GPトロント0回戦ドロップ!

齋藤 友晴


『タルキール龍紀伝』が発売してから1ヶ月が過ぎた。

途中で【GP京都】のために少しだけレガシーをやったけれど、それ以外は全部スタンダードに絞ってマジックしてきた。

……にも関わらず、このゴールデンウィークと重なった週末の【GPトロント】は、まるで自信がなかったので不参加を選択。

大きな試合は経験を積むためには最適だけれど、経験を積みたいと思えるデッキすら出来ていなかった。

強いプレーヤーが年々増えているので当然、下手な鉄砲を数を打って当たる率も下がっている。

チケット金額&カナダが取引うまくないのもあったが、今回は最終的には移動時間を節約し、練習しまくって勝利を掴むためのギブアップ。
今後の成長のため、そして解答に繋がるヒントを見つけるために、今回のスタンダードで自身が辿った道を振り返ってみようと思う。



■環境初期

パワフルなドラゴン達をうまく使おうとして色んなドラゴンデッキを試した。
自分だけじゃなく、身の回りでもほとんどの人がドラゴンに夢中だった。

ドラゴン病大流行(笑)

あとは初週のSCGOの結果を受けて赤単タッチ緑が増加傾向だった。

そんな感じで意識するデッキは沢山ドラゴンが入った重いデッキ各種と、赤系ビートだったため、それらをメタった形のノンドラゴンの青黒コントロールを使いだした。

ドラゴン病患者達を嘲笑うように勝ちたかったので《軽蔑的な一撃》3枚メイン、
赤系に勝ちたかったので《究極の価格》4枚メインの構成。

あとは、エスパードラゴンコントロールをはじめとする青黒系が強いと感じていたので、
今ではだいぶ認知度が上がっている同系キラーサイドの《目覚めし処刑者》を3枚入れてた。

軽蔑的な一撃究極の価格目覚めし処刑者


そして…..発売翌週末までは思うように勝ちまくれた!

実際にドラゴン入りデッキと赤系ばかりで、次に多いデッキも前環境からあんまり変わってないアブザンデッキ2種ぐらいで意識の範疇だった。

2色でもマナの安定のために2~3枚入ってしまう《華やかな宮殿》を4枚まで増量し、《沼》の代わりに《ラノワールの荒原》を2枚入れ、
苦手なエンチャントケアでタッチ緑で《スゥルタイの魔除け》まで入れたりもした。


練習で参加した【GPT千葉/LMC551st】で勝ったこの段階では、この環境で自分が使い続けるデッキが決まった可能性が高いと思い込んでいたのでリスト非公開を希望した。

今となっては全然たいしたデッキじゃなかった。
《目覚めし処刑者》だけは本当に強かったけど。
しかし、今思えばドラゴンがハンデスされたら少し重くなるもののエスパーコンのサイドにも採用できるので、これが青黒をやる理由とはならない。

また、《スゥルタイの魔除け》《ドロモカの命令》でエンチャントが駆逐されてる環境においてはただのマナ食い虫かつ事故好きチョイスだった。



■プロツアー前

マジックオンラインでも青黒コントロールはかなり勝てた。
この時期に印象深かったのは《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》が入ったアブザン大変異デッキに複数回当たったこと。


死霧の猛禽棲み家の防御者


最近出てきたデッキのように思う人もいるかもしれないけれど、実は最初の頃から試している人がいた。
何度でも蘇るあいつらは青黒コントロール側からしたらかなりやっかいで、《精霊龍、ウギン》をメインとサイド合わせて3枚にまで増やさせられた。

精霊龍、ウギン



この時実は、プロツアーで勝ち組になるのはこのアブザン大変異デッキだと思っていた。
新しく強い動きを搭載していてなおかつ、アブザンという一番カードプールに恵まれた色で脇を固められるから、完成形はかなり強そうだなと。

そんなことを考えながらもここでこのデッキを自分でもテストしようと思わなかったのは、プロツアーに出るわけじゃなかったし、
その後のGPに対しては結局プロツアーの結果次第ということを除いても、単純に青黒のほうが好みだったんだと思う。

ベテランプレーヤーに時間が十分にある場合、経験や好みに左右されないほうが良いはずだ。

冷静に、平等に全てを考え、試すべきもの試す。もし出来るならそれが勝利への最短ルートだと思う。



その反面。

ウギンが好き。

マジックが好き。


好きなものがあるってとっても幸せ♪

これはこれで大事なことだと思う。


これを書いてる今、週末にGPパリ@スタンダードが差し迫っている中でも、

あっ、《シルムガルの碑》《ジェイスの創意》《精霊龍、ウギン》てグッドコンビネーションじゃね!?
《シルムガルの碑》はまだ試してないな。青黒コンは凄いマナが出るから追加のフィニッシャーとしても良さそう。うーんどうしよう。

……とか考えてたりする。

いち人間で、いちマジックファンだ。
勝負だからと言って完全にときめく気持ちを無くせるわけがない。

ロボットじゃないんだから最短ルートはひとまず諦めて、毎回最終的に冷静な目で判断できることを目標にして頑張ろう。
ときめくものを優先して試すのはそれはそれで高いモチベーションを保ちやすく、頭の回転スピードも上がるし。



■プロツアー後


結果としてはご存じのとおり、優勝したのは【アタルカレッド】であり、総じて勝ち組だったのは【青黒コントロール系】だった。

アタルカの命令シルムガルの嘲笑


これにより、青黒コントロールを使い続けることの雲行きが怪しくなった。

自身が感じていたように、青黒系のコントロールは環境初期のドラゴンドラゴンしたメタゲームでは実際に強かったようで、
そりゃあ重いパワーカードのぶつかり合いになっていれば昔からカウンター呪文が強い。

カウンターが強い環境で、カウンターの申し子のヤソがカウンター勢最上位だったのはエンタメ的には出来すぎてる結果だと思うけど実力的には納得。
あれほどカウンターをが入ったデッキを選ぶ率が高いプレーヤーはそうそういないし、経験の差が出たんだと思う。

そして上位陣がどっしり王決定戦となっている中、序盤の熾烈な戦いで生き残ってきた最速デッキのアタルカレッドにとっては天国モードだったという比較的分かりやすい結果。

いつも思うけど、これって「ドッジ弾平」で強い球取る練習しすぎたチームが弱いボールを全然取れなかったのに似てるよね♪

分からんか(笑)



■GPクラクフ後

さて、レガシーのGP京都も終わったしまたスタンダード頑張ろうと裏側で開催されてた【GPクラクフ】の結果を確認したところ・・・

チャネル勢がプロツアーで使用してかなりの勝ち組だったドラゴンコントロールがトップ8に6人(エスパー5人・青黒1人)という驚きの偏った結果に。

龍王オジュタイ


こりゃあいよいよもって青黒コンは厳しそうだ・・・。

コントロールはメタる側でなんぼ、強くメタられる側では厳しいという認識を強く持っている。
ここ10年のマジックの歴史上、第1メタのデッキとして本気でメタられながら勝ったコントロールデッキっていうのはほとんどない。
記憶としてあるのは、けちコントロールとティーチングコントロールだけで、いずれもカードプールが狭い限定構築でのことだった。

勝ったのはエスパーコンであり、青黒コンではない。
ただ、よく似たタイプのデッキで、ドラゴン絡み以外は入るカードがほとんど同じ選択肢となる。
希望を持てる部分は、エスパーコン相手なら万全のサイドボードが、クリーチャーが《真珠湖の古きもの》ぐらいしかない青黒コン相手には不足することぐらいだ。

実際、この後の練習では以前より勝率はぐんと落ちてしまっていた。



■RPTQ参加後

青黒コンは厳しいと思いながらも練習出来るほとんどの時間を青黒コンに費やしてしまっていたので、【しゃあなしで青黒コンで参加して噛み合わずに負け】

環境が多様化してきて捌きにくくなったのと、青黒コン系がメタられていること、ビッグトーナメント後で全体のデッキが強くなっていることなど、
厳しい要素だらけの上に引きもおじいちゃんで全く良いとこなし。
これはもう青黒コンは諦めるほかないと思った

ここからGPトロントはもう翌週末。気付けばもうほとんど時間がない。

GWと重なっていたせいか飛行機チケットの値段がジャンプアップしてしまっていたのと、仕入的にもうまくない場所だからもし自信がなければ諦めるつもりでいて、
案の定、自信あるデッキ選択が出来なそうだったので0回戦ドロップを選択した

この時、最後に試したのは青黒コンで強かった《目覚めし処刑者》をメインに入れたマルドゥコン。
青黒系には処刑者だけで勝てることが分かっていたので、それほぼ全部除去でコントロールもクリーチャーも両方どんと来い!みたいな構成。

超弱かった(笑)

真性マゾの人以外は絶対試さないほうがいい(笑)



■GPトロント不参加を決めた後

現在、往復の移動時間、都合40時間や現地で諸々かかる余分な時間20時間ぐらいが浮いたわけだから本気で練習してる。
このギブアップが勝利に繋がる最善手だったと言えるように、最後まで全力で頑張りたい。

ただ実は、ベストだと思える新しい黒単アグロが出来て勝ちまくれてたけど、不参加とした【GPトロント】と、同日開催で同じくスタンダードだった【GPサンパウロ】の結果を見て軽くげんなり。

《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》活躍しすぎキキジキ><
MOでもいっせいに増えて実際対戦して厳しくてキキジキ><

って感じ(笑)

プレイだけじゃなく、メタ読みでも目標の大会前に大きい大会ある場合は2手3手先まで読めないと駄目だな^^;
今回はそれ以前に1手先も読めなくて不参加にしてるわけだからどうしようもないけど(笑)


《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》システム相手に優位に立つにはやっぱり・・・

《精霊龍、ウギン》フィーチャーしたデッキかな^^

あれ、戻った(笑)


あえて今の思考を現在のスタンダードで勝つための格言にまとめるなら、

「秀でることより劣らないことを目指せ!」

となりますが・・・

自身のプロポイント状況的に、安定して上位に入ってプロポイントを数点取るよりも、ぶっちぎりの優勝を狙う必要があるので頑張って秀でにいきます☆



ってことでどうやら賞味期限切れっぽい、昨日まで使う気満々だった新しい黒単アグロでも載せて練習に戻ります!



「SaitoBlack3」

21 《沼》

-土地(21)-

4 《血に染まりし勇者》
4 《苛まれし英雄》
4 《苦痛の予見者》
3 《シルムガルの暗殺者》
4 《マルドゥの急襲指揮者》
4 《冷酷な軍族》

-クリーチャー(23)-
4 《強迫》
4 《思考囲い》
4 《胆汁病》
4 《自傷疵》

-呪文(16)-
3 《ファリカの療法》
3 《究極の価格》
3 《英雄の破滅》
2 《血の署名》
2 《悪性の疫病》
2 《死体結い》

-サイドボード(15)-
hareruya


シルムガルの暗殺者冷酷な軍族自傷疵


ではまた☆



(最後に宣伝)




現在、【晴れる屋 成田店】を拠点に活動中!皆様成田でお待ちしています^^


トモハル



※編注:記事内の画像は、以下のページより引用させて頂きました。
『Lunatic Moon Convention LMC公式HP』
http://lunaticmoonconvention.jimdo.com/