こんにちは、井川です。
既にご存知の方も多いかと思いますが、先日開催されたプロツアー『タルキール覇王譚』にて幸運にも☆10位入賞☆という好成績を残すことができました!
直近の参加したプロツアーは、
プロツアー | 構築 | ドラフト | 最終結果 |
プロツアー『ラヴニカへの回帰』(2012年) | 7-3 | 2-4 | ノーマネー |
プロツアー『ドラゴンの迷路』(2013年) | 7-3 | 2-4 | ノーマネー |
プロツアー『マジック2015』(2014年) | 1-4 | 2-1 | 初日落ち |
と不甲斐ない成績が続いていただけに、嬉しい気持ちで一杯です。
せっかくの機会なので、いかにしてこのプロツアーに臨んだか、プロツアーで戦ったかを綴っていきたいと思います。
拙いレポートではありますが、最後までよろしくお願い致します。
■ 1.プロツアーまでの調整・前半 ~白赤兵士との出会い~
実は今回使用したデッキについては、調整のかなり早い段階で思いついていました。
発想の発端は、プロツアー『ニクスへの旅』トップ8の白赤英雄的デッキと「あるカード」との偶然の出会いからでした。
スタンダードのカードリストを片っ端から見直してみたところ、強そうなのに使われていないカードが。
そう、《ウルドのオベリスク》です。
「英雄的」デッキの《アクロスの十字軍》《恩寵の重装歩兵》といったクリーチャー、そして《急報》《船団の出航》のトークン。
これら全てが実は「兵士」であることに気付いた僕は、早速デッキを仮組みしたのです。
そうしたらデッキが、強い、強い!
PT・GPのたびに、構築・リミテッド問わず気の向くままに色々な話をしています。
仮組み段階でも、3ターン目《ウルドのオベリスク》を絡めた打点は圧倒的なもの。環境の全体除去の枚数に左右されはしますが、間違いなく環境の一角を占められるデッキパワーがある、とこの段階で確信していました。
その後Hanoi(和田 寛也)さん邸で三原(槙仁)さん、ナベ(渡辺 雄也)の4人で練習をしたところ、意外なことにナベがこのデッキを気に入ってくれたので、一緒に調整を進めることに。
ずっと一緒に白赤兵士の調整をしてくれたナベには感謝です。
こんな流れから、1マナ域を埋めるのと3ターン目《ウルドのオベリスク》率を上げるためだけに入っていた《サテュロスの重装歩兵》が抜け、第2の《アクロスの十字軍》ともいえる《ブリマーズの先兵》が採用されました。
ナベが見出してくれたこの斬新な白熊のおかげで、デッキの安定性が格段に上がりました。
まだ『タルキール覇王譚』が発売する数日前のことです。
プロツアーの練習はどうしても時間が足りなくなりがちなので、この時点でお気に入りのデッキが1つできたのは精神的には楽でしたね。
■ 2.プロツアーまでの調整・後半 ~予想されたメタゲーム~
この段階で白赤兵士は9割以上完成していたので、他のデッキも並行して調整することに。
ナベ、ユンさん(尹 壽漢)、やまけん(山本 賢太郎)、瀬畑(市川 ユウキ)くん、そしてはるばる関西から練習に来ている行弘(賢)、覚前(輝也)くんをはじめ、沢山のPT出場者と練習しました。
「《女王スズメバチ》はミッドレンジ界最強!」 ということで色々なパターンの緑信心を試したり、「《対立の終結》は使えれば強そうだ」「2マナカウンター(《無効化》)あるじゃん!」 と言って白青赤のコントロールデッキを組んでみたり。
他にも《マルドゥの隆盛》デッキ、《軍族童の突発》が入った赤単、果ては《ケイラメトラの指図》+《悪逆な富》ビッグマナまで組んでみたものの、どれもパッとせず微妙な感じ。
そうこうしているうちに『タルキール覇王譚』が発売し、菊名合宿が終わるか終わらないかというあたりで、SCGでアブザンとジェスカイが優勝して、本格的な練習がスタートしました。
アブザンは想像の範囲内だったので特に驚きませんでしたが、ジェスカイにはかなりビックリ。特に《道の探求者》の採用は目から鱗で、こんなに洗練されたデッキが、しかも発売日直後に完成しているのかと感動しました。
3 《山》 2 《平地》 2 《島》 2 《溢れかえる岸辺》 4 《天啓の神殿》 4 《凱旋の神殿》 3 《戦場の鍛冶場》 3 《シヴの浅瀬》 1 《神秘の僧院》 -土地(24)- 3 《道の探求者》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《カマキリの乗り手》 -クリーチャー(11)- |
4 《稲妻の一撃》 4 《マグマの噴流》 4 《ジェスカイの魔除け》 4 《かき立てる炎》 2 《蒸気占い》 2 《時を越えた探索》 2 《払拭の光》 1 《紅蓮の達人チャンドラ》 2 《龍語りのサルカン》 -呪文(25)- |
3 《軽蔑的な一撃》 2 《灰雲のフェニックス》 2 《マグマのしぶき》 2 《否認》 2 《神々の憤怒》 1 《嵐の神、ケラノス》 1 《悟った達人、ナーセット》 1 《龍語りのサルカン》 1 《啓蒙の神殿》 -サイドボード(15)- |
このジェスカイが登場したことと、そしてプロツアー前週にSCGが開催されなかったことにより、プロツアーのメタゲームは概ね3つのデッキが中心になるだろうと考えられました。
すなわち、
・一番人気の「ジェスカイ」。
・「ジェスカイ」に強い「アブザン」。
・ジェスカイは厳しいが、「アブザン」に強い「緑信心」。
けれども、他のみんながその3つをどう組もう/その3つにどう勝とうと試行錯誤する傍らで、僕はナベと2人で白赤兵士をこつこつと調整していました。
「アブザン」や「緑信心」に対して有利なデッキなので、「ジェスカイ」に対する不利を改善すればプロツアーでも十分通用すると考えたからです。
ブン回り要素が高い分ジェスカイに当たると手札で腐って負けやすい《統率の取れた突撃》を抜いて《神々の思し召し》をこの時点で採用。これにより爆発力自体は落ちたものの、ジェスカイをメタって採用率が上がるであろう《胆汁病》にも耐性がつき、よりデッキの安定性が増しました。
最終的に「プロツアーでもこのデッキを使おう」と決心した最大のきっかけになったのは、グランプリ上海2日目のスーパーサンデーシリーズスタンダードに出場したことでした。田中(陽)くんと2人で使って、それぞれカードが微妙に足りないせいでサイドボードが不完全だったのですが、彼がバブル負けの6-1-1、僕が5-3とそこそこの成績。懸念していた対ジェスカイも実戦で当たって思っていたほど悪い感触ではなかったので、自信がつきました。
また、対ジェスカイ用カードとして《貪る光》の存在に気付いたのも大きかったです。これによりジェスカイとの相性も「悪くても4:6」と言えるくらいには改善しました。
ナベは直前で「自分のプレイの方向性と合わない」ということでデッキを白赤兵士からジェスカイに変更しましたが、僕は「今回のドラフトは自信がない=構築ラウンドで大勝する必要がある」「ジェスカイはみんなメタってくるだろう」「緑系が多い気がする」という理由から、そのまま白赤兵士を使用することにしました。
となればあとは75枚をしっかり仕上げるだけ。
出発前日にナベが使って好感触だったという《黎明運びの戦車兵》をそのまま(一度も自分では試さずに)採用したり、《神々の思し召し》が複数枚引くと不快だったので、ホノルル行きの飛行機の中で思いついた《アジャニの存在》をその場(飛行機内)で試す→好感触だったのでメインに1枚入れたり。
他にも前日の夜にはデッキをシェアした河浜(貴和)くんと話し合って、サイドに入っていた赤単やハサミ対策の《道の探求者》を急遽抜き、アブザンなどの対策になる《停止の場》と、《対立の終結》へのささやかな抵抗として追加の《アジャニの存在》を入れたりと、時間ギリギリまで細かい微調整を重ねました。
7 《平地》 2 《山》 4 《戦場の鍛冶場》 4 《凱旋の神殿》 4 《マナの合流点》 -土地(21)- 4 《アクロスの十字軍》 4 《恩寵の重装歩兵》 4 《ブリマーズの先兵》 3 《密集軍の指揮者》 -クリーチャー(15)- |
4 《船団の出航》 4 《果敢な一撃》 3 《神々の思し召し》 1 《アジャニの存在》 4 《急報》 4 《ドラゴンのマントル》 4 《ウルドのオベリスク》 -呪文(24)- |
4 《オレスコスの王、ブリマーズ》 3 《貪る光》 2 《黎明運びの戦車兵》 2 《鍛冶の神、パーフォロス》 2 《停止の場》 1 《アジャニの存在》 1 《異端の輝き》 -サイドボード(15)- |
雑多なデッキは速度で圧倒できる上に、緑系に強い「白赤兵士」。
こうしてスタンダードのデッキはかなり自信がある仕上がりとなりました。
■ 3.プロツアー本番
さてここまで長々と書いてきましたが、ここからがプロツアー本戦です。
どんな練習をどれだけしようと、基本的には結果が全て。今回こそは、勝ちたい!
◆Day1
◎ファーストドラフト
1-1《アブザンの鷹匠》、1-2《停止の場》と上々のスタート!!
……だったのですが1-3ですでに白いカードが全くなく、この順目にしては美味しい《氷羽のエイヴン》でムリヤリ方向転換を迫られます。
その後も白は混んでるようなので切り捨て、練習でスゥルタイがあまりできなかった&成績が良くなかったためスゥルタイのカードを取らずに無理やりティムール気味にピック。しかしどうやら赤の流れもよくないようで、3パック目になって改めてスゥルタイに舵を切りなおす体たらく……
3-1で取った《龍流派の双子》も使えず、一体何をやっているのやらとドラフト中に反省しっぱなしでした。
7 《島》 5 《森》 1 《沼》 2 《岩だらけの高地》 1 《血溜まりの洞窟》 1 《陰鬱な僻地》 1 《ジャングルのうろ穴》 -土地(18)- 1 《族樹の管理人》 3 《氷羽のエイヴン》 1 《嘲る扇動者》 1 《荒野の後継者》 1 《高地の獲物》 1 《煙の語り部》 1 《霧炎の織り手》 1 《湯熱の精》 1 《遠射兵団》 2 《スゥルタイのゴミあさり》 2 《グドゥルの嫌悪者》 1 《千の風》 1 《大牙コロッソドン》 1 《長毛ロクソドン》 -クリーチャー(18)- |
1 《軽蔑的な一撃》 1 《引き剥がし》 1 《苦々しい天啓》 1 《スゥルタイの戦旗》 -呪文(4)- |
1 《アブザンの鷹匠》 1 《停止の場》 1 《帰化》 1 《マルドゥの戦旗》 1 《花咲く砂地》 1 《平地》 -サイドボード(使用したカードのみ掲載)- |
結果、スゥルタイともティムールとも言いがたい「強クリーチャー、弱スペル」なデッキになりました。カードが少し足りないので、事故らないように土地18+《戦旗》1で。
強いデッキとは言い難いですが、《千の風》と3枚(!)の《氷羽のエイヴン》で頑張ることに。
R1. 〇×〇 Neil Reeves
R2. 〇〇 Cin Johnson
R3. 〇〇 Ondrej Strasky
3-0!!
都合よく《氷羽のエイヴン》を固め引いたり、相手がフラッドしたりとかなりツイていました。
運だろうがなんだろうが、プロツアーで久しぶりのドラフト3-0!
◎スタンダード
さて、ここからはスタンダード。リミテッドが自信なかった分、構築は結構自信アリ。
全勝目指して頑張ります!
R4. 〇〇 Christopher Sparks(シディシウィップ)
R5. ×〇× Toni Portlan(緑タッチ黒信心)
R6. ×× 大礒 正嗣(緑タッチ青信心)
R7. 〇〇 Joel Larsson(4色ミッドレンジ)
R8. 〇×〇 David Williams(《ジェスカイの隆盛》コンボ)
3-2!!
ランチブレイクのせいか遅刻でゲームロスしたシディシウィップを5分で瞬殺し「今日はツイてるなー!」と思ったのも束の間、比較的有利な緑信心に2連敗してガッカリ。
ですがなんとか残り2戦を勝利し、トータル6-2で初日を折り返すことに。
そして同室のナベはなんと見事8-0!!
明日も頑張ろう、と2人で声をかけあいながら就寝。
◆Day2
◎セカンドドラフト
1-1はまたも《アブザンの鷹匠》。大抵のレアより強いトップアンコモンのうちの1枚なので、これは嬉しいですね。1-2《消耗する負傷》、1-3《雪花石の麒麟》とかなり良い流れでしたが、この後はあまりカードが強くないので、土地だけ確保して次のパック以降に期待することに。
2-1で爆弾レアともいえる《書かれざるものの視認》を引いてアブザン方向は決定。その後も土地を高めにピックし、最終的には5色になりました。
4 《森》 3 《平地》 2 《沼》 1 《山》 2 《茨森の滝》 2 《平穏な入り江》 1 《砂草原の城塞》 1 《ジャングルのうろ穴》 1 《急流の崖》 -土地(17)- 1 《縁切られた先祖》 1 《射手の胸壁》 1 《高地の獲物》 1 《煙の語り部》 1 《アブザンの鷹匠》 2 《雪花石の麒麟》 1 《遠射兵団》 1 《スゥルタイの剥ぎ取り》 1 《龍爪のスーラク》 1 《氷河の忍び寄り》 1 《河水環の曲芸士》 1 《スゥルタイのゴミあさり》 1 《アブザンの先達》 1 《長毛ロクソドン》 -クリーチャー(15)- |
1 《ラクシャーサの秘密》 1 《大物潰し》 1 《目潰しのしぶき》 1 《大蛇の儀式》 1 《書かれざるものの視認》 1 《消耗する負傷》 1 《マルドゥの戦旗》 1 《スゥルタイの戦旗》 -呪文(8)- |
1 《包囲戦法》 1 《ケルゥの吸血者》 1 《マルドゥの頭蓋狩り》 1 《帰化》 1 《平地》 1 《沼》 -サイドボード(使用したカードのみ掲載)- |
そこまで強いデッキではありませんが、卓全体でそれほど強いカードが出ていないように感じたので、2-1はしたいなというところ。
ちなみに卓のメンバーで有名所は、プラチナレベルであるLee Shi Tian, Patrick Chapin, Alexander Hayneの3人。
このメンバーといかに当たらないか、どう戦うかがポイントになるかなーと思いながら対戦へ進みました。
R9. ×○○ Alexander Hayne
R10. ×× Lee Shi Tian
R11. ○○ Patrick Chapin
2-1!!
フラグを回収するかのごとくプラチナ3連戦となりましたが、なんとか2-1。
Lee Shi Tian戦は、2ゲームとも4ターン目に《アラシンの上級歩哨》出されて手も足も出ませんでした。
◎スタンダード
ここまでの成績は8-3。
残り5戦を4-0-1~5-0すればトップ8、最低でも3-2すれば次回のプロツアーの権利&航空券ゲットです。
頑張れ兵士、負けるな兵士!!
R12. ×× Paul Rietzl(ジェスカイ)
R13. ×○○ Michael Peterson(ジェスカイ)
R14. ○×○ Wiily Edel(アブザン)
R15. ○○ Tamas Glied(シディシウィップ)
R16. ×○○ Bram Snepvangers(アブザン)
4-1!!!
Alexander Hayne, Lee Shi Tian, Patrick Chapinのプラチナ3連戦の後もPaul Rietzl, Wiily Edel, Bram Snepvangersと強豪・殿堂プレイヤーの嵐。初日の大磯 正嗣さん、David Williamsと合わせてこの2日間はいつものプロツアーにも増してテンションが上がりました。「これぞプロツアー!」って感じですね!
初戦のPaul Rietzl戦をマナフラッド×2でアッサリ負けてかなりガッカリしましたが、「残り3-1でPTQ優勝!」と気持ちを切り替えました。
続くR13もジェスカイ。第1ゲームこそいわゆる「先手ゲー」で落としてしまいましたが、第2ゲームを3ターン目の《ウルドのオベリスク》で瞬殺し、第3ゲームは《貪る光》《停止の場》で相手の主力を捌いてからの《オレスコスの王、ブリマーズ》《黎明運びの戦車兵》《ウルドのオベリスク》と想定通りのゲームプランで勝利!
最終ラウンドであるR16では、2010年のPTアムステルダム以来のフィーチャーエリア。ナベの試合が終わってからはビデオマッチになりました。
第2ゲームからの放送だったのですが、第2・3ゲームともデッキ本来の動きができて逆転勝利できました!やった!
ということで、最終成績は12-4で10位。
賞金5,000ドルとプロポイント15点、次回プロツアーの権利と航空券を獲得しました。
早い段階で4敗目を喫したので、トップ8にはまず入れないと分かっていました。
……分かってはいましたが、やっぱりオポ負けは悔しいですね!次こそは!!
■ 4.写真で振り返るプロツアー
さてここからは撮った/撮られた写真を少しだけご紹介。
食べた直後に満腹状態で搭乗して後悔するのが常ですが、縁起物なので今回も食べました。
ちなみに1,150円也。
仁川→ホノルル便では幸運にもビジネスクラスをゲット!
クールなイケメン・やまけんもこれには大喜び。
ハワイに来れただけで感動です。
……まぁ観光らしい観光はしなかったんですけどね。ハワイ(笑)
コメント追いながら喋るのは難しいですね。
おっちゃん(Guillaume Matignon・右チーム中央)と2回組んで2連勝!
ビール、ステーキ、さらにはチーズケーキをテイクアウトで大満足!
昼食を賭けて空港でバーガーキングじゃんけん。
60ドル負けました!!!
■ 5.最後に~白赤兵士を使ってみたいという方へ
最後に、この「白赤兵士」デッキを使いたい!という奇特な方へ、簡単な解説とアドバイスを。
・《オレスコスの王、ブリマーズ》は絶対に4枚サイドに必要。
《稲妻の一撃》《胆汁病》という2マナ除去はもちろんのこと、《神々の憤怒》《悲哀まみれ》という全体除去ですら生き残ってくれるコイツ。とくに《稲妻の一撃》《マグマの噴流》を軸にしているジェスカイには効果覿面です。サイドボードに必ず4枚入れましょう。
メイン戦ではアクションが重いため不要ですが、相手に除去が増え、ゲームが全体的にスピードダウンするサイドボード後は、緑信心やミラーマッチなど一部を除いてほとんどの場合3-4枚サイドインします。
・サイドイン/アウトは?
よくサイドアウトするのが、赤マナなのでプレイしづらい上に除去などを合わせられてフィズりやすい《ドラゴンのマントル》、並べても一緒に流されてしまう《密集軍の指揮者》、そして「点」でしか攻められないため特に後手では弱い《恩寵の重装歩兵》。悩んだらこの3種類を減らしたり抜くといいでしょう。
抜く優先度としては《密集軍の指揮者》>《ドラゴンのマントル》≧《恩寵の重装歩兵》といった感じ。緑信心やミラーマッチのようなブン回り対決以外で悩んだ場合は、とりあえず《密集軍の指揮者》を抜けば大丈夫です。
逆にほとんどサイドアウトしないのが、デッキの核である《アクロスの十字軍》《ブリマーズの先兵》《急報》《船団の出航》という「並べる」カード、そして1枚絶対に引きたい《ウルドのオベリスク》です。
ただし自分より早い赤単やハサミデッキ相手だけは、《ウルドのオベリスク》をプレイしている余裕が無い(ブロックして数が減っているor「召集」でクリーチャーをタップする余裕がない)のでサイドアウトしましょう。
本当はプロツアー出場前に細かいサイドボーディングプランを考えていたのですが、相手によってサイドボードがまったく違ったため、本戦ではその場その場で臨機応変に対応していました。
前もって決めたことにこだわり過ぎず、今プレイしている感覚や直感を信じることも時には大事だと思います。
・対アブザン。相手のサイドボードは《悲哀まみれ》or《対立の終結》?
《対立の終結》を見たなら《アジャニの存在》で《アクロスの十字軍》か《ブリマーズの先兵》、《オレスコスの王、ブリマーズ》を守れるようにしましょう。もし《悲哀まみれ》なら、とにかく《ウルドのオベリスク》を最速でプレイできるよう効率重視でプレイしましょう。
何をどこまでケアするか。難しいところではありますが、「展開するかしないかで悩んだら、全体除去は無視して展開」というのと、「もし全体除去を意識するなら《アクロスの十字軍》や《ブリマーズの先兵》を温存」という2点だけを守れば、勝っても負けても悔いのないゲームができると思います。
対アブザンのメインボードは比較的有利なマッチアップですが、サイドボードは相手が何を採用しているかで大きく変わります。どちらかを見極めて、3ゲーム目をしっかり取りましょう。
・とにかく回数をこなすことが大事
どの順番にクリーチャーを展開して、どう「英雄的」をしていくのか。いつ《凱旋の神殿》のタップインを処理するのか。《船団の出航》を複数枚引いたときは、いつ1枚目を撃つべきなのか。
デッキに入っているカードのほとんどが1-2マナであるため、見た目以上に選択肢が多く、難しいデッキです。たくさんゲームをやって、慣れていってください。誘発型能力も多いので、くれぐれも忘れないように(笑)
ということで、今回のプロツアーレポートは以上です。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
次回、プロツアー『運命再編』は2月のワシントン、フォーマットはモダン。
好成績を残して、またプロツアーレポートをお届けできるよう頑張ります!
GP神戸2014でのプロポイント1点を合わせて、現在のプロポイントは16点。
ゴールドレベルの35点にはまだまだ遠いですし、そもそも年4回のプロツアーのうち、シルバーレベルでの1回を加味してもまだ1回分プロツアーに出れないので、12月からはまたプロツアー予選やプロツアー予備予選を行脚することになると思います(各地のみなさん、見かけたらどうぞよろしく!)。
競技マジックをプレイしている以上、挑戦は永遠に終わらない。
今シーズンこそはゴールドレベルになれるよう、全力で頑張ります!!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
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