一歩だと思います」



周りに強いプレイヤーがいて、
        その人に意見を聞ける環境ということです


川北 「他には、やはり環境が大事ですね」

--「環境……と言いますと?」

川北 周りに強いプレイヤーがいて、その人に意見を聞ける環境ということです。プレイミスを反省するときも、もし上手い知り合いが自分のゲームを見てくれていたら、岡目八目で自分より正しいプレイを発見してくれているかもしれません」

--「確かに川北さんの周りには強豪レガシープレイヤーが大勢いらっしゃいますよね」

川北 「斉藤(伸夫)くんとか土屋(洋紀)くんとか、それに立川勢のみんなもレガシーがすごく強いプレイヤーばかりなので、その点私は恵まれていると思います」

--「彼らとプレイを話し合ったりして常日頃から切磋琢磨しているから、強くなれるんですね」

川北 「そうですね。あと意見を聞いた際には、相手の言葉に真摯に耳を傾けることが肝要です。私なんかはつい自分が正しいと思ってガーガー反論しちゃうんですが(笑) 異なる視点の意見を吸収できる機会なので、大切にした方が良いですね」



『勝ちへの嗅覚』が足りないパターンが多いのかなと思います

川北 「あとレガシープレイヤーにありがちだなと思っているのは、『勝ちへの嗅覚』が足りないパターンが多いのかなと思います

--「どういうことでしょうか?」

川北 「例えば『勝率10%、外してもその場では負けない。ただしゲームを続けてもまくり目はほとんどない』というプランAと、『勝率30%だが、その場で敗北する確率も70%』というプランBがあったとして。私は少しでも勝率が高いプランBを選択するべきだと考えますが、『ゲームが長引くから』という理由でプランAを選んでしまう人もレガシーだと多いんですよね」

--「そこでプランBを選べるのが『勝ちへの嗅覚』ということですか」

川北 「ですね。迷わずにプランBを選択できることこそが強さだと思います。私はマジックとは突き詰めれば確率のゲームだと思っているので。そしてマジックを確率論にするためにも、やはり考える力が最重要だと思います」

--「ありがとうございました」





 川北は非常に明快かつロジカルに勝利の秘訣を語ってくれた。

 グランプリも開催され、競技としてのレガシーがピックアップされる機会が国内においても増えてきた昨今。

 「楽しみたい」レガシープレイヤーだけでなく、「勝ちたい」レガシープレイヤーも増加してきたように思われる。

 そんな方々にとって、このインタビューが参考になれば幸いだ。