ジェレミー先生のドラフト教室 -『ラヴニカの献身』 vol.1-

Jeremy Dezani

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/02/04)

みなさん、こんにちは。

今回は、先日私が行ったドラフトのピックをコメント付きで解説しようと思います。『ラヴニカの献身』ドラフトは本当に面白いですね。すっかりハマってしまいました。選択肢も可能性も豊富な素晴らしい環境です。

それでは、印象深かった私のドラフトを皆さんにご覧いただきましょう。

1パック目

1手目

楽園党の議長、ゼガーナ興行+叩打グルールの獣使いひっかき爪Azorius Guildgate
アゾリウスのロケット公判への移送珊瑚の猛士債務者の輸送的中
欲深いスラル火消し根の罠可能性の揺らぎ槍播き

私がピックしたカード:《楽園党の議長、ゼガーナ》

このパックのカードに順位を付けるとすれば、上位4つは多色カードに独占されます。ラクドスカラーには《興行+叩打》《的中》、オルゾフカラーには《欲深いスラル》、シミックカラーには《楽園党の議長、ゼガーナ》がいます。そして私がピックしたのは《楽園党の議長、ゼガーナ》ですが、理由は2つあります。まず、唯一黒を含まない多色カードであること。そして、おそらく多色のなかでも一番カードパワーが高いことです。

2手目

ドビンの鋭感早駆けるトカゲ蛙尖塔の刻み虫アゾリウスのロケット成長のらせん
大ムンクルス不正相続悲しみの騎士瓦礫の投げ手Simic Guildgate
スフィンクスの眼識組織の伝書使地底街のゴミあさり破壊獣

私がピックしたカード:《ドビンの鋭感》

《早駆けるトカゲ蛙》はシミックカラーのカードではありますが、残念ながら2手目でピックするほど強くはありません。反して、《ドビンの鋭感》はシミックのカードではありませんが、非常に強力なカードです。《ドビンの鋭感》《楽園党の議長、ゼガーナ》はどちらも青いカードなので、バントカラーのデッキにすれば両者を使うことができます。また、《スフィンクスの眼識》が1周して戻ってくる可能性もあるので、そういった意味でも《ドビンの鋭感》をピックしました。

3手目

アゾリウスの空護衛血霧の潜入者エリマキ神秘家応用生術奈落への放逐
ゴーア族の破壊者Gruul Guildgate不正相続開門ラクドスのロケット
スフィンクスの眼識第10管区の古参兵黄昏の豹

私がピックしたカード:《アゾリウスの空護衛》

なんとバントカラーになれば使える多色カードが4枚もあります!《応用生術》も捨てがたい1枚ですが、主にクリーチャーを17枚採用するような、クリーチャーベースのデッキで輝くカードであり、《ドビンの鋭感》との相性はあまり良くありません。

よって、《アゾリウスの空護衛》《エリマキ神秘家》で悩むことになりますが、3色のデッキを使うのであれば、できるだけキャストするのが簡単な方を選択したいですね。《アゾリウスの空護衛》はただでさえ非常に強いクリーチャーですが、「死後」を活用する相手には滅法強いので頼りになります。

4手目

空の縛め尖塔の刻み虫不正相続傲慢な支配者開門
鋭射手の斉射評議会のグリフィンSimic Guildgateスフィンクスの眼識嵐の一撃
略式判決地底街の抱擁

私がピックしたカード:《空の縛め》

《空の縛め》のカードパワーは、採用するデッキ次第で大きく変動します。ゲームプランが飛行を持たないクリーチャーでの攻撃である場合、このカードは目に見えて悲惨な1枚になります。しかし、ゲームプランが飛行を持つクリーチャーでの攻撃、あるいはまったく攻撃しないコントロールデッキである場合には、さながら《剣を鍬に》のような働きを見せます。

5手目

グルールの獣使い屍肉インプ護民官の重鎮珊瑚の猛士死の歓楽
日晒しギルド門通りの公有地不正相続Rakdos Guildgate暴れ回る裂き角
評議会のグリフィン

私がピックしたカード:《評議会のグリフィン》

ここまでのピックを鑑みれば、飛行クリーチャーは必須です。ここではピックしていませんが、《日晒し》《不正相続》デッキ対策としてぜひともサイドボードに数枚用意しておきたいカードですね。

6手目

ひっかき爪叫び盾拘引者の熱情アゾリウスのロケット協約のペガサス
Gruul Guildgate不正相続有毒グルーディオンオルゾフのロケット疫病ワイト

私がピックしたカード:《叫び盾》

記事の冒頭でもお話しましたが、この環境は選択肢が豊富であり、まったく攻撃しなくても良いようなデッキも構築可能です。そのようなデッキにおいて、単体で勝ち筋になるのが《叫び盾》。装備によるタフネス+3の修正値も、守備的なデッキにおいては大きな意味を持つ効果となっています。

7手目

奈落への放逐珊瑚の猛士債務者の輸送野生のマーカ欲深いスラル
グルールのロケットRakdos Guildgateラクドスのラッパ吹き破壊獣

私がピックしたカード:《欲深いスラル》

シミックカラーのカードはここまで1枚しかピックしていませんから、アゾリウスカラーが持つもうひとつの可能性、エスパーというカラーもまだ選択肢に残っています。そしてこのパックには、エスパーにとって非常に重要な飛行クリーチャーである《欲深いスラル》がいます。このスラルはライフを回復させてくれるので、守備的な戦術を使うデッキにとっては常に嬉しい1枚ですね。

8手目

再発生Azorius Guildgate精神純化火消し瓦礫読み
瓦礫の投げ手小走りワニスフィンクスの眼識

私がピックしたカード:《スフィンクスの眼識》

《アゾリウスのギルド門》《スフィンクスの眼識》かで非常に悩ましいピックですね。ここまでの順手で確認した《スフィンクスの眼識》が1周してくるのか、あるいはすべて他のプレイヤーに取られてしまったのかはわかりません。今思えば、《アゾリウスのギルド門》をピックしても良かったなと思いますが、《スフィンクスの眼識》はあまりにも重要なカードであり、「結局ピックできなかった」という事態を避けるため、ここでは優先してピックしました。

9~15手目

公判への移送スフィンクスの眼識スフィンクスの眼識スフィンクスの眼識日晒し
オルゾフのロケット珊瑚の猛士

2パック目

1手目

覆滅+複製連合のギルド魔道士組織のギルド魔道士トロール種の守護者活力の贈り物
不正相続大司法官の扉うろつくカラカルRakdos Guildgateラクドスの人足
瓦礫の投げ手評議会のグリフィン第10管区の古参兵思考崩壊剛力の殴り合い

私がピックしたカード:《トロール種の守護者》

全体として弱めのパックですが、私は《トロール種の守護者》が恐ろしいほど強いカードだと思っています。今のところ緑のカードは1枚しかピックしていませんが、この緑のアンコモンを取りました。カードパワーがあまりにも高いため、このトロール単体だけでもデッキのゲームプランになるぐらいですからね。

2手目

制動規範本質の把捉円環技師オルゾフの強請り屋燃えさかる炎
Gruul Guildgate大ムンクルスしつこい請願者ラクドスの人足瓦礫読み
瓦礫の投げ手シミックのロケット組織の伝書使黄昏の豹

私がピックしたカード:《円環技師》

再び弱めのパックとなりました。バントカラーになれば《円環技師》は悪くないカードです。また、《スフィンクスの眼識》が4枚入っている構築であれば、このマナクリーチャーから生まれるマナを持て余すことも減りますから、有効活用できるでしょう。

3手目

シミックの隆盛舞台一掃空の縛め塔の防衛債務者の輸送
砂利皮のゴブリン情熱的な扇動者大司法官の扉Orzhov Guildgateラクドスのラッパ吹き
賢者街の学者森の刷毛履き第10管区の古参兵

私がピックしたカード:《空の縛め》

《シミックの隆盛》は3色のデッキでは本領を発揮しないと思います。現時点で目指しているデッキの最有力候補は、当初から変わらず守備的なデッキです。そのようなデッキにならば、《空の縛め》をピックすべきでしょう。

4手目

解任+開展絶息の騎士荒野の再生屍肉インプフェアリーの決闘者
激情のエイリンクスグルールのロケット大ムンクルスラクドスのロケットサルーリの世話人
野蛮な一撃Simic Guildgate

私がピックしたカード:《解任+開展》

《解任+開展》は最高の分割カードですね。インスタント、飛行クリーチャーを展開、ライフを回復。目指しているデッキが欲しいものをすべてを持っています。《解任》は、相手のサイズの大きいクリーチャーをタップさせることもできますし、サイクリングをすることで3枚目、4枚目の土地を探すこともできます。また、インスタントカードですので、自分のターンのメインフェイズに唱えれば《ドビンの鋭感》を手札に戻すことも可能です。

5手目

ドビンの鋭感債務者の輸送活力の贈り物奇怪な死情熱的な扇動者
Rakdos Guildgate焦印評議会の急使槍播き地底街のゴミあさり
ヴィズコーパの吸血鬼

私がピックしたカード:《ドビンの鋭感》

面白いことになってきましたね。4枚の《スフィンクスの眼識》に2枚目の《ドビンの鋭感》が加わりました。

6手目

ザル=ターのゴブリン協約のペガサス活力の贈り物Orzhov Guildgateしつこい請願者
野蛮な一撃焦印石のような強さ第10管区の古参兵思考崩壊

私がピックしたカード:《思考崩壊》

《思考崩壊》は相手の呪文を打ち消しつつ、ライブラリーアウトという勝ち筋を後押ししてくれるカードです。《叫び盾》だけで勝つには少しスピードが足りないので、このような助っ人が必要になります。

7手目

ギルドパクトのガラス壁斧折りの獣精神純化フェアリーの決闘者Gruul Guildgate
根の罠速足ウツボ石のような強さ嵐の一撃

私がピックしたカード:《フェアリーの決闘者》

《フェアリーの決闘者》は、「死後」を活用するデッキに対して優秀なブロッカーとなります。

8手目

一族のギルド魔道士尖塔の刻み虫護民官の重鎮激情のエイリンクス不正相続
マンモスグモうろつくカラカル瓦礫の投げ手

私がピックしたカード:《マンモスグモ》

最終的にバントカラーで攻撃しないデッキになった場合、《マンモスグモ》はゲームプランに合致しているので、デッキに入ること間違いなしです。

9~15手目

思考崩壊しつこい請願者賢者街の学者Simic Guildgateヴィズコーパの吸血鬼
協約のペガサス精神純化

3パック目

1手目

往時軍の覚醒エリマキ神秘家厳戒態勢叫び盾精神純化
奈落への放逐的中成長のらせんGruul Guildgateマンモスグモ
オルゾフのロケットラクドスの人足トカゲ体の混種棘輪の曲芸ヴィズコーパの吸血鬼

私がピックしたカード:《エリマキ神秘家》

目指しているデッキに必要なカードがあまりないですね。《叫び盾》の2枚目はそれほど重要ではありません。まだ緑を使う可能性はありますから、《エリマキ神秘家》を取りました。デッキに入る可能性は低いと思いますけどね。

2手目

早駆けるトカゲ蛙債務の聖職者ブリキ通りの身かわし大ムンクルスOrzhov Guildgate
オルゾフのロケット垂木の悪魔ラクドスの人足瓦礫帯走りシミックのロケット
速足ウツボ石のような強さ第10管区の古参兵用心深い巨人

私がピックしたカード:《債務の聖職者》

《債務の聖職者》は3マナ域のなかでも強力な部類に入り、守備的なデッキにピッタリのカードです。「死後2」を持つため、実質的に飛行クリーチャーのように考えて差し支えありません。盤面をしっかりと支えてくれるので、《スフィンクスの眼識》を唱える前のターンに戦場に出しておけると最高ですね。

3手目

アゾリウスの造反者、ラヴィニア災厄の行進トロール種の守護者Azorius Guildgate公判への移送
燃えさかる炎日晒し砂利皮のゴブリン成長のらせん法魔道士の束縛
開門組織の伝書使地底街の抱擁

私がピックしたカード:《トロール種の守護者》

《トロール種の守護者》をピックしたのにはちゃんとした理由がありますが、誤解のないように解説しておきましょう。先ほどもお伝えした通り、《トロール種の守護者》は恐ろしいほどに強いカードです。ですが、ここまでのドラフトを振り返り、緑のカードを唱えられるマナ基盤になっていない可能性が高いことに気づくべきでした。本来であれば、《法魔道士の束縛》を取るべきでしたね。

確かにピックする色を限定せず、受けを広くしておくことは重要ですが、3パック目の3手目であれば、もう色を絞り込んでも良いタイミングです。

4手目

アーチ道の天使オルゾフの強請り屋反逆の行動摩損的中
オルゾフのロケットうろつくカラカル詮索の目垂木の悪魔Rakdos Guildgate
シミックのロケットスフィンクスの眼識

私がピックしたカード:《アーチ道の天使》

《アーチ道の天使》もそこそこ良いクリーチャーです。さすがに《スフィンクスの眼識》の5枚目は不要ですね。1パック目の8手目に《アゾリウスのギルド門》をピックしなかったことが悔やまれます。

5手目

鏡の行進無慈悲な司教空の縛め屍肉インプ悲しみの騎士
Orzhov Guildgateオルゾフのロケットうろつくカラカル瓦礫帯の世捨て人サルーリの世話人
スフィンクスの眼識

私がピックしたカード:《空の縛め》

現代に蘇った《剣を鍬に》である《空の縛め》の3枚目が来ましたよ?何枚でも取りますよね?

6手目

息詰まる徴税生体性改造フェアリーの決闘者大ムンクルスRakdos Guildgate
ラクドスのラッパ吹き小走りワニ組織の伝書使血に飢えた影破壊獣

私がピックしたカード:《組織の伝書使》

悪くないスペックの飛行クリーチャーですね。タフネスの方が高く「死後」もあるので、攻撃をせずに守備に回るデッキであれば、より一層の活躍が見込めます。今回のデッキはあまり攻撃することを意図していないので、まさにうってつけの1枚です。

7手目

ひっかき爪空の縛めアゾリウスのロケット日晒しハズダーの士官
マンモスグモ火消し評議会の急使棘輪の曲芸

私がピックしたカード:《空の縛め》

何枚でも取りましょう!

8手目

立ちふさがる霊渦巻く激流Azorius Guildgate協約のペガサス債務者の輸送
尖塔に忍び寄るもの森の刷毛履き用心深い巨人

私がピックしたカード:《アゾリウスのギルド門》

今度こそ《アゾリウスのギルド門》を取ります!

9~15手目

叫び盾第10管区の古参兵Azorius Guildgateシミックのロケットうろつくカラカル
小走りワニひっかき爪

デッキリストと対戦結果

Ravnica Allegiance Draft Deck

このデッキを使った試合の成績ですが、マルドゥ・グルール・アゾリウスに勝ち、3-0でした。大体のマッチは《叫び盾》で勝ちましたね。

今回の記事も楽しんでいただけたでしょうか。ぜひこの度紹介したようなデッキをドラフトしてみてくださいね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。また次回もお会いしましょう。

ジェレミー・デザーニ@JDezani

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Jeremy Dezani 2013-2014年シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤー獲得プレイヤー。 プロツアー『テーロス』では、「青単信心」を使いこなし見事優勝の栄冠に輝いた実績を持つ。グランプリのトップ8入賞回数は14回にも上り、優勝3回、準優勝4回を記録している。 海外のプレイヤーとしては初のHareruya Pros加入となる。 Jeremy Dezaniの記事はこちら