rizer’s answer -Theros Sealed- Part3

石村 信太朗

written and interviewed by Atsushi Ito



 長らくお待たせした。

 How do you build? -Theros Sealed- Part3へのアンサー。

 『シールド神』rizer先生の回答を、それでは聞いてみることにしよう。



スリーブは毎回足りなくなりますね

--「まずはrizer先生、ありがとうございます!この企画のおかげでPTQ抜けることができました!」

rizer 「おめでとうございます」

--「予選のシールドラウンドはサイドから色を大きく変えてくる相手がいなかったので、ひたすら《帰化》系スペル無双でした。『《帰化》空かし』をされたらやばかったんですが、毎回相手が1~2枚しか入れ替える気配がなかったので、サイドからもりっと《帰化》系4枚体制とかやり放題でした」

rizer 「この環境の《帰化》系スペルは正義ですね」

--「それで気になったんですが、rizer先生はグランプリなど、リアルのシールドトーナメントに参加する際、スリーブを何枚持っていきますか?先日のPTQでは僕は80枚弱の同じスリーブを用意していましたが、サイドで使うかも~とか色変えするかも~で必要カードをあらかじめスリーブに入れていったら、全然足りなくなってしまったんですよね」

rizer 「包装から剥いたままの50×2のセットを持っていくのが常ですが、スリーブは毎回足りなくなりますね

--「よく使用するサイドカードや色変え用のプランに使用するカードとその色の基本地形などを含めると、100枚では足りませんよね。かといって対戦相手の目の前であからさまにスリーブ入れ替えるのもなぁ……というのが抵抗があったので、もしかしたらrizer先生なら200枚くらい用意していくのかな、と思ってました」


rizer 「100枚だとデッキ2つ&よく使うサイドはギリギリ入るんですが、何枚かスリーブから抜き差ししなくてはいけなくなってしまいますからね。150枚くらいあると確かに安心かもしれません。普通のデッキケースに収まらなくなるのが玉に瑕ですがw」

--「そもそもrizer先生がこの環境のシールドでメインボードを組み終わったとして、余った時間でどういう方向性のサイドデッキを何個くらいあらかじめ組んでおくでしょうか?」

rizer 「サブカラーで1つ組んでおいて、あとは入れ替え用のセットを何個か準備しておいてるだけですね。ただ『呪文で固めたデッキ』と、『先手で殴るデッキ』くらいは準備しておいた方がいいです

--「超後手デッキと先手デッキという感じですか」

rizer 「そうですね、先手で格上殺しや奇襲するとき用のデッキと、序盤にライフを削ってくるおそれがない相手を確実に叩き潰す用のデッキですね」

--「それ用意してたらスリーブ100枚では絶対足りないですよね……」

rizer 「スリーブ足りないですし、複数のデッキにカード跨りますから、デッキの形を覚えておいてその場で入れ替えるしかないですね。ただやはりマッチ中は時間が足りないので、出来る限りスリーブには入れておいたほうがいいと思います。相手にとっても自分にとっても大会全体にとっても」



今はピンポイントでどけてさっさと中堅生物で殴り勝つ形が安定しますね

--「先に半分雑談みたいな部分を済ませてしまうと、実はこんな日記を発掘してしまったのですが、ここに書いてあるrizer先生の考えは今でもあまり変わってないという前提でよろしかったですか?」

rizer 「ぱっと見そこまで変わってなさそうです。ただ、相手のカードにすべて対処して勝ついわゆる『王者のMTG』から、ミッドレンジどうしで『すれ違って殴り勝つMTG』が主流になる方向へ、最近の環境はスライドしてきている印象はあります。全て対処して勝てるというほど甘くはなくなってきたな、と感じてますね」

--「最近のWizardsの方針かどうかは知りませんが、クリーチャーが対処しづらくなってきてますよね。そしてその方向性が、シールドの最適戦略の変質を招いている、と」

rizer 「そうですね。『授与』なんかはその徴表の1つです。生半可なコントロールを許さないですからね」

--「ただそれでも基本的には、前回の話に出てきた『相手の生物のサイズに対して1枚ずつ被せる』といったサイド方法は依然有効と考えていいんでしょうか」

rizer 「はい、そこは相手を勝ちにくく、自分を勝ちやすくする部分なので、変わりませんね。変わった部分といえば、前回でいう『コントロール>ミッドレンジ』が『ミッドレンジ>コントロール』に変わってきたというだけのことな気もします。昔シールドをやっていた人にしか関係なさそうな話ですね」

--「昔の感覚で除去を詰め込みにいくと実は失策、ということになりかねないと」

rizer 「まさにそのとおりですね、昔は全部除去してレアで勝つのが最善策なことが多かったですが、今はピンポイントでどけてさっさと中堅生物で殴り勝つ形が安定しますね。『授与』のあるテーロス環境は特にそれが顕著です」



カードプールは色を変えたり足しあわせたりすれば、足りないことはほとんどないかと

--「それで今回のテーマですが、やはり今度こそサイドボード論を深く掘り下げて、シールドの参加者の半分くらいが色変えをしてくるくらいまでの啓蒙ができたらいいな、と。『サイドボードをちゃんと使え!』が一貫したrizer先生の昔からの主張っぽいので」

rizer 「かしこまりました」

--「ではまず、『1枚被せ』(部分入れ替え)と『メタデッキ』(プラン入れ替え)という2種類のサイドボード方法がある、ということは前回もちょっと触れたことですが。この2つはどのように使い分けるのでしょうか?基本は前者で、あまりにも不利だと後者の出番になる、みたいな印象を受けましたが」

rizer 「そうですね。一般的なデッキ、全容の見えないデッキに対しては部分入れ替えにとどめ、特徴があるデッキに対しては、それに勝つためのより専用の明確なプランに入れ替えたデッキをぶつけていきます

--「例えばカウンターが5枚入ってるとか、授与生物が7枚入ってるとか、そういうちょっと特殊な要素があるとわかれば、こちらもそれ専用のプランで『殺しにいく』と。でも普段からそれをしないのは、一般的なデッキに対してそれをやると引きムラによる外したときのリスクがあるから、という理解でいいでしょうか」

rizer 「そうですね、普通のデッキ相手だとその特徴の一点突破がつらいことも多いです。一般的なデッキにたいしては普通の強いデッキでぶつかる方がいいですね」

--「『盤上を支配する確率の高い重強生物+万能排除(この環境だとバウンス)=最強ミッドレンジ』が引きムラも少ない最近の最強方程式ということでしたね。それはやはり相手がサイドしづらいという意味でもある、と」

rizer 「サイズを持った生物と軽くて応用が利く呪文の組み合わせは至高ですからね」

--「普通の強いデッキ相手には『1枚被せ』で、よりそのデッキに強くかつこちらも一般のデッキをサイドから合わせていく……という話ですと、仮に『1枚被せ』の限界が来た場合(例えば相手のデッキに《旅するサテュロス》《ネシアンのアスプ》が3枚ずつ入ってたとか)、あるいはカードプールが足りなくて『1枚被せ』を許さない場合には、どうなるんでしょうか?」


rizer 「マナクリアスプの例はそこまでいくと分かりやすく特徴があるのでむしろ除去デッキに切り替えますし、いずれにせよカードプールは色を変えたり足しあわせたりすれば、足りないことはほとんどないかと。本当に何もない場合はどうしようもないですがw」

--「なるほど。探せば回答が見つかる場合がほとんど、ということですね」

rizer 「はい。マナバランスをある程度犠牲にすれば、カードパワーは揃えられると思います」



ライブラリーを2倍に増やしたりします

--「先ほど『特徴のあるデッキに対してはメタデッキを組みにいく』という話が出ましたが、その『特徴』にはたとえばどのようなものがありえるでしょうか?話に出たところだと、緑のデカブツバニラに対して除去、置物に《帰化》系スペル、くらいでしょうか」

rizer 「分かりやすいところだと、ビートに壁デッキを、コントロールよりのミッドレンジに重コントロールをそれぞれ合わせたり、《悪夢の織り手、アショク》に対してはライブラリーを2倍に増やしたりします。あるいは《太陽の勇者、エルズペス》に対してパワー3や回避能力を集めたりといったところでしょうか。あとは除去の豊富なデッキには『呪禁』持ちや墓地回収スペルを詰め込んだりしますね」

--「意識していないにせよ、ビートダウンに対しては結構みんなやっているところですね」

rizer 「そうですね、壁を入れたり相打ち要員を増やしたりライフゲイン入れたりがそれに当たりますね」

--「たとえば、『《帰化》空かし』みたいなのもメタデッキに含まれますか?」

rizer 「含まれますね。前回のデッキ構築とかがまさしくそれに当たります。《悪意の幻霊》を抜いた方が良い理由がそれでしたから」

--「『授与』なんて入れ得かと思ってましたが、そうでもないんですね」

rizer 『授与』はエンチャントとして破壊されないのが前提の高いカードパワーなので、割られるならただのゴミですね」



1本目を勝った時にはとくに難しいですね

--「ちょっと特殊な話になりますが、Magic Online(MO)のシールドだと、リアルのシールドより『対戦相手がサイドから色変えをしてくる確率』はやはり高いですか?」

rizer 「はい、リアルよりは多いですね。MOPTQやMOCSで終盤になってくると結構がんがん色が変わります。時間の余裕もありますし、対戦相手が目の前にいないので何枚入れ替えているのか全くわからないというのも理由の1つかもしれませんね」

--「そうすると、こちらの『1枚被せ』のような、相手があまりサイドを入れ替えない前提のサイド方法はMOだと変質したりしないんでしょうか?」

rizer 「こちらが負けていればある程度は割り切れるんですが、1本目を勝った時にはとくに難しいですね

--「そこはやはり読み合いが発生すると」

rizer 「まあでも大抵変えますね、同じ轍を踏むよりは有利になる可能性のメリットの方が期待値大きいので」

--「変えることにより相手に知られていないパーツができること自体にもメリットがある、という感じですかね」

rizer 「リアルの場合は逆にこちらが大きくがちゃがちゃいじってると相手がサイドしにくくなるというせこいメリットもありますw」



白黒は後手の勝ち目ゼロなんですよね

--「では総論はこれくらいにして、今回のプールに話を移しますが。本当になんなんだこのプールは、っていう話ですよ」


rizer 「黒強いじゃないですか!さらに白も強い!白黒の多色も、青のバウンスもある!=完璧!」

--「《威名の英雄》《運命の工作員》もいて、もう白黒以外ないように見えますよね」

rizer 「私も大喜びで白黒タッチ青を組みました。神プールキター!……という最初の3分でしたね」

--「結構早く目が覚めたんですねw」

rizer 「低マナ圏の不純物を取り除いていったところで不穏な空気が出てまいりましてw」

--「いったい白黒の何がまずかったんでしょうか?」

rizer 「結論からいくと、白黒は後手の勝ち目ゼロなんですよね

--「言われてみれば確かに、3マナ圏までの盤面があまりに弱すぎるかも・・・・・・」

rizer 「先手3ターン目に3/3出されると概ね終了コースですね。青をタッチしてないと『試練』でも終了で、ただタッチしているとそれはそれで今度は安定性に不安が残ります」

--「《ネシアンの狩猟者》の対処に困るようではダメですよね」

rizer 「そもそも《威名の英雄》《運命の工作員》を引かないとどうにもならないというのがダメなところで、極めつけはその2体を守る手段が何もないという」

--「確かに、《神々の思し召し》《エレボスの加護》といったカードがないのは致命的ですね」

rizer 「自分のデッキだけ見ると何とかなりそうにも見えるんですが、相手からすれば本当に《ネシアンの狩猟者》などの3/3クリーチャーを出して白と黒の英雄を除去すれば簡単に倒せてしまうデッキなんですよね。つまり何が弱いかといえば、守りがあまりに薄すぎるところと言えます」



最後の希望の緑に手を出したら、案外形になったんですよね

--「そんなこんなで白黒への興奮は3分で冷めた、と」

rizer 「ですね。こりゃねーわ、なんか他にないの、と」

--「しかし、主な課題が『後手でもまくれる形を作る』だと、白も黒もいずれもどうしようもないですね」

rizer 「そうですね。白はまだ《今わの際》がありますが、黒は本当に何もないですし」

--「かといって青はさすがにこれをメインカラーに据える勇気はないでしょう」

rizer 「緑はそもそも論外と判断して、残ったのが赤と白。マルチも2枚あるので何とか」

--「赤白が正解ですか」



「赤白タッチ青」(対緑先手用)

8 《平地》
7 《山》
1 《島》

-土地(16)-

2 《サテュロスの散策者》
2 《レオニンの投網使い》
1 《乗騎ペガサス》
1 《アクロスの重装歩兵》
1 《槍先のオリアード》
1 《ミノタウルスの頭蓋断ち》
1 《ラゴンナ団の長老》
1 《威名の英雄》
1 《アナックスとサイミーディ》
1 《不機嫌なサイクロプス》
1 《ヘリオッドの使者》
1 《国境地帯のミノタウルス》
1 《セテッサのグリフィン》

-クリーチャー(15)-
2 《統率の取れた突撃》
1 《今わの際》
3 《神聖なる評決》
1 《海神の復讐》
1 《ヘリオッドの選抜》
1 《旅行者の護符》

-呪文(9)-
-サイドボード(0)-
hareruya





rizer 「いえ、形にはなるのですが、一見して分かる通りこれも結構見た目からしてやばいんですよね。後手どうする以前に、先手も本当に勝てるのかこれはというレベル」

--「この《サテュロスの散策者》《レオニンの投網使い》の群れがもう・・・・・・」

rizer 「それもありますが、何より『英雄的』がレアしかいないことに加え、『試練』も3点火力もプロテクションもコモンのジャイグロもないというのが哀愁を誘います。無駄に豊富な《神聖なる評決》のおかげで勝てる相手には勝てそうだけども、これもやはりやばいだろうと」

--「でも唯一残った選択肢がダメだったんじゃあ、もうドロップするしか・・・・・・」

rizer 「そこで最後の希望の緑に手を出したら、案外形になったんですよね



「赤緑タッチ青」

7 《森》
7 《山》
2 《島》

-土地(16)-

3 《サテュロスの享楽者》
2 《サテュロスの散策者》
1 《葉冠のドライアド》
1 《ミノタウルスの頭蓋断ち》
1 《槍先のオリアード》
1 《不機嫌なサイクロプス》
1 《国境地帯のミノタウルス》
2 《フィーリーズ団のケンタウルス》
1 《定命の者の宿敵》

-クリーチャー(13)-
2 《統率の取れた突撃》
1 《古代への衰退》
1 《捕海》
1 《パーフォロスの激怒》
1 《海神の復讐》
1 《タッサの褒賞》
1 《落岩》
1 《ナイレアの存在》
1 《残忍な発動》
1 《旅行者の護符》

-呪文(11)-
-サイドボード(0)-
hareruya





--「え、この赤緑が今回の正解なんですか!?どう見ても《サテュロスの享楽者》からの《定命の者の宿敵》《落岩》がやりたいだけにしか見えないですけど。まあプール唯一のディッチャが取れているというのは嬉しい形ですが」

rizer 第1回のデッキと若干コンセプトが似てなくもないですね。序盤無理に攻勢に出てライフを削って、中盤から終盤に必殺技をどーんと」

--「10点削って、あとは5点5点、みたいな感じですか」

rizer 「ですね、《海神の復讐》にすべてを賭けて……」

--「《海神の復讐》にたどり着きさえすれば何とかなりそうな気がしてきました」

rizer 「実際このゴミのような見た目の赤緑タッチ青ですが、一応3-1はできたんですよね。それが良くなかったわけですが」

--「と、言いますと?」

rizer 「後から検討してみるともっと良い形が組めた、ということですね」



他のデッキと比べると雲泥の差ですね

--「もっと良い形……?」

rizer 「はい。当時のrizerは白黒タッチ青と赤緑タッチ青、赤白というゴミトリオを携えて、地獄の4回戦を勝ち抜くことができずに撃沈しました。ですが、環境理解が進んだ今このプールを改めて見直してみると、やはり正解は別にあったな、と思い直しまして」

--「見えなかったものが見えてきた、と」

rizer 「緑と《フィーリーズ団のケンタウルス》に気づいたまでは良かったが、そこから一歩進んで考えられなかったのが良くなかったですね」

--「《フィーリーズ団のケンタウルス》はアリなんですね。どこかの中村さんの推しカードですけれども」

rizer 「マナレシオはちゃんと1ありますからね!」

--「なぜタフネスに7割り振ったのか……」

rizer 「4/6だと強すぎますからね、仕方ない。というわけで今度こそ今回のrizer’s answerです」



「緑青白」

6 《森》
6 《島》
5 《平地》

-土地(17)-

1 《蒸気の精》
1 《葉冠のドライアド》
1 《ラゴンナ団の長老》
1 《英雄の記録者》
1 《ヘリオッドの使者》
2 《フィーリーズ団のケンタウルス》
1 《セテッサのグリフィン》
1 《海檻の怪物》
1 《老いざるメドマイ》
1 《定命の者の宿敵》

-クリーチャー(11)-
2 《航海の終わり》
1 《今わの際》
1 《古代への衰退》
1 《解消》
2 《神聖なる評決》
1 《捕海》
1 《海神の復讐》
1 《ナイレアの存在》
1 《残忍な発動》
1 《旅行者の護符》

-呪文(12)-
-サイドボード(0)-
hareruya





--「均等三色……ですが、このバントは確かに回りさえすれば先手でも後手でもいけそうですね」

rizer 他のデッキと比べると雲泥の差ですね。なんとかデッキに見えるレベルになりました」

--「弱いカードも入ってないですし」

rizer 《神聖なる評決》の3枚目を組み込めなかったのが心残りですね。デッキの核なので絶対に引きたいんですが」

--「あれ、ホントだ。2枚しか入ってないですね。《解消》とか抜けないんですか?」

rizer 「そこは抜けないですね、強い部分なので。《神聖なる評決》があるので、構えて勝つ流れの中でも特に優秀な働きを期待できるカードです」

--「よく見たら《残忍な発動》とか入ってますけど、このクリーチャー数でも強く使えるんですかね?」

rizer 「ジャイグロ系が全くないと、クリーチャーで殴るたびに除去を使う必要が出てくるので、勝つために必要という結論に至りました」

--「確かに能動的に打点をずらしにいけるカードは貴重かも」

rizer 「このデッキの場合、ぼんやり交換していく呪文だけやたら豊富なので、こういう明確に場をグイって動かす可能性があるカードは嬉しいですね」



いずれかを先手3ターン目までに引くことに賭けた構成なので、安定性なんて二の次ですね

--「ではメインデッキの形はこれくらいにして、各サイドプランに話を移すと、どのような相手にどのような形に変えるのでしょうか?」

rizer 「まず、先に話にあがった赤白タッチ青は対緑の先手用ですね。2/1ビートを《統率の取れた突撃》《神聖なる評決》で後押しする流れが先手なら緑相手に効果的なので」

--「《威名の英雄》《アナックスとサイミーディ》も、緑相手なら除去られにくそうです。でも均等三色のメインボードを見せておいて、サイドからこんなレア出した日には『なんだよ、構築ミスかよ』とかツッコまれそうですねw」

rizer 「メインのレアは1番弱いやつを1枚使うだけですからねw」

--「他にはどのようなサイドプランがあるんでしょうか?」

rizer カードプールが明らかに格上の相手には、このような形に変えますね」



「白黒タッチ青」(対格上先手用)

7 《平地》
7 《沼》
3 《島》

-土地(17)-

1 《ラゴンナ団の長老》
1 《威名の英雄》
1 《運命の工作員》
1 《ヘリオッドの使者》
1 《洞窟のランパード》
1 《死の国の歩哨》
1 《形見持ちのゴルゴン》
1 《アスフォデルの灰色商人》
1 《老いざるメドマイ》
1 《灰燼の乗り手》

-クリーチャー(10)-
2 《航海の終わり》
1 《今わの際》
2 《骨読み》
1 《神聖なる評決》
1 《一口の草毒》
1 《海神の復讐》
2 《ヘリオッドの選抜》
2 《災いの印》
1 《旅行者の護符》

-呪文(13)-
-サイドボード(0)-
hareruya





--「この形態の時に《神聖なる評決》が1枚に減るのと、《洞窟のランパード》が入るのはなぜなんでしょうか?」

rizer 《神聖なる評決》は単純に使い勝手が悪すぎるからですね。構えて殴るプランはなく、構えて待った時に併用できるカードもないので、うまい相手にはケアされて敗着になりやすいことを恐れた感じです」

--「確かにこのプランはどちらかといえば、強いパーマネントを出して相手が対応できないときの突然死を狙ってる感じですよね」

rizer 「そうですね。ベストムーヴからの必殺プランなので、理想の動きには結局《神聖なる評決》は必要ないんですよね。まあでも構えた時に殴ってきてくれる(ケアされない)と思える時には2枚目入れていいとは思います」

--「《洞窟のランパード》についてはどうでしょうか?攻めっ気が強すぎるという意味で、ちょっとムラがありそうなカードですが」

rizer 《洞窟のランパード》は単純に英雄的誘発の枚数が少ないのと、対格上が前提なので、一撃死の存在を評価してですね。コストを見なければ『威嚇』は非常に強力ですから」

--「《威名の英雄》に『授与』しての即死は確かにありえそうです」

rizer 「この形は言ってしまえば2枚の《骨読み》《威名の英雄》《運命の工作員》いずれかを先手3ターン目までに引くことに賭けた構成なので、安定性なんて二の次ですね



緑黒、白黒、青黒をぼんやり意識した形態といったところですね

--「サイドプランはこれくらいでしょうか?」

rizer 「いえ、まだ『超後手』用デッキが残ってますね」


「黒青白」(対黒後手用)

7 《沼》
6 《島》
5 《平地》

-土地(18)-

1 《悪魔の皮のミノタウルス》
1 《蘇りしケンタウルス》
1 《海岸線のキマイラ》
1 《死の国の歩哨》
1 《形見持ちのゴルゴン》
1 《アスフォデルの灰色商人》
1 《海檻の怪物》
1 《老いざるメドマイ》
1 《灰燼の乗り手》

-クリーチャー(9)-
1 《闇の裏切り》
2 《航海の終わり》
1 《今わの際》
2 《骨読み》
1 《解消》
3 《神聖なる評決》
1 《捕海》
1 《鞭の一振り》
1 《一口の草毒》
1 《旅行者の護符》

-呪文(14)-
-サイドボード(0)-
hareruya





--「ドのつくコントロールですね」

rizer 「これは今回のデッキの中でも特に相手によって形が変わってしまうデッキですね。要するにメタデッキなので、あくまで相手に合わせる際の基本形程度で意識してもらえると嬉しいです。コントロール寄りのミッドレンジに対するメタデッキを作る際にも、この形が基本となります」

--「《死の国からの救出》《タッサの褒賞》なんかも検討して良さそうですしね」

rizer 「ライブラリーアウトを狙うなり、相手の除去が多いなり、《アクロスの木馬》を押しつけられることを予想した場合なり、そもそもライブラリー枚数を増やすなり、色々な理由で《死の国からの救出》は入りそうですね。《タッサの褒賞》も白黒や青黒相手なら大抵何かと交換で入りそうです」

--「この形を基本形に、相手の形に合わせてあとは微調整で『1枚被せ』をしていく感じ、と」

rizer 「そうですね、残りの青白黒のパーツも常に横に並べてある感じで。黒相手に《闇の裏切り》が入らないことも珍しくないですし、緑黒、白黒、青黒をぼんやり意識した形態といったところですね



少しでもシールドについて親しみを覚えたり、理解の取っ掛かりを掴んだりして頂けたなら幸いです

--「さて、大体こんなところでしょうか。それではテーロス×6のまとめといいますか、軽くでいいですが、今までのシールド総論がこの環境の特性によって微修正、あるいはより具体化される部分があれば聞いておきたいのですが」

rizer 「やはりすれ違い重視という点に尽きますね。相手のクロックに対抗できるクロックを作れるカードと、最後のブロッカーをすり抜けられるカードは重要です」

--「テーロスはrizer先生的にはどうだったんでしょうか?」

rizer 《ネシアンのアスプ》大きかったですね、『試練』どうしようもなかったですね、《海神の復讐》無情でしたね……といった点は置いておくにしても、まあ気持よく攻めて気持ちよく勝てるいい環境だったと思いますよ」

--「ありがとうございます。今回の企画で『もっとサイドボード使ってこいよみんな!』というrizer先生の心の叫びが読者に届いて欲しいですね」

rizer 「本音の本音は『お願い使わないで!』なんですけれどねw サイドボードを使われてしまうと、こちらのサイドインの効果が自然と薄くなるというw」

--「そんなw」

rizer 「構築で勝ちたい人でサイドチェンジしない人はいない」

--「いわんやリミテッドをや、ですか」

rizer 「イエス」

--「あとは最後に読者の方々にメッセージを一言いただければ」

rizer 「この企画を通して、少しでもシールドについて親しみを覚えたり、理解の取っ掛かりを掴んだりして頂けたなら幸いです。シールドは別にブラックボックスではないんだよ、考えれば答えてくれるよ的な」

--「優等生っぽいコメントありがとうございますw」

rizer 全部読まなかったことにして今まで通りにやってくれれば喜んでカモにしてやるぜヒャッハーみたいなのでもw」

--「サイド使わないやつは全員カモだ!とかw」

rizer 「実際誇張じゃなくカモになっちゃいますからねw 2~3枚でいいから入れ替える癖をつけるといいかなーと」

--「さて、それではそんなところで。ご協力いただきありがとうございました」

rizer 「お疲れ様でした」





 いかがだっただろうか。

 少しでもシールドというフォーマットの奥深さを感じ取っていただけたなら嬉しい。

 あるいは、ここで学んだ技術がPTQ突破やリミテッドGP初日突破の手助けになることを祈っている。

 さて。

 次のエキスパンションのときにでも再び会うことがあるかもしれないが、How do you build? -Theros Sealed- Part3でも書いたとおり、ひとまずお別れだ。

 それでは、またどこかで。

 See you!






 さらに。

 ここでお知らせがある。

 11月30日までの間、晴れる屋トーナメントセンターでは何と。

 今回の記事で題材となったシールドプールの店内貸し出しを行っている。

 さらに、第1回のシールドプールの店内貸し出しも、好評につき11月いっぱいまで延長することとなった。

 これであなたが考えたデッキの一人回しが、いや第1回第2回と今回のデッキの対戦だって可能だ。

 友達と一緒に借りて、どのような構築が良いか議論するのもオススメだ。

 「テーロスシールドの練習がしたい」「実物のカードを並べて考えてみたい」「作ったデッキを実際に回してみたい」といった方は。

 トーナメントセンターにご来店の際、大会受付カウンターにてスタッフにお気軽にお尋ねください。