はじめに
みなさん、こんにちは。
8月22日-23日に大規模なレガシーのイベントである『BMO Vol.15』が開催されます。両日ともメインとなるフォーマットはレガシーなので、レガシープレイヤーにとって暑い夏になりそうです。
さて、今回は『Legacy RC Super Qualifier』と『マジック・スポットライト:シークレッツ 幕張2026』で開催された『レガシー選手権』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy RC Super Qualifier』 -デス&タックスが復権-
開催日:2026年5月30日
優勝 デス&タックス
準優勝 ボロスエネルギー
3位 イゼットテンポ
4位 トロン
5位 トロン
6位 イゼットデルバー
7位 ドゥームズデイ
8位 土地単
9位 トロン
10位 エルドラージ
11位 イゼットテンポ
12位 クレイドルコントロール
13位 ドゥームズデイ
14位 ディミーアテンポ
15位 クレイドルコントロール
16位 エルドラージ
198名で行われた『Legacy RC Super Qualifier』。予選8ラウンドと長丁場なイベントで、トップ4入賞者には地域チャンピオンシップへの参加権が与えられます。
トロンが最も人気があったデッキで、次点でイゼットテンポとなっており、どちらも複数入賞していました。
今大会の決勝戦まで勝ち残ったのはデス&タックスとボロスエネルギーで、2種類の白いクリーチャーデッキが結果を残しています。
デス&タックス
禁止改定により、1ターンキルコンボのThe Spyが弱体化したことで環境が変化し、デス&タックスが復権してきました。
このデッキはアドバンテージを取る手段が豊富なので、ゲームが長引けば長引くほど強さを発揮します。
テンポデッキが《没頭》を得たことでミッドレンジ寄りの構成にシフトしていったこともあり、ロングゲームでうまく対応するのが得意なこのデッキにとって勝ちやすい環境になったといえるでしょう。
☆注目ポイント
《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」として採用した80枚型が主流で、《石鍛冶の神秘家》や《護衛募集員》といったサーチ手段が豊富なので動きも安定しています。
《孤独》や装備品など状況に応じたカードをサーチでき、《空を放浪するもの、ヨーリオン》で戦場に出たときに効果を誘発させるカードをブリンクさせることで多大なアドバンテージを稼ぐことができます。
《石鍛冶の神秘家》の主なサーチ先は《戦前の正装》です。3マナとコストも軽いため《石鍛冶の神秘家》が除去されてしまっても、《戦前の正装》を普通にプレイして《石鍛冶の神秘家》をリアニメイトすることで能力を再利用することができます。
《隕鉄剣》は《溌剌の牧羊犬、フィリア》でブリンクさせる対象としても非常に強力です。相手の《実物提示教育》に合わせて《隕鉄剣》を出すことで、《全知》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》を破壊するという使い方もできます。
《溌剌の牧羊犬、フィリア》で《白蘭の幻影》をブリンクさせる動きも、基本土地を採用したデッキが少ないレガシーでは強力で、特にトロンに対して有効です。
『ストリクスヘイヴンの秘密』からも新戦力が登場しました。《浸食作用》は1マナでクリーチャーだけでなく、《悪夢滅ぼし、魁渡》などプレインズウォーカーも処理できる非常に強力な除去です。
このデッキとマッチアップしたプレイヤーの多くは、《不毛の大地》や《白蘭の幻影》をケアして基本土地をサーチする傾向にあるため、そういった動きに対して《浸食作用》を撃つことで持ってこれる土地がない状況を作り出せます。
イゼットテンポ
今大会には筆者もイゼットテンポで参戦し、トップ4に入賞して本戦への権利を得ることができました。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R1 | ペインター | 〇〇 |
| R2 | ジェスカイコントロール | 〇×〇 |
| R3 | 親和 | 〇×〇 |
| R4 | ホガーク | ×〇〇 |
| R5 | ミラーマッチ | 〇〇 |
| R6 | デス&タックス | 〇〇 |
| R7 | スニーク・ショー | ×〇〇 |
| R8 | ボロスエネルギー | ×〇× |
| 準々決勝 | ドゥームズデイ | 〇〇 |
| 準決勝 | デス&タックス | ×〇× |
イゼットテンポは《没頭》の登場によって大幅に強化されました。
《ドラゴンの怒りの媒介者》などの軽いクロックや火力スペルで圧をかけつつ、《意志の力》《目くらまし》《不毛の大地》といった優秀な妨害をはさみながら戦います。
複数のマッチで有用なサイドカードにアクセスできるので、フェアデッキのなかでも《古えの墳墓》デッキをとがめるのに長けています。
また、《紅蓮破》が使えるので《実物提示教育》などをわずか1マナで妨害可能で、いろいろなデッキに対して強く出ることができるのも魅力です。
《没頭》が登場する前の環境では、青いフェアデッキだとディミーアテンポが一番人気でしたが、《オークの弓使い》《バロウゴイフ》《悪夢滅ぼし、魁渡》といったカードは、フェアデッキ以外のマッチアップでは遅いです。
そのため、コンボやトロンが多い現在のメタゲームにおいては、ディミーアよりも速度の速いイゼットを選択する理由になります。
今回の勝因は、相性が悪かったディミーアに当たらなかったことで、MOでは一番人気があるはずのトロンにも一度も当たりませんでした。
☆注目ポイント
大規模なイベントということで、ミラーマッチやフェアデッキとのマッチアップも多くなることを予想して、思いきって《秘密を掘り下げる者》をすべてカットして《コーリ鋼の短刀》をフル搭載。
この構成にすることでメインではコンボに対して少し不利になりますが、《秘密を掘り下げる者》は現在のレガシーの水準ではカードパワーが低いため難しいところです。
コンボやトロンが多いメタでは、6位のイゼットデルバーのように《秘密を掘り下げる者》4枚、《コーリ鋼の短刀》0枚という構築も選択肢としてはありだと思います。
トロンが幅を利かせている現在のレガシーでは《記憶への放逐》は必須ですが、イゼットは《発展の代価》や《ウルザの物語》デッキ対策の《溶融》が使えるので、ディミーアよりも採用枚数は少なめです。
《水流破》はスニーク・ショーの《騙し討ち》に対して1マナのカウンターとして機能しつつ、《呪詛の壊し屋》対策にもなり、ミラーマッチでも相手の《コーリ鋼の短刀》を処理できるため、2枚より少なくなることはなさそうです。
コンボに対しては《稲妻》や《邪悪な熱気》といった除去は真っ先にサイドアウトされる候補でしたが、カウンターを無力化する《呪詛の壊し屋》を採用したデッキも多いため注意が必要です。特にスニーク・ショー相手は《水流破》があるとはいえ、最低限《稲妻》は残しておきます。
追加の火力の《邪悪な熱気》は《バロウゴイフ》対策です。The Spyやドゥームズデイなどコンボデッキでも、リストによっては《バロウゴイフ》がサイドに採用されていることがあるので、最低でも2枚は入れておきたいですね。
エネルギーなど横に並べてくる戦略を対策するために、今後は《乱暴/転落》など全体除去を1枚採用したいと考えています。
『レガシー選手権』 -禁止改定後も生き残ったThe Spy-
開催日:2026年5月30日
優勝 The Spy
準優勝 トロン
3位 セレズニアデプス
4位 トロン
5位 ボロスエネルギー
6位 エルドラージ
7位 ディミーアリアニメイト
8位 スタイフルノート
9位 イゼットテンポ
10位 イゼットテンポ
11位 ANT
12位 イゼットデルバー
13位 ドゥームズデイ
14位 スニーク・ショー
15位 デス&タックス
16位 イゼットデルバー
今回の『マジック・スポットライト』目玉イベントのひとつ、『レガシー選手権』。
日本国内では、禁止改定後に初めて開催されたレガシーの大規模イベントとなり、参加者246名と大盛況でした。
The Spy
重要なコンボパーツの1枚である《地底街の密告人》が禁止にされたことで、弱体化を強いられたThe Spy。
しかし、『Legacy Showcase Challenge』でも結果を残すなどデッキ自体は健在なことは明らかでした。そして、今大会ではなんと優勝。
このデッキを使用し、見事に優勝したイノウエ氏はデッキについて詳しい解説もされていますので、そちらもご覧ください。
☆注目ポイント
禁止改定後のThe Spyは《陽気な哀歌》を採用した形が主流になっています。《陽気な哀歌》は「放題」により、5マナと重いものの《欄干のスパイ》を墓地に送り、そのままリアニメイトすることができます。
また、一度カウンターされた《欄干のスパイ》を4マナでリアニメイトすることも可能など柔軟性に優れています。
ただマナが多くかかるため、以前のように1ターン目にコンボを決めることは難しくなったことと、ソーサリーなので《否定の力》《狼狽の嵐》《呪文貫き》などに引っ掛かってしまうことがこのスペルの弱点になります。
禁止改定前のリストで見られた《否定の契約》や《ナルコメーバ》といったカードも不採用で、代わりにハンデスやマナ加速が追加されているなど、1ターンでコンボを決めるよりも、コンボスピードを落としても安定性を重視しているようです。
追加の勝ち手段としてメインから《ゴブリンの放火砲》、サイドには《バロウゴイフ》や《ダウスィーの虚空歩き》が用意されています。また、青対策には《ザンティッドの大群》などサイドからクリーチャーが複数採用されていました。
これらの多くは、相手が除去をサイドアウトしている想定なので刺さる戦略です。特に《バロウゴイフ》は現在トップメタの一角であるイゼットテンポには対処されにくいため、コンボ以外の勝ち手段として優秀です。
ディミーアリアニメイト
The Spyの弱体化によって墓地対策が薄くなったため、その恩恵を受けてディミーアリアニメイトが入賞していました。
《納墓》の禁止によってテンポ戦略とのハイブリッドが難しくなったため、リアニメイト手段を増量。さらに、速度を上げる《水蓮の花びら》や《暴露》を採用し、より確実にリアニメイトコンボを決めにいける構成になっています。
☆注目ポイント
《没頭》がリアニメイトでも採用されています。《暴露》や《入念な研究》《再活性》など複数のソーサリーを採用しているので条件を満たしやすく、ピッチスペルなどで失ったアドバンテージを補填することができます。
軽いコストでアドバンテージを稼ぐことができるため、サイド後もミッドレンジへとスムーズに移行することができます。
ラクドス型だと《信仰無き物あさり》ですが、ディミーア型ではクリーチャーを墓地に落とす手段として《入念な研究》が使えます。このカードを使ってインスタントを落とせば、それだけで《没頭》の条件を満たすことができます。
メインをリアニメイト戦略に特化している分、墓地対策に弱くなっているので、サイド後は墓地を使わずにクリーチャーを場に出す手段として《実物提示教育》や《バロウゴイフ》などのクリーチャーも投入されます。
《古えの墳墓》も採用されているため、3マナスペルをプレイする際も《目くらまし》などソフトカウンターをケアしやすくなっています。
総括
トロンは特にMOで人気があるデッキで高い勝率を出しており、禁止改定による影響もなかったため、今後もこの人気が続くことが予想されます。
高額な再録禁止カードである《Candelabra of Tawnos》がほぼ4枚必須ということで、カード資産の関係でテーブルトップでは少数なものの、公式も指摘していたように長期的にこのデッキが支配的になるようならば、将来禁止カードが出る可能性もありそうです。
『ストリクスヘイヴンの秘密』リリース前の環境でトップメタに位置していたディミーアテンポですが、トロンを苦手としている点に加え、かつては有利だったイゼットテンポも、あちらに強力なアドバンテージ源である《没頭》が登場したことで対戦難易度が増しています。
結果として、現在はディミーアよりもイゼットのほうが人気を集めているようです。
また、禁止改定によってThe Spyが弱体化したことで、環境全体の墓地への警戒が緩み、リアニメイトなどの墓地コンボデッキも上位で見られるようになりました。
とはいえ、『レガシー選手権』の結果が示す通り、The Spyは依然として強力なデッキであるため、今後も墓地対策は怠らないようにしたいところですね。
USA Legacy Express vol.278は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!













































