『タルキール龍紀伝』のリリース前に、最も大きな話題となったのは《卓絶のナーセット》ではないでしょうか。
しかしいざ蓋を開けてみると、《卓絶のナーセット》はほとんど使われないどころか、メインボードやサイドボードの候補にもその名が挙がらないほど、前評判と現在の評価には大きな隔たりがあります。
今回はどうして《卓絶のナーセット》が使われないのか、はたしてこのカードは本当に弱いのかをみていきたいと思います。
■ 《卓絶のナーセット》の短所
(1)「+1」能力が不確定であること
(2)《英雄の破滅》されやすい
・(1)「+1」能力が不確定であること
ひとつめは、その能力の不確実性です。仮にデッキに30枚程度のクリーチャーでない呪文を入れたとしても、当たる確率はせいぜい5割程度に過ぎません。確率上は2回に1回の割合で手札が増えるものの、やはり確実性の欠落は《卓絶のナーセット》の最大の欠点だと思います。
・(2)《英雄の破滅》されやすい
前述の通り、《卓絶のナーセット》の「+1」能力を生かすためには、デッキにクリーチャーでない呪文を大量に入れる必要があります。そうすると必然的にノンクリーチャーに近い構成になるので、対戦相手の手札には使い道のない《英雄の破滅》が余ります。いかにカウンター呪文を多用しようとも、《英雄の破滅》の群れから《卓絶のナーセット》を守るのは困難です。
■ 《卓絶のナーセット》の長所
(1)「忠誠度」が高い
(2)「奥義」までが速い
・(1)「忠誠度」が高い
これは事前から言われていたことですが、《卓絶のナーセット》の最大の長所はその「忠誠度」の高さです。戦場に出てすぐに「忠誠度」が7になるため、これを戦闘で破壊するのは容易なことではありません。もちろん、こちらも除去呪文や《対立の終結》で《卓絶のナーセット》をバックアップできるので、《英雄の破滅》のような直接的な手段以外で《卓絶のナーセット》を壊すのは困難です。
・(2)「奥義」までが早い
一度《卓絶のナーセット》が「+1」能力を起動し始めれば、3ターン後には「奥義」を発動することができます。この「-9」能力は「ゲームに勝つ」とほぼ同義なので、これは実際に《卓絶のナーセット》を使ってみて、使われてみて驚いた点でした。
以上の事柄をまとめると、《卓絶のナーセット》は性能こそ十分に強力なものの、その特性ゆえに《英雄の破滅》を食らいやすいノンクリーチャーデッキになってしまうこと、そして《英雄の破滅》が環境に溢れていることが最大の弱点ではないかと思います。
《英雄の破滅》さえクリアすることができれば。
でも《英雄の破滅》はスタンダードを象徴する1枚だし、そうそう減ったりしないだろうな……。
と思いきや!
除去の効かない「エスパー・ドラゴン」が流行ったり、《死霧の猛禽》が流行ったおかげで《英雄の破滅》より《アブザンの魔除け》が優先される驚くべき環境がやってまいりました。
これを生かさない手はありません。今こそ《卓絶のナーセット》が輝くとき!
2 《島》 2 《山》 2 《平地》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 4 《天啓の神殿》 4 《凱旋の神殿》 3 《シヴの浅瀬》 1 《戦場の鍛冶場》 1 《精霊龍の安息地》 -土地(27)- 2 《龍王オジュタイ》 -クリーチャー(2)- |
4 《予期》 4 《稲妻の一撃》 2 《勇敢な姿勢》 1 《軽蔑的な一撃》 4 《神々の憤怒》 4 《解消》 2 《対立の終結》 4 《時を越えた探索》 2 《卓絶のナーセット》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(31)- |
4 《否認》 3 《アラシンの僧侶》 3 《軽蔑的な一撃》 3 《見えざるものの熟達》 1 《勇敢な姿勢》 1 《オジュタイの命令》 -サイドボード(15)- |
3色目は黒ではなく赤にしました。黒の《思考囲い》や《悪夢の織り手、アショク》は魅力的でしたが、《死霧の猛禽》の増加を加味して《神々の憤怒》が使えるこの色を選択。
また、「エスパー(青白黒)」にはない「ジェスカイ」だけの強みとして、《神秘の僧院》が使える点が挙げられます。
いつの世も、マナベースの強さはデッキの強さに直結すると言っても過言ではありません。「エスパー・ドラゴン」はマナベースの問題もあって、《アラシンの僧侶》や《見えざるものの熟達》の採用が難しいですが、《神秘の僧院》のあるこのカラーリングなら話は別です。参考までに、各デッキのマナベースをご覧ください。
・ジェスカイ 赤18、青17、白15
・エスパー 青20、黒17、白8 (《精霊龍の安息地》を含む)
「エスパー・ドラゴン」は、あえて白いカードを使わない構築をしていると言えなくもないですが、マナベースに余裕がある点は「氏族」の組み合わせを選ぶ動機となりえますね。
■ カード選択
・《予期》(メインボード×4)
このカードは効果が小さいのであまり好きではありませんが、このデッキは《神々の憤怒》に依存していることもあって、それを探しやすいよう4枚に。《卓絶のナーセット》で手に入ることもあり、土地を28枚にするよりも《予期》を多めに採用する方がデッキの方向性にも合っていますしね。
・《軽蔑的な一撃》(メインボード×1、サイドボード×3)
このデッキは《英雄の破滅》がないので、《太陽の勇者、エルズペス》や《精霊龍、ウギン》などの「プレインズウォーカー」を苦手としています。それらのカードの採用率は少しずつ下がっているものの、他にも《包囲サイ》、《龍王オジュタイ》などなど、危険なカードはたくさんあるので、サイド後には4枚に増やします。
メインボードに1枚しか入っていないのは、このカードが《クルフィックスの狩猟者》と《棲み家の防御者》に対して何もしないためです。今後も「クリーチャー」>「プレインズウォーカー」という構図が続くのであれば、メインボードは《オジュタイの命令》にしてもいいと思います。
・《勇敢な姿勢》(メインボード×2、サイドボード×1)
このデッキの天敵である、《クルフィックスの狩猟者》を対処できる優良カード。もしも手札で余ったら、《龍王オジュタイ》を守るためにも使えます。
・《精霊龍、ウギン》(メインボード×2)
各種「プレインズウォーカー」や、「怪物化」した《羊毛鬣のライオン》でもなんでもござれな究極のちゃぶ台返し。最初は1枚でしたが、その万能性に助けられることが多かったので2枚に増量。
・《否認》(サイドボード×4)、《見えざるものの熟達》(サイドボード×3)
基本的に「エスパー・ドラゴン」対策の枠です。《卓絶のナーセット》の追加も考えたんですが、これほどまでに2マナのカードに固執しているのは、《悪夢の織り手、アショク》を意識しているからです。もしも《悪夢の織り手、アショク》が少なくなれば、《見えざるものの熟達》の枠は、追加の《卓絶のナーセット》や《オジュタイの命令》でいいと思います。
・《オジュタイの命令》(サイドボード×1)
最初は《アラシンの僧侶》の4枚目だった枠です。デッキ全体として《クルフィックスの狩猟者》や《棲み家の防御者》に触りづらいことが課題だと感じたので、そういったデッキ相手にもサイドインできる《オジュタイの命令》に変更しました。「赤単」が大増量するのならば、《アラシンの僧侶》の4枚目を優先すべきですが、思いのほか使い勝手の良いカードだったので、今後は増量も検討してみる予定です。
今のところ8人構築に2回参加して、3-0と2-1が1回ずつ、2人構築に出て0-1と、通算成績は5-2です。
少し使ってみて気付いたこのデッキの強みとして、最近増加傾向の「マルドゥ・ドラゴン」に相性が良いことが挙げられます。メインボードは《嵐の息吹のドラゴン》に触りづらいのが難点ですが、サイド後は《軽蔑的な一撃》がたくさん入って改善されますし、なんと言っても、対戦相手の除去カードがほとんど無駄カードになるのでこちらが有利なマッチアップだと感じました。
「赤単」なんか対しても、少しこちらが有利だと思いますし、課題は《棲み家の防御者》を多用したデッキにどれだけ勝率を上げられるかですね。
今晩の放送でも使用予定ですので、お時間のある方はぜひご覧ください!
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コガモ
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