『タルキール龍紀伝』で登場した《集合した中隊》は、様々な可能性に満ち溢れたカードです。
今回は今をときめくこのカードが、一体どのような使われ方をされているのか、ご覧いただきたいと思います。
■ スタンダード
スタンダードでは、《クルフィックスの狩猟者》や《オレスコスの王、ブリマーズ》といった単体で強力なクリーチャーをインスタントタイミングで出せるカードとして重宝されています。
ここ数週間でメキメキと頭角を現し、すでにスタンダードの代表格にまで成長した《死霧の猛禽》と相性が良いことも、《集合した中隊》の評価を上げている要因です。
7 《森》 5 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《溢れかえる岸辺》 4 《豊潤の神殿》 2 《マナの合流点》 -土地(24)- 3 《エルフの神秘家》 1 《始まりの木の管理人》 4 《棲み家の防御者》 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《道の探求者》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《死霧の猛禽》 3 《オレスコスの王、ブリマーズ》 -クリーチャー(26)- |
4 《ドロモカの命令》 2 《勇敢な姿勢》 4 《集合した中隊》 -呪文(10)- |
4 《暴風》 3 《アラシンの僧侶》 2 《加護のサテュロス》 2 《見えざるものの熟達》 2 《光輝の粛清》 2 《勇敢な姿勢》 -サイドボード(15)- |
【親愛なるKarstenの記事】によると、《集合した中隊》で2枚のクリーチャーを出すためには、22~24体くらいのクリーチャーを搭載しておく必要があるようです。
このリストは《エルフの神秘家》や《棲み家の防御者》を含んでいるため、純粋な当たりクリーチャーは少なめではありますが、十分に《集合した中隊》を生かせる構成に仕上がっています。
スタンダードで《集合した中隊》を使いこなそうとすると、クリーチャー呪文とそれ以外の呪文の構成をまとめるのが非常に難しいのですが、Wescoeは見事にそれを成し遂げ、グランプリでトップ8入賞を果たしました。
(1)白と緑には優秀な3マナ以下のクリーチャーが多いこと、(2)大量のクリーチャーを生かせるサポート呪文(《ドロモカの命令》や《勇敢な姿勢》)に恵まれていることを理由に、「白緑」という組み合わせで使用されることが多い《集合した中隊》ですが、近頃ではこんなデッキでも活躍しています。
12 《島》 4 《神秘の神殿》 4 《茨森の滝》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(24)- 4 《惑乱のセイレーン》 4 《霜歩き》 4 《キオーラの追随者》 4 《層雲の踊り手》 4 《岸砕きの精霊》 4 《シルムガルの魔術師》 4 《海の神、タッサ》 4 《波使い》 -クリーチャー(32)- |
4 《集合した中隊》 -呪文(4)- |
4 《氷固め》 3 《シディシの信者》 2 《霜の壁》 2 《霊気渦竜巻》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 -サイドボード(15)- |
こちらは《岸砕きの精霊》の登場によって、再び活躍の機会を得た「青単信心」に《集合した中隊》を足したもの。
《岸砕きの精霊》の有無で動きの強さが大きく変わるデッキなので、それを探せるカードというだけでも優秀ですね。
また、インスタントタイミングで《シルムガルの魔術師》を導くことに成功すれば、《神秘の蛇》を彷彿とさせる効果を発揮します。
スタンダードでは、このようにクリーチャー過多の構成にして、アドバンテージ源として《集合した中隊》を活用する手法が目立ちますが、カードプールが広大なモダンだと事情が異なります。
■ モダン
みなさんはこのコンボを覚えていますか?《出産の殻》が健在だった頃、このコンボはモダンを代表するデッキとして、トーナメントシーンを席巻しました。《包囲サイ》という次世代のエースに押し出される形でこのコンボは次第に数を減らしていきましたが、紛れもなくモダンを象徴する組み合わせのひとつでした。
《出産の殻》が禁止カードに指定されて久しいですが、このコンボ自体は未だに健在です。
そして、上記のカードは全てコストが3マナ以下。そこで《集合した中隊》に白羽の矢が立ったのは、極々自然な流れだったのかもしれません。
3 《冠雪の森》 1 《冠雪の平地》 1 《冠雪の沼》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《新緑の地下墓地》 2 《湿地の干潟》 2 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 1 《草むした墓》 1 《陽花弁の木立ち》 1 《樹木茂る砦》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 2 《臓物の予見者》 4 《族樹の精霊、アナフェンザ》 3 《タルモゴイフ》 3 《根の壁》 1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 1 《漁る軟泥》 4 《台所の嫌がらせ屋》 2 《永遠の証人》 1 《スパイクの飼育係》 1 《縞痕のヴァロルズ》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《テューンの大天使》 -クリーチャー(28)- |
2 《突然の衰微》 4 《召喚の調べ》 4 《集合した中隊》 -呪文(10)- |
3 《コーの火歩き》 3 《思考囲い》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《漁る軟泥》 1 《呪文滑り》 1 《オルゾフの司教》 1 《再利用の賢者》 1 《罪の収集者》 1 《目覚ましヒバリ》 1 《流刑への道》 1 《殺戮の契約》 -サイドボード(15)- |
このデッキにおける《集合した中隊》は、コンボ成立の手助けから、盤面の掌握まで、幅広い用途で使用することが可能です。
また、《永遠の証人》による再利用ももちろん強力です。
《出産の殻》とまではいきませんが、このデッキは《集合した中隊》の新たな一面を引き出してくれた注目のアーキタイプと言えるでしょう。
さらにさらに、このデッキとは一味違ったこんなコンボデッキも結果を残しています。
9 《森》 4 《魂の洞窟》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 1 《先祖の院、翁神社》 1 《ペンデルヘイヴン》 -土地(18)- 4 《エルフの神秘家》 4 《遺産のドルイド》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《イラクサの歩哨》 4 《エルフの幻想家》 2 《獣相のシャーマン》 1 《漁る軟泥》 1 《呪文滑り》 4 《エルフの大ドルイド》 3 《背教の主導者、エズーリ》 1 《永遠の証人》 1 《再利用の賢者》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(34)- |
4 《召喚の調べ》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
4 《台所の嫌がらせ屋》 4 《内にいる獣》 2 《引き裂く突風》 1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 1 《ファイレクシアの破棄者》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《スラーグ牙》 1 《窒息》 -サイドボード(15)- |
こちらは昔懐かしの「エルフ」デッキ。《集合した中隊》、そして《召喚の調べ》を駆使してマナクリーチャーを揃えれば、あとは《背教の主導者、エズーリ》がゲームを決めてくれるという算段です。
このように、《集合した中隊》はモダンにおいて「クリーチャー・コンボ」デッキ基本パーツとしての地位を確立しています。
《出産の殻》がなくなってショックを受けてしまったプレイヤーも多いと思われますが、そんな方はぜひ《集合した中隊》にご注目ください。
■ 再びスタンダードへ
ここまででいくつかの《集合した中隊》の入ったデッキをご覧いただきましたが、最後に、スタンダードのびっくりどっきりデッキをご覧いただきたいと思います。
先ほどもお伝えしたように、スタンダードでは白と緑の入ったデッキで使われることが多い《集合した中隊》ですが、先週末に終了した【グランプリ・パリ2015】では、個性的なリストが11位に入賞しています。
2 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《開拓地の野営地》 2 《凱旋の神殿》 1 《天啓の神殿》 4 《神秘の僧院》 3 《マナの合流点》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(24)- 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《爪鳴らしの神秘家》 3 《道の探求者》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《カマキリの乗り手》 4 《凶暴な拳刃》 -クリーチャー(22)- |
2 《ドロモカの命令》 2 《勇敢な姿勢》 4 《集合した中隊》 3 《かき立てる炎》 2 《オジュタイの命令》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(14)- |
4 《スズメバチの巣》 3 《アラシンの僧侶》 3 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《ドロモカの命令》 1 《オジュタイの命令》 1 《宝船の巡航》 -サイドボード(15)- |
これらのクリーチャーは、強力なクリーチャーがひしめき合うスタンダード界でも突出したスペックを誇ります。仮に《集合した中隊》から2体を導くことに成功すれば、多少の劣勢をひっくり返すことも、そのままゲームに勝利することもできるでしょう。
また、このデッキはこれまであまり活躍できていなかった《オジュタイの命令》が採用されている点にも要注目です。
かなり前のめりなデッキなので、一見浮いているように見えますが、このカードが凶悪なのは《集合した中隊》と併用されているところです。
かの悪名高き「青黒フェアリー」デッキの《霧縛りの徒党》と《謎めいた命令》よろしく、この2種類も対戦相手に「正解のない二択」を押し付けることができます。
どちらも4マナのインスタントなので、対戦相手からしてみるとこちらが何を構えているのか一切見分けがつきません。そもそも、初見では《オジュタイの命令》が入っていることすら想像できないでしょう。
《オジュタイの命令》は、これまではほとんどのデッキで居場所を見つけられなかったカードですが、このように《集合した中隊》と併用したり、インスタントタイミングで動けるデッキでこそ真価を発揮するのではないかと思います。
【グランプリ・パリ2015】と同時期に開催された【Magic Onlineの大会】でも2位のデッキに採用されていましたし、これもまた、今後露出の増えるカードかもしれません。
■ 終わりに
いかがでしたか?最後の「Four-Color Company」が良い例であるように、デッキ構築に多くの選択肢をもたらしてくれるカードだと思います。
《カマキリの乗り手》と《凶暴な拳刃》の共演なんて、《集合した中隊》あってこその荒業ですよね!
僕が今考えているのは、モダンで《コラガンの命令》と一緒に使う欲張りデッキですが、みなさんもぜひ、自分なりの「《集合した中隊》デッキ」を作ってみてはいかがでしょう?
コガモ