ドラゴンナイト 今宵、僕たちは友達のように歌うだろう
明日の夜も 明後日の夜も ドラゴンナイト
心からそう思った。
→【GPメンフィス】への道は《精霊龍、ウギン》とトモハルのダブル主人公で始まった小さな冒険。
2/6(金)、【プロツアー『運命再編』で初日落ち】。
凹むのはすぐやめて前に進むのがモットー。
翌日からすぐ、オンラインでスタンダードの準備を開始した。
目前にはふたつのプロツアー予選とGPメンフィスがあり、種目は全部スタンダード。
次のプロツアー権利がなかった僕には、このいずれかで勝利し、権利を得る必要があった。
さあ!権利獲得へ向けてスタンダードをやろう、どこから始めようか。
この段階での選択はいつもとても大事で、ここでの選択を間違うと無駄な時間を費やしてしまったり、本番でデッキ選択ミスするリスクを上げてしまうこととなる。
プロツアーがモダン&ドラフトだったため運命再編後のスタンダードは経験が少なかった。
そんな中でも比較的経験豊富だったのが【SSS本戦】で使用した青黒コントロールというデッキタイプ。
4 《島》 4 《沼》 4 《汚染された三角州》 2 《血染めのぬかるみ》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《陰鬱な僻地》 4 《欺瞞の神殿》 2 《華やかな宮殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2 《光輝の泉》 -土地(28)- -クリーチャー(0)- |
2 《思考囲い》 4 《胆汁病》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《解消》 4 《英雄の破滅》 2 《信者の沈黙》 4 《命運の核心》 2 《ジェイスの創意》 4 《時を越えた探索》 2 《悪夢の織り手、アショク》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(32)- |
3 《悲哀まみれ》 2 《真珠湖の古きもの》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《龍の眼の学者》 1 《漂う死、シルムガル》 1 《思考囲い》 1 《信者の沈黙》 1 《残忍な切断》 1 《悪夢の織り手、アショク》 -サイドボード(15)- |
経験は大きなアドバンテージということで、まずはこのデッキタイプについて考察。
(1). 《精霊龍、ウギン》は圧倒的王者!強い、使いたい、ときめく。それがしっくり入る青黒コントロールは魅力
(2). 日が経ち環境ができてきた分パーツを選びやすくやすくなっている。だけどしばらくスタンダードをやってなかったことでひとまずは選びにくい。
(3). 一方、青黒コントロールやスゥルタイコントロールはそれなりに成績を残していてメタられる存在にもなっているが、一番勝っているいわゆる本命デッキではない。
(4). 【SSS本戦のブログ】でも書いた2大負けパターン、重いカードだらけの手札で何もできなくなることや、ダブルシンボル集合体ならではの色事故がもっと克服できないか。
その結果、ポジティブな要素がウギンへのトキメキしかなかったことが判明。
それ以外の部分を克服しようと思いを巡らせたところ、黒単ウギンコントロールを組めないかと考えた。
(1)の要素に対し、黒除去は使えるし、代わりのドローもあるから魅力の維持が可能ではないかと感じた。
(2)の要素に対し、単色にすることでカードプールが絞れ、ひとまずカードが選びやすくなる。
(3)の要素に対し、黒単コントロールはメタられてないしどれぐらい勝てるかは未知数。
(4)の要素に対し、黒単であれば完全克服できそう。
青黒コントロールの《ジェイスの創意》や《時を越えた探索》は確かに強い。
だがしかし!!
《血の署名》と《骨読み》でもええじゃないか!
軽くなるし色事故しなくなるので悪くないトレードに思えた。
ライフ払うのもへっちゃら!黒単なら《光輝の泉》4枚採用もなんなくできるし《汚染された三角州》だっていらない!タップインでもたついてるうちにやられることもない!
デッキパワーにしたって、単色で見た場合スタンダードで一番カードパワー高い色は最強の手札破壊呪文と、ベストな除去呪文2種が揃っている黒なんだから充分いけるのではないか。
単色な分少し弱くなってもウギンが3枚入るのならお釣りがくるだろう。
キタコレ!
Kita collection!!
黒単コントロールをパーツ入れ替えては回し、入れ替えては回し……
更に入れ替えては回しまくった。その結果は……
オワタ \(^o^)/
デッキリストはスペースと皆の時間を無駄にせぬよう割愛させていただくが、
黒単コントロール探究道には、生半可な気持ちで足を踏み入れないことをオススメする。
なお最終的には、《宮殿の包囲》《アスフォデルの灰色商人》が4枚入った全く別のデッキになっていた←
そこにはもうウギンの姿はなく、大きな寂しさと虚しさに包まれた。
失ってはじめて分かる大切さだった。己の愚かさに絶望しながら、眠りについた。
第一部 黒歴史 完
翌日、心を入れ替えて元カノのウギンと寄りを戻し、また歩き出すことにした。
Oh My Big Dragon
暖めてあげよう
Oh My Big Dragon
こんなにも愛してる
Oh My Big Dragon
二人黄昏に 肩寄せ歩きながら
いつまでも いつまでも 離れられないでいるよ
そんな気持ちだった。
今までのウギンとの真っ黒な思い出を振り返り、気付いたことがあった。
ウギンは、早く出るともっと微笑む。もっとときめく。
黒歴史中にふたり共通の友達となった《つややかな雄鹿》が教えてくれた。
彼は決してできる男じゃなかったけど、土地を2枚持って来つつマナブーストできるのは素晴らしい個性だった。
そして、彼より優れた《流浪》を手に新しい道に進んだ。
6 《沼》 6 《森》 4 《疾病の神殿》 4 《ジャングルのうろ穴》 4 《ラノワールの荒原》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《ラクシャーサの死与え》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《囁きの森の精霊》 -クリーチャー(12)- |
2 《思考囲い》 4 《胆汁病》 4 《英雄の破滅》 3 《骨読み》 4 《流浪》 3 《信者の沈黙》 3 《精霊龍、ウギン》 -呪文(23)- |
最終的に、大体こんなデッキだった。
これも入れ替えながら結構回した。
《流浪》はウギンと相性が良いのはもちろん、
《ラクシャーサの死与え》と、同色で自然に採用できる《信者の沈黙》とも相性バツグンだった。
《囁きの森の精霊》とウギンはたまに嫉妬してしまうぐらい仲が良かった。
これがなかなかパワフルで、結構勝てた!
でも、結構勝てるという領域から、かなり勝てるという領域にはなかなか到達できずにいた。
ミッドレンジが多い環境でのミッドレンジという選択。カードパワーの叩きつけ合いになると、勝ったり負けたりだった。
また、アブザンミッドレンジと比べたとき、優れているとは言えなかった。
思い悩んだそんなとき、あいつの姿が強く頭に浮かんだ。
そう、【僕に深いダメージを負わせた、忘れられない元カノ】。
うんとときめいたし、うんと好きだった。でも結局は共に暮らす日々は一瞬で終わってしまった。
彼女との過ちから学んだことを生かし、ウギンとは別々の道を歩むことにした。
ウギンはとても力強い存在だったが、《軽蔑的な一撃》や《英雄の破滅》、
土地7枚以下ストップなどが苦手な好き嫌いの多い子で、一緒にいて疲れることも多かった。
ウギンのこと、心から愛してた。
だけど、幸せな未来が見えなかったんだ。
第二部 流浪 完
正気に戻った。
今回の目的はトキメキを満たすことでは決してなく、「勝ってプロツアーの権利を取ること!」
だいぶ環境のデッキも理解できたしそろそろ真面目に本番のデッキ考えよ←
スピード1~4(5段階中)のデッキしかいないような環境で、土地はタップインタップイン時々ダメランのパワーカードバトルが頻発するもっさり環境。
だったらスピード5の高速ビートダウンで差し切るのが一番手っ取り早そうだな!
でもそんなん簡単にできたら既にいるだろ(笑)
……いや、本当にそうだろうか?
まだ『運命再編』が発売して1ヶ月。トップメタ一角の赤白以外はみんな旧環境の延長線でもっさりやってるだけとも言える。
そもそもウギンを使って新しいデッキを試してたのだって、環境初期のチャンスへの投資だったわけだし、
まだ自分がビートダウンを考えてない以上、自分にはチャンスがあるじゃないか!
スピード5のデッキといえば、やっぱり1ターン目にパワー2出すやつか、少なくとも《エルフの神秘家》出すやつか。
とりあえずタップイン土地不要の単色をベースに考えると白単、黒単、赤単、緑単のいずれか。
まず、緑単はまともな1マナが《エルフの神秘家》しかなくて速さが安定しないからNG。
白単は「英雄的」要素入っちゃうから安定しなそうだしデッキパワーも低そう……
赤単は旧環境で充分やって追加カード見ても今は厳しいって分かってるし……
黒単は……
ありえる!!
ビート用のパーツがたくさんあるし、
《思考囲い》、《胆汁病》、《英雄の破滅》の三連星あるし、
なにより長らく試してないし考えてない。
よーしまずは一応参考に見てみるか【happymtgデックス】!
(happymtgは3/17から晴れる屋に統合となりますが、豊富なデッキリストデータ&頻繁な更新は健在です^^)
最新の黒単ヒット数「1件」(当時)
まあそんなとこだよな、黒単強いとか全く聞かないし。
ん?……こっ、これは!!
15 《沼》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《汚染された三角州》 -土地(21)- 4 《血に染まりし勇者》 4 《マルドゥの影槍》 4 《無情な切り裂き魔》 4 《苛まれし英雄》 1 《残酷なサディスト》 4 《苦痛の予見者》 2 《マルドゥの頭蓋狩り》 4 《モーギスの匪賊》 -クリーチャー(27)- |
3 《エレボスの加護》 2 《胆汁病》 1 《残忍な切断》 2 《凱旋の間》 4 《ウルドのオベリスク》 -呪文(12)- |
4 《思考囲い》 3 《黄金の呪いのマカール王》 3 《闇の裏切り》 2 《胆汁病》 1 《残忍な切断》 1 《エレボスの鞭》 1 《光輝の泉》 -サイドボード(15)- |
ダイアモンドじゃね!?ときめく!!
黒単ビートは痩せてて最後の一手が足りない&タフネス低いって弱点を突かれるときついイメージだったけど、
オール「人間」で《ウルドのオベリスク》入りだと見事に解決&緩和してると思った。
黒の「人間」で検索してカードプール見て、ただ強人間に見えた《マルドゥの急襲指揮者》を入れつつ回してみると、
結構勝てるし環境に合っててかなり強いデッキタイプに思えた。
すぐに追加した《マルドゥの急襲指揮者》も、このデッキにおいては黒いラブルマスターと言っても大袈裟じゃなかった。
もらった。
プロツアー権利もらった。
あとはこれを頑張って調整するだけだ。
で、調整しまくって色々パーツが変わるも、分からん殺し含めて色んなデッキに相性が良く、
アブザンアグロには勝率5割ぐらいだけどMOでは当たらないし新しいカードあんまり入らないし
長期間トップメタだったから対策されまくって環境から減って少ないんだな、ならあんまり気にしなくて大丈夫だろ♪
そうなるともう、ただただベストデッキ。
そうして迎えたプロツアー予選×2の週末。
日付 | 大会名 | 成績 |
2/14(土) | PTQ松本 | 4-2 |
2/15(日) | PTQ横浜 | 5-4 |
負け散らかし><
アブザンアグロ当たりまくりだよー!
少ないとか言ったの誰だよ!!あ、俺だけだった(笑)
そこからプロツアー権利ラストチャンスであるGPメンフィスまでの数日。
道中《ウルドのオベリスク》を入れた赤単ゴブリンデッキなんかも一応試し、
《軍族童の突発》や《ゴブリンの熟練扇動者》と《ウルドのオベリスク》が揃ったときしか輝かないデッキだなと思いつつ、
基本的には負けたけど依然として手応えがあった黒単の調整を継続。
環境的に受けが狭い《闇の裏切り》は避けつつも、アブザンアグロもしっかり意識して完成。
14 《沼》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《汚染された三角州》 -土地(21)- 4 《血に染まりし勇者》 4 《マルドゥの影槍》 4 《苛まれし英雄》 3 《無情な切り裂き魔》 4 《苦痛の予見者》 4 《モーギスの匪賊》 4 《マルドゥの急襲指揮者》 -クリーチャー(27)- |
4 《胆汁病》 3 《英雄の破滅》 4 《ウルドのオベリスク》 -呪文(11)- |
4 《責め苦の伝令》 4 《思考囲い》 3 《潰瘍化》 3 《残忍な切断》 1 《英雄の破滅》 -サイドボード(15)- |
成績は……
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | Bye | |
Round 2 | Bye | |
Round 3 | ティムールミッドレンジ | 〇〇 |
Round 4 | 青黒コントロール | 〇×△ |
Round 5 | ジェスカイトークン | ×〇〇 |
Round 6 | ジェスカイテンポ | ×〇〇 |
Round 7 | アブザンミッドレンジ | ×〇〇 |
Round 8 | ジェスカイテンポ | ×〇〇 |
Round 9 | ジェスカイテンポ | ×〇〇 |
Round 10 | アブザンミッドレンジ | 〇×〇 |
Round 11 | アブザンアグロ | 〇×× |
Round 12 | 赤白タッチ黒 | 〇〇 |
Round 13 | 白青英雄的 | 〇×〇 |
Round 14 | 赤タッチ白アグロ | 〇〇 |
Round 15 | 赤白ミッドレンジ | ×× |
合計11勝3敗1分で20位。プロポイント1点と賞金少し獲得。
ってことで残念ながら、最後に負けた分1勝足りずでトップ8に入れず、プロツアー権利が取れませんでした。
けど、全くと言って良いほど認識されていないデッキだったから相手のミスも数回あったし、
スピード5のデッキがほとんどメタられておらず有利で、トキメキだけじゃなく強さを兼ね備えたデッキを選べたことがとても嬉しかった。
時の運が今回どちらに作用しているかに確信はないけど、もう少し運があったら目標達成だったことは事実で、使用感としても充分チャンスがあったデッキだと感じています。
そして今回は、スケジュール的に専業プロだった頃と同じぐらい準備、練習できた上、【Twitterなどでこのデッキで目立てた】ので幸せでした。
ああ、やっぱり楽しいマジック。
情報流通の加速により、個性あるデッキで勝つことがどんどん厳しくなっていく流れは止められません。
だけど、諦める人が多くなっていくからこそ、諦めないことは武器にもなる。
だからこれからも外角デッキの可能性をゼロとは考えず、チャレンジしていきたいと考えています。
近年、構築戦はトップ8が一度もないけれど、やっぱり好きです構築戦。
また、《トラクシーズの落とし子》デッキで出た今年の【GPマニラ】での反省を活かし、
トキメキよりも勝利を求めた結果、より大きなトキメキに出会うことができたことは、
確実にこれからの自分のレベルを上げてくれるような成功体験でした。
「勝利」は得られずとも「成功」は得た。
ハッピーな結果を出せたと感じています。
次は、3月上旬からのアメリカGP2連戦に参戦予定。
ひとつめのGPマイアミはまたスタンダードなので、今度は「勝利」という形の「成功」を得られるように頑張ります!
自分が次に何デッキを使うかはまだ決まっていませんが、
だからこそ胸が高鳴っています。
応援よろしくお願いします!
あとがき
■原型を使用されていたOhashi Gaku様、ありがとうございました!ハッピーなデッキでした!
■ちょっとだけデッキ解説
・《ウルドのオベリスク》、《無情な切り裂き魔》、《モーギスの匪賊》セットはサイド後よく抜き、除去クロックパーミに変身。
・《思考囲い》は後手のときはほとんどの相手に投入。
(最後に宣伝)
現在、【晴れる屋 成田店】を拠点に活動中!皆様成田でお待ちしています^^
トモハル
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『MAGIC: THE GATHERING』
http://magic.wizards.com/en