津村健志のプロツアー『運命再編』レポート

津村 健志



こんにちは!

先週末に今年初めてのプロツアー、プロツアー『運命再編』に参加してきました!

まずは、いつも通り調整記からご覧ください(^o^)



■ ドラフト



ドラフトは『菊名合宿』でみっちりと練習しました。弱いデッキをたくさん作って負けまくりましたが、おかげでどんなデッキだと勝てるかが少しずつ分かってきました。

基本中の基本ですが、(1)除去は早めにピックすること、(2)デッキの勝ち筋をいつも以上に意識すること、(3)土地は取れるときに確保しておくこと、の3点を重要視するようになってから、少しずつ勝率は改善されていきました。

みんなで各カードの点数等を話したのも、非常に参考になりました。

『菊名合宿』後は「晴れる屋トーナメントセンター」で練習を重ね、あとはMagic Online(以下MO)を中心に練習していきました。

とりあえず、引いたレアは全て試すくらいの勢いでレアを試しまくったので、レアとアンコモン・コモンの優劣をきちんと把握できた点はよかったかなと思います。



■ モダン



モダンの調整は、「津村健志のゴキゲン!MO生活」でも度々申し上げていた通り、「Super Crazy Zoo」から始めました。



kogamo「Super Crazy Zoo」

1 《森》
4 《樹木茂る山麓》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《血染めのぬかるみ》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《寺院の庭》
1 《草むした墓》
1 《聖なる鋳造所》
1 《血の墓所》

-土地(18)-

4 《僧院の速槍》
4 《野生のナカティル》
4 《死の影》
4 《タルモゴイフ》
4 《通りの悪霊》

-クリーチャー(20)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《変異原性の成長》
4 《稲妻》
4 《ティムールの激闘》
2 《魔力変》
4 《強大化》

-呪文(22)-
hareruya



調整初期では3キルを連打し、間違いなく最強デッキの一角でした。その圧倒的なまでの速度は、各種コンボデッキもびっくりなほど。

クリーチャーを使用した一種のコンボデッキということで、同じくクリーチャーを活用して3キルを目指す「感染」と比較されることが多かったのですが、「Super Crazy Zoo」には《稲妻》に強いという明確な利点がありました


稲妻死の影タルモゴイフ


ただし、ここから調整を進めていくうちに、意外な事実が浮かび上がってきたのです。

そう、それは《稲妻》の弱体化です。

《稲妻》と言えばモダンを代表する1枚で、それこそ「モダン環境は《稲妻》環境」と評されるほどに、このカードの存在感は際立っています。

いや、正確には際立っていた、と言うべきでしょう。その歴史に終止符を打ったのは、つい最近登場したばかりのこの2枚です。


包囲サイ黄金牙、タシグル


これらのカードは《稲妻》をものともせず、さらには手札破壊を盾に《タルモゴイフ》とともに戦場を駆け巡ります。

これらのカードを駆使した「アブザン・ジャンク」がメタゲームの大本命であることは想像に難しくなく、それゆえに「モダン環境は《稲妻》環境ではなくなった」と判断せざるをえませんでした。《稲妻》以外でも、《突然の衰微》なんかは以前よりも頼りにできなくなったりと、除去カードの評価には大きな変化が見受けられました

そういった背景から、モダン環境の主流の除去は《稲妻》から《流刑への道》《突然の衰微》へと移り変わっていき、「Super Crazy Zoo」の「《稲妻》に強い」という長所は、もはや長所とは呼べなくなってしまったのです。

「アブザン・ジャンク」に不利ということも相俟って、ここで「Super Crazy Zoo」の調整は諦めることに。次なる候補は「Super Crazy Zoo」と同時進行で調整を続けていた「精力の護符」デッキでしたが、同じくこのデッキを調整していたなべ君(渡辺 雄也)や(齋藤)友晴さんと、「このデッキを使う意義が見いだせない」という結論にいたり、これもお蔵入りに。



kogamo「精力の護符」

1 《島》
4 《宝石鉱山》
2 《氷の橋、天戸》
4 《シミックの成長室》
3 《グルールの芝地》
1 《セレズニアの聖域》
1 《ゴルガリの腐敗農場》
1 《ボロスの駐屯地》
4 《トレイリア西部》
1 《処刑者の要塞》
1 《軍の要塞、サンホーム》
1 《カルニの庭》
1 《魂の洞窟》
1 《光輝の泉》
1 《幽霊街》
1 《ヴェズーヴァ》

-土地(28)-

3 《迷える探求者、梓》
4 《原始のタイタン》

-クリーチャー(7)-
4 《召喚士の契約》
1 《否定の契約》
1 《殺戮の契約》
4 《手練》
4 《血清の幻視》
4 《花盛りの夏》
3 《集団意識》
4 《精力の護符》

-呪文(25)-
4 《原基の印章》
4 《神聖の力線》
3 《紅蓮地獄》
2 《仕組まれた爆薬》
1 《タイタンの契約》
1 《幽霊街》

-サイドボード(15)-
hareruya



シミックの成長室精力の護符花盛りの夏



具体的な理由としては、(1)安定性に難があること、(2)これといって有利なデッキがいないことの2点に尽きます。もうひとつの理由として、あまりにも対戦相手に干渉できないことも懸念材料でした。

最後の望みと「青赤<欠片の双子>コンボ」も試したものの、井川(良彦)さんの駆る「アブザン・ジャンク」に粉々にされてしまい、調整は難航してしまいました。

「青赤<欠片の双子>コンボ」は「アブザン・ジャンク」以外のデッキには非常に強かったものの、やはりメタゲームの大本命が、このデッキにとって致命的な《突然の衰微》を3~4枚搭載しているという事実は、デッキ選択を躊躇うに十分すぎる理由でした。

実はここまで「アブザン・ジャンク」だけは使わないと心に決めていたのですが、それはミラーマッチを乗り越える術を思い付かなかったからにほかなりません。《殴打頭蓋》の増量や《ガヴォニーの居住区》の採用など、細部が勝敗を分かつマッチアップだとは重々承知しているものの、最も多いであろうミラーマッチで差を付けられないのであれば、「青赤<欠片の双子>コンボ」デッキなどを諦めた意味が薄くなってしまいます。井川さんやなべ君にMOで調整してもらいましたが、やはり抜本的な改革案がなければミラーマッチはそこまで大きな差が付かないという結論に。

とはいえ、井川さんが作り上げたデッキリストを、僕はその他のデッキで超えることができませんでした。

最後の最後まで、「アブザン・ジャンク」にめっぽう強い「赤緑ランプ」と悩んだものの、時間の関係で調整が間に合わなかったので、井川さんのリストを使わせてもらうことにしました。



津村 健志「アブザン・ジャンク」
プロツアー『運命再編』

2 《沼》
1 《森》
1 《平地》
4 《新緑の地下墓地》
4 《湿地の干潟》
2 《吹きさらしの荒野》
2 《草むした墓》
1 《神無き祭殿》
1 《寺院の庭》
2 《黄昏のぬかるみ》
3 《樹上の村》
1 《活発な野生林》

-土地(24)-

4 《貴族の教主》
4 《タルモゴイフ》
1 《漁る軟泥》
4 《包囲サイ》
2 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(15)-
4 《思考囲い》
3 《コジレックの審問》
3 《流刑への道》
3 《突然の衰微》
3 《未練ある魂》
1 《大渦の脈動》
1 《殴打頭蓋》
3 《ヴェールのリリアナ》

-呪文(21)-
4 《大爆発の魔道士》
2 《見栄え損ない》
2 《原基の印章》
2 《忍び寄る腐食》
1 《ファイレクシアの非生》
1 《未練ある魂》
1 《城塞の包囲》
1 《滅び》
1 《殴打頭蓋》

-サイドボード(15)-
hareruya



井川さんのリストの特徴的なカードは、《ファイレクシアの非生》《城塞の包囲》です。


ファイレクシアの非生城塞の包囲


前者は「バーン」系統のデッキに絶大な効果を発揮する疑似ライフ回復手段。《部族養い》などとは違い、《頭蓋割り》《血の手の炎》にひっかからない点が秀逸です。

後者はミラーマッチを制する鍵として、特に「カン」モードが強力です。「カン」モードは《未練ある魂》やクリーチャー同士のにらみ合いを難なく突破することができ、《ガヴォニーの居住区》とは違ってマナもかからない優れもの。「龍」モードも、対戦相手の《殴打頭蓋》付きのクリーチャーに攻撃を許すことがないので、ミラーマッチでは本当に頼もしいカードでした。もう一度プロツアーをやり直せるならば、2枚に増量したいとは井川さん本人の弁。

さてさて、長くなってしまいましたが、ここからは本戦レポートです!



■ プロツアー『運命再編』初日



ファーストドラフトは幸先良く《群衆の掟》からのスタート。2手目は何もなく《空腹なイエティ》でお茶を濁しつつ、そこからは《蓮道のジン》《急流の崖》などを取って「青赤」路線に。遅くまわってきた2枚の《狡猾な一撃》や、《茨森の滝》も拾え、上々の滑り出しとなりました。2パック目では《千の風》を引き当て、3パック目では2手目に《サグのやっかいもの》を手にする幸運にも恵まれ、下記のデッキが完成しました。



津村 健志「ティムール」
プロツアー『運命再編』 1stドラフト

7 《山》
4 《島》
3 《森》
2 《急流の崖》
2 《茨森の滝》

-土地(18)-

1 《ジェスカイの賢者》
2 《跳躍の達人》
1 《マルドゥの斥候》
1 《沸血の導師》
1 《沸血の熟練者》
1 《サグの射手》
1 《氷河の忍び寄り》
2 《雪角の乗り手》
1 《サグのやっかいもの》
1 《千の風》
1 《蓮道のジン》
1 《空腹なイエティ》

-クリーチャー(14)-
1 《苦しめる声》
1 《ティムールの激闘》
1 《打ち倒し》
2 《狡猾な一撃》
1 《道極め》
1 《矢の嵐》
1 《群衆の掟》

-呪文(8)-
hareruya







レアもあってそこそこ強そうな予感……結果は果たして……!?


ラウンド 対戦デッキ  勝敗
Round 1「スゥルタイ」〇〇
Round 2「マルドゥ」〇〇
Round 3「ティムール」〇〇


3-0!やまけんさん(山本 賢太郎)も3-0と、ノリノリのスタート!





ここからはモダンラウンド。なんとか2日目に進みたいところ!


ラウンド 対戦デッキ  勝敗
Round 4「アブザン・ジャンク」
カバレージは【こちら】
×〇×
Round 5「赤緑トロン」〇〇
Round 6「ナヤ・バーン」〇×〇
Round 7「アブザン・ジャンク」×〇×
Round 8「赤緑トロン」×〇×



結果:2-3


総合成績:5-3


途中でやまけんさんに当たったりしたものの、なんとか2日目に




実は「晴れる屋」に入社してから初の2日目ということで、2日目が決まった時は井川さんとハイタッチしてました(^_^;)(笑)

ここからは少しでも良い順位にいけるよう、気持ちを切り替えて2日目に!



■ プロツアー『運命再編』2日目



セカンドドラフトは《前哨地の包囲》から。この環境は82%以上の確率で初手でレアを取れるとのことですが、ちゃんとレアを引けて一安心。

そこからは《霧炎の達人》《エイヴンの偵察員》《ナーガの意志》と取って、5手目にしては遅い《破壊するドラゴン》を拾って「ティムール」を視野に。そこから2枚の《平穏な入り江》が取れたので、「ジェスカイ」の方が良さそうに思えましたが、残り3手で《残忍なクルショク》がきたことで、やっぱり「ティムール」かと思いつつ2パック目に突入。

2パック目の初手は《ジェスカイの風物見》《松歩き》の2択。色の保留という意味合いでは前者ですが、素直にカードパワーを重視したのと、1パック目で遅めにまわってきた《破壊するドラゴン》を信じて後者をピック。2手目に《雪角の乗り手》を取って、3手目の《灰雲のフェニックス》で「赤緑」路線に決定。上家が赤いのは分かっていましたが、僕の下家が青かったため、残念ながら「青緑」に逃げることができませんでした

多数のピックミスもありつつ、完成したのは微妙な「ティムール」。



津村 健志「ティムール」
プロツアー『運命再編』 2ndドラフト

7 《森》
6 《山》
3 《島》
1 《岩だらけの高地》
1 《急流の崖》

-土地(18)-

1 《跳躍の達人》
1 《高地の獲物》
3 《煙の語り部》
2 《突き刺し豚》
1 《雪角の乗り手》
1 《松歩き》
2 《長毛ロクソドン》
1 《遠射兵団》
1 《霧炎の達人》
1 《灰雲のフェニックス》
1 《残忍なクルショク》
1 《破壊するドラゴン》
1 《河水環の曲芸士》

-クリーチャー(17)-
1 《苦しめる声》
1 《熊の覚醒》
1 《打ち倒し》
1 《龍の握撃》
1 《前哨地の包囲》

-呪文(5)-
hareruya







弱い……(;O;)

クリーチャーが多いのは嫌いじゃありませんが、こういった場合はよほどクリーチャーの質が良いか、その他の呪文の質が良くないとだめだと相場は決まっています

クリーチャーも呪文の質もいまいちなこのデッキ!結果はいかに!?


ラウンド 対戦デッキ  勝敗
Round 9「マルドゥ」〇××
Round 10「エスパー」××
Round 11「マルドゥ」〇××


予想通りの0-3( ;∀;)


Round 10以外は勝てそうな気配が漂っていましたが、マリガンも響いての敗戦。Round 9、11共に、あと1点が削れないゲーム展開だったので、マリガンさえなければといった悔しい試合でした。


結果:0-3


総合成績:5-6


気持ちも沈んでしまいましたが、まだまだ構築で全勝すれば賞金圏内!ということで、気持ちを切り替えてモダンラウンドへ!


ラウンド 対戦デッキ  勝敗
Round 12「ボロス・バーン」〇×〇
Round 13「緑白オーラ」××



結果:1-1


総合成績:6-7



瞬殺!


6-7でドロップ(/_;)


負けてしまったものはしょうがないので、同じタイミングでドロップしたMatignonおっちゃん(フランス)たちとチームドラフト!



いつもニコニコ!おっちゃんことMatignonさん!


他にも最近絶好調のChris Fennell、Seth Manfieldのアメリカチームに挑んだり、本戦で負けはしましたけど楽しいプロツアーでした(^◇^)

ちなみにChrisさんたちとのドラフトは、1回目が0-5(最速負け!)で、2回目が5-0(最速勝ち!)という極端な成績でした(^_^;)(笑)

Chrisさんはこちらから見ていてもプレイングが上手くて、試合中にも関わらず思わず拍手してしまったほどでした。2回ともデッキも強かったですし、僕も見習いたいもんです!



■ おわりに



今回は2日目にこそ進出できたものの、結局は初日落ちと変わらない最終結果だったので、これを次に向けた前進と受け止めて、また全身全霊で練習をがんばりたいと思います!

さてさて今夜は久しぶりに「津村健志のゴキゲン!MO生活」をお送りいたします!現在、時差ボケ真っ最中ですが、お時間のある方はぜひご覧ください♪



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コガモ