皆さんこんにちは!
M15が解禁になりましたが、皆さんはもう新環境のスタンダードはプレイされましたか?
アメリカでは先週末にStarCityGames.com Open(SCGO) Baltimoreがありました。参加者600人を超える大規模な大会だったそうです。
さて、今回の記事ではそのSCGO Baltimoreの結果を見て行きたいと思います。
SCGO Baltimore トップ8
~Devotion戦略の優位揺るがず、黒単信心が王者の貫禄を見せる~
2014年7月20日
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1位 Mono Black Devotion/黒信心
2位 GW Aggro/緑白ビートダウン
3位 BW Midrange/白黒コントロール
4位 Mono Black Devotion/黒信心
5位 Naya Aggro/白赤緑ビートダウン
6位 Mono Black Devotion/黒信心
7位 Mono Blue Devotion/青信心
8位 Mono Blue Devotion/青信心
M15がリリースされましたが、解禁直後だったため多くのプレイヤーは使い慣れたデッキを新環境向けに調整して参加していたようです。
結果、青単信心と黒単信心がトップ8の半分以上を占め、黒単信心の優勝で幕を閉じました。
SCGO Baltimore デッキ解説
「Mono Black Devotion」「BW Midrange」「GW Aggro」
「Naya Aggro」「Mono Blue Devotion」
18 《沼》 2 《欺瞞の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《変わり谷》 -土地(25)- 4 《群れネズミ》 4 《夜帷の死霊》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 3 《胆汁病》 2 《肉貪り》 2 《血の署名》 1 《究極の価格》 4 《英雄の破滅》 3 《地下世界の人脈》 -呪文(19)- |
4 《強迫》 3 《生命散らしのゾンビ》 2 《破滅の刃》 2 《ファリカの療法》 1 《死者の神、エレボス》 1 《究極の価格》 1 《地下世界の人脈》 1 《リリアナ・ヴェス》 -サイドボード(15)- |
19 《沼》 4 《変わり谷》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《群れネズミ》 4 《生命散らしのゾンビ》 4 《冒涜の悪魔》 3 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(15)- |
4 《思考囲い》 1 《強迫》 4 《胆汁病》 3 《血の署名》 1 《ファリカの療法》 1 《究極の価格》 3 《英雄の破滅》 3 《地下世界の人脈》 -呪文(20)- |
3 《強迫》 3 《破滅の刃》 2 《死者の神、エレボス》 2 《悲哀まみれ》 2 《真髄の針》 1 《ファリカの療法》 1 《エレボスの鞭》 1 《リリアナ・ヴェス》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『テーロス』以来環境のTier1デッキとして入賞を続けている黒単信心。その強さは新環境でも変わらず、トップ8に3名のプレイヤーを輩出しました。
《血の署名》はM15で再録された黒のドロースペルで、 《アスフォデルの灰色商人》や除去スペルに巡り会いやすくなります。軽いドロースペルなのでキープ基準にもなりデッキの回りも安定します。
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》はM15から再録された「戦場の土地全てに《沼》の基本地形タイプを追加する」土地で、このカードがまだスタンダードリーガルだった頃は黒を含めるデッキには最低1-2枚は採用されていたカードでした。単色とはいえ色拘束の強いカードを多く採用しながら《変わり谷》も4枚採用しているこのデッキにとっては、非常に重要です。 これにより《夜帷の死霊》もキャストしやすくなりました。
《リリアナ・ヴェス》は特に同系やコントロール、バーンとのマッチアップで強さを発揮するカードです。「-2」能力は《死者の神、エレボス》や《アスフォデルの灰色商人》といったカードの水増しすることができます。
今大会見事に優勝を収めたDan Jessupのリストは《夜帷の死霊》をメインに採用したバージョンで、同系やパワー2以下のクリーチャーが中心のアグロデッキに強い構成です。準々決勝で同系に勝利しています。サイドは《リリアナ・ヴェス》を採用しているからか 《死者の神、エレボス》は 僅か1枚までに減量されています。そのため僅かながらサイドボードのスペースに余裕ができています。
Jeremy Bowmanは惜しくも準々決勝で同型戦に敗れましたが、スイスラウンドを8-0-2(引き分けはID)というレコードで上位入賞を果たしています。
メインは 《血の署名》と《地下世界の人脈》が3枚ずつとドロースペルが多めに採用されています。カードを引く手段が多めにとられているからか、黒単ではほぼ4枚確定だった《アスフォデルの灰色商人》が3枚に減量されていたり、《強迫》や《ファリカの療法》など1枚挿しのカードも多く見られ他の黒単と比べても特徴的なリストです。ライフロスが著しいデッキなので相手のクリーチャーを除去しつつライフゲインできる《ファリカの療法》は今まで以上に必要性が増したようです。
《強迫》も《召喚の調べ》や各種PWなどクリーチャーでない脅威がM15から追加されたので、メインの採用も選択肢として十分あり得ます。より確実に黒マナを調達する為に《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》がメインに2枚採用されています。
また赤単や白ウイニーなどの早いアグロも意識していたようで、サイドには《悲哀まみれ》が採用されています。後に紹介する マナクリーチャーや《炎樹族の使者》を並べてくる緑単信心に対しても高い効果を発揮します。
8 《沼》 1 《平地》 4 《神無き祭殿》 4 《コイロスの洞窟》 4 《静寂の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《変わり谷》 -土地(26)- 4 《群れネズミ》 4 《生命散らしのゾンビ》 4 《冒涜の悪魔》 2 《幽霊議員オブゼダート》 -クリーチャー(14)- |
4 《思考囲い》 3 《肉貪り》 2 《究極の価格》 1 《胆汁病》 2 《英雄の破滅》 3 《地下世界の人脈》 2 《払拭の光》 1 《エレボスの鞭》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(20)- |
2 《罪の収集者》 2 《ヴィズコーパの血男爵》 2 《強迫》 2 《ファリカの療法》 2 《悲哀まみれ》 1 《死者の神、エレボス》 1 《神討ち》 1 《破滅の刃》 1 《地下世界の人脈》 1 《エレボスの鞭》 -サイドボード(15)- |
M15から再録された敵対色ペインランドの 《コイロスの洞窟》によってマナ基盤が強化されました。また《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の存在により、色拘束が強いカードが多く2色のこのデッキでは使いづらかった《変わり谷》も4枚採用されています。
《幽霊議員オブゼダート》+《エレボスの鞭》や《太陽の勇者、エルズペス》といったカードパワーの高い脅威を多数搭載しているので、コントロールやミッドレンジに対して強い構成ですが、黒単と比べると重めな構成なためアグロデッキに対してはあまり相性はよくないようです。
サイドには相手のウイニークリーチャーをまとめて除去できる《悲哀まみれ》やクリーチャーを除去しつつ延命を図れる《ファリカの療法》が採用されています。対アグロデッキだけでなく、追加の《地下世界の人脈》やハンデスの 《罪の収集者》 《強迫》など対コントロールのカードも多めに採られています。黒単やコントロールの多いメタにはお勧めのデッキですが、青単などアグロデッキの多いメタでは少なくてもサイドには除去をもう少し多めに採ったほうが良さそうです。
5 《平地》 5 《森》 4 《寺院の庭》 4 《豊潤の神殿》 4 《マナの合流点》 2 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《実験体》 3 《万神殿の兵士》 2 《陽刃のエルフ》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《復活の声》 4 《ロクソドンの強打者》 3 《加護のサテュロス》 -クリーチャー(24)- |
4 《セレズニアの魔除け》 3 《ワームの到来》 2 《払拭の光》 3 《群れの統率者アジャニ》 -呪文(12)- |
4 《空殴り》 2 《テューンの大天使》 2 《神々の思し召し》 2 《狩人狩り》 2 《不動のアジャニ》 1 《霧裂きのハイドラ》 1 《セテッサ式戦術》 1 《ワームの到来》 -サイドボード(15)- |
環境初期から存在し続けている緑と白の優秀なクリーチャーでビートダウンしていくデッキです。
残念ながら有効色ペインランドは再録されませんでしたが《マナの合流点》、《寺院の庭》、《豊潤の神殿》をフル搭載しているためマナ基盤は安定しているようです。2色ながら色拘束の強いカードの多いセレズニア系のアグロでは不採用なことも多い《変わり谷》も採用されています。
M15からの新戦力である 《陽刃のエルフ》は《平地》をコントロールしていると強化されるクリーチャーで、自軍のクリーチャーを全体強化できる起動型能力も持っているので中盤戦以降も役に立つ1マナのクリーチャーです。
サイドボードには《空殴り》や《霧裂きのハイドラ》など青単対策のカードが多く見られるほかに、新PWの《不動のアジャニ》も見られます。対象のクリーチャーを強化しつつ警戒と絆魂を与える《不動のアジャニ》の「+1」能力は攻撃しつつ守りを固めることを可能にし、ライフゲインはクリーチャーデッキとの対戦でのダメージレースを有利にします。
4 《山》 4 《聖なる鋳造所》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 4 《マナの合流点》 -土地(20)- 4 《火飲みのサテュロス》 4 《実験体》 4 《ラクドスの哄笑者》 4 《流血の家の鎖歩き》 4 《炎樹族の使者》 4 《殺戮角》 4 《ボロスの反攻者》 4 《ゴーア族の暴行者》 -クリーチャー(32)- |
4 《ボロスの魔除け》 4 《岩への繋ぎ止め》 -呪文(8)- |
4 《破壊的な享楽》 4 《グルールの魔除け》 4 《ミジウムの迫撃砲》 3 《パーフォロスの槌》 -サイドボード(15)- |
緑・赤・白の3色から軽い優秀なクリーチャーを集めたスタンダード版のNaya Zoo。環境の1マナ除去の《岩への繋ぎ止め》を使うために《戦場の鍛冶場》ではなく《山》が採用されています。
土地が僅か20枚に切り詰められていますが《殺戮角》と《ゴーア族の暴行者》は主に「Bloodrush(湧血)」に使われることが前提として採用されていることを考えると、メインのマナカーブは《ボロスの反攻者》の3マナまでとなります。
サイドの《グルールの魔除け》は青単の《波使い》とエレメンタルトークンをすり抜けて相手に止めを刺すのが主な使い道となりますが、2番目のモードも《家畜化》や 《夜帷の死霊》で奪われたカードを自分の場に戻すことができます。3番目のモードも飛行クリーチャーを多く展開してくる青単に対して高い効果が期待できます。
20 《島》 4 《変わり谷》 1 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(25)- 4 《雲ヒレの猛禽》 4 《審判官の使い魔》 4 《凍結燃焼の奇魔》 4 《潮縛りの魔道士》 4 《夜帷の死霊》 4 《海の神、タッサ》 4 《波使い》 -クリーチャー(28)- |
2 《急速混成》 1 《サイクロンの裂け目》 2 《家畜化》 2 《タッサの二叉槍》 -呪文(7)- |
4 《反論》 2 《解消》 1 《霊異種》 1 《無効》 1 《払拭》 1 《急速混成》 1 《ミジウムの外皮》 1 《否認》 1 《変身術士の戯れ》 1 《家畜化》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
黒単と同様にプロツアー『テーロス』以来トップメタデッキとして大きな大会でコンスタントに入賞を続けている青単信心。今大会でもトップ8に2名のプレイヤーを輩出しました。
メインは前環境から特に変化は見られませんが、サイドにはM15からの新カードの《変身術士の戯れ》が1枚だけ採用されています。相手のコントロールするクリーチャー全てを一時的に弱体化するインスタントで3マナと少し重いですがコンバットトリックとして使えます。
ボーナスリスト
最後に、惜しくもトップ8には残れませんでしたが、新カードを使ったデッキを紹介したいと思います。
「Mono Green Devotion」
21 《森》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(25)- 4 《エルフの神秘家》 4 《旅するサテュロス》 4 《炎樹族の使者》 2 《漁る軟泥》 2 《起源のハイドラ》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 1 《狩猟の神、ナイレア》 1 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(26)- |
4 《召喚の調べ》 3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 2 《獣の統率者、ガラク》 -呪文(9)- |
4 《霧裂きのハイドラ》 4 《ナイレアの信奉者》 3 《セテッサ式戦術》 1 《ファイレクシアの破棄者》 1 《再利用の賢者》 1 《草タイタン》 1 《霊気のほころび》 -サイドボード(15)- |
19 《森》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 1 《ダークスティールの城塞》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《旅するサテュロス》 4 《炎樹族の使者》 4 《起源のハイドラ》 4 《クルフィックスの狩猟者》 1 《再利用の賢者》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 1 《ナイレアの信奉者》 1 《狩猟の神、ナイレア》 1 《高木の巨人》 1 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(29)- |
3 《召喚の調べ》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 2 《獣の統率者、ガラク》 -呪文(7)- |
4 《霧裂きのハイドラ》 3 《ナイレアの信奉者》 2 《セテッサ式戦術》 1 《ファイレクシアの破棄者》 1 《再利用の賢者》 1 《新たなるファイレクシアの魂》 1 《高木の巨人》 1 《食餌の時間》 -サイドボード(15)- |
Todd Andersonのリストは今回のデッキテクとしても紹介されています。
M15から新たに登場した同セットのトップレアであるPW《世界を目覚めさせる者、ニッサ》と、モダンでトップメタの一角である《出産の殻》デッキで使用されている再録カード《召喚の調べ》をフィーチャーした緑単色の信心デッキ。《エルフの神秘家》や《旅するサテュロス》や《炎樹族の使者》から《ニクスの祭殿、ニクソス》によるマナ加速から《世界を喰らう者、ポルクラノス》や《世界を目覚めさせる者、ニッサ》など緑のパワーカードを展開していきます。
《世界を目覚めさせる者、ニッサ》の一番目の「+1」は《槌のコス》の「+1」能力を彷彿させますが、こちらはターン終了後もクリーチャーとして場に残ります。余分な土地が4/4トランプルという脅威となるためコントロールや黒単に強い能力で、マナフラッドを緩和させます。2番目の「+1」能力は《森》をアンタップするマナ加速で《世界を目覚めさせる者、ニッサ》をプレイしつつ他の脅威も展開する事も可能です。既にクリーチャー化した《森》をアンタップすることで疑似的に警戒を付けるというテクニックもあります。
《起源のハイドラ》はマナさえ払えれば、大型クリーチャーを展開しつつカードアドバンテージを得ることが可能です。能力が発動するのはキャストされた際で、マジック史上でも強力なメカニックの一つとされる「続唱」を彷彿させます。
《女王スズメバチ》は飛行を止めるのが難しかった緑デッキにとって待望のクリーチャーです。黒単の《冒涜の悪魔》や《群れネズミ》の大軍も《胆汁病》が無ければピタリと止まります。このクリーチャー単体でも緑への信心が三つ集まり、接死は《狩猟の神、ナイレア》とも相性が良いので、《召喚の調べ》のメインのサーチ先の一枚です。
サイドにはサーチスペルである《召喚の調べ》を活かして 《ファイレクシアの破棄者》や《再利用の賢者》、《ナイレアの信奉者》など特定の相手や状況に強いクリーチャーカードが多く積まれています。その中でも面白いのは《草タイタン》です。M15から加入したこの緑のクリーチャーは7/2というパワーとタフネスが非常にアンバランスで除去耐性はお世辞にも高いとは言えませんが、死亡してもマナコスト無しで復活するためコントロールや黒単に強いのが特徴です。
Charley Murdockは今大会惜しくもタイブレーカーによってトップ8を逃しましたが、Todd Andersonと同タイプのデッキを使用して9位に入賞していました。
Charleyのリストは 《高木の巨人》や《再利用の賢者》、《ナイレアの信奉者》といった一枚挿しのクリーチャーが多く、メインから《召喚の調べ》を活用する構成になっています。
メインに一枚だけ採用されている《ダークスティールの城塞》も面白いアプローチです。《世界を目覚めさせる者、ニッサ》の一番目の「+1」能力で破壊されない4/4トランプルにすることが可能です。
サイドの《新たなるファイレクシアの魂》は自軍の全パーマネントに破壊不能を与える起動型能力を持つクリーチャーで、マナさえあれば《召喚の調べ》でサーチしてきて全体除去などから自軍を守ることが可能です。大量のマナを生み出すのが得意なこのデッキの戦略にフィットしています。
総括
新環境初の大規模なスタンダードの大会であるSCGO Baltimoreは僅かながらM15から新戦力を得て更に強化された黒単信心が優勝を収めました。環境初期という事でコントロールが少なくM15の新カードや再録カードを使った緑単信心等高いポテンシャルを持つデッキも見られます。いよいよ来週に迫ったPT Magic 2015ではどのようなデッキが活躍するのか今から楽しみです。
次回の記事ではSCGO Kansas CityとSCGO Dallasに加えてPT Magic 2015の解説も予定しています。
以上SCGO Baltimoreの解説でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『SCGO Baltimore event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/190714_baltimore.html