高橋優太のGP上海2015レポート

高橋 優太



5/15-17、【GP上海】に参加。



■ 大会までの思考過程



各地のGPやMOの結果から、現在のスタンダード主要デッキは以下の4つに分類される。





GP優勝2回により隆盛した【エスパードラゴンコントロール】だが、意識されたことで今回は勝てないと予想。

弱点として、前述の《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》パッケージが苦手なこと、周りの除去が《龍王オジュタイ》対策でエディクト系に変わったこと(《忌呪の発動》《はじける破滅》《自傷疵》)が挙げられる。


死霧の猛禽棲み家の防御者


《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》は長期戦に強いコンボでありながら、単色であるため他の部分の自由度が高く、デッキの種類が多い。おそらくこの2種類はスタンダードから落ちるまで活躍し続けるだろう。

赤単は一つだけデッキスピードが2段階早く、タップインスタートの相手を咎めるメイン戦最強デッキ。しかしサイド後の意識のされ方で大きく勝率が変わり、《アラシンの僧侶》《胆汁病》《悲哀まみれ》など致命的なカードもあるため、対策を乗り越えられるほどの対応力はない。

アブザンアグロは《先頭に立つもの、アナフェンザ》《アブザンの魔除け》を擁するため《死霧の猛禽》に対してナチュラルに強く、メインの構成を歪めることなく対応できている。

アブザン・緑中速・赤単がメタの中心ならば飛行が強い。なら《風番いのロック》を多く入れるべきだ→4枚。

また《自傷疵》《忌呪の発動》などエディクト除去が増えてきているため、1マナでの行動回数を増やしてエディクト除けになる《始まりの木の管理人》は多く入れよう。


風番いのロック始まりの木の管理人


以上を踏まえて、アブザンアグロを使用。


高橋 優太「アブザンアグロ」
GP上海2015

2 《平地》
2 《森》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
4 《疾病の神殿》
3 《静寂の神殿》
3 《コイロスの洞窟》
3 《ラノワールの荒原》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

3 《始まりの木の管理人》
4 《羊毛鬣のライオン》
3 《ラクシャーサの死与え》
4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
4 《包囲サイ》
4 《風番いのロック》

-クリーチャー(22)-
2 《思考囲い》
3 《ドロモカの命令》
4 《アブザンの魔除け》
3 《英雄の破滅》

-呪文(12)-
3 《胆汁病》
3 《悲哀まみれ》
2 《棲み家の防御者》
2 《思考囲い》
2 《究極の価格》
2 《太陽の勇者、エルズペス》
1 《残忍な切断》

-サイドボード(15)-
hareruya


ラウンド 対戦デッキ  勝敗
Round 1BYE
Round 2BYE
Round 3アブザンアグロ×〇×
Round 4赤緑ビート××
Round 5マルドゥ×〇〇
Round 6赤単〇〇
Round 7アブザンコン〇××
Round 8アブザンアグロ〇〇
Round 9アブザンアグロ×〇〇


初日落ち。

ダブルマリガンが多かったが、それでも《ラクシャーサの死与え》《棲み家の防御者》ならば勝っていた試合があった。

スタンダードの速度は加速しており、毎ターンマナを使い切るため《ラクシャーサの死与え》のパンプや再生に充てるマナはほとんどない。《ラクシャーサの死与え》を抜いて《棲み家の防御者》を入れるべきだった。


ラクシャーサの死与え棲み家の防御者


強いカードは対策するべきだが、自分が強いカードを使うことが対策にも成り得る。ブロック不可能力を持つ《棲み家の防御者》に対抗するためには、自分も《棲み家の防御者》を使うべきだ。

それほど《棲み家の防御者》は強い。今後スタンダードのメタゲームを語るに当たって、外せない1枚になる。



■ 改良案



英雄の破滅始まりの木の管理人ドロモカの命令


早いデッキや呪禁クリーチャーの増加で弱体化したと思われた《英雄の破滅》だが、メタが一周して《嵐の息吹のドラゴン》《太陽の勇者、エルズペス》というゲームに変化しており、また強くなってきている。今なら4枚にすべきだ。

《始まりの木の管理人》《ラクシャーサの死与え》よりもマナベースが楽になり(緑黒と緑白を同時に揃える必要がなくなる)、エディクト除けになり、2回目の能力を起動していれば《太陽の勇者、エルズペス》の返しにエルズペスを倒せる(8/8トランプルなため)

赤単相手に《アブザンの魔除け》で強化して5/5絆魂になったり、信心が出してきた《スズメバチの巣》を乗り越えながら23/23トランプルになったこともあり、何故もっと早く検討しなかったか後悔するほどの性能だった。4枚必要だ。

周りの除去や《嵐の息吹のドラゴン》が増えてきているため、《ドロモカの命令》はメインに多く入れすぎると手札で余って負けるため、枚数を抑えたい。




高橋 優太「アブザンアグロ:改」

2 《平地》
2 《森》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
3 《疾病の神殿》
4 《静寂の神殿》
2 《コイロスの洞窟》
4 《ラノワールの荒原》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

4 《始まりの木の管理人》
4 《羊毛鬣のライオン》
4 《棲み家の防御者》
4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
4 《包囲サイ》
4 《風番いのロック》

-クリーチャー(24)-
2 《ドロモカの命令》
4 《アブザンの魔除け》
4 《英雄の破滅》

-呪文(10)-
4 《思考囲い》
3 《胆汁病》
3 《悲哀まみれ》
2 《究極の価格》
2 《太陽の勇者、エルズペス》
1 《ドロモカの命令》

-サイドボード(15)-
hareruya




■ 敗因

プロツアー・グランプリと、スタンダードを立て続けに負けてしまったのは、私の「新カードを試す力」が低いことが原因だ。

私はデッキビルダーというよりチューナーで、既存のデッキを調整するのは得意だが、新しいデッキを作るのはとても苦手だ。

「前環境で強いデッキで使い慣れていたから」という理由からアブザンアグロを選択していたが、プロツアーでは《龍王オジュタイ》《シルムガルの嘲笑》を使うべきだったし、今回のグランプリなら《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》であり、どちらも私のメインデッキには入っていなかった。


偏見を持たず、多くのカード/デッキの選択肢を考えること。それが次回イベントに対する課題だと感じた。



次回はモダマスドラフトの戦略をまとめる予定だ。

ではまた。


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