By Kenji Tsumura
いよいよ「挑戦者」の座まであとふたつ。
その先に君臨する「レガシー神」は、「神」の中でも特別な存在だ。「神」の中で、唯一初代から防衛を続けている【川北 史朗】。【防衛戦】で見せる勝負強さは圧倒的で、これまでに【高鳥 航平】、【入江 隼】といった手練れを、フルセットの末に打ち破ってその座を守り続けてきた。
川北に勝てるプレイヤーはいないのではないか。そんな声さえ聞こえてきそうな、まさしく神がかった強さを見せる「レガシー神」。
だが、その牙城を打ち崩すために、その挑戦権を得るために、【第4期レガシー神挑戦者決定戦】には192名もの参加者が集まった。
そして、激戦を勝ち進み、準決勝に駒を進めたのが黒川と水江。黒川は長年愛用してきた「カナディアン・スレッショルド」で、水江はサイドボードに驚きのギミックを仕込んだ「オムニテル」を持ち込み、ここまでたどり着いている。
「神」川北 史朗が見守る中、準決勝が幕を開ける。
「神」川北 史朗 |
Game 1
先手を取ったのは、予選ラウンドを1位で通過した水江。どちらもマリガンすることなく、ゲームが開始される。
《島》から《定業》で手札を整える、いかにも「オムニテル」らしいスタートを切った水江に対し、黒川は《Tropical Island》を置いてターンを返すのみ。黒川の手札は《タルモゴイフ》、《もみ消し》、《Force of Will》に土地が4枚と、土地を引きすぎているのが懸念材料か。
続くターンも《思案》で手札を充実させていく水江。《溢れかえる岸辺》を置いてターンを返す。
ここで黒川のドローは、100点満点の《渦まく知識》!レガシーを代表するこのカードが、黒川の行末を大きく変えた。
黒川のターン終了時に水江が《溢れかえる岸辺》を起動すると、それに対応して《渦まく知識》をキャストし、3枚の呪文を引き込んだ黒川。もちろん過剰な土地はライブラリーに戻し、《汚染された三角州》でライブラリーをリフレッシュ。そのうえで、水江の《溢れかえる岸辺》の能力は《もみ消し》で打ち消し、ゲームの主導権を握る。
黒川 直樹 |
続く水江の《思案》を《目くらまし》で打ち消すと、水江の土地が止まる。この間に《敏捷なマングース》、《タルモゴイフ》と一気呵成に攻め入ると、最後は《Force of Will》のバックアップを受けた《稲妻》がゲームを決めた。
黒川 1-0 水江
Game 2
水江が《島》から《定業》を、黒川が《Volcanic Island》から《秘密を掘り下げる者》と、それぞれの持ち味を遺憾なく発揮するスタートを切った。
黒川の《秘密を掘り下げる者》は、《目くらまし》を公開して即座に「変身」。手札は《もみ消し》、《被覆》、《目くらまし》×2と充実しており、黒川にとって理想のゲーム展開と言える。
対する水江は3ターン目に《丸砥石》をキャスト。
驚くべきことに水江は、「オムニテル」のサイドボードに《絵描きの召使い》+《丸砥石》コンボを仕込んでいるのだ。
これにはレガシー巧者の黒川も、動揺を隠せない。そう、本来であれば「オムニテル」に対して優秀であるはずの《被覆》も、このコンボの前には無力に等しいのだ。この辺りは斉藤 伸夫が持ち込んだ【<騙し討ち>入りのリスト】に通ずるものがあるかもしれない。
水江 陽太 |
だが《丸砥石》こそカウンターできなかったものの、水江の《渦まく知識》、そして肝心要の《絵描きの召使い》は《もみ消し》のバックアップを得た《目くらまし》で的確に打ち消すことに成功した黒川。
《秘密を掘り下げる者》で淡々とダメージを積み上げ、水江の《時を越えた探索》を《Force of Will》で、《実物提示教育》を《被覆》で打ち消すと、水江は右手を差し出すほかなかった。
黒川 2-0 水江
決勝戦に進出したのは黒川 直樹!