『タルキール覇王譚』の難解なシールドも、少しずつ光明が見えてきた。
2名のゲストによる濃厚な解説。そして後に控えるシールド神、rizer。
彼らの力を借りれば、攻略できないシールド環境など存在しない。
早速今回も始めていこう。
1.Contemplating a sealed pool
1 《炎蹄の騎兵》 1 《マルドゥの軍族長》 1 《休息地の見張り》 1 《雪花石の麒麟》 1 《アブザンの戦僧侶》 1 《賢者眼の侵略者》 1 《まばゆい塁壁》 1 《軍用ビヒモス》 1 《果敢な一撃》 1 《抵抗の妙技》 1 《必殺の一射》 2 《戦場での猛進》 1 《武器を手に》 1 《包囲戦法》 -白(15)- 2 《ジェスカイの風物見》 1 《湯熱の精》 1 《氷河の末裔》 2 《旋風の達人》 1 《河水環の曲芸士》 1 《引き剥がし》 1 《悪寒》 1 《取り消し》 1 《漂流》 1 《鐘音の一撃》 -青(12)- |
3 《縁切られた先祖》 1 《不撓のクルーマ》 2 《ケルゥの戦慄の大口》 1 《朽ちゆくマストドン》 1 《従順な復活》 1 《苦々しい天啓》 1 《残忍な切断》 1 《殻脱ぎ》 2 《消耗する負傷》 -黒(13)- 1 《戦名を望む者》 2 《沸血の導師》 1 《沸血の熟練者》 2 《マルドゥの心臓貫き》 1 《峡谷に潜むもの》 1 《アイノクの足跡追い》 1 《火口の爪》 1 《苦しめる声》 1 《反逆の行動》 2 《矢の嵐》 1 《ゴブリンすべり》 -赤(14)- |
2 《族樹の管理人》 1 《ティムールの軍馬》 1 《煙の語り部》 1 《牙守りの隊長》 1 《高山の灰色熊》※ 1 《遠射兵団》 1 《松歩き》 1 《大牙コロッソドン》 1 《部族養い》 1 《帰化》 1 《龍鱗の加護》 -緑(12)- 1 《足首裂き》 1 《マルドゥの荒くれ乗り》 1 《内向きの目の賢者》 1 《雪角の乗り手》 1 《グドゥルの嫌悪者》 1 《冬の炎》 1 《マルドゥの魔除け》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 2 《スゥルタイの戦旗》 1 《アブザンの戦旗》 1 《タルキールの龍の玉座》 1 《ウギンのきずな》 2 《急流の崖》 1 《平穏な入り江》 1 《茨森の滝》 1 《花咲く砂地》 -多色・アーティファクト・土地(18)- |
※ rizer先生からいただいたプールではこの部分は《熊の覚醒》が正しいのですが、こちらの不手際でゲスト2名に《高山の灰色熊》となっている不正確なプールを渡してしまったため、今回は《高山の灰色熊》のままで出題します。Magic Onlineでインポートする場合は《熊の覚醒》となっておりますので、ご了承ください。
たくさんのマルチカラーの強力なレア、平均より少なめな土地、各色に散らばっており不自由な2マナ圏……
ある意味この上なく、『タルキール覇王譚』環境らしいプールではなかろうか。
選択肢は無数にあり、どの組み合わせで組んでも何か物足りない。疑心暗鬼になるうちに構築時間は擦り減っていき、やがては選択を妥協する……
そんなありがちな未来を、グランプリ本番で迎えないためにも。
是非とも真剣に向き合ってみて欲しい。
自分の中に「これが正解だ!」という40枚を思い描いていただけただろうか。
では、今回のゲスト2名の回答へと移ろう。
2.Ikawa’s answer
まず1人目は、先日のプロツアー『タルキール覇王譚』で10位に入賞し、今期のプラチナ・レベル到達を目論むプロプレイヤー。
井川 良彦。
プロツアートップ8経験のある強豪は、一体どのようにデッキを組み上げるのか。
--「シールドプールをもらってまず最初に何を見ますか?」
井川 「最初に見るのは土地ですね。土地があるかないかで組める氏族が限られますから。土地の次にボムを見て、その次に各色のクリーチャーを見る感じですね」
--「そうやってプールを見た後で、どういう風にメインカラーの氏族を決めるんでしょうか?」
井川 「まず土地の噛み合いですね。次は低マナ域のスペルとクリーチャーがちゃんとあること。シールドであっても2マナ域や軽い除去がないと押し込まれやすい環境なので。特にグランプリとかだと、強いデッキほど先手のマルドゥやティムールなどで押し込んできたりするので、そういう理由で最低2枚の2マナ域がある氏族を選びたいですね」
--「クリーチャー以外のスペルをどういう風に取捨選択しますか?」
井川 「何よりもまず場に触れるカードかどうかが大事だと思います。それから、『勝てるカードかどうか』も大切ですね。あとは『デッキの一貫性』でしょうか。攻めるクリーチャーが主体か、守るクリーチャーが主体か、それに合わせて攻めるスペルをとるか守るスペルをとるかが変わります」
6 《森》 5 《山》 3 《島》 2 《急流の崖》 1 《茨森の滝》 -土地(17)- 1 《ティムールの軍馬》 1 《戦名を望む者》 1 《煙の語り部》 2 《ジェスカイの風物見》 1 《牙守りの隊長》 1 《高山の灰色熊》 2 《マルドゥの心臓貫き》 1 《湯熱の精》 1 《峡谷に潜むもの》 1 《松歩き》 1 《アイノクの足跡追い》 1 《雪角の乗り手》 1 《大牙コロッソドン》 1 《河水環の曲芸士》 -クリーチャー(16)- |
1 《火口の爪》 1 《苦しめる声》 1 《引き剥がし》 1 《冬の炎》 1 《龍鱗の加護》 2 《矢の嵐》 -呪文(7)- |
--「このカラーを選択するにあたって悩んだ点は何でしょうか?」
井川 「まずこのプールは黒のカードが滅茶苦茶強いんですね。しっかり軽いアクション(《消耗する負傷》)とボムである《真面目な訪問者、ソリン》があるし、除去(《残忍な切断》)もある。だけどとにかく土地がない。あと実は黒ベースで組んでみると『勝ちきるプラン』があまりないんです。土地が少ないときは自分から攻められるデッキにしたいですね」
井川 「それでも諦めきれずに強力なカード目白押しのマルドゥで一応組もうとしましたが、攻められる2マナ域が1枚しかなくて『強襲』のカードが生きないのと、やはり土地がないという理由で諦めました。他にはジェスカイも組もうとして、でも緑の方が重いところがしっかりしてるし2マナ域が多くてマナカーブが良く、土地の枚数も変わらなかったので、こちらの方が良いだろうと。それにジェスカイは2マナ域が減って4マナ域ヘビーになるので、攻めきれなくなりそうというのもあります」
--「このデッキを組むにあたって、最後に抜けたカードは何でしたか?また、その理由は?」
井川 「今回最後まで悩んだのが《高山の灰色熊》《アイノクの足跡追い》《遠射兵団》《悪寒》の4枚で、この中から2枚を選ばないといけなかったんですが、まずクリーチャーをしっかり入れたくて《悪寒》が抜けて、次にこのデッキの強い部分である《マルドゥの心臓貫き》2枚を機能させるために3マナ域を優先したかったのとマナベースが弱めだったので『変異』の《アイノクの足跡追い》の採用が決まりました。最後に『獰猛』を満たせるのと相手の事故に期待できる《高山の灰色熊》を採用しました。22~23枚目の選択基準としては、デッキの軸とかコンセプト、あるいはマナベースの都合に合わせたカードを選ぶと良いと思います。クリーチャーとスペルの比較だったらクリーチャーを優先させることが多いですね」
--「マナシンボルに関して、7 : 7 : 6 ですがメインカラー的には特に問題はないんでしょうか?あとこのデッキは先手後手どちらですか?」
井川 「ダブルシンボルがデッキにほとんどないし、『変異』がそれなりの枚数入っていれば均等気味のマナベースでもそれほど抵抗はないですね。本当は赤緑ベースにしたかったけれど、コンセプト上『しっかりクロックを作る』ということを優先したかったので、《ジェスカイの風物見》が3ターン目に出やすいように青を6つ用意することにしました。これでも先手を取りますね、《矢の嵐》のダメージプランに合っているので」
--「ありがとうございました」
3.Nakajima’s answer
2人目は、日本マジック業界の生き字引。
中島 主税。
古からのシールド技術で、中島はどのように道を切り開くのか。
--「シールドプールをもらってまず最初に何を見ますか?」
中島 「単色の強いカードを抜きだしますね。特に除去です。除去が何色にあるかが重要だと考えています」
--「そうやってプールを見た後で、どういう風にメインカラーの氏族を決めるんでしょうか?」
中島 「『除去が多い』かつ『マルチカラーのボムとのかみ合わせがいい』という組み合わせを探します。今回では《真面目な訪問者、ソリン》はボムなので絶対使いたいですし、赤も除去があって強いですね」
--「クリーチャー以外のスペルをどういう風に取捨選択しますか?」
中島 「除去をできる限り入れます。《矢の嵐》のようにマナベースに負担がかかりすぎるものは別ですが。あとは《抵抗の妙技》のような、相手の除去に耐性が付くスペルも欲しいところですね」
6 《沼》 6 《平地》 5 《山》 -土地(17)- 3 《縁切られた先祖》 1 《マルドゥの軍族長》 1 《休息地の見張り》 2 《マルドゥの心臓貫き》 1 《雪花石の麒麟》 1 《アブザンの戦僧侶》 1 《賢者眼の侵略者》 1 《峡谷に潜むもの》 1 《足首裂き》 1 《まばゆい塁壁》 1 《マルドゥの荒くれ乗り》 1 《軍用ビヒモス》 -クリーチャー(15)- |
1 《火口の爪》 1 《抵抗の妙技》 1 《必殺の一射》 1 《マルドゥの魔除け》 1 《残忍な切断》 2 《消耗する負傷》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(8)- |
--「このカラーを選択するにあたって悩んだ点は何でしょうか?」
中島 「あまり悩みませんでしたね。5マナ域のマルチカラーを抜いて赤を薄くして《朽ちゆくマストドン》や《苦々しい天啓》を入れるプランも考えましたが、重いところがみんなボムかそれに類する強力なカードの方が勝ちやすそうで魅力的だったので、こちらの形にしました」
--「このデッキを組むにあたって、最後に抜けたカードは何でしたか?また、その理由は?」
中島 「僕の場合、最後は軽いところの微調整をします。今回で言えば、《戦名を望む者》が最後に抜けました」
--「マナシンボルに関して、6 : 6 : 5 ですがメインカラー的には特に問題はないんでしょうか?あとこのデッキは先手後手どちらですか?」
中島 「大丈夫じゃなさそうですね(笑) ですが、PTQで勝つためにはやはりボムは入れたいし、回らなかったらその日は負けと潔く諦めることにしています。このデッキはさすがに後手ですね。いつもは土地18枚の先手デッキを組みますが、ちょっと固いパーツが多いのと、カードが抜けなかったからスペル23枚の土地17枚にせざるをえなくて。とはいえ5マナで表返す『変異』も少ないし5マナで止まるくらいがデッキ的には都合が良いので、何とかなると思います」
--「ありがとうございました」
4.and yours?
いかがだっただろうか。
今回は前回よりも少し難易度を上げて、人によってメインカラー選択が変わるプールを選んでみた。
土地のある安定した氏族か。それともカードパワーでゴリ押す均等3色か。はたまた別の選択か。
難しいところではあるが、自分なりの答えを導き出してみて欲しい。
そして、この記事への感想、自分ならばこう組んだというアイディア、高橋や加藤の構築についての意見などがもしあれば。
例によってこの記事へのコメントに寄せてくれると嬉しい。
それでは、また次回。
See you!
5.rizer’s answer -Khans of Tarkir Sealed- Part2
【こちら】をご覧ください!
さらに。
ここでお知らせがある。
2014年12月10日(水)から12月22日(月)までの間、晴れる屋トーナメントセンターでは例によって。
今回の記事で題材となったシールドプールの店内貸し出しを行っている。※終了しました
これであなたが考えたデッキの一人回しが可能になる。
友達と一緒に借りて、どのような構築が良いか議論するのもオススメだ。
「タルキールシールドの練習がしたい」「実物のカードを並べて考えてみたい」「作ったデッキを実際に回してみたい」といった方は。
トーナメントセンターにご来店の際、大会受付カウンターにてスタッフにお気軽にお尋ねください。