皆さんこんにちは。
先週末には新セット『ニクスへの旅』のプレリリースがありましたが楽しんでいただけましたか?セットも今週リリースされ、大会でも使用可能になるので楽しみです。
さて、今回の記事では現環境最後の大きな大会となるSCGO Detroitのデッキ解説をしていきます。また、おまけとして新セットのレビューもしていきます。
SCGO Detroit トップ8 デッキアーキタイプ
2014年4月19日
1位 UW Control/白青コントロール
2位 Mono Black Devotion/黒単
3位 Junk Midrange/白黒緑ジャンク
4位 GR Monsters/赤緑怪物
5位 UW Devotion/信心青単
6位 Mono Black Devotion/黒単
7位 Mono Black Devotion/黒単
8位 Mono Black Devotion/黒単
『神々の軍勢』までのスタンダード環境の総決算となるSCGO Detroitは、トップ8の半分がMono Black Devotionという中、UW Controlが優勝を果たしました。
SCGO Detroit デッキ解説
「UW Control」「Mono Black Devotion」「Junk Midrange」「RUG Monsters」
6 《島》 5 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 2 《欺瞞の神殿》 2 《静寂の神殿》 3 《変わり谷》 -土地(26)- 1 《霊異種》 -クリーチャー(1)- |
2 《中略》 3 《アゾリウスの魔除け》 2 《今わの際》 1 《天界のほとばしり》 4 《解消》 4 《スフィンクスの啓示》 2 《予言》 4 《至高の評決》 1 《宿命的報復》 4 《拘留の宝球》 1 《不死の霊薬》 4 《思考を築く者、ジェイス》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(34)- |
3 《テューンの大天使》 3 《反論》 2 《天界のほとばしり》 2 《否認》 2 《盲従》 1 《存在の破棄》 1 《真髄の針》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
現環境最後の今大会を制したのは純正の青白コントロールでした。メタゲームが煮詰まって仮想敵がはっきりしていたため、コントロールにとって勝ちやすい環境になっていたようです。今回はEsper Controlや黒信心系のデッキをメタって赤単等の高速ビートダウンやRW Burnが流行りだしたことにより、2点が痛いショックランドやタップインなためテンポの悪い『占術』ランドを多数採用したEsper Controlよりも、純正の青白コントロールを使用したプレイヤーが多かったです。
今大会優勝者であるSimon Stahlの青白コントロールは、長期戦に強い《不死の霊薬》を採用したバージョンです。《不死の霊薬》のライフ回復のおかげで、RW Burnとの相性がわずかに改善されています。このタイプの青白は通常、墓地のカードを《不死の霊薬》によってライブラリーに戻せることを活かして、長期戦に持ち込むために《太陽の勇者、エルズペス》等のフィニッシャーは最低限にまで絞っていることが多いですが、Simonのリストはメインのフィニッシャーが多めに積まれています。《不死の霊薬》を交えた戦略はその性質上勝つまでに時間が掛かるため、できる限り引き分けを回避しようとしたようです。
サイドには他のコントロールと同様に、能動的に勝ちにいけるように《テューンの大天使》や《記憶の熟達者、ジェイス》が追加の勝ち手段として採用されています。《盲従》はRG Monstersや速攻クリーチャーを多数採用した赤系のビートダウンに高い効果が期待できます。『強請』は《テューンの大天使》の能力との相性も良く、《盲従》をサイドインするデッキに対しては大抵の場合《テューンの大天使》もサイドインされるので、狙える場面では積極的に狙っていきたいところです。
18 《沼》 3 《欺瞞の神殿》 4 《変わり谷》 -土地(25)- 4 《群れネズミ》 3 《生命散らしのゾンビ》 2 《夜帷の死霊》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(17)- |
4 《思考囲い》 3 《肉貪り》 2 《胆汁病》 1 《究極の価格》 4 《英雄の破滅》 4 《地下世界の人脈》 -呪文(18)- |
4 《強迫》 4 《破滅の刃》 3 《死の大魔術師の杖》 2 《死者の神、エレボス》 2 《闇の裏切り》 -サイドボード(15)- |
17 《沼》 4 《変わり谷》 2 《欺瞞の神殿》 2 《静寂の神殿》 -土地()- 4 《群れネズミ》 3 《夜帷の死霊》 2 《生命散らしのゾンビ》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(17)- |
4 《思考囲い》 1 《強迫》 3 《肉貪り》 2 《胆汁病》 4 《英雄の破滅》 4 《地下世界の人脈》 -呪文(18)- |
3 《死者の神、エレボス》 3 《強迫》 2 《生命散らしのゾンビ》 2 《闇の裏切り》 2 《破滅の刃》 2 《ファリカの療法》 1 《胆汁病》 -サイドボード(15)- |
今大会最多の入賞率を誇った黒単信心。リストも完成されている印象で多くのプレイヤーがあまり変わらないリストを使用している中、Lauren Nolen とJosh Bauerのリストは他のリストとはいくつか異なる点が見られます。
両者のリストに共通しているのは《生命散らしのゾンビ》と《夜帷の死霊》の両方がメインに採用されているところです。緑系のデッキや天敵の《ヴィズコーパの血男爵》を意識していたようです。
ただ、2人のリストを見比べてみると両プレイヤーともに少し異なるメタを想定していたようで、カード選択が微妙に異なります。それは具体的には《夜帷の死霊》と《生命散らしのゾンビ》の枚数の違いや、メインの1枚刺しの《強迫》と《究極の価格》といった部分に現れています。《生命散らしのゾンビ》を多めに採用しており《究極の価格》をメインに採用しているLaurenは緑系のデッキを、《夜帷の死霊》が多めで《強迫》をメインに採用したJoshはコントロールや同系を意識していたようです。
両プレイヤーのメタの違いはサイドのカード選択にも表れています。Laurenは《死の大魔術師の杖》を採ってRW Burnをメタっていますが、Joshはライフゲイン兼除去スペルの《ファリカの療法》を採用するなど、RW Burn以外にもクリーチャーを主体とした赤系のアグロデッキを意識していたようです。
3 《森》 3 《沼》 4 《草むした墓》 4 《寺院の庭》 2 《神無き祭殿》 4 《豊潤の神殿》 4 《静寂の神殿》 1 《ゴルガリのギルド門》 -土地(25)- 4 《森の女人像》 3 《漁る軟泥》 3 《クルフィックスの狩猟者》 2 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 2 《テューンの大天使》 2 《幽霊議員オブゼダート》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 1 《胆汁病》 4 《英雄の破滅》 1 《骨読み》 2 《ワームの到来》 1 《エレボスの鞭》 1 《見えざる者、ヴラスカ》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(19)- |
4 《地下世界の人脈》 3 《霧裂きのハイドラ》 2 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《罪の収集者》 1 《闇の裏切り》 1 《ゴルガリの魔除け》 -サイドボード(15)- |
緑白黒3色のグッドスタッフ。Jund Midrange等と同様に除去で時間を稼ぎつつ《森の女人像》からパワーカードを展開していくのが主な戦略となります。レガシーやモダンでも主力の除去として広く使われている《突然の衰微》は、《拘留の宝球》《地下世界の人脈》《ドムリ・ラーデ》《夜帷の死霊》 《クルフィックスの狩猟者》などなど、スタンダードでも対象には困りません。しかしレガシーやモダンとは異なり4マナ以上のパーマネントも多いので、他の除去とのバランス関係で3枚のようです。
赤の代わりに白を足したことにより、ソーサリースピードの除去に耐性を持つ《幽霊議員オブゼダート》や強力無比なPWである《太陽の勇者、エルズペス》等にアクセスが可能になりました。またメインに2枚採用されている《テューンの大天使》は、除去耐性が無いのが難点ですが、《クルフィックスの狩猟者》や《漁る軟泥》とのシナジーは強力です。
サイドの《地下世界の人脈》はコントロールや黒系のデッキに対する貴重なアドバンテージ獲得手段で、《至高の評決/Supreme Verdict(RTR)》などの全体除去によってアドバンテージを失いやすい《森の女人像》や相手の除去の恰好の的の《テューンの大天使》等と入れ替わるようです。また青単相手には、単体除去を採用しているとはいえマナカーブに沿った展開をされると厳しいため、《霧裂きのハイドラ》が採られています。
3 《森》 1 《山》 4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《奔放の神殿》 4 《神秘の神殿》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《森の女人像》 2 《漁る軟泥》 4 《クルフィックスの狩猟者》 3 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 1 《高木の巨人》 1 《霊異種》 1 《森林の始源体》 -クリーチャー(24)- |
2 《サイクロンの裂け目》 1 《ミジウムの迫撃砲》 3 《ドムリ・ラーデ》 2 《歓楽者ゼナゴス》 2 《ラル・ザレック》 1 《紅蓮の達人チャンドラ》 1 《荒ぶる波濤、キオーラ》 -呪文(12)- |
3 《霧裂きのハイドラ》 2 《中略》 2 《否認》 2 《変化+点火》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 1 《中略》 1 《霊気のほころび》 1 《シミックの魔除け》 1 《ナイレアの弓》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
今大会のデッキテクとしても紹介されたデッキで、GR Monstersをベースに、青のフィニッシャーの《霊異種》や《荒ぶる波濤、キオーラ》《ラル・ザレック》などのPWが多めに積まれています。
《霊異種》はコントロールや黒系のデッキに対して信頼できるフィニッシャーで、緑系の中速デッキにとっては対処の難しかったPWも戦闘で破壊することが可能になります。バウンススペルの《サイクロンの裂け目》と合わせて、全体的に相手のPWに触りやすくなっています。
サイドに採用されている《シミックの魔除け》は、デッキテクのインタビューによると《冒涜の悪魔》等の大型クリーチャーをバウンスして時間を稼いだり、PWやクリーチャーを除去から護ったりと、幅広い活躍をしたようです。
新セット ニクスへの旅 レビュー
さてここからは『ニクスへの旅』から新たに加入するカードの中から、筆者の視点で現在のスタンダードに影響を与えそうなカードを見ていきたいと思います。
◆《天啓の神殿》《疾病の神殿》《マナの合流点》
まだ出ていなかった残りの『占術』ランドとリメイクされた《真鍮の都》である《マナの合流点》は、現環境に存在するデッキのマナ基盤の安定に貢献します。
これまで青白赤コントロールは、『イニストラード』ブロックが健在だった昨年と異なり、歴代最高のハンデススペルの1枚である《思考囲い》や除去にアクセス可能なEsper Controlと比べて派手さに欠けるために人気はいまひとつでしたが、《天啓の神殿》の登場により青白系コントロールの選択肢がまた1つ増えました。
《疾病の神殿》は今まで《ゴルガリのギルド門》に頼るしかなかった黒信心タッチ緑にとって待ちに待った『占術』ランドです。今後は《突然の衰微》や《ゴルガリの魔除け》にアクセスできるタッチ緑バージョンが流行りそうです。
《マナの合流点》はペイライフが痛いので遅めのデッキでは採用は難しそうですが、白黒Humanや緑白等の多色アグロにとっては貴重なアンタップインランドです。
◆《英雄の導師、アジャニ》
今回のセットのPWです。先ほど紹介したJunk Midrangeや緑白アグロの新戦力として活躍が期待できそうです。2番目の+1能力はオーラもサーチできるので、Naya Hexproofにも居場所がありそうです。
◆《バサーラ塔の弓兵》
貴重な2マナ圏の『呪禁』持ちクリーチャーなので、Naya Hexproofの主力クリーチャーとして採用されそうです。『到達』持ちですがあまりブロックをしないNaya Hexproofにはあまり関係が無さそうです。
◆《脳蛆》
《催眠の悪鬼》のリメイク。
除去耐性が皆無でサイズも小さいクリーチャーなのでハンデスとしてもクリーチャーとしてもあまり強くありませんが、相手の除去がこのクリーチャーに向くことになるので、《冒涜の悪魔》などの本命のクリーチャーが生き残りやすくなります。黒いデッキでも『信心』デッキより白黒Human等のアグロデッキや黒系のアグロで活躍しそうです。
◆《通行の神、エイスリオス》
白黒のGod。
3マナと軽く、白黒Humanなどに除去対策として採用されそうです。また、先ほど紹介した《脳蛆》とも相性が良さそうです。
◆《節くれの傷皮持ち》
黒系アグロの新戦力になる1マナクリーチャー。『授与』能力のブロックできなくなるデメリットも、アグロデッキでは気にならないと思います。
相手のクリーチャーに付けてブロッカーを排除するという使い方も可能です。
◆《神討ち》
相手のGodを後腐れなく除去できるスペル。
それ以外の場面でも《消去》として使用できるので、優秀なエンチャントが多く存在する現環境ではメインで採用していても腐りにくい優秀な除去スペルです。
◆《払拭の光》
《忘却の輪》のリメイクで、細かいですが対戦相手のパーマネントしか対象にできなくなったので、対戦相手の場に適正な対象が存在しない状況になった際も自分のパーマネントを追放する必要がなくなりました。
青白系のコントロールにとっては《拘留の宝球》があるのであまり嬉しくないですが、パーマネントへの対処法が限られる緑白やNayaにとっては収穫です。
◆《大歓楽の幻霊》《勝利の神、イロアス》
《大歓楽の幻霊》は赤いデッキ、特に赤信心で採用されそうです。除去するのに大抵2点受けることになるので、相手にすると嫌なクリーチャーだと思います。
赤白のGodの《勝利の神、イロアス》はやはり《ボロスの反攻者》や《灰の盲信者》を採用した赤白信心で活躍しそうです。
実際に新セットを導入した大会が開催されるまでは分かりませんが、全体的に見て現環境のトップメタとされる黒単や青単は今回のセットからはあまり収穫が無さそうで、緑白、黒系のアグロ、Naya Hexproof, 赤白信心など、現環境のTier2に位置するデッキが強化されそうな印象です。
総括
SCGO Detroitはトップ8の半分が黒信心でしたが、優勝は純正の青白コントロールでした。現環境のスタンダードはこれで最後となり、今週末のSCGO Cincinnatiからはいよいよ『ニクスへの旅』が解禁となります。黒単と青単がトップメタとして活躍し続けるのか、それとも新たなデッキが現れるのか楽しみです。
以上SCGO Detroitと新セット『ニクスへの旅』のレビューでした。
先週末がプレリリースだったため、今回の記事ではわずか1大会分の解説となりましたが、次回の記事ではSCGO CincinnatiとSCGO Knoxvilleの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!