By 富田 翼

　2日間に渡る戦いの末、ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019の予選ラウンドは終了した。

　参加者約500名のこの大会で、日曜日の朝を拝めるのはわずか8人のみ。

　その中の一人にマルシオ・カルヴァリョがいた。

MAGIC: THE GATHERING

　プロツアー『ドミナリア』で4位に入賞すると、その次のチーム構築で開催されたマジック25周年プロツアーでも3位と連続で好成績を残している。

　そして今回、プロツアーから名を変えた初めてのミシックチャンピオンシップにこの男は名を刻む。

　仲間に囲まれて祝福されるマルシオ。興奮冷めやらぬ中、彼はインタビューに答えてくれた。

勝利し続ける男

――「トップ8おめでとう！スイスラウンド1位抜けだね！」

マルシオ「ありがとう、いまとても嬉しいよ」

――「昨日に引き続きドラフトラウンドで全勝だね。なにかコツでもあるのかい？」

マルシオ「そうなんだよ！2ndドラフトもいいデッキが組めたよ。コツというより今回のセットには優秀なカードがいつもより多いから、常に受け入れを広くして持っていればいいポジションにつけるんじゃないかな？写真のデッキを見てもらえれば、周りと協調できているのが分かると思う」

この環境をどう読むか

――「デッキについても聞かせてもらえるかな？どうしてアゾリウスアグロを選択したんだい？」

マルシオ「《運命のきずな》と青単に強いからだね。どんなデッキをみんなが持ち込んでくるか予想したときに、スゥルタイミッドレンジが一番多くて、その次に青単や《運命のきずな》デッキが多いと思ったんだ。1週間前にあったグランプリの結果を見てもその3つは勝っていたし、実際にメタゲームブレイクダウンを見ると使用者も多かったね」

――「スゥルタイミッドレンジとの相性はどう？」

マルシオ「マッチアップ自体はちょっと不利だけどそんなに気にするほどでもなく、爆発力がこっちにはあるから動き次第では勝てると思った。2日間使ってみて、デッキ自体がとてもいいと感じたし選択して良かったと思う」

――「デッキ内で気に入っているカードはなにかな？」

マルシオ「《軍団の上陸》だね。デッキ内で唯一パワー1のカードなんだよ！ ほかのクリーチャーはパワー2かそれ以上なんだ。パワー1が許されているのはこのカードだけだよ」

マルシオ「まぁそれくらいカードが強いしできることが多いんだ。お互いビートダウン同士だと絆魂が役に立つし、変身すれば継続的に攻められるようになる。土地が欲しいときは多少損をしてでも変身させにいくよ」

――「アグロデッキをよく好んで使ってる気がするけど、なにか理由はあるのかい？」

マルシオ「アグロとミッドレンジが俺の得意なタイプのデッキだね。コンバットが得意だから好きなんだ。リミテッドの経験が生きていると心から思うよ。」

ここまでの勝利のために

――「大会に向けてどうやって調整してきたの？」

マルシオ「今回はリミテッドはMagic Onlineで行なって、構築は仲間とMTGアリーナで練習したんだ。それを毎日欠かさず練習して来たらここにたどり着いたよ」

――「努力の結果がいま現れてるわけだね。前シーズンのプロツアー『イクサラン』から好調続きだけど、勝因はなんだと思う？」

(※プロツアー『イクサラン』75位、『イクサランの相克』129位、『ドミナリア』4位、『マジック25週年記念』3位、『ラヴニカのギルド』75位

マルシオ「なんでかよくわからないんだけど、練習していて実力はついてきてると思う。でも一番だからってトップ8に簡単に入れるようなところではないよね、ミシックチャンピオンシップは。確かなことはとても運が味方してくれているってことかな。直近のプロツアー/ミシックチャンピオンシップでトップ8に3回も入れるなんて信じられないよ！今回も運が付いてきてくれれば、後は全力で頑張るだけだね」

――「決勝ラウンドでも応援してるよ！チームメイトも興奮してたね（笑）明日に向けてなにか準備するのかな？」

マルシオ「もちろん今夜はパーティするしかないよ！！」

――「それは最高だね（笑） じゃあ最後に意気込みを教えて！」

マルシオ「明日は勝つ！一つでも多くの勝利が必要なんだ！」

――「ありがとう！」

　ハイレベルなプレイスキルは、日々の努力の賜物だ。リミテッドだけでなく構築においても、メタゲームを読み切り適したデッキを選択するその観察眼は天晴である。

　今夜は彼の勝利を願い、決勝ラウンドを見守ることにしよう。