はじめに

きたしま:みなさん、こんにちは。晴れる屋のきたしま(@oolong__chan)です。
■人物紹介:きたしま

きたしま: 晴れる屋商品管理チームスタッフ。高校3年の冬に『ワールド・マジック・カップ2017』を見てマジックの魅力にのめり込む。現在、競技マジックに挑戦する様子を記事にした「きたしまの『プロツアーへの道』」を連載中。
先日、京都パルスプラザで開催された『プレイヤーズコンベンション京都2026』にて、『チャンピオンズカップファイナル シーズン4 ラウンド2』に参加してきました。今回はその参加レポートをお届けします。
『チャンピオンズカップファイナル』は、予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できる招待制の大会です。上位に入賞すれば、競技マジックの最高峰である『プロツアー』への出場権を獲得することができます!
今回の京都での『チャンピオンズカップファイナル』は、僕にとって2度目の参加となります。前回参加したのは昨年2月。モダンのボロスエネルギーを相棒に大会に臨みましたが、最終成績は1勝6敗で初日落ち。あまりにも不甲斐ない結果でした。
- 2025/02/14
- きたしまの『プロツアーへの道』~初めての『チャンピオンズカップファイナル』参加レポート~
- きたしま
あれから1年が経ち、再びこの舞台まで戻ってくることができました。今回こそは良い結果を残し、プロツアーへのチャンスを掴みたい!そんな思いで大会に臨みました。
事前の練習
デッキ選択
今大会のフォーマットはスタンダードです。『マジック:ザ・ギャザリング|ミュータントタートルズ』の発売から1週間が過ぎたタイミングでしたが、大会本番のメタゲームブレイクダウンは以下のようになっていました。
使用率1位に「イゼット果敢」、2位に「緑単上陸」、3位に「ディミーアミッドレンジ」という並び。「イゼット講義」は10%くらいの使用率があるかなと思っていたので、ディミーアミッドレンジよりも少なかったのは意外でした。
そして今大会で僕が使用したのは、使用率1位でトップメタとなったイゼット果敢です。
イゼット果敢を使い始めたのは2月中旬頃でしたが、当時はこのデッキがトップメタになるとは想像していませんでした。当時の自分は、安定して結果を残し続けている「イゼット講義」を本命デッキとして考えており、同じイゼット系で移行もしやすいイゼット果敢は、少し触って遊ぶくらいの軽い気持ちでした。
ところが、実際にイゼット果敢を回してみると想像以上のデッキパワーに驚きました。《嵐追いの才能》と《ブーメランの基礎》のループは言わずもがな強力です。《神出鬼没のカワウソ》や《精鋭射手団の目立ちたがり》で積極的に相手のライフを攻める戦略も、長いラウンドを戦う『チャンピオンズカップファイナル』においてポジティブポイントでした。
環境を定義している《アナグマモグラの仔》系デッキには除去が少なく、イゼット果敢の攻撃が通りやすいことも追い風です。
一方、当初使用を検討していたイゼット講義は長期戦になりやすいデッキ。複数の誘発型能力などをテーブルトップでミスなく管理しきるのは、イゼット講義に熟練していなければ難しいでしょう。
本来、イゼット講義を使いたいのであればそれを見越して練習を積んでおくべきだったのですが……今回は風通しの良さそうなイゼット果敢の練習にフォーカスすることにしました。
目的意識を持った練習
使用デッキをイゼット果敢1本に絞り込んだのが大会本番の1週間前。ここからは、ひたすらその牙を研ぎ続けるフェーズです。

きたしま:今日からデッキ登録の日まで、毎日みっちりMTGアリーナのランク戦でイゼット果敢の練習をするぞ!

きたしま:・・・・・・。

きたしま:・・・・・・。

きたしま:本当にそれで大丈夫なのか?
1年前、モダンの『チャンピオンズカップファイナル』ではボロスエネルギーを持ち込みました。Magic Onlineのリーグに毎日潜り、4-1と3-2を行ったり来たり。それでもデッキの回し方は理解できていましたし、数も少なくない量をやれていたと思っています。
ところが大会当日、デッキ公開制で対戦相手のリストを見たとき、どうやって勝てばいいのかを想像することがまったくできませんでした。とりあえずデッキがちゃんと回りそうな初手でキープし、その場その場で正解っぽい択を選んでいった結果が1勝6敗です。
このままでは、前回と同じ結果になってしまうのではないかという不安が押し寄せてきました。大会まではもう1週間を切っています。一緒に調整する仲間もいない今の自分の状況で、どうしたらもっといい練習ができるのか。

きたしま:いや、無理を言ってでも誰かに声をかけて練習に付き合ってもらうべきだ……!
なんとしても現状を打開したい。
そこで、MTGアリーナのワイルドカードがあり余っているという先輩に協力をお願いし、スパーリング形式での練習を行うことにしました。スタンダードの環境デッキを一通り用意してもらい、マッチアップごとの要点を掴むことが狙いです。
それからデッキ登録までのわずかな期間でしたが、毎晩2-3時間のスパーリング練習をやりました。また、自分のミスや気になる分岐をあとで見返すことができるように、スパーリングはすべてTwitchで配信しました。
初日は「白単モモ」、2日目は「緑単上陸」、3日目は「ディミーア加虐者」、4日目は「イゼット講義」、5日目に「シミック律動」。ほかにもやりたいマッチアップはありましたが、残された時間でできることはやりきれたと思っています。
この練習のおかげで、イゼット果敢が不利マッチに勝つパターンや、逆に有利マッチで負けるパターンなどを知ることができました。環境デッキと対戦するときの大局観を掴み、大会本番のプレイ指針になったと思います。
また、配信しながら練習したこともプラスに働いたと感じています。「誰かに見られている」という感覚のおかげで、本番に近い緊張感で練習に取り組めました。手なりプレイによる致命的なミスを、強く脳裏に刻みつけられたのも収穫でした。
▲先に《噴出の稲妻》をプレイしたせいで《大ドルイドの魔除け》で1:2交換される
▲X=2の出来事を1つを対象に唱えたせいで《神出鬼没のカワウソ》を失う
こうしてあっという間に練習期間が過ぎ、デッキ登録の日になりました。
デッキリスト
今回僕が使用したのは、《ドレイクの孵卵者》入りのイゼット果敢です。
サイドボードにはいくつか調整を加えていますが、全体としてはメイン・サイドともに3月初頭のイゼット果敢のテンプレートを元にしたオーソドックスな構成です。
《嵐追いの才能》と《食糧補充》のおかげで幅広いゲームレンジで戦うことのできるイゼット果敢ですが、メイン戦では序盤に果敢クリーチャーをたくさん引いて積極的に攻めるプランを取りたいと考えていました。《ドレイクの孵卵者》はその水増し枠としては優秀な果敢クリーチャーで、《コーリ鋼の短刀》の時代にも使われていた実績があります。
一方で、デッキ登録の数日前から《渦泥の蟹》をメインから採用し、《ドレイクの孵卵者》を採用しないリストが増えてきていることも確認していました。しかし、スパーリングでも使用していた《ドレイクの孵卵者》入りのほうが練度に自信がありましたし、アグレッシブなプランを狙うのであれば、こちらのほうが合っていると判断。
最終的には《ドレイクの孵卵者》入りのリストでサブミットしました。
京都へ
前日の夜20時に仕事を終え、高田馬場から京都へ向かいました。
京都着 pic.twitter.com/E9KMx3v5Z2
— きたしま (@oolong___chan) March 13, 2026
1年前は前日でもそこまで緊張していませんでしたが、今回は落ち着かない夜になりました。
「あの大敗からようやくここまで戻ってきたのに、また手ぶらで終わったらどうしよう」という不安。そして、「無理を言って練習に付き合ってもらった先輩に、申し訳ない結果になったらどうしよう」という焦り。
そんな気持ちを抱えながらも、「まずは明日の準備を」と黙々とスリーブを入れ替え、眠りにつきました。
大会当日
翌日、京都の朝は少しひんやりとしていました。
会場までは徒歩で1時間近くかかるため、ホテル近くの駅から電車で2駅ほど移動。さらに15分ほど歩いて、目的の京都パルスプラザに到着しました。
この会場でマジックのイベントが開催されるのは、2019年の『グランプリ・京都』以来、7年ぶりとのことです。当時の自分はまだ競技マジックを「見る側」として楽しんでおり、現地からの配信をかじりつくように見ていました。
しかし、今回は違います。
出場者として、プロツアー権利を勝ち取るためにここまで来ました。
1日目
『チャンピオンズカップファイナル』は、1日目にスイスドロー8回戦を行い、戦績に関係なく全員が2日目に進出することができます。2日目はスイスドロー5回戦を行いますが、プロツアー権利を獲得するためには上位16位に入る必要があります。
そのためのボーダーラインは、10勝3敗。つまり、初日で5勝3敗以上の成績をおさめられなければ、プロツアーへの道は閉ざされてしまいます。
まずはこの初日のボーダーラインを突破すること。一戦も無駄にはできないという覚悟を持って、対戦テーブルに向かいました。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R1 | 緑単上陸 | ○○ |
| R2 | 緑単上陸 | ○×○ |
開幕からプロツアー経験者である名の知れたプレイヤーと立て続けにマッチングし、この大会のレベルの高さと過酷さを身をもって実感しました。
しかし、デッキはイゼット果敢が得意とする緑単上陸の連戦。《精鋭射手団の目立ちたがり》や《神出鬼没のカワウソ》のようなキーカードを求めたマリガンが上手くいき、2連勝で良いスタートダッシュを切ることができました。
去年の俺を超えた
— きたしま (@oolong___chan) March 14, 2026
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R3 | バント律動 | ×× |
| R4 | 緑単上陸タッチ黒 | ○○ |
| R5 | ジェスカイコントロール | ○○ |
| R6 | イゼット果敢 | ×○○ |
| R7 | イゼット果敢 | ×○○ |
| R8 | イゼット果敢 | ×〇× |
続く第3回戦では、今大会優勝のマ・ノア選手に敗れてしまいましたが、それに引きずられることなく4連勝。
最後の第8回戦でイゼット果敢のミラーマッチに敗れてしまいましたが、6勝2敗というまずまずの好成績で初日を終えることができました。
— きたしま (@oolong___chan) March 14, 2026
ちなみに最終戦は初めてのフィーチャーマッチ。サブフィーチャーだったため、サイドボード後の3本目しか映ることができませんでしたが、憧れだった場所で戦うことができたのは素直に嬉しかったです。
対戦内容は、相手の《轟く機知、ラル》の奥義を完全に失念してしまい、それが敗因となりました。初めてのフィーチャーマッチでしたが、その日の最終戦で成績も良かったため、変に緊張せずリラックスできていました。しかし、それが結果的に気の緩みとなってしまい、手痛いミスに繋がってしまったのだと反省しています……。
とはいえ、プロツアー権利を現実的に狙える位置で初日を終えられたのは大きな前進でした。
相性の良い緑単上陸に3回当たれたというマッチングの運もありましたが、緑単上陸自体のデッキパワーは環境随一。そこを落とさずに勝ち切れたのは、事前のスパーリングで「勝ちパターン」と「負けパターン」を整理できていた成果でしょう。
こうして6勝2敗で1日目を終え、プロツアーが現実的に手の届きそうな位置になってきました。ですが、明日はさらに厳しい戦いになるはずです。気を引き締め直して、運命の2日目に進みます。
2日目
ここまで6勝2敗。残りの5回戦で4勝することがプロツアー権利への条件です。
昨日の勢いのまま勝ち進めたら一番ですが、今日戦うのは勝ち残ってきた実力者ばかり。これまでのマジック人生のなかでも、指折りのハードな5回戦が始まります。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R9 | 緑単上陸 | 〇〇 |
昨日は3回当たって全勝している緑単上陸。相手の重めなアクションを《洪水の大口へ》と《ブーメランの基礎》でいなすテンポムーブで押し切って2-0で勝利。
サイド後は一瞬受け身なプレイをしそうになったところで踏みとどまり、ライフを詰める選択をしたことでラストターンにトップデッキで勝ち切れました。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R10 | イゼット講義 | ×× |
メイン戦では、「計画」していた2体の《精鋭射手団の目立ちたがり》を投下するタイミングが掴めないままターンが経過してしまい、相手の《忍耐の記念碑》が2枚着地したことで押し切られて敗北。
サイド後は土地0枚が連続してしまいダブルマリガン。仕方なくキープした5枚の手札から残りライフ7まで追い詰めはしたものの、後続が続かずに負け。
対イゼット講義は1日練習時間を割いてはいましたが、最後まで「どうやって勝つか」のプランがしっくり来なかったマッチアップでした。その懸念要素が、そのままプレイに反映されてしまっていたように感じます。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R11 | 緑単上陸 | ×× |
そして、ここまで全勝だった緑単上陸についに敗北。
メイン戦は王手をかけたターンにフルタップの隙を突かれ、《強靭形態の調和者》から48点パンチで逆転負け。《手練》を撃たずに構えていれば相手の突撃を抑えられたかもしれず、痛恨のミスとなりました。サイド後はワンマリガンからドロー呪文を連打するも、脅威となるクリーチャーを引けずそのまま完敗。
この敗北で、今大会でのプロツアーへの道は途絶えました。ここまで苦労して勝ち星を積み上げてきたのに、崩れるときは本当に一瞬です。厳しい世界だなと感じました。
プロツアーの権利には届きませんでしたが、大会はまだ続いています。今日のために取り組んできた練習に報いるため、残り2戦も集中を切らさずに挑みました。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R12 | イゼット果敢 | ×〇× |
| R13 | イゼット果敢 | 〇〇 |
過酷な13回戦を走り抜き、最終成績は8勝5敗。
賞金として100ドルを獲得できましたが、プロツアー権利はおろか、次回『チャンピオンズカップファイナル』への切符となる上位32位にもあと1勝届きませんでした。
反省
良かった点:目的意識を持った練習ができた
直前の練習では、MTGアリーナのランクマッチはほとんど回さず、デッキ公開制となる大会本番を想定した練習を行いました。
普段のランクマッチをしているときの自分はマリガン基準が緩くなりやすく、手なりのプレイもしてしまいがちです。今回は本番を意識することで、マリガンやプレイの判断をより丁寧に行うことができました。
実際に緑単上陸に5回当たって4勝1敗で勝ち越せたのは、事前の練習の成果が大きかったと思います。
限られた時間のなかでの突貫工事のような練習でしたが、このアプローチ自体は間違っていなかったと実感できました。今後の大会に向けて、より高い質と量で取り組んでいきたいと思います。
良くなかった点:準備期間が足りなかった
今回の反省点として最も大きいのは、準備期間不足です。
イゼット講義やバント律動のように、練習段階で不安のあったマッチアップに対して、自分のなかで明確な勝ち方を持てないまま本番に臨んでしまいました。練習時間自体は確保していたものの、全体として量が足りておらず、本戦で当たりうるマッチアップすべてに自信を持てる状態には仕上げ切れていませんでした。
また、デッキリストについても同様です。《渦泥の蟹》のほうが優れていそうだと薄々感じていながら、プレイ練度を理由に《ドレイクの孵卵者》のほうを選択してしまいました。
《ドレイクの孵卵者》はミラーマッチでは有効な場面もありますが、それ以外のマッチアップでは攻撃を通しづらく弱いことも多いです。加えて、ミラーマッチにおいてもサイド後に追加される《咆哮する焼炉/蒸気サウナ》や、《渦泥の蟹》によって無力化される展開も少なくありません。
プレイ練度を理由に、新しいリストを十分に試す時間を設けなかったことは反省点です。これに関しては、「直前のリスト変更はよくない」という考えにとらわれすぎていた部分もありました。
今後はこうした状況でも柔軟に対応できるよう、十分な準備期間を確保して臨みます。
おわりに
というわけで、今回の『チャンピオンズカップファイナル』は8勝5敗で全体53位という結果で幕を閉じました。
大会が終わった直後は、昨年の自分を大きく超えて勝ち越せたことに手ごたえを感じ、正直に言えば嬉しさのほうが勝っていました。
しかし、本当の悔しさがやってきたのはファイナルが終わった1週間後。
次のシーズンの『チャンピオンズカップファイナル』に進むための最後の店舗予選で敗退したとき、前週の京都での戦いが思い出されました。
「先週、自分はとんでもないビッグチャンスをあと少しのところで逃してしまったのだ」と。
勝ち星を積み重ねていくには相当な時間と労力がかかりますが、負けるときは本当に一瞬です。届かなかったあと少しの壁は、自分が想像するよりもずっと高く厚いものなのかもしれません。
それでも、「目的意識を持った練習」のためのアプローチは間違っていなかったと確信しています。だから次はもっと量を多く、もっと質を高めていきます。
今回で得た自信と、あとから込み上げてきたこの悔しさを燃料にして、これからも「プロツアーへの道」を歩み続けます!
また次回の記事でお会いしましょう!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

























