皆さんこんにちは!
先週末はGP Paris、先々週末はSCGO Portland、GP Toronto、GP Sao Pauloとスタンダードの大規模な大会が各地で開催され、プロツアー『タルキール龍紀伝』では見られなかったデッキもいくつか入賞していました。
今回の記事では、上記4つの大会結果を追っていきたいと思います。
SCGO Portland トップ8 ~優勝はSultai Reanimator~
2015年5月3日
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1位 Sultai Reanimator/シディシウィップ
2位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
3位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
4位 UG Devotion/青信心
5位 Mono Green Aggro/緑信心
6位 Esper Dragons/白青黒コントロール
7位 Atarka Red/赤単
8位 Atarka Red/赤単
プロツアー『タルキール龍紀伝』を制したAtarka Redや、その翌週に開催されたGP Krakowで多数の入賞者を出したEsper Dragons、安定した成績を出し続けているAbzan Aggroなどが入賞する中、Sultai Reanimatorが優勝。しかし、今大会で最も印象に残ったデッキは4位に入賞していた《集合した中隊》入りのUG Devotionでした。
SCGO Portland デッキ解説
「UG Devotion」
《潮縛りの魔道士》、《凍結燃焼の奇魔》や《夜帷の死霊》といった色拘束が強いクリーチャーが、ローテーションに伴い姿を消してしまった青信心でしたが、《集合した中隊》を加えた新しい形が今大会でトップ4という好成績を残しました。
☆注目ポイント
《岸砕きの精霊》は『タルキール龍紀伝』リリース直後に、青青青という色拘束の強さから青信心復権の鍵となるクリーチャーと一部で評価されていました。単体除去に耐性もあり、パンプアップ能力もあるので打点も高めです。
《霜歩き》は信心を満たすのには向いていませんが、2マナでパワー4という破格のサイズで序盤からプレッシャーをかけられます。《岸砕きの精霊》と同様にエレメンタルでもあるので、《波使い》による恩恵も受けられます。
《シルムガルの魔術師》は「濫用」することで《本質の散乱》を誘発し、瞬速の2/1飛行とクロックとしても優秀で、なおかつダブルシンボルなので信心を集めやすくなります。
《集合した中隊》は、軽いクリーチャーを多数採用したこのデッキでは安定して2体のクリーチャーを出すことが可能です。《海の神、タッサ》の信心も集めやすく、ソーサリースピードのスイーパーにも強くなるので、このデッキの強さを支える重要なスペルです。
GP Toronto トップ8 ~《棲み家の防御者》を使ったデッキが多数入賞。優勝はAbzan Midrange~
2015年5月3日
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1位 Abzan Midrange/白黒緑コントロール
2位 Mardu Dragons/白黒赤ビートダウン
3位 Bant Megamorph/白青緑ビートダウン
4位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
5位 Abzan Megamorph/白黒緑ビートダウン
6位 Bant Megamorph/白青緑ビートダウン
7位 Abzan Midrange/白黒緑ビートダウン
8位 GW Aggro/緑白ビートダウン
Esper Dragons祭りだったGP Krakowの結果と大きく異なり、《棲み家の防御者》を使ったミッドレンジデッキの活躍が目立だったGP Toronto。Esper Dragonsは予想通り相当メタられていたようで、トップ8には一人も勝ち残れませんでした。優勝は《棲み家の防御者》をメインから採用したAbzan Midrangeでした。
GP Toronto デッキ解説
「Abzan Midrange」 「Mardu Dragons」 「GW Aggro」
3 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《疾病の神殿》 4 《静寂の神殿》 3 《砂草原の城塞》 3 《ラノワールの荒原》 2 《コイロスの洞窟》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 3 《棲み家の防御者》 3 《羊毛鬣のライオン》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《包囲サイ》 -クリーチャー(14)- |
4 《思考囲い》 2 《胆汁病》 1 《ドロモカの命令》 4 《アブザンの魔除け》 3 《英雄の破滅》 1 《骨読み》 1 《命運の核心》 1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(20)- |
3 《アラシンの僧侶》 2 《強迫》 2 《ドロモカの命令》 2 《悲哀まみれ》 1 《骨読み》 1 《信者の沈黙》 1 《命運の核心》 1 《残忍な切断》 1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
GP Torontoを制したのはLucas Siowの操るAbzan Midrangeでした。苦手とされていたEsper Dragonsとのマッチアップも互角以上に戦えるように調整されており、Mono Redとの相性もサイド後には改善されそうです。
☆注目ポイント
メインから採用された 《骨読み》、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》や《命運の核心》からも分かるようにEsper Dragonsを強く意識した構成で、《究極の価格》など単体除去が解雇されています。
サイドの《アラシンの僧侶》は 《悲哀まみれ》と共に、Mono Redとのマッチアップでキーとなるカードです。2マナという軽さでライフゲインするCIP能力を持ち、本体も1/3というサイズなので序盤の猛攻を凌ぐのに役に立ちます。
3 《山》 1 《沼》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《遊牧民の前哨地》 3 《凱旋の神殿》 1 《悪意の神殿》 1 《静寂の神殿》 4 《コイロスの洞窟》 2 《戦場の鍛冶場》 2 《精霊龍の安息地》 -土地(25)- 4 《道の探求者》 2 《魂火の大導師》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《雷破の執政》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 2 《嵐の憤怒、コラガン》 -クリーチャー(20)- |
3 《思考囲い》 4 《龍詞の咆哮》 4 《はじける破滅》 2 《忌呪の発動》 1 《コラガンの命令》 1 《残忍な切断》 -呪文(15)- |
4 《神々の憤怒》 2 《骨読み》 2 《前哨地の包囲》 2 《命運の核心》 1 《龍王コラガン》 1 《思考囲い》 1 《見えざるものの熟達》 1 《コラガンの命令》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
Marduカラーのドラゴンクリーチャーを多数採用したミッドレンジデッキ。《はじける破滅》、《忌呪の発動》など、特にEsper Dragonsの《龍王オジュタイ》をメタった構成です。
☆注目ポイント
《はじける破滅》は《龍王オジュタイ》対策としてはベストに近く、このデッキを選択する理由の一つになります。ドラゴンクリーチャーを多数採用しているため、《龍詞の咆哮》も除去兼直接火力としても機能しやすくなっています。
《嵐の憤怒、コラガン》はトークンを生み出す《ゴブリンの熟練扇動者》とのシナジーが強力で、3ターン目に《ゴブリンの熟練扇動者》、4ターン目に《雷破の執政》、5ターン目に「疾駆」の《嵐の憤怒、コラガン》というシークエンスは脅威となります。流行りの《死霧の猛禽》を使った緑デッキ対策に《神々の憤怒》が4枚サイドに採られているなど、抜かりがありません。
7 《森》 5 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《溢れかえる岸辺》 4 《豊潤の神殿》 2 《マナの合流点》 -土地(24)- 3 《エルフの神秘家》 1 《始まりの木の管理人》 4 《棲み家の防御者》 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《道の探求者》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《死霧の猛禽》 3 《オレスコスの王、ブリマーズ》 -クリーチャー(26)- |
4 《ドロモカの命令》 2 《勇敢な姿勢》 4 《集合した中隊》 -呪文(10)- |
4 《暴風》 3 《アラシンの僧侶》 2 《加護のサテュロス》 2 《見えざるものの熟達》 2 《光輝の粛清》 2 《勇敢な姿勢》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『タルキール龍紀伝』での活躍も記憶に新しいアメリカ人プロのCraig Wescoeは、今大会でも《死霧の猛禽》と《棲み家の防御者》のエンジンを採用したデッキで入賞を果たしています。今回はBant Midrangeではなく、《集合した中隊》を採用した緑白の2色のアグロデッキのようです。
☆注目ポイント
デッキに採用されている全てのクリーチャーの点数で見たマナコストが1-3なため、《集合した中隊》を活用しやすい構成となっています。序盤は軽いクリーチャーでプレッシャーをかけつつ、中盤以降は《集合した中隊》や《棲み家の防御者》によってアドバンテージを稼いでいくことが可能で、コントロールに対しても強くなっています。
サイドには 《見えざるものの熟達》の他にも、なんと《暴風》が4枚も積まれているなど、他のデッキと同様にEsper Dragonsを強烈に意識していたようです。逆にこれほど徹底した対策を施さなければならなかったことがEsper Dragons、《龍王オジュタイ》の存在の大きさを示しています。
GP Sao Paulo トップ8 ~Esper Dragonsの強さ揺るがず~
2015年5月3日
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1位 Esper Dragons/白青黒コントロール
2位 RG Dragon/赤緑ビートダウン
3位 Green Devotion/緑信心
4位 Esper Dragons/白青黒コントロール
5位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
6位 Atarka Red/赤単
7位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
8位 Esper Dragons/白青黒コントロール
GP Torontoの結果とは対照的に、GP Sao PauloではEsper Dragonsがトップ8に3名勝ち残り、優勝もEsper Dragonsとその強さを見せつけました。GP Torontoと比べると、Esper Dragonsなどコントロールが苦手とする《棲み家の防御者》を使ったデッキは少なく、あまりメタられていなかったようです。
GP Sao Paulo デッキ解説
「Esper Dragons」
3 《島》 2 《沼》 4 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《陰鬱な僻地》 4 《欺瞞の神殿》 4 《啓蒙の神殿》 2 《コイロスの洞窟》 2 《精霊龍の安息地》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(27)- 4 《龍王オジュタイ》 1 《龍王シルムガル》 1 《漂う死、シルムガル》 -クリーチャー(6)- |
3 《思考囲い》 4 《シルムガルの嘲笑》 3 《胆汁病》 2 《予期》 3 《忌呪の発動》 3 《英雄の破滅》 2 《解消》 2 《命運の核心》 4 《時を越えた探索》 1 《悪夢の織り手、アショク》 -呪文(27)- |
3 《悲哀まみれ》 2 《黄金牙、タシグル》 2 《究極の価格》 2 《悪夢の織り手、アショク》 2 《龍王の大権》 1 《層雲の踊り手》 1 《龍王シルムガル》 1 《思考囲い》 1 《胆汁病》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『タルキール龍紀伝』でトップ16、GP Krakowでトップ8、そして今大会では優勝と、今シーズン好調な殿堂プレイヤーのPaulo Vitor Damo da Rosa。もちろん今大会でも使い慣れたEsper Dragonsを使用していました。
☆注目ポイント
このデッキのフィニッシャーである《龍王オジュタイ》が、多くのリストで3枚しか採用されていない中で4枚に増量されています。流行りの 《死霧の猛禽》+《棲み家の防御者》デッキや、多くのデッキがサイドインしてくる《見えざるものの熟達》を相手にした際は長期戦になると不利になりやすく、《龍王オジュタイ》を5ターン目に出してダメージレースを仕掛ける必要が出てくるため、4枚採用も納得です。
ミラーマッチも意識していたらしく《悪夢の織り手、アショク》がメインから採用されており、サイドにも追加の2枚が見られます。 Abzan Aggroやミラーマッチなど、現在のメタではあまり役に立たないことの多い《究極の価格》もサイドに移されており、環境の変化に合わせた細かい調整がしっかり施されています。
GP Paris トップ8 ~上位8名中4名がAbzan!~
2015年5月10日
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1位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
2位 GW Aggro/緑白ビートダウン
3位 Abzan Midrange/白黒緑コントロール
4位 Mono Red/赤単
5位 Mono Red/赤単
6位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
7位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
8位 GR Devotion/緑信心
GP Torontoと同様にEsper Dragonsは見られず。優勝はGP Torontoでもトップ4に入賞するなどコンスタントに勝ち続けているAbzan Aggroで、今大会ではトップ8に3名の入賞者を輩出していました。コントロール寄りの構成のAbzan Midrangeも含めると、トップ8の半分がAbzanです。
GP Paris デッキ解説
「Abzan Aggro」
2 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 3 《疾病の神殿》 3 《静寂の神殿》 3 《ラノワールの荒原》 2 《コイロスの洞窟》 1 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 2 《始まりの木の管理人》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《ラクシャーサの死与え》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 1 《狩猟の統率者、スーラク》 2 《風番いのロック》 -クリーチャー(21)- |
4 《思考囲い》 2 《ドロモカの命令》 4 《アブザンの魔除け》 2 《英雄の破滅》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(14)- |
3 《棲み家の防御者》 3 《悲哀まみれ》 2 《強迫》 2 《異端の輝き》 2 《自傷疵》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《ドロモカの命令》 -サイドボード(15)- |
大きな大会の上位では必ずと言って良いほど見かけるAbzan Aggro。デッキ内のクリーチャーの数が多いため、Abzan Midrangeと比べると《ドロモカの命令》を活用しやすく、Mono Redに対しての相性も他のAbzan(Abzan Midrange、Abzan Megamorph)と比較すると良いようです。
☆注目ポイント
《死霧の猛禽》+《棲み家の防御者》エンジンにより、地上クリーチャーによる攻防にフォーカスされた現環境では、「強襲」の条件を満たすことで一度にパワー3の飛行クリーチャーを2体展開する《風番いのロック》はこのデッキならではの強みとなっています。
サイドの《太陽の勇者、エルズペス》は、ミラーマッチや《死霧の猛禽》+《棲み家の防御者》デッキとのマッチアップにおいて切り札となり、Esper Dragonsなどとのマッチアップでも悪くないカードです。
《自傷疵》はこのデッキにとって《龍王オジュタイ》に対する最高の回答になり、《羊毛鬣のライオン》や《ラクシャーサの死与え》などの除去耐性の高いクリーチャーの対策も兼ねています。2点ライフルーズもデッキの方向性とマッチしており、地味ながら嬉しいおまけです。
総括
Esper Dragons祭りだったGP Krakowから一転して、GP Torontoでは《棲み家の防御者》を採用したミッドレンジが幅を利かせていました。
GP Torontoほど意識されていなかったGP Sao Pauloでは、Esper Dragonsが多数上位に見られました。そして、先週末に開催されたGP ParisではAbzan Aggroが多数の入賞者を出し、優勝もAbzan Aggroでした。
『タルキール龍紀伝』加入後も、相変わらず毎週メタが目まぐるしく変化する現在のスタンダードは、プレイしていて非常に面白いフォーマットです。SCG Portlandで4位に入賞を果たしたUG Devotionを見れば、まだまだイノベーションの余地は十分にあると言えます。
以上USA Standard Expres Vol.46でした。次回の記事ではSCGO DallasとSCG Premier IQ Worcester、GP 上海の入賞デッキを紹介していく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/
『MAGIC: THE GATHERING』
http://magic.wizards.com/en