Translated by Ryosuke Igarashi
(掲載日 2019/03/14)
はじめに
先月のグランプリ・トロント2019に今週末のグランプリ・ビルバオ2019、来月にはミシックチャンピオンシップ・ロンドンも控え、新たなマリガンルールや『モダンホライゾン』も発表された。モダンは今熱いフォーマットだと言っても過言ではないだろう!
俺はモダンを愛してるんだ……いつもならグランプリ・ビルバオ2019に参加して記事を書くとこなんだが、航空費がとんでもない値段だったもので、家にいることにした。
そのかわり、今回は現在のモダンについて、所見や知識を書こうと思う!まずはグランプリ・トロント2019のトップ32に入ったデッキを分析していこう。その後、今週末仮想敵としたいデッキ、そしてどのようにこの問題に取り組むかを解説しようと思う。今週末俺だったらどんなリストを使うかも載せておくよ。
グランプリ・トロント2019の分析
グランプリ・トロント2019は《クラーク族の鉄工所》が禁止の鉄槌を下されて以降、初となる大きな大会だ。今やモダン最強のコンボデッキがいなくなって、どのようなフォーマットになっているのか……このトップ32は最初の兆しになるだろう。
アーキタイプ | 使用者数 |
---|---|
イゼットフェニックス | 6 |
アドグレイス | 3 |
黒緑ミッドレンジ | 2 |
ドレッジ | 2 |
トロン | 2 |
エターナルブルー | 2 |
バーン | 2 |
5色人間 | 2 |
《硬化した鱗》 | 2 |
グリクシス《死の影》 | 1 |
《発明品の唸り》プリズン | 1 |
タイタンシフト | 1 |
親和 | 1 |
アブザンカンパニー | 1 |
バントスピリット | 1 |
ジャンド | 1 |
ジェスカイコントロール | 1 |
1回の禁止でこれか?って困惑したね。このトップ32の分布は以前の大会とは全く異なっていたんだ。
まず、バントスピリットや5色人間、グリクシス《死の影》が合計でもたった4人しかトップ32へと進出していない。これらのデッキはコンボを妨害しつつプレッシャーをかけられることもあり、コンボデッキに相性がいいんだ。
逆にエターナルブルーは2人、アドグレイスも3人進出している。とんでもないことだね。先に述べたバントスピリットや5色人間、グリクシス《死の影》がいい成績を残せなかった、もしくはそもそも少なかったためにこれらコンボデッキが隆盛したのだろう。
イゼットフェニックスは18.75%を独占していて、モダンにおいてこの割合はかなりの量だ。もしトップ64のデッキを見られたとしても、同じくらいの割合を占めているだろう。多くのプロプレイヤーがこのデッキを使い、いい成績を残していたからね。
ミッドレンジデッキは3人、黒緑ミッドレンジが2人にジャンドだ。思うに、この2つのデッキとグリクシス《死の影》がコンボデッキへの新たな解答になるだろうね。
青系のコントロールデッキは1人しかいない。推測になるが、青の魔術師たちは、ドレッジやバーンと多く戦うことになるだろう……と恐れたんじゃないかな。これらのデッキは相手と対話することはないし、操るのも簡単とあって禁止後の大会で使うには理想のデッキだからね。
モダンは今現在、そして将来にわたっても、自分の好きなデッキを何でも使えるフォーマットだ。自分のデッキを使いこなせている限り、いい成績を残せるチャンスがある。ランタンコントロールやタイタンシフト、親和、アブザンカンパニーにエターナルブルーといったデッキがトップ32に入っているのもこういった理由からだ。ただ、これらのデッキはTier1ではないから、あんまり相手にすることを考えすぎない方がいいだろう。
どのデッキを狙い撃つか?
これはデッキを選ぶとき、いつも自問自答すべき質問だ。もし今グランプリに参加するとしたら、俺なら以下のデッキを仮想敵に設定するだろうね。
イゼットフェニックス
まさに現在のトップメタだ。多くのプロプレイヤーに、そしてTwitter上でもベストデッキとして考えられているし、それを証明するかのようにどの大会でも優れた成績を残している。
このデッキは5色人間やスピリットのようなクリーチャーデッキに非常に相性がいい。《稲妻》や《はらわた撃ち》、《稲妻の斧》といった軽量の除去呪文が多く、加えて《氷の中の存在》は基本的に無敵の存在だ。
また、ミッドレンジやコントロールデッキに対しても強力だ。《弧光のフェニックス》は対処が難しく、何度も蘇る脅威だからね。
だが、このデッキにも弱点はあると思っている。クリーチャーへの妨害要素が非常に多いため、アドグレイスやストームのようなより速いコンボデッキには弱くなっているのだ。これが、アドグレイスが何度かいい成績を残せている理由だろう。
ドレッジ、バーンやトロン
これらをひとくくりにして紹介したのは、デッキのタイプが似ているからではなく、プレイする上で必要とされるスキルの水準が似ているからだ。1回の負けでも順位に重く響いてくるため、グランプリに参加していて、自分よりも経験の浅いプレイヤーに負けたくはないだろう。例えばドレッジなんかは、完全に使いこなすのはそう易しくはないが、ある程度使うのは簡単なため、相手とのスキルの差の影響が少なくなる。こういうこともあって、これらのデッキはグランプリではいつでも人気だね。
だが、これら3つに勝てるデッキ、といっても難しい。最も直線的なコンボデッキはトロンやドレッジには有利を取れるが、バーンには不利になってしまう。この3つのデッキに勝てる候補としては、おそらくイゼットフェニックスが一番の候補だろう。ドレッジは今現在これらの中で最も人気だし、今週末、ドレッジに弱いデッキは使おうとは思わないね。
今週末何を使うか?
さて、これまでの情報をまとめてデッキを考えようか。イゼットフェニックスが現在モダンにおいて最強デッキだと考えられていて、この印象のため、プレイヤーは5色人間やバントスピリットを避けるだろう。ドレッジは今週末最も人気のデッキの一つで、黒緑ミッドレンジもそれなりの数見ることになると予想される。5色人間やバントスピリットが減る、ということはイゼットフェニックスに不利なマッチアップが増えることになるから、あまり使いたくないね。代わりにフェニックス、ドレッジに勝てるデッキを使いたいものだ。
結果、コンボデッキを使おうかと気持ちが傾いている。人気であろう《ヴェールのリリアナ》デッキに最も相性がよく、それでいてトロントでトップ32に入っていなかったデッキ……それは青赤ストームだ。これが俺だったら使うだろうリストだ。
青赤ストームこそ今週末のダークホースで、いい結果を残せるだろうと確信している。多くの人気デッキに相性がいい上に、プレイヤーにも予測されていないだろう。不安な点としては、最近見るようになったメインからの墓地対策(《外科的摘出》や《虚無の呪文爆弾》)だ。サイド後は墓地対策への対処が楽になるけれどね。
禁止制限について
モダンの記事なのに、月曜日に発表された禁止制限告知(変更なし)に一切触れない……となると違和感があるだろう。
《信仰無き物あさり》は最も人気なデッキ2つの軸となるカードだが、今のうちはまだ許されるだろうと思っている。大きな大会の結果1つだけでカードを禁止してしまうと、過ちが起こりうる。『モダンホライゾン』と新たなマリガンルールが、将来変化を取り入れてくれることを願おうじゃないか。
また、禁止制限告知に気づいたのはこの記事を書いている途中だったから、禁止がなくてよかった。執筆途中の記事を全部消すことになりやしないか、心配で仕方がなかったよ。
まとめ
イゼットフェニックスとドレッジが現在のベストデッキだが、メタゲームが変遷し、適合していくと信じている。今週末、俺だったらコンボデッキを持っていくだろう。活躍にふさわしい時だ。
もしこの記事や、モダン全体に関して質問があったら是非俺まで聞いてくれ。読んでくれてありがとう。
ブランコ・ネランク @BrancoNeirynck
この記事内で掲載されたカード
Branco Neirynck 2017年の公募でHareruya Hopesに加入したプレイヤー。 2015年、ヨーロッパのグランプリでトップ8に3回進出。同年のワールド・マジック・カップ ベルギー代表のキャプテンを掴み取った。 自身11回目となるマジック25周年記念プロツアーでは、RPTQを突破した同郷の友人たちとともに4位入賞。その素晴らしい成績と1年間の努力の甲斐あってゴールド・レベル・プロに到達した。
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