USA Standard Express vol.29 -SCGO St.Louis, SCGO Atlanta, WMCQ2014 Osaka-

Kenta Hiroki



皆さんこんにちは!

新セットの『タルキール覇王譚』のフルスポイラーが公開されセットの全貌が明らかになりました。今週末には待ちに待ったプレリリースがあり来週末には『タルキール覇王譚』がリリースされスタンダードリーガルになります。

さて今回の記事では現環境最後の大会のStarCityGames.com Open(SCGO) St.LouisSCGO AtlantaWMCQ大阪の結果を見ていきます。



SCGO St.Louis ~優勝は現環境トップメタのRabble Red~

2014年9月6日

Thomas Graves 


1位 Rabble Red/赤単
2位 RW Burn/バーン
3位 BW Midrange/白黒コントロール
4位 Mono Black Devotion/黒信心
5位 Jund Plainswalkers/黒赤緑コントロール
6位 GW Aggro/緑白ビートダウン
7位 Jund Plainswalkers/黒赤緑コントロール
8位 Jund Plainswalkers/黒赤緑コントロール

環境も終盤を迎えたにもかかわらずメタの動きが著しい現在のスタンダード。M15以前は環境を支配していた「信心」や青白コントロールは数を減らし、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》という新戦力を得たJund Plainswalkersや今大会を制した《ゴブリンの熟練扇動者》の加入によって大幅に強化された赤単が幅を利かせています。



SCGO St.Louis デッキ解説

「Rabble Red」「Jund Plainswalkers」


Thomas Graves 「Rabble Red」 SCGO St.Louis (1位)

19 《山》
2 《変わり谷》

-土地(21)-

4 《火飲みのサテュロス》
4 《軍勢の忠節者》
4 《ラクドスの哄笑者》
3 《鋳造所通りの住人》
4 《炎樹族の使者》
2 《火拳の打撃者》
2 《灰の盲信者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
3 《瓦礫帯のマーカ》

-クリーチャー(30)-
3 《稲妻の一撃》
1 《タイタンの力》
4 《かき立てる炎》
1 《凱旋の間》

-呪文(9)-
3 《大歓楽の幻霊》
3 《マグマのしぶき》
2 《ボロスの反攻者》
2 《頭蓋割り》
2 《ミジウムの迫撃砲》
1 《馬力充電》
1 《力による操縦》
1 《変わり谷》

-サイドボード(15)-
hareruya


M15から加入した《ゴブリンの熟練扇動者》によって大幅に強化され、一気にトップメタデッキの仲間入りした赤単アグロ。今大会を制したThomas Gravesは同系を意識していたようで、サイドには単体除去の《マグマのしぶき》《ミジウムの迫撃砲》の他にも《ボロスの反攻者》が採用されています。

《炎樹族の使者》《灰の盲信者》《軍勢の忠節者》等多くのクリーチャーがローテーション落ちしてしまいますが、『タルキール覇王譚』からも《嘲る扇動者》《戦名を望む者》といったこのデッキにとって新戦力となりそうな赤いクリーチャーが見られる上に、割り振り可能な火力の《弧状の稲妻》も再録される予定なので、赤単アグロというアーキタイプ自体は新環境でも活躍しそうです。

ゴブリンの熟練扇動者かき立てる炎ボロスの反攻者





Dayne glossner 「Jund Planeswalkers」 SCGO St.Louis (5位)

3 《森》
4 《踏み鳴らされる地》
3 《血の墓所》
2 《草むした墓》
4 《奔放の神殿》
4 《悪意の神殿》
3 《ラノワールの荒原》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家》
1 《漁る軟泥》
4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》

-クリーチャー(13)-
3 《ミジウムの迫撃砲》
3 《戦慄掘り》
2 《ラクドスの復活》
1 《ゴルガリの魔除け》
2 《化膿》
4 《歓楽者ゼナゴス》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》
4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
2 《見えざる者、ヴラスカ》

-呪文(23)-
3 《霧裂きのハイドラ》
3 《強迫》
3 《神々の憤怒》
2 《マグマのしぶき》
1 《漁る軟泥》
1 《ゴルガリの魔除け》
1 《リリアナ・ヴェス》
1 《ラクドスの復活》

-サイドボード(15)-
hareruya


ほぼ毎回上位入賞しているJund Walkers。メインから採用された《漁る軟泥》《ゴルガリの魔除け》など、苦手な赤いデッキに対して少しでも有利になるように調整されているようです。

このデッキでは《英雄の破滅》の代わりに《化膿》が採用されています。 PWにも触れる《英雄の破滅》は便利ですが色拘束が強く、PWに対する回答も《戦慄掘り》がメインに3枚、直接火力の《ラクドスの復活》もメイン、サイドと合わせて3枚採用されているので、ハンデスの《強迫》と合わせて十分な印象です。サイドには追加の《ゴルガリの魔除け》《マグマのしぶき》《神々の憤怒》など、アグロデッキ対策が多めです。

歓楽者ゼナゴス世界を目覚めさせる者、ニッサ化膿





SCGO Atlanta

~赤いデッキの快進撃は続く、Rabble Redが2週連続優勝~


2014年9月13日

Manny Orellana 


1位 Mono Red Rabble/赤単
2位 Jund Walkers/黒赤緑コントロール
3位 Jund/赤緑怪物
4位 Jund/黒赤緑コントロール
5位 Naya Aggro/白赤緑ビートダウン
6位 Mono Black Devotion/黒信心
7位 Rabble Red/赤単
8位 Mono Black Devotion/黒信心

前回のSCGO St.Louisと同様にRabble RedとJundが上位を支配しています。プロツアー『テーロス』以来環境を支配してきた「信心」デッキは黒単が辛うじて上位に勝ち残っているくらいで、青白コントロール青単は見られません。



SCGO Atlanta デッキ解説

「Mono Red Rabble」「Jund」


Manuel Orellana 「Mono-Red Rabble」 SCGO Atlanta (1位)

17 《山》
4 《変わり谷》

-土地(21)-

4 《火飲みのサテュロス》
4 《ラクドスの哄笑者》
3 《軍勢の忠節者》
4 《若き紅蓮術士》
4 《チャンドラのフェニックス》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》

-クリーチャー(23)-
4 《ショック》
4 《稲妻の一撃》
4 《マグマの噴流》
4 《かき立てる炎》

-呪文(16)-
3 《灼熱の血》
3 《頭蓋割り》
2 《ボロスの反攻者》
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《マグマのしぶき》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》
1 《鍛冶の神、パーフォロス》

-サイドボード(15)-
hareruya


SCGO Atlantaで優勝を収めたのは、WMCQ名古屋を制した赤単と似た構成のデッキでした。赤くて軽いクリーチャーや《ゴブリンの熟練扇動者》による序盤の爆発力と、《チャンドラのフェニックス》と火力による中盤以降の強さという、Rabble RedとBurnの長所を合わせたような構成が特徴です。

《ゴブリンの熟練扇動者》《若き紅蓮術士》との組み合わせが強いものの、4マナと少し重い《鍛冶の神、パーフォロス》はサイドに落とされ、代わりに4枚目の《チャンドラのフェニックス》《マグマの噴流》が採用されています。サイドの《ボロスの反攻者》など、同系も強く意識しているようです。

若き紅蓮術士チャンドラのフェニックスマグマの噴流




◆Interview With Stephen Mann


今大会惜しくも準決勝で敗れてしまったものの、Jund MonstersとJund Walkerの中間の様な構成のデッキで入賞を果たしたStephen Mann にインタビューをすることができました。Stephen Mannはプロツアー『ギルド門侵犯』トップ8の経験もある強豪プレイヤーです。


Stephen Mann 「Jund」 SCGO Atlanta (3位)

4 《山》
1 《森》
4 《踏み鳴らされる地》
3 《草むした墓》
4 《ラノワールの荒原》
4 《奔放の神殿》
2 《疾病の神殿》
2 《変わり谷》

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家》
4 《森の女人像》
2 《漁る軟泥》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
2 《ゴーア族の暴行者》

-クリーチャー(20)-
4 《ミジウムの迫撃砲》
4 《戦慄掘り》
4 《歓楽者ゼナゴス》
4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》

-呪文(16)-
4 《霧裂きのハイドラ》
3 《マグマのしぶき》
3 《紅蓮の達人チャンドラ》
2 《金箔付け》
2 《ラクドスの復活》
1 《思考囲い》

-サイドボード(15)-
hareruya



Stephen Mann 


--何故Jund Monstersを今大会で使用することにしたの? 《ドムリ・ラーデ》《嵐の息吹のドラゴン》が不採用だったり 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》がフル搭載されていたりと他のリストと比べると個性的なリストに仕上がっているね。

Stephen: Jund Monstersのようにマナ加速からファッティを展開できるデッキが好きで、現在のスタンダードでは使い続けている。Jund MonstersはどちらかというとTier2に位置するデッキで、理由は《生命散らしのゾンビ》を採用した黒系のデッキとの相性の悪さからだと思っている。そういった理由から黒系が多くなりそうだったプロツアー『マジック2015』では違うデッキを使ってた。

Stephen: 一方でJund Walkersは、多数の除去スペルが 《歓楽者ゼナゴス》《世界を目覚めさせる者、ニッサ》といったPWを守り《英雄の破滅》以外では除去する手段を持たない黒系のデッキに強い。そういった理由からJund Walkerで調整を続けたけど、Monstersに採用されていたカードも恋しくなった。《世界を喰らう者、ポルクラノス》はその1枚で、とても強いカードだ。最速4ターン目に相手の小型のクリーチャーを除去しながら7/7になる脅威は無視するには強すぎると思った。

Stephen: そこで調整中のJund Walkerに4枚の《世界を喰らう者、ポルクラノス》を含めることにした。メタがRabble RedやJund Walkerへとシフトしたのも理由の一つだ。《ゴーア族の暴行者》《漁る軟泥》もそれらのデッキに強いカードだ。そして4枚採用された《戦慄掘り》は軽い除去なのと同時に相手の《世界を目覚めさせる者、ニッサ》に対する回答になる。このリストをSCG InvitationalやMagic Onlineでも使って好感触だった。

Stephen: このデッキはJund Monstersというよりは、Jund WalkerにMonstersに採用されている数種類のカードを加えたデッキなんだ。《ドムリ・ラーデ》はデッキ内の非クリーチャースペルが多くてクリーチャーをめくれる確率が低くなっているから採用されていないんだ。《嵐の息吹のドラゴン》は悪くないカードで、相手のPWに対してプレッシャーになるけど、《ミジウムの迫撃砲》《破滅の刃》といった軽い除去で落ちるからあまり強く感じられなかった。タフネス5っていうのが重要で、《世界を喰らう者、ポルクラノス》がオールスターな理由だ。


--サイドのカードのチョイスも面白いのがあるね。 《金箔付け》はブロックでは良く使われていたカードだけど使ってみてどうだった?

Stephen: 元々は《冒涜の悪魔》《波使い》に対する追加の除去として《究極の価格》が採られていたんだけど、《海の神、タッサ》にも負けることが多かった。破壊ではなくGodに対する回答になる「Exileする除去」を探しているときに、色拘束の薄い黒の除去スペルがあることを思い出した。それが《金箔付け》だった。金トークンの能力も地味に次のターンに《ミジウムの迫撃砲》を超過でキャストする助けになったり、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》をキャストしたターンに土地を4/4にしてアタックしたりすることを可能にしてくれる。


--『タルキール覇王譚』の新カードで試してみたいカードは?

Stephen: 《龍語りのサルカン》は除去されずに生き残れば強そうだね。《血に染まりし勇者》は多分良く使われるカードの1枚になると思うよ。《奈落の総ざらい》は色拘束が強いけどカードに書いてあることは壊れていると思う。


--今回はインタビューの質問に答えてくれてありがとう。僕もJund Walkerはオンラインでよく使っていたけどこのリストは思いつかなかった。最後は残念だったけどトップ4入賞おめでとう。次の大会でも頑張って。

世界を喰らう者、ポルクラノス戦慄掘り金箔付け





WMCQ大阪 ~トップ8はタレント揃い、優勝はBW Midrange~

2014年9月14日

清永 翔 


1位 BW Midrange/白黒コントロール
2位 BW Midrange/白黒コントロール
3位 UWR Rogue/ローグ
4位 GW Aura/呪禁オーラ
5位 BG Midrange/黒緑コントロール
6位 BG Midrange/黒緑ビートダウン
7位 Mono Black Devotion/黒信心
8位 Jund Walkers/黒赤緑コントロール

殿堂プレイヤーの津村 健志さん、三原 槙仁さん、プラチナプロの山本 賢太郎さんらが名を連ねるなど強豪揃いのトップ8でした。
そんな中、BW Midrangeを操る清永 翔さんが見事に代表入りを果たしました。



WMCQ大阪

「BW Midrange」「UWR Rogue」「BG Midrange」


Kiyonaga Shou 「BW Midrange」 WMCQ 大阪 (1位)

7 《沼》
1 《平地》
4 《神無き祭殿》
4 《コイロスの洞窟》
4 《静寂の神殿》
1 《オルゾフのギルド門》
4 《変わり谷》

-土地(25)-

3 《群れネズミ》
3 《オレスコスの王、ブリマーズ》
4 《冒涜の悪魔》
3 《ヴィズコーパの血男爵》
2 《幽霊議員オブゼダート》

-クリーチャー(15)-
4 《思考囲い》
3 《胆汁病》
2 《肉貪り》
1 《破滅の刃》
1 《究極の価格》
3 《英雄の破滅》
2 《悲哀まみれ》
2 《骨読み》
1 《払拭の光》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(20)-
2 《生命散らしのゾンビ》
2 《罪の収集者》
2 《破滅の刃》
2 《神討ち》
2 《強迫》
2 《悲哀まみれ》
2 《地下世界の人脈》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya


M15解禁後の環境で最も成功を収めている黒系のミッドレンジの1つであるBW Midrange。メインの《生命散らしのゾンビ》だった枠が《オレスコスの王、ブリマーズ》になっています。赤系のアグロデッキに対してはタフネス4は除去されにくく、しかも「警戒」持ちということで攻守ともに優秀なクリーチャーです。

最近の赤いデッキの隆盛により遅い《地下世界の人脈》がサイドに落とされ、フィニッシャーの数も減量されメインの除去が多めです。《悲哀まみれ》がメイン、サイドと合わせて4枚採用されていることからも、高速アグロデッキをメタっていたことが分かります。

オレスコスの王、ブリマーズ冒涜の悪魔胆汁病





Okada Yoshikazu 「UWR Rougue」 WMCQ 大阪 (3位)

3 《聖なる鋳造所》
2 《蒸気孔》
4 《天啓の神殿》
4 《戦場の鍛冶場》
2 《啓蒙の神殿》
2 《シヴの浅瀬》
4 《変わり谷》
4 《ダークスティールの城塞》

-土地(25)-


-クリーチャー(0)-
4 《マグマの噴流》
4 《爆片破》
3 《Turn》
2 《否認》
3 《スフィンクスの啓示》
4 《戦導者のらせん》
4 《至高の評決》
4 《予言のプリズム》
3 《ダークスティールの鋳塊》
4 《アーティファクトの魂込め》

-呪文(35)-
3 《マグマのしぶき》
2 《神討ち》
2 《払拭》
2 《不死の霊薬》
2 《宿命的報復》
2 《嵐の息吹のドラゴン》
1 《嵐の神、ケラノス》
1 《ファイレクシアの破棄者》

-サイドボード(15)-
hareruya


モダンの親和デッキではお馴染みの《ダークスティールの城塞》《アーティファクトの魂込め》のコンボを搭載した青白赤のローグコントロールデッキ。

破壊されない5/5を作り出すことが可能で、破壊する系の除去が中心のスタンダードでは脅威です。対象先は《ダークスティールの鋳塊》でも可能です。《爆片破》《戦導者のらせん》などの高ダメージの火力も搭載しているので、バーンのように相手を焼ききることもできます。

メインがノンクリーチャーなので、除去を減らしてきた相手に対してはサイドの《嵐の息吹のドラゴン》が刺さります。《嵐の神、ケラノス》《突然の衰微》など《アーティファクトの魂込め》に対する回答を採用しているデッキに対してサイドインされそうです。このタイプのデッキにはメインに1枚だけ採用されていることの多い《不死の霊薬》がサイドに2枚採用されているのも印象的です。サイド後は追加の《宿命的報復》と合わせて青白赤コントロールに変化する選択肢もあるようです。

アーティファクトの魂込め爆片破至高の評決





Yamamoto Kentaro 「BG Midrange」 WMCQ 大阪 (5位)

4 《森》
4 《沼》
4 《草むした墓》
4 《疾病の神殿》
4 《ラノワールの荒原》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
3 《変わり谷》

-土地(25)-

4 《森の女人像》
2 《漁る軟泥》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《冒涜の悪魔》
2 《世界を喰らう者、ポルクラノス》

-クリーチャー(16)-
4 《思考囲い》
2 《胆汁病》
2 《究極の価格》
2 《ゴルガリの魔除け》
4 《英雄の破滅》
1 《地下世界の人脈》
4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》

-呪文(19)-
4 《強迫》
4 《悲哀まみれ》
4 《霧裂きのハイドラ》
2 《破滅の刃》
1 《地下世界の人脈》

-サイドボード(15)-
hareruya


黒信心タッチ緑とは全く別のデッキで、《クルフィックスの狩猟者》《世界を喰らう者、ポルクラノス》《世界を目覚めさせる者、ニッサ》等を搭載した緑黒ミッドレンジデッキ。緑黒ですが《突然の衰微》は不採用で、メタ的に「-1/-1」モードが強いため《ゴルガリの魔除け》が優先的に採用されています。

《世界を喰らう者、ポルクラノス》《漁る軟泥》と合わせて、赤系のアグロに強い構成です。《クルフィックスの狩猟者》と相性が良くアドバンテージが稼げる《地下世界の人脈》がメイン、サイドともにわずか1枚ずつで、サイドにフル搭載されている《悲哀まみれ》からも如何にRabble Redが意識されていたのかが伝わります。

クルフィックスの狩猟者ゴルガリの魔除け悲哀まみれ





総括

プロツアー『テーロス』以降、現環境のスタンダードは良くも悪くも《スフィンクスの啓示》《群れネズミ》といった強力なカードを軸にしたデッキやRTRブロックの色拘束の強いクリーチャーやパーマネントを多数搭載した「信心」デッキが支配する環境でしたが、現在のSCGOやWMCQの大会の結果を見てみるとM15から加入した新戦力から登場したRabble RedやJund Walkers、環境最後の大会でもWMCQでトップ4に入賞していた青白赤のような新しいデッキが見られるなど、M15が環境に与えた影響は予想以上に大きかったようです。


ゴブリンの熟練扇動者世界を目覚めさせる者、ニッサアーティファクトの魂込め


そのRTRもローテ落ちし、環境が激変します。青単信心等はテーロスブロックの「信心」要素は残るもののRTRの色拘束の強いカードのローテ落ちにより現在の形態を留められなくなります。ほとんどのデッキに必ずと言っても良いほど採用されていた《変わり谷》が落ちるのも無視できない要素です。《スフィンクスの啓示》をはじめとするRTRの強力なコントロールスペルのほとんどがローテ落ちしてしまうので、青白コントロールも環境から姿を消しそうです。一方で緑系のミッドレンジはショックランドが落ちるのでマナ基盤の再調整が必要になりますが、《クルフィックスの狩猟者》《世界を喰らう者、ポルクラノス》《森の女人像》、PWの《世界を目覚めさせる者、ニッサ》《歓楽者ゼナゴス》などの多くのキーパーツが残るので、 《ゴブリンの熟練扇動者》を軸にした赤系のアグロデッキとともに新環境でも活躍しそうです。特に《生命散らしのゾンビ》《潮縛りの魔道士》の退場は緑系のデッキにとっても追い風でしょう。


変わり谷夜帷の死霊スフィンクスの啓示生命散らしのゾンビ



以上で今回の解説を終わります。

次回の記事では新環境初の大会であるSCGO IndianapolisとSCGO New Jerseyの解説を予定しています。

それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!


※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『SCGO St.Louis event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/060914_stlouis.html
『SCGO Atlanta event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/130914_atlanta.html
『Pro Tour Gatecrash event coverage』
http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/ptgtc13/welcome
『BIGWEB -ビッグウェブ- マジック:ザ・ギャザリング情報サイト』
http://www.bigmagic.net/