土地を置く前に考える癖をつけよう!

Jacob Nagro

Jacob Nagro

Translated by Ryosuke Igarashi

原文はこちら
(掲載日 2019/03/13)

はじめに

土地はマジックの中でも一番お気に入りのカードタイプだ。土地とそれにより生じる事故を嫌うプレイヤーも少なくないが、僕は土地がプレイ、デッキ構築のどちらにも面白い選択をもたらしていると気付いたんだ。

土地をプレイする、という行為自体はとてもシンプルなので、慣れてくると、関連する判断を深く考えなくなってしまいがちだ。土地のプレイに関する過ちは、数ターン後になってからでないと分からないことが多いので、それに気付くのは難しいかもしれない。

1年以上前、プロツアー『破滅の刻』の調整のために幾人かの友人と京都に滞在していた。その中には以前ゴールドレベルプロだったネイサン・スミス/Nathan Smithもいたね。当時、ネイサンがいつも関わってるメンバー内でベストプレイヤーだったのは間違いないし、彼と調整できたという数少ない経験がマジックプレイヤーとして大きく成長することにつながったのだと思う。

調整期間中、誰かが土地の置き方に関しミスをすることがあったが、ネイサンは「土地を置く前に熟考しろ」と他のプレイヤー、そして彼自身に何度も言い聞かせてたものだった。今では「熟考」までは言いすぎじゃないか?なんて思っているけれど、気付くとこのアドバイスを思い返すようになっていたんだ。このアドバイスの重要な点としては、毎ターンほとんど無意識に土地を置くのはとても楽だが、自分が思っているよりも丁寧にそれについて考えることが重要な場合もある……ということだ。

さて、土地を置く際に考えるべきことは3つある。まず、そもそも土地を置くべきか、置かないべきか。そして次は、どの土地を置くか。最後に、いつその土地を置くかだ。

土地を置くべきか?

新緑の地下墓地不屈の追跡者

土地を置くか置かないか、というのは大抵は易しい選択だ。普通のマジック(スタンダードかリミテッドだと思ってほしい)の多くのゲームでは、ゲームプランとしては序盤はマナカーブ通りに動き、終盤では呪文を2枚唱えたり、重いものの強力なマナの使い先につぎ込んだりして、マナを使いきれるようにするというものになる。

こういう場合では、一般には出来る限り土地を置くのが正しい。だがそのフォーマットに存在するカードによっては土地を置かない理由になるだろうし、もしそういうカードが自分のデッキに入っているのなら、この判断は楽になるかもしれない。例えば、モダンで黒緑ミッドレンジを使っているとき、《不屈の追跡者》を引いたときのために《新緑の地下墓地》を手札の最後の1枚として取っておきたいこともあるだろう。

また、相手のデッキのカードのために土地を残しておくこともある。たとえば、『ラヴニカのギルド』のリミテッドでは、手札に呪文を持っていたら最後の土地を置かないようにしていた。とりわけディミーアのデッキには、《泥棒ネズミ》《虚報活動》が入っていたからね。

泥棒ネズミ虚報活動予言

特に1ゲーム目、相手が本当にこちらを咎めるカードを入れているか分からないときは、このような判断はまだ行いづらいかもしれない。逆にこちらのデッキに、土地を置かなかったことが痛手になるカードを入れていることもあるからね。最もよくあるケースとしては、複数枚ドローできるカードだ。5枚の土地をコントロールしており、手札に6枚目の土地があるもののプレイしなかったとしよう。 しかし、次のターンに《予言》を引いて唱え、もう1枚の土地と4マナのカードを引いたらどうする?そのため、基本的には相手のデッキに入っていると知っているカードのみケアした方がいいと思っている。

また、土地を手札に持っておくことで「こっちは呪文を持っているぞ」とブラフしようとする人が多い。僕は大抵の場合、これは間違いだと思っている。もちろん、その土地を置いてしまったら盤面ですでに死んでいる、という状況は別だよ。土地をプレイしなかった結果裏目に出ることが絶対にない、と分かっているのであれば、それをブラフに使えるのは確かだ。でも、多くの場合相手の行動が特に変化することはないだろうね。

もしカバレージをたくさん見ていたら、プレイヤーたちがよく行うある動作に気付くだろう。特に、リード・デューク/Reid Dukeウィリアム・ジェンセン/William Jensenオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldのプレイを見ている時にだが、彼らは手札が空のときに土地を引くと、その土地を置くかどうか考えるのに十分な時間を費やすんだ。もし、君が全体的に早くプレイしているとしても、これは身に着けるべき素晴らしい習慣だ。いずれにしろ、手札について他に悩むことはないから、今自分の抱えていることだけでも正しい判断を下せるようにしよう。

どの土地を置くか?

これは一般に、その他の判断に比べはるかに難しく、そのうえより下のフォーマットになるにつれ難しくなる。これらのフォーマットでは、マナ能力以外の能力を持つ土地を使う可能性が高くなるからね。この判断の中でも簡単なのは、単に引きうる呪文を唱えられるように置くことだ。ドラフトでアゾリウスを組み上げ、初手に《島》《平地》が2枚ずつ、デッキには《本質の把捉》があるとしよう。こういうときは、2ターン目に引いたときに唱えられるよう、先に《島》を置くことになるだろう。

島本質の把捉平地

この手の判断は、デッキ構築中に注意を払い、ゲーム中に忘れないようにできる類のものだ。そのため、最初のターンに置く土地についてあまり悩みすぎないのが理想だ。どれを置くべきか、前もって知っているような状態でゲームを始めるようにしよう。また、構築フォーマットでも、ゲーム内でのこうした判断を助けるため、前もって考えておくことができる。

風切る泥沼不屈の追跡者新緑の地下墓地

もう一度、モダンの黒緑ミッドレンジ(《不屈の追跡者》《新緑の地下墓地》)についての簡単な例を挙げよう。このデッキの場合、普通は《新緑の地下墓地》を最初にプレイするものではない。《不屈の追跡者》を引いたときに最大の見返りを得られるよう、温存しておくのだ。だが、僕は経験則に100%頼ることを推奨するわけではない。特定の場面では間違った土地を置いてしまうことになるからね。

さて、先々の展開を入念に考え始めると、さらに複雑な事例も浮かび上がってくる。Cedric Phillips Podcastで最近聞いたのは、セドリック・フィリップス/Cedric Phillipsが最新の白アグロ(青をタッチしたもの)をプレイしているときに発生したシチュエーションだ。

ベナリアの軍司令トカートリの儀仗兵軽蔑的な一撃
氷河の城砦神聖なる泉

3ターン目、2枚の《平地》をコントロールしていて、手札には《ベナリアの軍司令》《トカートリの儀仗兵》《軽蔑的な一撃》《氷河の城砦》《神聖なる泉》を持っていた。《ベナリアの軍司令》を唱えたかったので、次のターンに《トカートリの儀仗兵》を唱えて《軽蔑的な一撃》を構えられるようにするプランを取った。

そして《氷河の城砦》をほぼプレイしかけたのだが、ちょっとの間考え込んで彼は気づいたんだ。この土地をプレイしてしまえば、次のターンは《トカートリの儀仗兵》を唱えて《神聖なる泉》をアンタップインで置くことになる。これでは相手に「私は2マナのインスタントを構えてますよ」と伝えるようなものだ。

そのため、3ターン目には《神聖なる泉》をアンタップインで置き、続くターンに《氷河の城砦》を引けたかのように見せるのが正着だったのだ。この例により、ショックランドとインスタントの同居するデッキで起こりうる事例に目を向けるようになったし、今までスタンダード、モダンでの似た状況において、多くのミスをしてきたと確信させられた。

発明品の唸り発明博覧会廃墟の地

では、もっとも複雑な事例はどんなときに起きやすいのか?これは、構築フォーマットにおいて、タップしてマナを出す以外にも多様な能力を持つ土地や、あるいは土地のプレイが非常に重要なカードを使ったデッキで起こる。禁止される前にはアイアンワークスを、そして最近は《発明品の唸り》プリズンを使ってきているが、その中には多くの興味深い判断につながるカードがある……《発明博覧会》だ。《発明博覧会》だは早期にプレイすることでライフ回復の恩恵を与えてくれるが、《仕組まれた爆薬》《発明品の唸り》のために色マナが必要な場合、それが仇になる。

また、《廃墟の地》のように土地を破壊するカードの入ったデッキと対戦するときも、興味深い判断が生まれる。潜在的なライフ回復が、土地破壊されずに能力を起動できる機会を諦めてでもするほどのことなのか、判断しなければならないのだ。土地破壊や《血染めの月》のようなカードがフォーマットに存在することも、どの土地を置くかに大きく影響しているだろう。

《基本に帰れ》《血染めの月》をケアするため、フェッチランドからデュアルランドではなく基本地形を持ってきたいものの、それらのカードがプレイされなかった結果、気付くと勝利への道を自ら閉ざしてしまっていた……ということもある。こういった場面での正解を見つけるのは難しい上に、多くの経験を積んで判断の助けにする必要もあるかもしれないが、これらを重要な判断と捉えることで、正しい答えを見つける可能性を高くできるのだ。

いつ、土地を置くか?

この問いの答えとしては戦闘前か戦闘後のどちらかになるし、簡単な判断であることが多い。とはいうものの、僕はほとんどの場合は戦闘後に置くのが正しいと思うのだが、多くのプレイヤーはつい癖で戦闘前に土地を置いているものと思う。この問題は結局、相手の判断に必要な情報を減らし、時にはこちらの判断に役立つ情報を増やす、ということに帰結する。

戦闘前に土地を置くべき場面というのは非常に顕著で、戦闘前に速攻持ちのクリーチャーや除去を、もしくは戦闘中にコンバットトリックを唱えたい場合だろう。大多数のプレイヤーは、戦闘前に土地を置くことでより多くのコンバットトリックを示唆しているのだ……なんて考えているのだと思う。これが形の上では正しいとしても、本当に相手が複数のコンバットトリックをケアしてプレイする、なんてことがあるだろうか?

もし実際に《鼓舞する突撃》のような重いコンバットトリックがあり、相手にそれを読んで立ち回ってほしいなら、それを唱えられるかどうか変わってくる土地を置くことには意味がある。だが大抵の場合、ブロックするときや、戦闘中に除去を打つときに相手が考えているのは、戦闘後に君がどのような脅威を繰り出せるかなのだ。

ビビアン・リード

ほとんどのプレイヤーは、そのターンの戦闘に影響を及ぼさない呪文は戦闘後に唱えるべきだ、とすぐに学んでいるようだが、それを唱えるための土地についても同じだと実感するには、もう一歩踏み込む必要があるように思える。毎ゲーム、土地をよどみなく置けるわけではない。もしかしたら、戦闘時にこちらが4マナしかないおかげで、相手はこちらの戦闘後の《ビビアン・リード》を十分に考えずブロックするかもしれない。しかしこちらが5マナ揃っていたら、《ビビアン・リード》を意識する可能性は高くなるだろう。

もしゲーム中に土地を置けないターンがあり、遅くになって土地を引いたとしよう。その土地を戦闘前に置いたなら、大きな情報を相手に与えることになりうる。また、土地をプレイすると決め、それがタップインなら、土地のプレイや数が影響するカードを使っていない限りは、戦闘後に置くのがほぼ毎回正しい。これはおそらく、特にギルド門のある最近のリミテッドにおいて、最も頻繁に目にする過ちの1つだろう。

門破りの雄羊Gruul Guildgate

とはいうものの、どちらにしろ土地については検討するようにすべきだ。何人かの友人にこのアドバイスをしてきた結果、ゲームの敗北につながるような、戦闘前に土地を置いてしまう癖をやめ、一呼吸おいて考えるようになったんだ。

結論

今回何度も言ってきたように、土地のプレイに関する判断は普通のプレイヤーにはあまり考えられていないだろうが、しばしばゲームの重要な要因になるものなのだ。でも、ラウンド中の残り時間が問題になるならば、土地について深く考える前に先にそちらを解決することをお勧めするよ。

恐血鬼精力の護符トレイリア西部

この記事の内容について考えていた理由の1つが、最近モダンでよく回しているドレッジというデッキだ。変な能力をたくさん持った土地こそ使わないものの、《恐血鬼》に関する判断は非常に複雑になりうる。こちらの動きを妨害されないゲームでは、多くのミスを犯してもどのみち勝てるだろうが、対策カードや速いクロックに対面するゲームでは土地をどのように置くか、長い時間を費やすことになるのだ。

ロンドンで行われるミシックチャンピオンシップの調整のため、近々アミュレットタイタンも試すことになるだろう。このデッキは土地に関する問題をたくさん引き起こしてくれるだろうと確信しているよ。

ジェイコブ・ナグロ@JacobNagro

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Jacob Nagro

Jacob Nagro アメリカ出身のプロプレイヤー。 彼の最初の活躍はグランプリ・デンバー2016でのことで、「青白フラッシュ」を用いてトップ8に入賞した。その後も惜しまぬ努力を続けた結果、彼の労力は2016-2017シーズンのシルバーレベルという形で報われることになる。 《大いなるガルガドン》と《恐血鬼》が印象的な「赤黒ブリッジヴァイン」を駆使してマジック25周年記念プロツアーで7位入賞を果たす。そしてこの素晴らしい成績は彼をゴールドレベルへと押し上げたのだ。 Jacob Nagroの記事はこちら